医学界新聞

Medical Information (学会・研究会情報)


第3回国際保健医療行動科学会議開催
「危機と行動―連帯と成長」をテーマに

 第3回国際保健医療行動科学会議(会長=仏教大教授 中川米造氏)が,さる9月27-29日の3日間,東京・千代田区の上智大学で開催された。今回は人類が同時代的に直面している諸問題への危機感から「危機と行動―連帯と成長」がテーマとして選ばれ,さまざまな国から集った研究者が,生物学的な領域から心理学,倫理学,経済学,社会学,文化人類学などの多様な視点から,これらの問題にいかに対処していくかを話し合った。

危機的状況下における人間行動

 基調講演「危機と行動」においては,中川米造氏が危機的状況における人間の行動を解説。人間は連帯することによって危機的状況を乗り切る力を得ることができるとし,「人間が危機的状況を克服し,共存していくためには,共感することの重要性をよく認識する必要がある」と述べた。
 シンポジウム「危機の中での成長と連帯」では,人類にとっての今日的問題としての地震などの自然災害,核の問題,環境問題,エイズの4つのトピックスについて4人のシンポジストがそれぞれに発表を行ない,それらの危機に対してどのようにして効果的な対処行動を取ることができるかが討議された。
 最初にJ.Breslaw氏が阪神大震災後の被災者に対する心のケアについて文化人類学の立場から論じ,続いて演壇に立った片岡勝子氏(広島大教授)は,「核危機と人類の連帯」と題した講演を行ない,「核による悲劇は広島と長崎で最後にしなければならない」と訴えた。
 また米本昌平氏(三菱化成生命科学研)の環境問題に関する講演の後,宗像恒次氏(筑波大助教授)は,アフリカ,タイ,アメリカのエイズ患者の生活や,彼らを取り巻く状況などを紹介。「エイズにかかり,心にも傷を負った人々に対しては,頭で考えるのではなく,心で感じ,共感するケアこそが重要である」と述べ,危機的状況における共感の重要性を改めて強調した。


日本国際保健医療学生フォーラム第1回全国会
 開催案内 11月30日-12月1日/神戸市

 日本国際保健医療学生フォーラム(代表=群馬大医学部5年 永井周子氏)の第1回全国会が,きたる11月30日-12月1日の両日,「会おう,話そう,つなげてみよう-国際保健へのいざない」をテーマに,神戸市の神戸大学医学部大倉山キャンパスで開催される。
 同フォーラムは本年6月に発足。その趣旨を「国際協力の時代と言われるように,保健医療の分野でも世界の国々が協力し,世界中の人々が健康で豊かな生活を送れるように様々な努力がなされている。国際保健活動に関する医科系学生の興味関心は高まり,各地の大学においても国際保健活動を目的としたサークルが発足してきた。これら各大学の国際保健サークルをつなぐ国内ネットワークをめざす」こととしている。また目的は,(1)各大学・サークルの活動をアピールする機会ができる,(2)ノウハウを交換できる,(3)各大学・サークルのプロジェクトに参加するきっかけができる,(4)プロジェクトの紹介,交換ができる,(5)既存のインターカレッジのサークルとの情報交換ができる,(6)新しいサークルを作りやすくする,(7)ネットワークが広がるの7点。
 また,親睦を深め,情報交換をするばかりでなく,国際保健協力を担う人材育成の土壌ともなることを考えている。
 なお参加対象者としては,国際保健医療活動および医学,医療,福祉活動での国際交流を行なっている学生団体および個人。または,これらの国際交流に興味のある学生団体および個人。
プログラム
〔記念講演〕(1)国際保健医療協力―その実践と今後の焦点(琉球大 小川寿美子),(2)救急医療と災害医療について(日本医大附属北総病院長 山本保博)
〔分科会〕(1)NGO,大学別活動内容,実績報告,(2)フィールド地域(タイ,フィリピンなど)別の各大学の活動,現在の国際保健医療について
〔パネルディスカッション〕学生として何ができるか,何をすべきか
参加費:1,000円
連絡先:〒113 東京都文京区弥生1-14-18-201(京文靖)
 TEL(03)3812-3937
〒371 前橋市昭和町1-18-6-302(永井周子)
 TEL(0272)31-1671