医学界新聞

連載 ― WHAT'S COOL IN TECH AND MEDICINE

最新テクノロジーのトピックス

永田 啓(滋賀医科大学眼科・医学情報センター)

[2]どこでもインターネット


インターネット,もう聞きあきた?

 インターネットが騒がれはじめて,もうかれこれ数年。それがただのはやりだけではなく,実際に医療関係の大学や研究室,そして現場に普及してきているのが,実感としてわかるようになってきました。家庭への普及も,パソコン通信を上まわるスピードで進んでいます。ちまたにあふれるパソコンのコマーシャルも,今年はインターネットが売りです。
 インターネットといっても,実際にはいろんなしくみがあるけれど,最近のインターネットの話題はWWW(World Wide Web,図1)の話が中心です。テレビをはじめとしたマスコミで,インターネットといえば,ほとんどがWWW。あちこちのニュース番組で,http://www. なんとか.ac. jp云々と,ホームページのアドレスを出しているのはごくあたりまえで,最近ではコマーシャルの最後に,ホームページのアドレス(図2)が出てくるものまであります。
 インターネットに接続して,WWWを見るためのハードウェアは,現在のところほとんどパソコンですが,今年のはじめあたりから,パソコン以外のハードウェアが出てきました。今回は,インターネットを使うためのいろいろなハードウェアを紹介します。

モビールコンピューティング(持ち歩くパソコン)

 ラップトップにサブノート,可搬型のコンピュータは,省スペースの効果もあり,日本では早くから立ち上がっていました。ひと昔前にモビールコンピューティングの要望が出たのは,移動先でもコンピュータが使いたいとか,出張中もワープロだけでなく表計算やグラフや画像も扱いたい,といった点が中心でした。その後,パソコン通信の普及に伴って,どこに行ってもパソコン通信が使えるという要望に変化しました。こうして,今では通信機能つきのラップトップやサブノートが,ごく普通に使われています。でも,なかなか究極の可搬型コンピュータが現れないので,さまざまなラップトップやサブノートが次々と発売になっています。
 多少スピードとキーボードの操作性を犠牲にして,軽さを追求したIBMのPalmTop PC110や東芝のLiberettoなどの方向や,デスクトップなみの性能でCD-ROMなども内蔵した3kgに近い各社のラップトップなどなど。
 方向としては,CPUの高速化と,軽く液晶は大きく,画面表示も広く,通信機能も28800bps以上かISDN対応,さまざまなアプリケーションのプレインストール済みといったところでしょう。値段はそんなに安くなってはいません。インターネット接続に関しては,あらかじめアプリケーションがインストールされているものも多く,それがなくてもインターネットスターターキットが各種用意されています。
 旅先で論文も書きたいし,電子メールもやりたい,それにWWWも楽しみたいとなると,やはりラップトップかサブノートということになるでしょう。OSは今のところMacOSかWindows95といったところ。もちろんUNIXファンであれば,こうしたマシンでも十分UNIXは走ります。

高機能電子手帳

 スケジュール管理などビジネスツールとして発達してきた電子手帳も,だんだんと高度化して,PDA(Personal Digital Assistance)として高機能化しています。以前から,パソコン通信に対応したものがでてきていたのですが,ここにきて,WWWを見ることができるものが登場してきました。シャープのカラーザウルスなどがその代表で,通信機能でプロバイダーに接続して,電子メールだけでなく,320×240ドットのカラー液晶で,グラフィックも入ったちゃんとした状態でWWWを見ることができます。
 電子手帳は軽さと長時間のバッテリー駆動が売りものですが,さすがにこのクラスとなると,大きさも通常の電子手帳よりはかなり大きくて,カラー液晶とバックライトのために,電池の持ちも短くなってきました。それでもラップトップに比べるとかなりの軽さですし,値段もパソコンよりは安いので,新しいお出かけ用インターネット端末として普及すると思います。

ゲーム機やインターネット専用マシン

 セガのセガサターン用のインターネット接続カートリッジをはじめとして,これから32ビットや64ビットのゲーム機をインターネットに接続するマシンとして使おうというプロジェクトがたくさん立ち上がっています。もちろんディスプレイにはテレビを使います。ゲーム機にインターネット用のカートリッジをはめて,そこに電話回線をつなげばできあがり。たいていは,それぞれのゲーム機メーカーがプロバイダーサービスもやっています。
 バンダイのピピンなどのように,最初からインターネットを意識したゲーム機も出てきていますし,So―netのように,プロバイダーとしてインターネット接続用の専用マシンを提供するところも出てきました。
 こうしたマシンの特徴は,値段が安いことと,ディスプレイに普通のテレビを使うところです。このため,パソコンほど解像度がとれないので,WWWを見るためのソフトにはいろいろな工夫が見られます。画面の一部だけを見せて,上下左右にスクロールすることで,解像度の低さをカバーするものもあれば,フォントをうまく工夫したり,画像を小さめに表示して低い解像度なりに見やすくしたものもあります。操作は手になじんだゲーム用のコントローラーを使うので,違和感は少ないようです。
 ゲーム機をはじめとするこうしたマシンは結構大きいのですが,重量は軽くディスプレイもどこにでもあるテレビが使えるので,ひょっとすると旅行の時に,カバンにつっこんでいって,ホテルなどでインターネットを見るのに使えるかもしれません(?)。

インターネットテレビ

 今年の冬のボーナス商戦を狙って,出てくるのがインターネット機能を内蔵したテレビです。チャンネルの1つとして,WWWブラウザーがある,という形をとるものが多く,操作もおなじみのリモコンで行ないます。これもさきほどのゲーム機のように,各メーカーがプロバイダーサービスもやることで,手軽にインターネットにアクセスしてWWWを見ることができるようになっています。
 たいていは,各メーカーが独自に用意したインターネットテレビ専用のホームページに入り,そこにあらかじめ登録されている情報や,おすすめのリンクなどを見てまわれるようになっており,よりテレビに近い感触をうまく作っています。はたして,こうしたテレビが普及するのかどうかは,まだ未知数ですが,巨大な放送局と個人のホームページが同じテレビを通じて,あまり差がなく提供される環境は,マスメディアを変えていくことになるかもしれません。
 さて,あなたはこの秋から来年にかけて,どんなハードウェアを使ってインターネットにアクセスされるでしょうか。そして1年後は?