医学界新聞

“家族と社会保障”をテーマに
「平成8年版厚生白書」発表される



 さる5月24日に,“家族と社会保障”をテーマとした「平成8年版厚生白書」が発表された。
 例年の通り今年の白書も,記述を中心とした第1編と,「制度の概要および基礎統計」として厚生行政全般の基礎的な資料を掲載した第2編とで構成されている。
 第1編はさらに3部構成になっており,その第1部では,「社会保障制度は家族のあり方と密接不可分な関係にあり,家族が社会とともにあり,社会とともに変容する中で,社会保障制度も家族の変容に応じて変わらなければならない」として,“家族の社会支援のために”というサブタイトルのもとに,今年のテーマである“家族と社会保障”を詳論している。「第1章:戦後日本の家族変動―戦後,家族はどのように変容したか」,「第2章:戦後の社会経済の変化と社会保障制度の発展」,「第3章:少子・高齢社会に対応した新たな社会保障制度の確立に向けて」からなる第1部は,(1)家族の多様化によって,多様なニーズに対応できる社会保障制度の構築が不可欠であること,(2)個人の尊厳と自由を確保するためにも,家族の変容に対応した社会保障制度の確立が求められていること,(3)安定成長のもとでの効率的で公平な社会保障制度の確立が必要であることを指摘している。
 また第2部で,「第1章:障害者施設の新たな展開―地域におけるノーマライゼーションの実現を確実なものとするために」から,「第7章:災害対策の再編成」までの7章に分けて平成7年度の主な厚生行政の動き記述しているのは昨年同様。しかし,続く第3部では「世界の社会保障制度」が取り上げられている。
 白書は,「いずれの欧米諸国においても,効率的で安定的な社会保障制度を確立するために多くの努力が払われており,わが国の社会保障制度のあり方を考える上で参考となるものも少なくない」が,同時に今年のテーマ“家族と社会保障”との関わりを考える視点からは,「欧米諸国のみならずアジア諸国の状況を理解することが重要である」として,アジア諸国の社会保障制度についても記述している。