医学界新聞

あたり前に行なう看護の主体性

第3回「看護職の主体性に関する国際シンポジウム」開催


 第3回看護職の主体性に関する国際シンポジウム「看護の主体性と協調」が,小島通代組織委員 長(東大教授)のもと,さる2月19-20日の両日,東京大学山上会館で開催された。
 同シンポジウムは,第1回が1994年2月に「診療の補助における看護婦のジレンマ」をテーマに, また第2回が昨年2月に「効果的な看護職と医師の協調」をテーマとして開催され,法的に明文規定された 権限を持つ医師と医療現場でどのように協調していくかを諸外国から学び追究してきた。今回はその集大 成として位置づけられ,「看護の主体性と協調」について,看護職だけでなく医師や保健・福祉職,市民 も参加し,体験から学び共通の財産とすることを目的として開かれた。

手術は早朝から実施

 初日には,北海道・愛心メモリアル病院副院長であり看護部長の河野總子氏と兵庫県内の病院婦長が 「あたり前に行なう看護の主体性」について講演した。
 河野氏は,「あたり前のことをあたり前のように手抜きなく行なう」をモットーに看護をしてい ると述べ,体位交換,食事など離床に関するオーダーは医師に頼らず看護職の領域と考え実施していると 語った。また「患者中心」の医療を全職員が共通理念として持ち,それぞれの職域で最善の策を考えてい る例として,手術は早朝6時半から実施し昼までに終了させ,術後合併症を起こす可能性のある時間帯を 医師が在席する日勤帯に合わせたことを紹介。ただ,それにより手術室の看護婦が4時からの勤務になる という負担が生じたことも報告した。
 その後,小グループに別れて「看護職の判断と実践」の討論が翌日午前中まで行なわれ,午後に 8グループから討論のまとめが発表された。発表に際しては図示とともに標題をつけることもノルマとさ れていたが,その中には「主役になるぞ,身体をはって,根性だ」と「主体性」を取り入れたものや, 「変わらなきゃ!―私が変わればあなたも変わる」「グチから協調へ―協調から看護婦の個の確立へ」な ど,前日の講演の内容が反映されていた。
 また3年連続して参加の房恵・近藤・アボット氏(米・ホリーネームス大)は「看護婦の業務範 囲と医師の指示―アメリカの実情」を講演。日米間の法の違いとともに,看護を制約する実例を提示しな がら法の枠組みの解説を行ない「看護が専門的判断のできる知識を蓄積する必要がある」と述べた。
 シンポジウムの最後に行なわれた総合討論では,「コメディカルとの関係でイニシアティブをと るのは看護職でありたい」,「総合病院の中で主体性を持つには?」などの意見が参加者から出された。
 なお,シンポジウムを閉じるにあたって小島委員長から「国際シンポジウムは今回で終了だが, 同様のテーマでの催しを来年以降も継続するかについては,参加者の意見を参考にして決めたい」という 引き続き開催される可能性を残す発言があった。