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【特集】

骨関節内科

横川 直人(東京都立多摩総合医療センターリウマチ膠原病科)


 骨や関節に関する愁訴は,外来診療で最も多い愁訴の1つであり,外来受診理由の約2割,高齢になれば約半数を占めると言われています.欧米では,整形外科医は手術のみをする医師であるため,患者は主治医である内科医や家庭医にまず相談します.そのため,卒前や卒後の医学教育でも骨関節の診療は重視され,内科医や家庭医は,日常診療のなかで関節痛や変形性関節症,骨粗鬆症など骨関節の問題についても,高血圧や脂質異常症などの内科疾患と同じように診療します.

 日本では,整形外科医は「骨関節のプライマリ・ケア医」と考えられているので,患者は骨関節の症状があれば,まず整形外科を受診し,また整形外科医も嫌な顔をせずに診てくれます.しかし,主治医に診てもらったほうが重篤な内科疾患が早く見つかったり,無駄な検査や複数科への通院の負担が減ったり,多剤処方や副作用が防げるなど,さまざまなメリットがあります.主治医の内科医が少しアドバイスするだけで,患者のQOLが向上することは少なくありません.

 私自身,学生時代から手が不器用かつ解剖が苦手という理由で内科医を志した背景もあり,必要性は感じながらも,整形外科の本は難しく,また整形外科医のような診療はできないと,骨関節の診療を敬遠していました.しかしその後,米国で臨床研修をしたときに,家庭医や一般内科医が当然にように診療しているのを見て驚きました.そこで私も彼らを見習い,目の前の患者の訴えを聞き,いろいろと試すと意外と簡単に診療ができることに気づきました.

 この経験をもとに,「内科医の内科医による内科医のための骨関節内科テキスト」を企画しました.本特集は,解剖が苦手な内科医にもわかりやすいように,イラストや写真は134個(『medicina』通常号の最多記録!?)も作成・掲載していただきました.さらに,部位では顎から足趾まで,疾患では変形性関節症から不定愁訴(?)まで網羅し,類書がない,いわばドラえもんのポケットのような役に立つ特集に仕上がっています.執筆者一同,読者の皆さまの日常診療で使える「ひみつ道具」が見つかるように願っています.