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【特集】


症候別 すぐ役に立つ
救急画像診断
いつ撮る?どう見る?

船曵 知弘(済生会横浜市東部病院救命救急センター)


 現代医療において,画像検査は欠かせない診断ツールの1つとなっている.なかでも救急医療においては,重症であればあるほど,全く画像検査を行わないということはない.救急医療の現場では,患者の容態は刻々と変化するため,それまでの情報(病歴や身体所見,検査所見など)からその場その場で正確な判断が求められ,処置・治療を開始しなければならない.

 画像検査を行う際には,それまでの情報から適応をどのように考えるのか,行うのであればどのようなmodality(超音波検査,単純X線検査,CT,MRIなど)を選択し,どのように検査するのか,また得られた画像からどのように解釈し,治療に結び付けるのか,などさまざまな判断が求められる.特に救急患者の訴えは,夜間休日を問わないため,画像検査の専門家である放射線科医が不在の時もある.そのような場合,担当医は上記項目において判断が求められる.質の高い医療を行うためには,これらすべてにおいて合格点が求められる.そのリスクマネジメントは重要であり,個々がトレーニングを行うことはもちろんであるが,システムとして各医療機関が考えなければならない問題である.

 本特集では,common diseaseと言われるような疾患を中心として,どのように画像検査の適応を判断し,modalityを選択し,どのように検査し,解釈するのかに関して,主に症候別に整理した.救急診療に従事していない医師であっても,自分の専門診療科以外の疾患に遭遇した場合でも,必要最低限,押さえておかなければならない疾患を診断することができる能力が必要である.また救急患者は,疾患名がわかっている状態で来院することはほとんどなく,何らかの訴えをもって受診することから,このような構成とした.いずれの項目もエキスパートの先生方の臨床経験をもとに,日常診療に役立つ実践的な解説が加えられており,質の高い医療に結びつく内容になっている.