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特集

"実践的"抗菌薬の使い方
その本質を理解する

細川直登(亀田総合病院総合診療・感染症科)


 抗菌薬の使い方は近年,大きく変わりつつある.海外からの情報や感染症診療に関する書籍が飛躍的に増え,日本語でも入手できるようになった.しかし,雑誌,書籍,電子媒体,製薬企業などによるさまざまな情報は玉石混淆であり,情報を適切に取捨選択するには,ある程度基本的な知識と原則論を身につける必要がある.そこで本特集では,抗菌薬の特性を理解し,その原則をもとに実践的な使い方をするための知識を以下のような構成で解説した.

 総論:薬剤同士の"同じ部分=類似性"をまとめてその特徴を理解する

 総論では,抗菌薬の基本的な特性と使用法の原則について述べる.これが理解できれば新たな抗菌薬が出てきたとき,また添付文書の用法,用量の変更があったときなどに,製薬企業からの情報を冷静に分析,判断して使用すべき臨床状況,使用しないほうがよい状況が判断できるようになる.また,スペクトラムが重なる抗菌薬があるときにどちらを優先的に使用するかを決める際にも役立つ.具体的には,βラクタム系薬,フルオロキノロン系薬,アミノグリコシド系薬,抗MRSA薬のように,薬剤の構造による分類にこだわらず,臨床的に類似する抗菌薬をまとめてその特性を理解できるようにした.

 各論:薬剤同士の"違い=個別性"を理解して実践的な使い分けを習得する

 各論では,上記の総論で類似する抗菌薬の特徴を理解したうえで,基本的にマスターしておくべき個別の抗菌薬の使用法について解説する.抗菌スペクトラムが重なるほかの薬剤との比較において,当該薬剤を選ぶべき状況とその理由,優先順位が下がる状況とその理由を解説する.また,保険適用量と国際的な使用量が違う場合,その抗菌薬をどのように使用すればよいか,保険適用の使用量内で有効に使う工夫などの実践的な知識も解説した.

 このような抗菌薬使用の原則を踏まえたうえで,それぞれの抗菌薬の具体的な投与法を学んでいただければ幸いである.