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●手を見て気づく内科疾患

第14回テーマ

全身性エリテマトーデス,治らないしもやけには注意

松村正巳(金沢大学医学教育研究センター リウマチ・膠原病内科)


図1 指腹に凍瘡様紅斑を認める
図2 第1指指腹に凍瘡様紅斑を認める
患者:52歳,女性
病歴:3カ月前から両指腹に触ると痛い皮疹が出現した.毎年冬になるとしもやけができるので,しもやけだろうと思っていた.しかし,今回は寒冷を避けても治らない.さらに,1カ月前から夕方になると37~38℃の発熱を認めるようになった.また,以前から日光に当たると皮膚が荒れるという.
身体所見:顔色は不良で活気なし.顔に皮疹はなし.両手の指腹に凍瘡様紅斑を認める(図1,2).触れると痛い.右腋窩部に2カ所,左腋窩部に1カ所リンパ節を触れる.径が1.0~1.5 cmで軟らかく,圧痛はない.

検査所見:血算;WBC 1,400/μl(リンパ球27%),抗核抗体1,280倍(speckled pattern),抗Sm抗体陽性,抗SS-A抗体陽性

診断:全身性エリテマトーデス(凍瘡状狼瘡:chilblain lupus)

 上記所見から全身性エリテマトーデスと診断しました.プレドニン30 mg/日の投与で翌日から解熱し,凍瘡様皮疹,リンパ節腫脹は数日で改善しました.

 全身性エリテマトーデスの皮疹では蝶形紅斑が有名です.そのほかの皮膚病変としては,円板状エリテマトーデス,凍瘡状狼瘡,亜急性皮膚エリテマトーデス(環状紅斑,乾癬樣皮疹),水疱型エリテマトーデス,多型滲出性紅斑,蕁麻疹様紅斑,手掌紅斑など多彩です1)


(画像は本誌をご覧ください)

文献
1)Hahn BH:Systemic lupus erythematosus, Fauci AS, et al, (eds):Harrison’s Principles of Internal Medicine, 17th ed, pp 2075-2083, McGraw-Hill, New York, 2008