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特集の理解を深めるための23題


問題1

ポリファーマシーの定義,疫学について誤っているものはどれか,2つ選べ.

A
ポリファーマシーは量的,または質的な視点で定義されている.
B
ポリファーマシーは一般的に10剤以上の使用と定義されることが多い.
C
適切なポリファーマシーは,治療目的が達成されている,または今後達成される可能性がある薬を含む.
D
不適切なポリファーマシーは,患者が治療薬を希望していない,または処方された薬を内服できていない.
E
疫学的調査から医療介護に関わりのある高齢者の10人に1人はポリファーマシーと考えられる.

問題2

次の医療制度のなかで,ポリファーマシーに関連すると考えられる項目はどれか.

A
診療報酬制度
B
オープンアクセス
C
特定健診やそれに準じたサービス
D
専門医制度
E
上記すべて

問題3

ベースラインのリスクの高低の影響を受ける治療効果指標は次のうちどれか.2つ選べ.

A
リスク比
B
オッズ比
C
相対危険度減少率
D
絶対危険度減少率
E
治療必要数

問題4

ポリファーマシーで問題視されることの多い薬物有害事象リスクを評価するうえで,特に留意すべきことは何か.2つ選べ.

A
処方薬剤数の多さ
B
患者背景
C
用法・用量の複雑性
D
服薬アドヒアランス
E
薬剤以外のリスクファクター

問題5

Parkinson病患者が施設に入所した際,内服の継続が一般的に最重要視される薬剤はどれか.

A
L-ドパ
B
ドパミン受容体刺激薬
C
MAO-B阻害薬
D
COMT阻害薬
E
抗コリン薬

問題6

高血圧以外の併存症・既往歴のないADL自立した70歳女性の初発のリウマチ性多発筋痛症で,プレドニゾロン15 mg/日の内服を開始した.以下のうち最も早期に導入を検討すべきステロイドの副作用予防のための薬剤はどれか.

A
ビタミンD
B
ビスホスホネート製剤
C
プロトンポンプ阻害薬
D
ST合剤
E
ベンゾジアゼピン

問題7

睡眠衛生教育として正しいものはどれか.2つ選べ.

A
睡眠時間は人によって異なる.日中の眠気で困らなければ十分である.
B
眠りが浅いときは,積極的に早寝・早起きをする.
C
眠くなってから床に就く.就床時刻にこだわりすぎないようにする.
D
規則正しい3度の食事,就寝前の運動習慣を身につける.
E
昼寝をするなら,昼食後の1時間にする.

問題8

遠方通院困難のため,80歳男性の内科的既往のない変形性膝関節症の紹介患者を整形外科から引き継いだ.現在,ロキソニン(60 mg)1回1錠・1日3回,ランソプラゾールOD(15 mg)朝1錠,リリカOD(75 mg)1回1錠・1日2回朝夕,トラムセット1回1錠・1日3回内服していた.痛みは落ち着いており,内服を減らしたいという申し出があった.日中の眠気,めまい,便秘,胃のむかつきはない.薬の整理(減量・中止)をするにあたり不適切なものはどれか.

A
ロキソニンを朝1錠に減量した.
B
ロキソニンをすべて中止した.
C
リリカを夕1錠に減量した.
D
リリカをすべて中止した.
E
トラムセットを朝1錠に減量した.

問題9

以下のうち誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
服薬アドヒアランスを保つことが慢性心不全治療において重要である.
B
β遮断薬,ACE阻害薬は身体症状の緩和や生命予後の改善に結び付くため中止してはならない.
C
ACPは心不全における治療法選択において重要な役割を果たす.
D
慢性心不全管理において身体所見は有用である.
E
ポリファーマシーの解決にあたってはプライマリ・ケア医と専門医が医療連携を行うことが重要である.

問題10

小児において薬物有害反応(adverse drug reaction:ADR)の高リスク薬群ではないものを1つ選べ.

A
鎮痛薬
B
抗てんかん薬
C
抗菌薬
D
免疫抑制薬
E
去痰薬

問題11

訪問診療を行う対象者は一般的に高齢者が多い.高齢者へのポリファーマシー対策として,訪問診療の際に最も確認・注意すべき点は何か.2つ選べ.

A
訪問看護の有無
B
飲み残された(忘れた)薬剤の有無
C
服薬カレンダーの有無
D
本人の自覚症状
E
家族の薬剤への理解度

問題12

救急外来で注意すべき薬剤と関連のある症状の組み合わせとして誤っているものはどれか.

A
Ca拮抗薬 ─ 浮腫
B
フロセミド ─ ビタミンB1欠乏
C
NSAIDs ─ 浮腫
D
麻黄湯 ─ 低血圧
E
芍薬甘草湯 ─ 低K血症

問題13

ポリファーマシーについて誤っているものはどれか.

A
PIMsとは潜在的に不適切な処方である.
B
処方カスケードとは1つの処方により副作用が連鎖していく状態を指す.
C
ポリファーマシー対策は減薬することが最も重要である.
D
ポリファーマシーには多職種による介入が効果的である.
E
ポリファーマシーはアドヒアランスの低下や処方すべき処方が出されない状況も引き起こす.

問題14

高齢者総合機能評価(CGA)について誤っているのはどれか.

A
1930年代にMarjory Wallen医師が高齢者に行った介入が起源とされる.
B
医学的問題点以外に,認知精神・身体機能・社会的環境・倫理的な側面を含めている.
C
簡易的な評価方法としてCGA-7がある.
D
評価を行うことが重要でその後の介入は含めない.
E
入院中にCGAの項目について評価すると総合評価加算が算定できる.

問題15

介護保険3施設において,医療保険による処方(=包括外処方)の対象となるケースはどれか.

A
老人保健施設において併設の保険医療機関を受診した.
B
老人保健施設において併設以外の保険医療機関を受診した.
C
配置医が設定されていない介護老人福祉施設において他機関の外来を受診した.
D
配置医が設定されている介護老人福祉施設において他機関の外来を受診した.
E
介護療養型医療施設において施設にある診療科を受診した.

問題16

明示的基準と称される潜在的に不適切な薬剤のスクリーニングツールを2つ選べ.

A
減薬プロトコール(deprescribing protocol)
B
STOPP(Screening Tool of Older Person's Prescriptions)クライテリア
C
START(Screening Tool to Alert doctors to Right Treatment)クライテリア
D
Beersクライテリア
E
MAI(Medication Appropriateness Index)

問題17

薬剤師の業務・役割・エビデンスについて述べた以下の文章のうち,正しいものを2つ選べ.

A
患者またはその看護者に対して,薬剤に関する情報を提供し指導することは,薬剤師の業務ではない.
B
処方せん内に疑わしい点があっても,医師に連絡が繋がらなければ,薬剤師はそのまま調剤し患者に薬剤を交付して良い.
C
トレーシングレポートは,内服薬のアドヒアランス状況や健康食品の使用に関する情報など,即時性は低いものの診療上重要な情報を医師に提供するために,保険薬局が作成・送信している.
D
持参薬確認時,薬剤師はその内容の確認のみを行っている.
E
薬剤師が処方内容をレビューし介入することの有用性を示す報告が複数ある.

問題18

推奨される治療法と疾患の組み合わせで正しいのはどれか.

A
女性の腹圧性尿失禁─スピロペント®
B
水平半規管型BPPV─Epley法
C
不眠症─認知行動療法
D
左室駆出率(EF)正常心不全─β遮断薬
E
無症候性脳虚血─アスピリン

問題19

SDH(健康の社会的決定要因)に対して私たちができる取り組みで誤っているものはどれか.

A
医療機関や関連事業所レベルでの健康推進の取り組み.
B
心理社会的問題を抱える人を「見つけ,声をかける」.
C
質の高いエビデンスに基づいた社会的処方を実践する.
D
困難にある人を利用可能な社会的資源につなぐこと.
E
学会や専門職団体,地域活動を通してSDHの認知・普及活動.

問題20

86歳女性独居,デイサービスと訪問リハビリをそれぞれ週1回受けている.近所に長女夫婦が住んでいる.明け方トイレに行こうとして尻もちをつき,腰痛のため動けなくなっているところを長女が発見,救急搬送入院.整形外科にて腰椎圧迫骨折と診断,保存的治療となった.高血圧と糖尿病,骨粗鬆症の通院治療中であることは長女から聞いた.入院に当たり現在服用中の薬や健康食品などを家族が持参したが,バラバラで全く整理ができていない.複数のベンゾジアゼピン処方がある.おくすり手帳は3冊あり,通っている医療機関ごとの処方内容が記載されている.本人は薬はきちんと飲んでいると言う.身長140 cm,体重38 kg.BP 98/80 mmHg,心拍数75 bpm,体温37.6℃,肝機能正常範囲内,腎機能やや低下,アルブミン低値,Mgやや高値.病院食が美味しくないといって,摂食量が著明に低下している(国立長寿医療研究センター 溝神文博氏提供の症例を改変).
本症例に関して正しい対応はどれか.2つ選べ.

A
摂食量の著明な低下があり,低栄養が進む危険性があるので,経管栄養を検討する.
B
薬の整理を薬剤師に依頼し,経口血糖降下薬と降圧薬,睡眠薬は持参薬をそのまま使用する.
C
糖尿病による腎機能低下の可能性があるので,厳格な血糖コントロールを目的に,インスリン治療を開始する.
D
退院後の服薬状況改善を目的として,ポリファーマシーの是正や薬剤選択について薬剤師と協議する.
E
治療や退院後について,患者が望むことを明らかにするには,多職種による多面的なアプローチが効果的である.

問題21

80歳の男性.デイサービスで発熱があり救急外来を受診した.診断は尿路感染症.帰宅可能であったが,ケアマネジャーから独居のため確実に服薬できるか不安があると相談を受け,入院で点滴治療を行うことにした.翌朝,訪室すると患者は両手にミトンを装着され,朝食も摂取できないほど熟睡していた.夜勤看護師からは「不眠時指示のブロチゾラムを内服してもらいましたが,不穏がひどくリスペリドン使いました」と報告があった.
主治医として適切なものはどれか.2つ選べ.

A
ブロチゾラムを中止する.
B
点滴中はミトンをするように指示する.
C
就寝中の持続点滴を中止する.
D
他の睡眠薬を追加する.
E
点滴を抜かないように患者に説明する.

問題22

85歳の独居者の自宅に残薬が大量あるとの情報が入った場合,まずはじめに検討すべきことは何か.処方内容は,1日3回食後内服が2種類,朝のみの薬が3種類,眠前の薬が2種類である.

A
指示どおり内服するよう丁寧に説明する.
B
内服回数がなるべく少なくてすむよう処方内容を検討する.
C
薬を一包化(朝,昼,夕,眠前の薬をそれぞれ一つの袋に入れる)する.
D
介護者(家族やヘルパー)に毎回内服を確認するよう指示する.
E
施設入所を勧める.

問題23

薬剤師による訪問薬剤管理指導について正しいものを2つ選べ.

A
訪問薬剤管理指導を行った際に薬局が算定可能な報酬は,居宅療養管理指導費(介護保険)と在宅患者訪問薬剤管理指導料(医療保険)がある.
B
要支援・要介護認定を受けている患者であっても,末期の悪性腫瘍であれば医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料が優先される.
C
訪問薬剤管理指導の開始には医師の指示が必要である.
D
薬剤師の訪問により介護保険の限度枠を超えてしまった場合,10割負担になる.
E
処方医に対して,提供した訪問結果に関する情報を報告する義務はない.

(解答は本誌掲載)