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特集の理解を深めるための32題


問題1

20代女性.頭部湿疹の診断で2カ月以上ステロイド外用薬を投与しているが治らず,徐々に悪化傾向である.頭頂部に湿潤した局面があり,周囲の毛髪を引っ張ると容易に脱落する.まず考えるべき疾患はどれか.

A
疥癬
B
光線角化症
C
Celsus禿瘡
D
Münchhausen症候群
E
Kaposi水痘様発疹症

問題2

湿疹性病変への対応として,正しいものはどれか.

A
顔面の病変に対して,初診時,ステロイド外用薬を10 g処方した.
B
外用薬はよく擦り込んで使用するよう説明した.
C
顔面の病変に対して,念入りに洗顔するように指導した.
D
ステロイド外用薬を処方するとき,「強い薬だからできるだけ塗らないように」と説明した.
E
薬歴を確認した.

問題3

次のうち,正しいものはどれか.

A
Leser-Trélat徴候は,日光角化症が短期間のうちに増数してくるものを指す.
B
壊疽性膿皮症は糖尿病のデルマドロームである.
C
皮膚アミロイドーシスが重篤になると,全身性アミロイドーシスへ移行する.
D
紅皮症は多彩な原因により,全身の皮膚に炎症が起きた状態を指す.
E
POEMS症候群で見られる血管腫は,老人性血管腫である.

問題4

ステロイド外用薬の副作用を2つ選べ.

A
色素沈着
B
色素脱出
C
皮膚萎縮
D
緑内障
E
白内障

問題5

皮膚外用剤に関する以下の記述で,正しいものを2つ選べ.

A
皮膚外用剤の混合処方は,主に患者の使用感を高めるために行われる.
B
インテバン®軟膏はゲルであり,商品名から基剤の種類は判別できない.
C
軟膏はクリームと異なり,乳化しているため吸収が優れる.
D
ステロイド軟膏をワセリンで2倍に希釈すると,効果や副作用は1/2になる.
E
油脂性基剤の軟膏や油中水型のクリームは,どちらも油に分類され,特性が近いため混合可能である.

問題6

単純ヘルペスウイルス1型によって発症する疾患はどれか.

A
伝染性紅斑
B
手足症候群
C
薬剤性過敏症症候群
D
Kaposi水痘様発疹症
E
Ramsay Hunt症候群

問題7

免疫抑制下の帯状疱疹の特徴として,誤っているものはどれか.

A
血疱を伴う.
B
壊死を伴う.
C
汎発疹を伴う.
D
水疱が大型になる.
E
強い浮腫と紅斑を伴う.

問題8

ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)感染症ではないものを2つ選べ.

A
みずいぼ
B
尋常性疣贅
C
老人性疣贅
D
子宮頸がん
E
尖圭コンジローマ

問題9

尖圭コンジローマの原因として代表的なヒトパピローマウイルス(HPV)型を2つ選べ.

A
2型
B
6型
C
11型
D
16型
E
18型

問題10

足白癬や爪白癬の治療に関して,正しいものを2つ選べ.

A
白癬の診断は肉眼で容易である.
B
足白癬の治療では臨床症状のある部位よりも,一回り広く外用抗真菌薬を塗布する必要がある.
C
足白癬の治療で外用抗真菌薬を塗布して悪化した際には刺激性皮膚炎を疑う.
D
爪白癬に対する経口抗真菌薬ではテルビナフィンが第一選択である.
E
外用抗真菌薬は重症の爪白癬にも効果がある.

問題11

後天性免疫不全症候群(AIDS)の口腔症状として出現しやすいものを2つ選べ.

A
尋常性天疱瘡
B
口腔カンジダ症
C
毛状白板症
D
多発う蝕
E
萎縮性舌炎

問題12

3歳女児.数日前に虫に刺された右前腕を搔破していたところ,水疱を形成した.水疱が増数したためセフジニルを3日間内服,ゲンタシン®軟膏(ゲンタマイシン)を外用したが,水疱がさらに増数してきた.次に選択すべき抗菌薬は何か.

A
アンピシリン
B
セフジトレン
C
レボフロキサシン
D
ミノサイクリン
E
ホスホマイシン

問題13

次のうち,誤っているのはどれか.

A
丹毒は主にA群β溶血性レンサ球菌による感染症である.
B
蜂窩織炎の誘因としてリンパ浮腫がある.
C
蜂窩織炎の発赤は丹毒によるものより境界明瞭である.
D
壊死性筋膜炎は紫斑が出現することが多い.
E
壊死性筋膜炎は早期のデブリードマンが必要である.

問題14

80歳の女性.3カ月前より高齢者施設に入所.寝たきりのため,入浴や清拭などが不十分.最近,垢がついているとのことで,入浴不足による「垢(あか)付き病(入浴などしていないため垢がついている)」と診断された.痒みはなく,本人は苦痛を訴えていない.以下のうち,鑑別すべき疾患はどれか.

A
アトピー性皮膚炎
B
薬疹
C
疥癬
D
乾癬
E
乏脂性皮膚炎(乾燥性湿疹)

問題15

23歳,女性.妊娠なし.3日前から全身に蕁麻疹を繰り返している.呼吸器症状なく,血圧も安定している.最初に選択する治療はどれか.

A
d-クロルフェニラミン(ポララミン®)の内服
B
デスロラタジン(デザレックス®)の内服
C
プレドニゾロン0.3 mg/kg/日の内服
D
アドレナリン(ボスミン®)0.3 mg皮下注
E
ベタメタゾン(アンテベート®軟膏)の外用

問題16

finger tip unit(FTU)の概念に関して正しいのはどれか.

A
1 FTUは示指の指尖部から中手指節間関節までの指腹に押し出した量である.
B
1 FTUは外用薬の1 gに相当する.
C
1 FTUは体表面積のおよそ1%に相当する.
D
1 FTUは手2枚分に相当する.
E
成人の全身を塗布には5 FTUが必要である.

問題17

小児のアトピー性皮膚炎に対する外用療法として,正しいのはどれか.

A
皮膚炎の部位にも必ず保湿外用薬を使用する.
B
ステロイド外用薬の効力のランクは成人よりも低いものを使用するのが原則である.
C
ステロイド外用療法は密封閉鎖療法を中心に行う.
D
非ステロイド性抗炎症外用薬は顔面の皮疹に有用である.
E
タクロリムス軟膏は成人と同じ量を使用してよい.

問題18

次のうち,アレルギー性薬疹でないものはどれか.

A
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による多形紅斑型薬疹
B
分子標的薬による痤瘡型薬疹
C
抗てんかん薬による播種性紅斑丘疹型薬疹
D
降圧薬による扁平苔癬型薬疹
E
抗菌薬によるStevens-Johnson症候群

問題19

ステロイド含有軟膏の塗布のみで,容易に治癒する病変はどれか.

A
紅板症
B
地図状舌
C
口腔扁平苔癬
D
アフタ性口内炎
E
義歯による褥瘡性潰瘍

問題20

凍瘡を呈する疾患で頻度の高いものはどれか.

A
サルコイドーシス
B
尋常性乾癬
C
Sjögren症候群
D
水疱性類天疱瘡
E
大動脈炎症候群

問題21

下腿潰瘍を最も起こしにくい疾患はどれか.

A
血管炎
B
動脈硬化
C
皮膚癌
D
静脈うっ滞
E
壊疽性膿皮症

問題22

おむつ部の皮膚炎のなかで,亜鉛欠乏を考慮すべき病態はどれか.

A
乳児寄生菌性紅斑
B
おむつ部乾癬
C
臀部肉芽腫症
D
腸性肢端皮膚炎
E
紅色陰癬

問題23

脂漏性皮膚炎の発症に関与する病原体はどれか.

A
カンジダ
B
皮膚糸状菌
C
マラセチア
D
黄色ブドウ球菌
E
ヒトヘルペスウイルス6

問題24

陰囊に見られる以下の皮膚病変のうち,ステロイド外用薬で治療するのはどれか.

A
尖型コンジローマ
B
単純疱疹
C
接触皮膚炎
D
red scrotum syndrome
E
乳房外Paget病

問題25

次の①~⑤のうち,金属アレルギーと関連のある項目の組み合わせはどれか.
①異汗性湿疹
②ラテックス症候群
③進行性指掌角皮症
④Gottron徴候
⑤掌蹠膿疱症

A
①,⑤
B
②,③
C
②,④
D
③,⑤
E
④,⑤

問題26

高齢者のかゆみについて,正しいものを2つ選べ.

A
高齢者の皮膚では,表皮内に神経線維が侵入している.
B
透析患者のかゆみには,κオピオイドアンタゴニストを投与する.
C
疥癬患者では,疥癬トンネルから疥癬虫体・虫卵の検出率が高い.
D
高齢者の薬疹の頻度は少ない.
E
高齢者では,原則,強いランクのステロイド軟膏から使用を開始する.

問題27

ポケットを有する難治性褥瘡の治療・ケアで誤っているものはどれか.

A
体圧分散マットレスの使用
B
ポケットの切開
C
円座の使用
D
陰圧閉鎖療法
E
外科的再建術

問題28

熱傷の局所治療について,正しいのはどれか.

A
緊満性水疱は早期に水疱蓋を除去して,外用薬を使用する.
B
潰瘍病変は乾燥させると上皮化が早くなる.
C
壊死組織の除去は外科的手段よりも,長期的な外用薬による化学的除去が効果的である.
D
熱傷早期の冷却は熱傷深度を改善する.
E
顔面,手,大関節,陰部などの特殊部位は早期に専門医へコンサルトする.

問題29

創傷治癒を妨げる要因となるのはどれか.

A
消毒
B
洗浄
C
乾燥
D
湿潤
E
安静

問題30

次の疾患のうち,ステロイド外用の適応があるものはどれか.

A
マラセチア毛包炎
B
酒皶様皮膚炎
C
尋常性痤瘡
D
上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害薬による痤瘡様皮疹
E
好酸球性膿疱性毛包炎

問題31

びまん性に脱毛する疾患を2つ選べ.

A
甲状腺機能低下症
B
単発型円形脱毛症
C
Celsus禿瘡
D
薬剤性休止期脱毛症
E
梅毒

問題32

巻き爪の発症因子として考えにくいものはどれか.

A
爪下腫瘍
B
深爪
C
遺伝的因子
D
外反母趾
E
肥満

(解答は本誌掲載)