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特集の理解を深めるための26題


問題1

食欲が亢進しているのに体重が減少する疾患はどれか.

A
大腸癌
B
うつ病
C
HIV感染症
D
甲状腺機能亢進症
E
結核

問題2

糖尿病,早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の既往がある68歳男性.2カ月前から食事が進まず,量が1/3程度に減ったため外来を受診した.嘔気,腹痛,下痢などはないが,食事を美味しいと感じられず,空腹感もないので食べる気が進まないと言う.以下のうち,最も適切でない対応はどれか.

A
うつ病の簡易スクリーニングを実施する.
B
義歯不適合の有無につき歯科受診を勧める.
C
悪性疾患による食欲不振改善目的にステロイドを開始する.
D
亜鉛,鉄,銅などの微量元素を測定する.
E
糖尿病のコントロール状況と投薬内容を確認する.

問題3

32歳の生来健康な女性が,1カ月前から食後の膨満感,悪心・嘔吐を自覚したため来院した.食後10~20分後の嘔吐を1日2回認める.食後の悪心により食欲不振となり,体重が5 kg減少した.手術の既往はなく,身体所見にも異常はなかった.考えられる疾患はどれか.

A
腸閉塞
B
急性胃腸炎
C
逆流性食道炎
D
心因性嘔吐
E
摂食障害

問題4

吃逆反射の反射弓に含まれていることが証明されていないものはどれか.

A
鼻咽頭背側上部粘膜
B
舌咽神経咽頭枝
C
延髄疑核近傍網様体
D
反回神経
E
交感神経

問題5

22歳男性.健康診断でビリルビン高値を指摘されて受診.これまで特に既往なく,肝障害を指摘されたこともない.身長173 cm,体重55 kg.過去にも肥満歴なし.飲酒習慣は機会飲酒で,喫煙習慣はなし.常用薬もない.健康診断での採血結果はAlb 4.1 mg/dL,AST 19 IU/mL,ALT 13 IU/mL,T-Bil 3.1 mg/dL,PT-INR 1.00.ほかの採血項目も総ビリルビン以外では異常を認めなかった.行う必要がまったくない検査はどれか.

A
血算
B
AST,ALTなどの肝機能検査の再検
C
肝生検
D
尿検査
E
遺伝子検査

問題6

59歳男性.B型肝硬変にて外来通院中.もともと腹水貯留を認めていたが,さらに腹満感が増強.2日前からは39℃の発熱と腹痛を認めた.腹部全体に腹膜刺激症状が認められ,腹腔穿刺を試行したところ,腹水細胞数2,000/μL,単核球15%,好中球85%であった.また,腹水中の蛋白0.9 g/dL,アルブミン0.5 g/dL,糖148 mg/dL,LDH 54 IU/L,血清アルブミン値2.2 g/dLであった.初期治療として適切なものを2つ選べ.

A
セフォタキシム投与
B
アンピシリン投与
C
バンコマイシン投与
D
アルブミン投与
E
抗結核薬投与

問題7

以下のうち,誤っているのはどれか.

A
味覚障害の原因として薬剤性が重要である.
B
片側性味覚障害には特に重篤な疾患が含まれる.
C
血清亜鉛値は日内変動がある.
D
血清亜鉛値と血清銅値は拮抗関係にある.
E
胃切除1年後にビタミンB12欠乏による味覚障害が発現する.

問題8

食道アカラシアの治療として,誤っているのはどれか.

A
Heller-Dor筋層切開術
B
経口内視鏡的筋層切開術(POEM)
C
Ca拮抗薬投与
D
Toupet噴門形成術
E
内視鏡的バルーン拡張術

問題9

咽喉頭異常感症の原因として多いものを2つ選べ.

A
中咽頭癌
B
喉頭アレルギー
C
胃食道逆流症/咽喉頭逆流症
D
下咽頭癌
E
精神疾患

問題10

胸痛を訴えて受診した患者で,循環器系・呼吸器系疾患の可能性が否定された場合に行うべき検査を2つ選べ.

A
頭部CT
B
下部消化管内視鏡検査
C
上部消化管内視鏡検査
D
超音波内視鏡検査
E
食道バリウム造影検査

問題11

54歳の男性.身長170 cm,体重85 kg.胸骨後部が焼けるような,つらい感じが3カ月前から出現したため来院.カレーやかつ丼を食べた時や,アルコールを飲み過ぎた時によく起こる.体重減少はない.身体所見では貧血や腹部腫瘤を認めない.まず行うべき治療はどれか.

A
生活習慣改善
B
ヒスタミンH2受容体拮抗薬投与
C
プロトンポンプ阻害薬投与
D
抗不安薬投与
E
消化管運動機能改善薬投与

問題12

胃排出遅延を起こす疾患を2つ選べ.

A
糖尿病
B
Crohn病
C
機能性ディスペプシア(FD)
D
食道癌
E
胆石症

問題13

強い上腹部痛で救急搬送された患者が,痛みのために腹部CT撮影で静止することも困難な状態である.急性膵炎を鑑別診断として鎮痛薬を指示する際,不適切なものを2つ選択せよ.

A
モルヒネ(静注)
B
フェンタニル(静注)
C
ブプレノルフェン(静注)
D
ペンタゾシン(筋注)
E
ジクロフェナック(坐薬)

問題14

次のうち,誤っているものを2つ選べ.

A
高齢者の急性腹症は重症化しやすく,発症早期から腹膜刺激症状が強く現れる.
B
閉鎖孔ヘルニアは痩せ型の高齢女性で経産婦に多い.
C
急性腸管膜虚血のリスクファクターには高齢,動脈硬化,虚血性心疾患,心房細動,弁膜症,透析などがある.
D
急性腸管膜虚血は致死率の高い疾患で,発症早期から腹膜刺激症状が強く現れる.
E
虚血性腸炎は動脈硬化のある高齢女性に多いが,若年者での発症も増えている.

問題15

慢性上腹部痛の診断において,正しい記載はどれか.

A
体重減少,出血,腹部腫瘤などアラームサインがなければ進行癌などの器質性疾患の可能性はほとんどない.
B
血液検査で腫瘍マーカーの測定は診断において重要である.
C
慢性上腹部痛の原因となる疾患のなかで,胃・十二指腸潰瘍の有病率が最も高い.
D
食事と腹痛との時間関係は鑑別診断を行ううえで重要であるが,食事の内容はあまり重要ではない.
E
機能性ディスペプシアの治療には抗うつ薬が有用なことがある.

問題16

21歳女性,3カ月ほど前より持続する下腹部痛,下痢を主訴に受診した.精査のため施行した下部消化管内視鏡検査で,下行結腸に縦走潰瘍,回腸末端部に敷石状所見を認め,回腸末端部からの生検で非乾酪性肉芽腫を認めた.この症例の検査所見として可能性の低いものはどれか.

A
白血球(WBC)12,700/μL
B
ヘモグロビン(Hb)8.4 g/dL
C
癌胎児性抗原(CEA)40 ng/mL
D
C反応性蛋白(CRP)3.8 mg/dL
E
アルブミン(Alb)2.9 g/dL

問題17

吐血に関して,誤っているものはどれか.

A
通常,吐血はTreitz靱帯より口側の消化管である食道・胃・十二指腸などの上部消化管に由来する出血を示唆する.
B
喀血は咳嗽などの呼吸器症状を伴い,泡沫が混じる鮮血であることから鑑別できることが多い.
C
Dieulafoy潰瘍からの出血は,良性の胃潰瘍であるため内視鏡再検は不要である.
D
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬物は,急性胃粘膜病変(AGML)の原因になる.
E
吐血の患者の診察ではまずバイタルサインを安定させ,その後速やかに上部消化管内視鏡検査を行う.

問題18

メレナ(melena)にならない病態を2つ選べ.

A
胃潰瘍
B
鉄剤内服
C
上行結腸癌
D
食道静脈瘤
E
痔核

問題19

高齢者に好発し,腹痛を伴わない鮮血便の原因疾患はどれか.

A
Meckel憩室
B
虚血性大腸炎
C
急性出血性直腸潰瘍
D
動静脈奇形
E
Crohn病

問題20

55歳の女性が健康診断目的の上部消化管内視鏡検査を受け,萎縮性胃炎と診断された.同時に行われた血液検査でHelicobacter pylori (HP)抗体陽性であった.後日,近医を受診し,ランソプラゾール,アモキシシリン,クラリスロマイシン3剤によるHP感染に対する除菌療法を受けた.内服初日から腹痛と血性下痢があり,内服は初日で中止された.外来にて行われた便中Clostridium difficile (CD)トキシン(AまたはB),便中CD抗原は陰性であった.以下のうち,正しいものはどれか.

A
本症例の急性下痢の原因として,アモキシシリンの可能性は低い.
B
本症例の急性下痢の原因として,クラリスロマイシンの可能性はない.
C
本症例においては発症後2日目の便中CDトキシン(AおよびB)が陰性だったため,CDは原因菌として否定できる.
D
大腸内視鏡検査を行い偽膜が確認された場合,CD感染を疑う.
E
CD感染の診断法としてCDトキシンはCD抗原より感度が高い.

問題21

過敏性腸症候群(IBS)について,以下のうち誤っているのはどれか.

A
IBSでは下痢,便秘,腹鳴がみられる.
B
IBSでは著明な体重減少がみられる.
C
下痢型IBSでは5-HT3受容体拮抗薬を用いることがある.
D
急性胃腸炎はIBSの成因となりうる.
E
腹痛を伴わない下痢はIBSに分類されない.

問題22

80代男性.生来便通障害はなく,ほぼ毎日の排便があった.60代で定年退職した後より,週1~2回に便回数が減少し,また硬便による排便困難のため,浸透圧性下剤と刺激性下剤の内服が開始された.しかし,便通は改善せず,Mg製剤1.2 gとピコスルファート30滴,セチロ®複合錠(ダイオウ,センナ)9錠を連日内服するも,週2回程度の硬便の排便にとどまり,排便に対する不安からうつ状態・不穏となり来院した.1年以内の前医での大腸内視鏡では異常所見なく,採血でも異常は指摘されていない.仰臥位の腹部単純X線写真を以下に供覧する.

写真は本誌をご覧ください

今後の対応について,適切なものはどれか.

A
浣腸を連日施行して排便習慣を回復する.
B
刺激性下剤を増量し,便性状・回数の改善を図る.
C
ルビプロストンや浸透圧性下剤を活用して,刺激性下剤の減量・休薬を目指す.
D
食物繊維や膨張性下剤を追加する.
E
Mg製剤を増やして便性状を改善する.

問題23

便失禁の治療に使用される薬剤として,誤っているものを2つ選べ.

A
ルビプロストン
B
コハク酸ソリフェナシン
C
ロペラミド塩酸塩
D
ポリカルボフィルカルシウム
E
ラモセトロン塩酸塩

問題24

腸切除を検討すべきでない病態を2つ選べ.

A
小腸内細菌異常増殖症(SIBO)
B
難治性の巨大結腸症
C
S状結腸軸捻転症
D
慢性偽性腸閉塞症(CIPO)
E
絞扼性イレウス

問題25

以下のうち,正しい記載を2つ選べ.

A
肛門出血が赤ければ,痔核や裂肛からの出血と考えてよい.
B
長年,排便時に痔核脱出(脱肛)を認めるが,手術に伴う疼痛を懸念して,痔疾患軟膏で保存的治療を継続している.
C
10年以上排膿を繰り返す複雑痔瘻症例は痔瘻癌を考慮する必要がある.
D
Crohn病は肛門病変で初発することがある.
E
温水洗浄式便座は肛門を清潔にするので,しっかり洗浄するのが良い.

問題26

皮膚筋炎で悪性腫瘍の合併が高頻度なのは,どの抗体が陽性の場合か.

A
抗ARS抗体
B
抗MDS抗体
C
抗TIF1-γ抗体
D
抗Mi-2抗体
E
抗Jo-1抗体

(解答は本誌掲載)