HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 54巻3号(2017年3月号) 特集の理解を深めるための28題
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特集の理解を深めるための28題


問題1

不整脈診療について正しいのはどれか.2つ選べ.

A
不整脈の問診(アネムネ)は不正確であり有用な情報とならない.
B
不整脈の症状は息切れや易疲労感など特異的でないものにも留意する必要がある.
C
無症候性不整脈は治療の必要性は低い.
D
失神の初診時はてんかんを最も疑うべきである.
E
問診は治療効果の判定にも有用である.

問題2

78歳男性.地下鉄の階段を上った直後に倒れたところを,近くにいた人が見ていて救急要請した.呼びかけで意識はすぐに改善し,四肢の麻痺はなく,神経学的症状もない.本人は倒れる少し前,「少し胸が重い感じがした気もする」と言っていた.倒れたことは今までない.救急車で受診した.今までまったく病院にはかかっていなかった.健康診断もしばらく受けていない.
来院時身体所見:血圧104/62 mmHg,脈拍78/分,不整.意識レベルはクリア.
既往歴:虫垂炎(20代).
心電図所見:洞調律,前胸部誘導R波増高不良,1~2連の心室性期外収縮散発.
対応として正しいのはどれか.1つ選べ.

A
脳疾患を疑い脳CT施行.
B
心電図は心室性期外収縮のみで現在症状ないため帰宅.
C
心原性の可能性を考え経過観察入院.
D
神経調節性失神を疑い臥位と立位で血圧測定.
E
心電図にて心室性期外収縮が認められるため抗不整脈薬投与.

問題3

月に1回ほどの稀な発作頻度の不整脈の検査として,外来で行うことができる非侵襲的なものはどれか.1つ選べ.

A
最大72時間Holter心電図
B
最大48時間12誘導Holter心電図
C
10日間Holter心電図
D
イベントトリガー
E
植込み型ループレコーダー(ILR)

問題4

専門医への紹介が望ましいのはどれか.

A
動悸を自覚した直後に目の前が暗くなり気が遠くなったが,受診時は心電図,血液検査でも特に異常所見を認めない.
B
健康診断でBrugada型心電図を指摘された.過去に失神を3回経験している.父親が42歳で突然死している.
C
月に1~2回突然始まり突然停止する動悸発作があり,長いときは6時間くらい持続する.めまいや失神はない.
D
労作時の胸部圧迫感を自覚し頻度が増加してきている.心電図で心房細動を認めたがST部分は異常なし.Holter心電図ではレートコントロールも良好で心不全所見もない.
E
5年前に心筋梗塞の既往あり.動悸を主訴に受診.心電図で幅広いQRSの頻拍(心拍数140/分)を認めたが,心電図記録中に自然停止した.血圧は正常で意識消失もない.

問題5

徐脈をきたす薬剤でないのはどれか.2つ選べ.

A
ジゴキシン
B
カルシウム拮抗薬
C
リトドリン塩酸塩
D
β遮断薬
E
テオフィリン

問題6

ペースメーカー植込みの最も良い適応はどれか.1つ選べ.

A
持続性心室頻拍を認める症例
B
心不全を伴う第1度房室ブロック
C
症状のない洞房ブロックや洞停止
D
就寝時に著明な徐脈や長時間の心室停止を示すもの
E
徐脈による明らかな臨床症状を有する高度房室ブロック

問題7

体外式ペースメーカーの適応とならないのはどれか.2つ選べ.

A
ふらつきで受診した80代女性.モニターで40/分の洞性徐脈.
B
転倒して受診.心電図で60/分の洞調律,右脚ブロック.
C
定期外来の心電図で無症状の完全房室ブロック.
D
急性心筋梗塞患者の左冠動脈形成術.
E
ふらつきで受診した70代男性.心電図で心房細動,脈拍は35/分.

問題8

房室ブロック患者に一般的に選択されるペースメーカーのモードはどれか.2つ選べ.

A
DDD
B
DDI
C
AAI
D
VVI
E
VDD

問題9

現在使用できるリードレスペースメーカーのモードはどれか.1つ選べ.

A
VVI
B
DDD
C
AAI
D
DOO
E
VDD

問題10

検診の心電図検査でWolff-Parkinson-White(WPW)症候群を指摘されている54歳男性.飲酒後に休んでいると突然の動悸を自覚し救急車を要請した.救急隊到着時は意識清明,血圧100/64 mmHg,心電図モニター上の心拍数は200/分で,QRS幅がさまざまで不規則な頻拍であった.「3年前からときどき短時間の動悸を自覚しているが,これほど続いたことはなく,いつもより動悸が強い」と言う.
この患者の対応として適切なのはどれか.2つ選べ.

A
病院到着後,初めにすることは既往歴や病歴をしっかり聞くことである.
B
今回の不整脈はWPW症候群による房室回帰性頻拍が考えられる.
C
ベラパミルを静注して頻拍が停止するかをみる.
D
いつでもカルディオバージョンできるように準備する.
E
Class Ⅰaの抗不整脈薬を使用する.

問題11

12誘導心電図上で心室頻拍を強く疑う所見はどれか.1つ選べ.

A
心拍数80/分
B
房室ブロック
C
肺性P波
D
頻拍中の房室解離
E
右脚ブロック

問題12

高周波カテーテルアブレーションについて正しいのはどれか.2つ選べ.

A
500 kHzの交流電流が用いられる.
B
電極─心筋接触面のインピーダンス低下は心筋温度上昇を反映する.
C
心筋深部はジュール熱により加熱される.
D
通電中の電極内温度は電極─心筋接触面温度より高値である.
E
イリゲーションカテーテルアブレーションは温度コントロールで行われる.

問題13

70代男性.繰り返す動悸にて精査加療を希望され受診した.頻回に繰り返す発作性頻拍がHolter心電図上ドキュメントされた.初診時の12誘導心電図でも頻拍が確認された(図).2拍目以降が心房頻拍で,頻拍の周期はやや不整で非リエントリー性頻拍が疑われた.頻拍の起源として最も疑われるのはどれか.

写真は本誌をご覧ください

 12誘導心電図所見

A
右心耳
B
左上肺静脈
C
冠状静脈洞遠位部
D
心房中隔
E
左心耳

問題14

慢性心房細動のレートコントロールに用いられる薬剤はどれか.2つ選べ.

A
ビソプロロール
B
フレカイニド
C
ベプリジル
D
ジルチアゼム
E
ATP

問題15

37歳男性.以前から健診では心電図異常を指摘されていた.3時間続く動悸のため来院した.来院時,意識は清明で,血圧は124/70 mmHgであった.心電図を示す(図).まず行う治療として正しいのはどれか.2つ選べ.

写真は本誌をご覧ください

 12誘導心電図所見

A
フレカイニド投与
B
ベラパミル投与
C
ジゴキシン投与
D
同期下カルディオバージョン
E
ピルジカイニド投与

問題16

房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)について正しいのはどれか.2つ選べ.

A
中年男性に多い.
B
突然始まり突然停止する動悸発作が特徴的である.
C
通常型AVNRTはfast/slow型AVNRTである.
D
12誘導心電図上,通常型AVNRTの逆行性P波は下壁誘導またはⅤ1誘導のQRS直後に認める.
E
通常型AVNRTのカテーテルアブレーションでは速伝導路に対し通電を行う.

問題17

心房頻拍症例において診断的治療の側面で最も有用な処置はどれか.

A
電気的除細動
B
β遮断薬投与
C
Ⅰ群抗不整脈投与
D
Valsalva手技
E
アミオダロン投与

問題18

心房粗動の治療について正しいのはどれか.1つ選べ.

A
停止薬として心房不応期を短縮させるナトリウムチャネル遮断薬が有効である.
B
カテーテルアブレーションでの根治が難しい不整脈である.
C
心房粗動では血栓塞栓症のリスクはきわめて低く,停止時に抗凝固療法は不要である.
D
心拍数コントロールにはβ遮断薬や非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬が使用される.
E
通常型心房粗動は僧帽弁輪を旋回するリエントリーが機序である.

問題19

心房細動について正しいのはどれか.1つ選べ.

A
上室性の不整脈は予後と関係しないため,症状がない心房細動は放置してよい.
B
初発の心房細動では,甲状腺機能亢進症,睡眠時無呼吸症候群および弁膜症などの原因となりうる疾患を検索する必要がある.
C
心房細動アブレーションは複数の抗不整脈薬でも効果がない場合にのみ適応がある.
D
心機能低下を認める症例では心房細動アブレーションの再発率が高く,カテーテルアブレーションの適応とはならない.
E
肺静脈隔離が確実にできれば必ず治る.

問題20

心房細動の抗凝固療法について正しいのはどれか.2つ選べ.

A
発作性心房細動は持続性心房細動に比べ塞栓症のリスクが低く,抗凝固療法は不要である.
B
60歳女性.僧帽弁逆流症に対して機械弁による弁置換術後であり,ワルファリンをPT-INR 2.0~3.0でコントロールしている.
C
81歳女性.体重40 kg,Cr 0.5 mg/dL.脳梗塞の既往があり持続性心房細動に対する抗凝固療法を開始したい.アピキサバン1回2.5 mg 1日2回で処方した.
D
53歳男性.体重70 kg,Cr 0.8 mg/dL.糖尿病と高血圧で投薬加療中であり,発作性心房細動に対する抗凝固療法を行うこととなった.1日1回の内服を希望されたためリバーロキサバン10 mg 1日1回を処方した.
E
非弁膜症性心房細動に対する抗凝固療法の開始基準はCHADS2スコア2点以上である.

問題21

次の心電図から心室性期外収縮の発生部位を答えなさい.

写真は本誌をご覧ください

 12誘導心電図所見

A
左室下壁
B
僧帽弁輪
C
右室流出路
D
三尖弁輪
E
左室中隔

問題22

血行動態が不安定な心室頻拍,心室細動に対する治療として優先順位の低い治療はどれか.2つ選べ.

A
除細動
B
アミオダロン静脈内投与
C
同期下カルディオバージョン
D
胸骨圧迫
E
経皮ペーシング

問題23

60代男性.虚血性心筋症で低心機能(EF 20%).持続性心室頻拍に対して5年前にICDが植込みされている.心不全で年2~3回の入退院を繰り返し,慢性腎臓病(Cr 2.5 mg/dL)がある.1年ほど前にICD作動を認め,アミオダロン維持量200 mgで服用している.その後もICD作動(抗頻拍ペーシング)を認めている.今回,息切れを主訴に予定外に来院した.診察上,頸静脈の怒張および下腿浮腫は認められないが,両肺野に捻髪音を聴取した.
この患者への対応として適切なのはどれか.2つ選べ.

A
胸部X線,採血などの検査を行う.
B
アミオダロンを400 mgに増量する.
C
アミオダロンを100 mgに減量する.
D
アミオダロンをソタロール320 mgに変更する.
E
アミオダロンを中止する.

問題24

次の疾患に併発する心室頻拍のカテーテルアブレーション治療において,最も治療成功率が高い基礎心疾患はどれか.

A
拡張型心筋症
B
肥大型心筋症
C
陳旧性心筋梗塞
D
心アミロイドーシス
E
心サルコイドーシス

問題25

Brugada症候群で正しいのはどれか.1つ選べ.

A
SCA5A の遺伝子異常が80%以上で認められ診断に有用である.
B
通常の12誘導心電図でcoved型心電図が記録されなければBrugada症候群は否定される.
C
イソプロテレノールはβ受容体に作用しBrugada症候群を悪化させる.
D
Brugada症候群患者では発熱時に発作の危険性が高まる.
E
突然死の家族歴を有する場合,死亡時の年齢は診断に関係がない.

問題26

50歳男性.肥大型心筋症の診断を受けている.4年前にICDを植込んだが,このたび初めてショックを2回続けて自覚し受診した.ICDのチェックでショックリードの抵抗値が異常高値を示し,ノイズが混入して心室細動(VF)と認識し,ショック治療が行われていたことが判明した.
このときの適切な判断・対応はどれか.2つ選べ.

A
ショック作動は不適切作動である.
B
抗頻拍ペーシング(ATP)を有効に活用することでショックは回避できる.
C
ショックリードの交換が必要である.
D
除細動閾値が上昇したことが問題である.
E
ノイズは上大静脈コイルが原因である.

問題27

完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)の適応とならないのはどれか.2つ選べ.

A
メーカーに指定された方法での心電図スクリーニングから逸脱した患者
B
Brugada症候群
C
三尖弁閉鎖不全症
D
完全房室ブロック
E
QT延長症候群

問題28

遠隔モニタリングで不可能なことはどれか.1つ選べ.

A
電池残量の確認
B
リード異常の確認
C
本体設定の変更
D
不整脈イベントの確認
E
患者活動度の確認

(解答は本誌掲載)