HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧48巻4号(2011年4月号) 今月の主題「理解のための23題」
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今月の主題

「理解のための23題」


問題1

救急疾患の画像診断において正しいのはどれか.1つ選べ.

A:急性大動脈解離が懸念される状況下において,胸部単純X線写真で異常所見がなければ,必ずしもCTは行わなくてもよい.
B:肺塞栓症の診断に際してCTを行う場合,単純CTは行う必要はない.
C:急性大動脈解離の診断に際してCTを行う場合,単純CTで異常所見が明らかでなければ,造影CTは行わなくてもよい.
D:くも膜下出血が懸念される状況下において,頭部単純CTで異常所見が明らかでなければ,次のステップとしてくも膜下出血以外の疾患を検索しにいくべきである.
E:肺炎の起炎菌同定に胸部単純CTは有用である.


問題2

心不全の診断に有用性の低いものを1つ選べ.

A:体重変化
B:III音の有無
C:胸部X線写真
D:呼吸機能検査
E:脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)


問題3

PAU(penetrating atherosclerotic ulcer)が見られやすい部位はどこか.1つ選べ.

A:上行大動脈
B:胸部下行大動脈
C:総頸動脈
D:総腸骨動脈
E:浅大腿動脈


問題4

冠動脈CTの適応でないものを1つ選べ.

A:年齢>75歳
B:血圧>160/90
C:心房細動
D:原因不明の胸痛
E:アレルギー体質


問題5

rt-PA静注療法が禁忌でない項目はどれか.1つ選べ.

A:頭部CTでの広汎な皮髄境界の不明瞭化
B:頭部CTでのhyperdense MCA sign
C:MRAで脳動脈瘤の存在
D:頭蓋内出血の既往
E:ワルファリン内服中でPT-INRが1.9


問題6

脳梗塞とDWIについて正しいものを1つ選べ.

A:DWIは細胞毒性浮腫を検出している.
B:DWIが陰性であれば脳梗塞は除外できる.
C:DWIは脳梗塞慢性期にも陽性になることがある.
D:DWIは脳梗塞でのみ異常を示す.
E:TIAは入院させなくてもよい.


問題7

36歳,女性.特記すべき既往歴なし.仕事中,振り向いた直後に後頭部がズーンと重くなり,遅れて前頭部痛が出現したため来院した.血圧150/80 mmHg.項部硬直含め,神経学的異常所見なし.頭部CT(図1)を示す.次に行うべきではない処置はどれか.2つ選べ.

A:血圧コントロール
B:自宅での安静
C:頭部MRI, MRA
D:NSAIDの投与のみ
E:脳血管造影(DSAまたは3D-CTA)


問題8

60代男性.既往に左側頭葉脳挫傷.朝から言動がおかしいと,家族が付き添い救急外来受診.待合室で痙攣発作を起こし,診察室に運びこまれた.待合室で計測した体温は36.4℃.
次の記載から正しいものを1つ選べ.

A:まず頭部CTを撮影し,その結果を見てから診察や採血検査を行うこととした.
B:発熱がないため,中枢神経感染症は否定的で,髄液検査は行う必要がないと考えた.
C:MRI拡散強調像にて右島皮質,側頭葉内側,海馬,帯状回に高信号あり.右中大脳動脈領域の脳梗塞と診断した.
D:MRI拡散強調像で左側頭葉内側に高信号を認め,症候性痙攣による画像変化と判断.抗てんかん薬投与で経過をみた.
E:髄液細胞数は軽度の上昇で,頭部CTは正常.MRI撮像は翌日までできないが,当日から抗ウイルス薬の投与を開始した.


問題9

CT上,複雑性イレウスを疑う所見として適していないのはどれか.1つ選べ.

A:腸間膜脈管の渦巻き状の構造
B:腸管径が鳥のくちばしのように狭小化
C:胆管内のガス
D:腸管壁の造影不良
E:門脈内のガス


問題10

フリーエアーをきたした下記の疾患のうち,保存的加療を試みてもよいと考えられるものを2つ選べ.

A:上部消化管穿孔
B:腹部全体の痛みを訴える下部消化管穿孔
C:腸管様嚢腫気腫症
D:穿孔性胆嚢炎
E:汎発性腹膜炎


問題11

急性膵炎におけるCTでの対応として誤っているのはどれか.1つ選べ.

A:重症度判定では造影CTが必要である.
B:炎症の膵外進展が結腸間膜根部に及ぶ場合には1点である.
C:CT grade 2以上は重症膵炎である.
D:予後因子スコア,CT gradeともに重症である症例の死亡率は約30%である.
E:CTによる重症度判定は炎症の波及が確定した発症48時間以降にのみ行う.


問題12

腸管血流障害をきたす以下の疾患のうち,正しい文章はどれか. (1) SMA塞栓症の診断には造影CTが有用である. (2) SMV血栓症は,SMVの径がSMAのそれよりも小さくなることが多い. (3) SMA血栓症は,SMA分岐から近位で生じることが多い. (4) NOMI(非閉塞性腸管虚血症)では造影CTを行えば診断は容易である.

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


問題13

急性胆管炎の診断基準の項目に含まれていない項目はどれか.1つ選べ.

A:画像診断における胆管拡張所見
B:画像診断における胆管狭窄所見
C:腹痛
D:発熱
E:sonographic Murphy sign


問題14

感染が起こっている臓器と,その臓器に感染しやすい微生物の組み合わせとして正しいものは次のうちどれか.1つ選べ.

A:肺――Escherichia coli
B:尿路――Streptococcus pneumoniae
C:髄膜――Haemophilus influenzae
D:皮膚・軟部組織――Enterococcus faecalis
E:胆道――Streptococcus pyogenes


問題15

24歳,MSM(Men who have Sex with Men:男性と性的接触を持つ男性).半年で5 kgの体重減少,3カ月前からの軟便を認める.2週間前からなんとなく階段昇降時に息切れを感じるようになり受診した.咳・痰は出ない.体温37.5℃,SpO2 94%(安静室内気),呼吸数22/分.聴診ではcracklesを認めない.また胸部X線ははっきりした陰影を認めない.
この患者で次に行いたい検査はどれか.(複数回答可)

A:HIV抗体検査
B:胸部CT
C:血清β-D glucan測定
D:血清D-dimer測定
E:心エコー検査


問題16

患者が膝の痛みを訴えて受診した場合の診療で,適切でないものを1つ選べ.

A:外傷の有無について問診した.
B:急性痛か慢性痛か問診した.
C:片側性か両側性か問診した.
D:原因検索のために膝関節穿刺を施行した.
E:X線で異常を認めなかったので,骨折はないと説明した.


問題17

解剖学的嗅ぎタバコ入れの圧痛があるがX線にて舟状骨の骨折線がはっきりしない場合の説明で最も適するものは何か.1つ選べ.

A:靱帯損傷
B:潜在性の舟状骨折の可能性
C:神経損傷
D:他の手根骨の骨折
E:血管損傷


問題18

82歳の独居老人女性が自宅で電線コードにつまづき,転倒して受傷.頭部は打っていないが,右股関節を痛がっている.身体所見では,右股関節に圧痛を認めるほか,下肢の短縮や外転なく,足背動脈は左右対称に触知,運動・感覚機能はおおまかに異常を認めなかった.鎮痛剤投与後も痛みのため歩行困難だが,股関節の単純X線では明らかな骨折・脱臼なし.以下の選択肢がすべてある条件下では,この患者で次にすべきことは何か.1つ選べ.

A:痛み止めを処方し,松葉杖を持たせて退院させる
B:股関節・大腿骨近位部のCTスキャン撮影
C:同部の骨スキャンを撮影
D:同部MRIを撮影


問題19

小児の軽症頭部外傷において頭蓋内病変の可能性をより強く示唆する所見を2つ選べ.

A:頭痛
B:嘔吐
C:意識の変容
D:頭蓋骨骨折
E:重度の受傷機転


問題20

頸椎の外傷で正しいのはどれか.1つ選べ.

A:頸椎骨折の感度は,CTとX線で同程度.
B:頸椎X線は頸椎に圧痛がなくても他部位に劇痛があれば撮影すべきである.
C:頸椎X線は正面,側面の2方向が基本.
D:MRIは脊髄損傷と骨折に高い診断感度を持つので,CTの価値はほとんどなくなった.
E:頸髄損傷のショックは,末梢が締まるため,四肢が冷たくなる.


問題21

ヨード造影剤検査を行う患者に対して,造影剤腎症を予防する目的で行うべきでない行為はどれか.1つ選べ.

A:生理食塩水による補液
B:N-アセチルシステインの内服
C:ループ利尿薬投与による検査前からの利尿促進
D:検査前に腎機能を評価する
E:NSAIDs内服を検査前日から中止する


問題22

下大静脈径に影響を及ぼしにくい要因はどれか.1つ選べ.

A:心周期
B:呼吸周期
C:体位
D:体表面積
E:三尖弁閉鎖不全症


問題23

次のうち正しいのはどれか.1つ選べ.

A:超音波ガイド下穿刺法の適応患者は,ランドマーク法では穿刺困難な解剖学的異常症例のみである.
B:穿刺部位を捜すには初心者には長軸アプローチがお勧めである.
C:超音波の画像上に見えている輝度の高い点が針先とは限らない.
D:穿刺時には胸鎖乳突筋を貫いたほうが針が安定するので良い.
E:プローベと針の角度は60度が最適である.


(解答は本誌掲載)