HOME雑 誌medicina誌面サンプル 44巻7号(2007年7月号) > 今月の主題「理解のための28題」

今月の主題

「理解のための28題」


問題01

日本における睡眠に関する疫学についての記述で,誤っているものはどれか。1つ選べ。

A:入眠障害の有症率は,年齢による有意差は認められない。
B:中途覚醒,早朝覚醒の有症率は,高齢者が有意に高い。
C:日中の過剰な眠気の有症率は,若年者が有意に高い。
D:成人にみられる不眠と有意に関連している要因として,「朝食を抜く」,「飲酒習慣がある」,「喫煙習慣がある」が挙げられる。
E:不眠の対処法として,一般的に睡眠薬使用よりも寝酒を用いる人が多い。


問題02

現在睡眠障害の研究に当たってもっともよく用いられている国際的診断分類はどれか。1つ選べ。

A:DSM-III
B:DSM-IV
C:ICD-10
D:ICSD-1
E:ICSD-2


問題03

不眠を訴える患者について正しいものはどれか,2つ選べ。

A:若年者ほどストレスを感じる人が多いため,不眠の訴えも多い。
B:不眠を訴える患者は,その他の心身の不定愁訴をもっていることが多い。
C:不眠はストレスと関連して起こるが,身体的疾患とは関連しない。
D:睡眠時無呼吸症候群で不眠がみられることはない。
E:不眠の訴えの背景にうつ病が隠れていることがある。


問題04

過眠,過眠症について正しいもの2つを選べ。

A:過眠症では夜間の睡眠時間が延長している。
B:うつ病は昼間の過眠をきたす原因疾患の1つである。
C:ナルコレプシーの眠気は1時間以上持続する。
D:睡眠時無呼吸症候群において,夜間睡眠は分断化されている。
E:むずむず脚症候群では夜間せん妄をきたす。


問題05

睡眠相後退症候群について正しいのはどれか。1つ選べ。

A:50~60歳代に発症することが多い。
B:有病率は5%前後である。
C:非24時間睡眠覚醒症候群よりも多い。
D:休日は早い時刻に覚醒できる。
E:睡眠時間は短い傾向がある。


問題06

1週間前より,寝床から起き上がって部屋を歩き回るエピソードが2回認められた8歳児が,家族と受診した。初診時の対処として正しいものを1つ選べ。

A:症状が現れたら,まず起こして目を覚まさせるよう,親に指示する。
B:症状の頻度は今後増加するので,早期に鑑別のための終夜睡眠ポリグラフィを施行する。
C:外傷を防ぐため,寝室から危険なものを取り除いたり,外に出ないよう施錠などの対策をとるよう説明する。
D:クロミプラミンを眠前で投与開始する。
E:原因に精神的背景があるので,精神療法を開始する。


問題07

一般内科医が睡眠呼吸障害の疑われる患者を診察するうえで,最も評価が困難なものはどれか,1つ選べ。

A:中咽頭の幅
B:中咽頭の高さ
C:中咽頭の奥行
D:頸部周囲径
E:顎顔面形態


問題08

エプワース眠気尺度(ESS)について正しいものを1つ選べ。

A:主観的眠気尺度であり,14点以上で過眠と判断する。
B:MSLTやMWTとはかなりよく相関する。
C:睡眠時無呼吸症候群の眠気判定のために特異的に作成された。
D:CPAP治療でESS点数は改善する。
E:眠気のない健常人で点数のばらつきは少ない。


問題09

次の記述から正しいものを2つ選べ。

A:終夜ポリソムノグラフィ(polysomnography:PSG)は,脳波,眼球運動,オトガイ筋筋電図を基本とする検査法である。
B:AHI(無呼吸低呼吸指数)は寝ている体位とは関係せず,一定の値をとるため,特にPSG検査時の体位の変動は考慮しなくてもよい。
C:MSLTは,覚醒維持能力をみる検査であり,ナルコレプシーの治療効果判定に適している。
D:PSGを行う際はあらかじめ内服中の薬剤の確認が必要である。
E:MWTは夜間行う検査である。


問題10

睡眠呼吸障害の病態,検査結果の解釈についての記述で正しいのはどれか。1つ選べ。

A:無呼吸・低呼吸は睡眠分断の原因になる。
B:酸素飽和度低下を伴わない無呼吸・低呼吸は無害である。
C:睡眠時無呼吸症候群で認められる酸素飽和度の変化は持続性低酸素血症である。
D:眠気があっても携帯型モニタで無呼吸が認められなければ,睡眠呼吸障害は否定できる。
E:やせ型の人では無呼吸に伴う酸素飽和度の低下が顕著に現れる。


問題11

睡眠薬の使い方として正しいものはどれか。1つ選べ。

A:日本で現在一般的に使用されている睡眠薬はバルビツール酸系睡眠薬である。
B:ベンゾジアゼピン系睡眠薬は耐性や依存性が強いため,連日投与は控えたほうがよい。
C:睡眠薬を選択するときは,不眠の程度と睡眠薬の強度を指標として使い分けるのが望ましい。
D:高齢者において,睡眠薬を使用するときは成人の半量程度を使用する。
E:半減期の短い睡眠薬を中止するときは隔日法を主に用いる。


問題12

不眠症に対する生活指導として誤っているものはどれか。2つ選べ。

A:就床時刻と起床時刻を毎日一定にする。
B:寝床での活動を制限する。
C:眠れなくてもなるべく寝床で安静にしている。
D:朝に目覚めたら日光を浴びるようにする。
E:規則的な運動習慣を身につける。


問題13

次のうち正しいものはどれか。2つ選べ。

A:ナルコレプシーの居眠りは覚醒後に爽快感を伴わない。
B:ナルコレプシーの入眠時幻覚の治療には抗精神病薬が第一選択薬である。
C:情動脱力発作の治療には抗うつ薬が有効である。
D:睡眠不足症候群の治療には中枢神経刺激薬が第一選択薬である。
E:特発性過眠症の過眠症状は睡眠時間を延長しても改善しない。


問題14

睡眠覚醒リズムについて,誤っているものはどれか。1つ選べ。

A:睡眠覚醒リズム障害では,詳細な問診と睡眠日誌が診断に有用である。
B:一般に,ヒトの体内リズムは24時間以上である。
C:時差ぼけは外因性の概日リズム障害である。
D:睡眠覚醒リズム障害では,睡眠障害以外に症状はない。
E:メラトニンは睡眠覚醒リズム障害の治療に使用される。


問題15

次のなかから,正しいものを2つ選べ。

A:睡眠時随伴症は,ノンレム睡眠中あるいはレム睡眠中に生じる。
B:レム睡眠行動障害は,原発性と続発性の二つに分類される。
C:悪夢障害は,PTSD(外傷後ストレス障害)の部分症状であり独立した病態ではない。
D:錯乱覚醒は,レム睡眠から目覚める際に発生する。
E:レム睡眠行動障害に有効な薬はない。


問題16

次のうち正しいものを1つ選べ。

A:慢性心不全に睡眠呼吸障害が合併すると予後不良である。
B:慢性心不全に合併する閉塞型無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)はcontinuous positive airway pressure(CPAP)で治療できない。
C:慢性心不全に合併するすべての睡眠呼吸障害は薬物治療で治療可能である。
D:慢性心不全に合併するすべての睡眠呼吸障害は在宅酸素療法で治療すべきである。
E:慢性心不全に合併するすべての睡眠呼吸障害はCPAPで治療可能である。


問題17

閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の臨床症候として誤りはどれか。1つ選べ。

A:入眠障害
B:中途覚醒
C:夜間多尿
D:日中倦怠感
E:日中傾眠


問題18

閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の増悪要因として誤りはどれか。1つ選べ。

A:仰臥位
B:喫煙
C:REM睡眠
D:甲状腺機能亢進
E:左心不全


問題19

睡眠時無呼吸症候群の治療で誤っているのはどれか。1つ選べ。

A:減量
B:気管支拡張薬の吸入
C:鼻閉の治療
D:口腔内装具
E:nCPAP


問題20

睡眠呼吸障害の合併症に関する記述で,正しいものを2つ選べ。

A:高血圧を発症する原因は無呼吸時の低酸素血症にある。
B:SAS患者の睡眠時血圧は,dipper型よりnon-dipper型が多い。
C:CPAP療法により夜間の高血圧は改善するが,昼間の高血圧は改善しない。
D:メタボリックシンドロームを合併するSAS患者は非常に多い。
E:高血圧症など内科合併症を有するSAS患者に対してはまず薬物療法が優先される。


問題21

睡眠障害と消化器疾患について誤っているものはどれか。2つ選べ。

A:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者へのCPAP治療により,血漿中肝酵素の正常化する例がある。
B:睡眠時無呼吸症候群に合併した胃食道逆流では,プロトンポンプ阻害薬による治療が第一選択となる。
C:睡眠時無呼吸症候群が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を発症する機序として,肥満が大きな要素を占める。
D:睡眠時無呼吸症候群患者における消化器疾患の発症には,過度の胸腔内圧低下が一因となっている。
E:睡眠時無呼吸症候群患者の胃食道逆流(GERD)合併率は半数以上に及ぶ。


問題22

Cheyne-Stokes呼吸の発症メカニズムについて,誤りはどれか。1つ選べ。

A:炭酸ガスに対する反応性の低下
B:炭酸ガス濃度に対する閾値の上昇
C:循環時間の延長
D:肺容量の減少
E:交感神経の亢進


問題23

呼吸器疾患の睡眠障害についての記述で誤っているのはどれか。2つ選べ。

A:覚醒時に低酸素血症のないCOPDは夜間低酸素血症にならない。
B:COPDでは睡眠効率が悪い。
C:急性増悪期のCOPDの呼吸管理としてNPPVが勧められる。
D:低酸素血症はREM睡眠時よりnon-REM睡眠時に生じやすい。
E:COPDとOSASの合併例は高炭酸ガス血症をきたしやすい。


問題24

Parkinson病の睡眠障害について,誤っているものはどれか。1つ選べ。

A:むずむず脚症候群を合併し,入眠障害の原因となることがある。
B:REM睡眠行動異常症を合併することがある。
C:入眠障害よりも中途覚醒型不眠を呈することが多い。
D:睡眠時無呼吸症候群を合併した場合,治療としてレボドパが効果的である。
E:日中過眠または突発性睡眠が生じた場合,原疾患による睡眠障害以外に抗Parkinson病薬によるものを考慮する必要がある。


問題25

閉塞型睡眠時無呼吸が発症の独立因子として明らかになっている病態はどれか。1つ選べ。

A:メタボリックシンドローム
B:糖尿病
C:高コレステロール血症
D:高血圧
E:肥満症


問題26

睡眠障害と腎疾患・泌尿器症状の関連について,誤った記述を1つ選べ。

A:閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は夜間多尿や遺尿症とは関連がない。
B:OSASは勃起障害(electile dysfunction:ED)の原因となる。
C:末期腎不全患者に,むずむず脚症候群は20%以上に合併する。
D:末期腎不全患者に睡眠時無呼吸症候群は高頻度に認める。
E:末期腎不全患者は睡眠障害の訴えが多い。


問題27

睡眠時無呼吸症候群における血液学的異常に関する記述で誤りはどれか。1つ選べ。

A:睡眠時無呼吸症候群においては,炎症性疾患としての病態も呈している。
B:睡眠時無呼吸症候群の病態においては,持続的低酸素よりは間欠的低酸素血症と再灌流現象が重要な役割を果たしている。
C:睡眠時無呼吸症候群においては,血管内皮増殖因子(VEGF)は無呼吸重症度に応じて増加している。
D:重症睡眠時無呼吸症候群においては,夜間の低酸素血症だけではなく日中低酸素血症も合併していることが多い。
E:睡眠時無呼吸症候群においては,血小板の活性化や凝固系亢進は認められない。


問題28

パニック障害における睡眠障害について,誤っているものはどれか。1つ選べ。

A:米国精神医学会の診断基準(DSM-IV)には,含まれていない。
B:入眠困難や睡眠維持障害がよくみられる。
C:睡眠中にもパニック発作がみられる症例が存在し,睡眠障害が重篤化しやすい。
D:睡眠中のパニック発作では呼吸困難感を呈する割合が多い。
E:うつ病の合併,睡眠中の発作がない症例では,睡眠障害への配慮は必要ない。


(解答は本誌掲載)