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今月の主題 「理解のための34題」

●問題 1 肥満症について,正しい組み合わせはどれか。

(1) BMIが30を超えるとすべて肥満症と診断する。
(2) 肥満に胆石を伴えば,肥満症と診断する。
(3) 肥満症では血中アディポネクチンが増加する。
(4) 内臓脂肪の過剰蓄積があれば肥満症と診断する。
(5) メタボリックシンドロームは肥満症の一部と一致する病態である。

A:(1),(2)
B:(2),(3)
C:(3),(4)
D:(4),(5)
E:(1),(5)


●問題 2 日本人の肥満の動向に関する記述のうち,正しい組み合わせはどれか。

(1) 中・高年男性を中心に肥満者の急速な増加が認められている。
(2) 肥満者の増加傾向は,郡部と比べて大都市部で顕著である。
(3) 40歳代までの女性では,BMIの平均値はむしろ減少傾向にある。
(4) 国際的な肥満の基準であるBMI≧30の者は,日本人成人においても米国人の約1/3程度まで増加してきている。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 3 肥満症の生命予後を改善させる要因はどれか?

(1) 肥満度の増加
(2) 体重減少
(3) 小児期からの肥満
(4) 意識的減量

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 4 肥満について,正しい組み合わせはどれか。

(1) 内臓脂肪型肥満は腹部CTで内臓脂肪面積が95cm2以上である。
(2) 胆石症は肥満症の合併疾患に含まれる。
(3) 上半身肥満はウエスト周径が男性85cm,女性90cm以上である。
(4) 肥満はBMI25以上で判定される。
(5) 国際的に広く使用されている肥満の判定法は,標準体重法である。

A:(1),(2)
B:(2),(3)
C:(3),(4)
D:(4),(5)
E:(1),(5)


●問題 5 肥満および肥満症について,正しい組み合わせはどれか。

(1) わが国でBMI30以上の肥満者は約5%である。
(2) 女性で腹囲が86cmの場合,腹部肥満と判定される。
(3) 欧米に比べ,高度肥満の少ないわが国では肥満度よりも肥満の質が問題である。
(4) 内臓脂肪量評価のゴールデンスタンダードは,CT法による臍レベル横断面の内臓脂肪面積測定である。
(5) BMIや皮下脂肪の蓄積は冠動脈疾患の発症とよく関連する。

A:(1),(2)
B:(2),(3)
C:(3),(4)
D:(4),(5)
E:(1),(5)


●問題 6 肥満症患者診察上の留意点として,正しい組み合わせはどれか。

(1) 過食と運動不足が明らかであれば単純性肥満症と診断してよい。
(2) 内臓脂肪蓄積判定のウエスト周囲径計測値は腹部CT検査に基づいている。
(3) 単純性肥満症でも内臓脂肪蓄積型肥満では冠動脈疾患をきたす代謝異常が集積しやすい。
(4) 二次性肥満の除外がなされたら,以後単純性肥満として診療を続けてよい。
(5) 二次性肥満のなかでは,遺伝に基づく病態が最も多い。

A:(1),(2)
B:(2),(3)
C:(3),(4)
D:(4),(5)
E:(1),(5)


●問題 7 肥満に伴う健康障害に関して,正しいものはどれか。

(1) FDA(米国食品医薬局)は2006年よりの飽和脂肪酸の食品表示の義務化を決定した。
(2) 男性喫煙者は非喫煙者に比べてBMIに関係なくHDL-Cが低い。
(3) 健康的な生活習慣およびダイエットを行うとアディポネクチンを減らすことができる。
(4) 脂肪蓄積に関与する脂肪酸結合蛋白質(fatty acid binding protein:FABP)はマクロファージにも存在し動脈硬化に関与している。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 8 ヒト肥満の特徴について,正しい組み合わせはどれか

(1) ヒトの食欲は物質で駆動されるというより情動や概念に左右される。
(2) ヒト肥満の多くは認知調節系に支配された相対的過食によって生じる
(3) ヒト肥満は視床下部で働く種々の調節因子の異常をもつのが特徴である。
(4) ヒト肥満には末梢からの情報伝達機構の障害が多く認められる。
(5) ヒトでは大脳皮質連合野が発達しているため,末梢代謝による調節を凌駕しやすい。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(2),(5)
C:(1),(4),(5)
D:(2),(3),(4)
E:(3),(4),(5)


●問題 9 脂肪組織の遺伝子発現について,正しい記述を選べ。

(1) 肥満動物の脂肪組織ではアデイポネクチンや脂肪合成系酵素の遺伝子発現が低下する。
(2) ある種のサイトカインはPPARγの活性やその下流の遺伝子発現を抑制する。
(3) 脂肪組織のミトコンドリアや熱産生の増加は肥満の解消につながる可能性がある。
(4) PPARγ遺伝子が存在しなくとも脂肪組織は形成される。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 10 肥満症で低下する生体内生理活性物質はどれか。

(1) レプチン
(2) C反応蛋白
(3) 炎症性サイトカイン
(4) アディポネクチン

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 11 NCEP-ATPIIIガイドラインにおいて,メタボリックシンドロームの診断基準に取り上げられている要素はどれか。

A:喫煙
B:血清CRP濃度
C:血清総コレステロール値
D:血清アディポネクチン濃度
E:血清HDLコレステロール値

●問題 12 次のうち正しいものはどれか。

(1) 日本人の2型糖尿病で,肥満および肥満の既往のあるものは20%であり,欧米に比較して少ない。
(2) IGTから糖尿病への進展抑制には,メトホルミンなどのインスリン抵抗性改善薬はライフスタイル改善よりも有効である。
(3) インスリン抵抗性のみでは2型糖尿病は発症しない。
(4) 上半身肥満の2型糖尿病患者では,動脈硬化の危険因子が重積しやすい。
(5) インスリン分泌能の良好なIGTは,ライフスタイルの改善により正常型に戻りやすい。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(2),(5)
C:(1),(4),(5)
D:(2),(3),(4)
E:(3),(4),(5)


●問題 13 肥満による高血圧の機序として考えられるものを選べ。

(1) 食塩感受性
(2) 交感神経活性亢進
(3) 抗利尿ホルモン増加
(4) アディポネクチン増加
(5) レプチン増加

A:(1),(2),(3)
B:(1),(2),(5)
C:(1),(4),(5)
D:(2),(3),(4)
E:(3),(4),(5)


●問題 14 肥満症に合併しやすい脂質代謝異常はどれか?

(1)高TG血症 (2)低HDL-C血症 (3)レムナントの増加 (4)small dense LDLの出現

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 15 肥満に伴う高尿酸血症の管理で,誤っているものはどれか。

(1) 内臓脂肪蓄積と皮下脂肪蓄積では尿酸代謝に差がある。
(2) 肥満症例では薬物による尿酸降下療法が優先される。
(3) 肥満に伴う高尿酸血症では,動脈硬化のリスクが高まっている。
(4) 原発性痛風の例以外では薬物による尿酸降下療法のメリットはない。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 16 脂肪肝について,正しい組み合わせはどれか。

(1) 脂肪肝は一般に良性可逆的変化である。
(2) 単純性脂肪肝でもしばしば肝機能異常を伴う。
(3) 肥満症を伴う脂肪肝は治療対象である。
(4) 高度のインスリン抵抗性はすべてのNASHで観察される。
(5) 薬物療法で肝機能が正常になれば,NASHの肝病変は進行しない。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(2),(5)
C:(1),(4),(5)
D:(2),(3),(4)
E:(3),(4),(5)


●問題 17 最近の報告に基づくと,睡眠1時間当たり5回以上の睡眠時無呼吸-低呼吸を呈する人の40~69歳での頻度はどの程度か。

A:5人に1人
B:10人に1人
C:20人に1人
D:50人に1人
E:100人に1人


●問題 18 メタボリック症候群について,正しい組み合わせはどれか

(1) 代謝リスク因子への影響は肥満度よりも腹部肥満が重要である。
(2) 生活習慣の改善により,インスリン抵抗性は良くなり,耐糖能障害の改善がしやすい。
(3) 脂肪組織は脂肪酸やサイトカインを分泌しており,体内最大の内分泌組織である。
(4) メタボリック症候群で認められる脂質代謝異常にはフィブラート系薬剤を使用することが冠動脈イベントの発生を抑制する。
(5) チアゾリン系薬剤はPPARγを亢進させ,インスリン抵抗性を改善する薬剤として期待されており,心不全を伴う虚血性心疾患の良い適応である。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(2),(5)
C:(1),(4),(5)
D:(2),(3),(4)
E:(3),(4),(5)


●問題 19 脳血管障害について,正しい組み合わせはどれか。

(1) 本邦の脳血管障害は,心筋梗塞に比して死亡率が2倍,発症率が3~7倍である。
(2) 本邦の脳血管障害では,脳梗塞よりも脳出血のほうが多い。
(3) 脳梗塞急性期の高血圧は,積極的に降圧すべきである。
(4) 脳血管障害の危険因子には,高血圧,糖尿病,高脂血症,喫煙,非弁膜性心房細動などが挙げられる。
(5) 肥満は脳血管障害の明らかな危険因子とは確定していないが,その管理の重要性は増している。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(2),(5)
C:(1),(4),(5)
D:(2),(3),(4)
E:(3),(4),(5)


●問題 20 肥満と変形性関節症との関係について,正しい組み合わせはどれか。

(1) 変形性膝関節症の発症にはBMIは大きく関与しているが,X線写真上の変形性変化は多因子の関与があり,BMIとの関連は指摘されない。
(2) 変形性膝関節症の進行予防にはBMIを25未満にとどめておく必要がある。
(3) 変形性膝関節症の発症を抑えるための最低の減量目標は約5kgである。
(4) 人工膝関節置換術を行うには術前にBMIを30未満におさえる必要がある。
(5) 変形性股関節症は変形性膝関節症以上に肥満と関連が深い。

A:(1),(2)
B:(2),(3)
C:(3),(4)
D:(4),(5)
E:(1),(5)


●問題 21 肥満と月経異常について,正しいものはどれか。

(1) 最も月経周期が安定しているBMIは22~23である。
(2) 内臓脂肪型肥満のほうが皮下脂肪型肥満より月経異常の頻度が高い。
(3) 減量は月経周期と妊孕力の回復に無効である。
(4) PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)はインスリン抵抗性を示さない。
(5) 肥満者と子宮体癌の発生には関係がある。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(2),(5)
C:(1),(4),(5)
D:(2),(3),(4)
E:(3),(4),(5)


●問題 22 肥満に伴う骨代謝異常でよく認められるものはどれか。

(1) 荷重量での骨密度上昇
(2) 骨サイズの増大
(3) 骨形成の低下
(4) 骨密度上昇による骨折率の低下
(5) 減量時の骨密度低下

A:(1),(2),(3)
B:(1),(2),(5)
C:(1),(4),(5)
D:(2),(3),(4)
E:(3),(4),(5)


●問題 23 肥満に起因する妊娠異常はどれか。

(1) 妊娠糖尿病
(2) 静脈血栓症
(3) 妊娠中毒症
(4) 微弱陣痛

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 24 GERDまたは逆流性食道炎の増加要因として誤っているものはどれか

A:食生活の欧米化
B:胃酸分泌能の亢進
C:Helicobacter pylori感染の高率化
D:肥満者の増加
E:社会の高齢化

●問題 25 肥満と関連のある癌について,正しい組み合わせはどれか?

(1) 乳癌
(2) 子宮内膜炎
(3) 子宮頚部癌
(4) 肺癌
(5) 結腸癌

A:(1),(2),(3)
B:(1),(2),(5)
C:(1),(4),(5)
D:(2),(3),(4)
E:(3),(4),(5)


●問題 26 肥満症治療ガイドラインの特徴について,正しい組み合わせはどれか

(1) 肥満に起因する疾患群を対象にし,それらの病態が減量でどのように改善ないしは解消されるかについて解説されている。
(2) 肥満症が内臓脂肪の蓄積によって発症・重症化することを重視し,内臓脂肪への治療的対応が必要になることを強調している。
(3) 小児肥満また症候性肥満の治療についても,部分的ではあるが述べられている。
(4) 減量体重の長期維持は肥満症治療の最重要課題なので,その対応策が詳述されている。
(5) 肥満に起因する疾患群への治療的対応としては,脂肪細胞の質的,量的異常に基づく肥満症,さらには特殊な肥満病態の3項目を設け述べられている。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(2),(5)
C:(1),(4),(5)
D:(2),(3),(4)
E:(3),(4),(5)


●問題 27 肥満症について,正しいものはどれか。

(1) 肥満症の食事療法は脂肪細胞の機能異常による肥満症と,脂肪組織の量的増加による肥満症の2つに分けて考える必要がある。
(2) 内臓脂肪型肥満者では数kgの減量でも代謝異常は改善することが多い
(3) 内臓脂肪型肥満者は正常者に比べ喫煙する人が多い
(4) 内臓脂肪型肥満者は正常者に比べ緑黄色野菜を好む人が多い。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 28 肥満の運動療法で,正しいものはどれか?

(1) 糖尿病を有する肥満者では,運動療法の開始前に運動負荷心電図で虚血性心疾患の評価を行ったほうがよい。
(2) トラディショナルな運動処方(中等度の強度の有酸素運動を1回20~60分,週3~5回行う)による減量効果は約2kgである。
(3) 合計時間が同じならば,10分程度の運動を繰り返すのでも,持続した運動と同等の減量効果が認められる。
(4) 減量の維持には,従来の運動/身体活動指針が指示するよりもはるかに多い運動/身体活動量が必要とされている。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 29 肥満症の行動療法について,正しい組み合わせはどれか。

(1) 肥満症治療には食事療法と運動療法の徹底した指導,教育が有効である。
(2) 肥満症の行動療法では患者自身による自己管理が重要である。
(3) 肥満症の行動療法では過食や間食を禁止し,医師や栄養士の指導を患者に遵守させる。
(4) 肥満症の行動療法では患者の動機づけが重要である。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 30 肥満症治療における薬物療法について,以下のうち間違っているものを選べ。

A:薬物療法は食事療法,運動療法とならび肥満症治療の第1選択である。
B:欧米ではすでにいくつかの抗肥満薬が臨床応用されている。
C:抗肥満薬は長期に使用できることが重要である。
D:中枢性食欲抑制以外の薬理作用を有する抗肥満薬がある。

●問題 31 肥満の外科療法の適応として適当なものはどれか?

(1) BMI>40kg/m2で肥満合併症を伴う。
(2) BMI>35kg/m2で重篤な肥満合併症を伴う。
(3) 明らかな精神・心理学的障害は手術適応外である。
(4) 患者および患者家族の外科療法に対する理解と協力。

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 32 肥満減量治療中に注意すべき症状はどれか?

(1) 高尿酸血症
(2) 腎機能悪化
(3) うつ症状
(4) 肝機能障害

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 33 次のダイエット法のうち,正しい組み合わせはどれか。

(1) 利尿薬
(2) 甲状腺ホルモン剤
(3) グレープフルーツダイエット
(4) 防風通聖散

A:(1),(2),(3)
B:(1),(3)
C:(2),(4)
D:(4)のみ
E:(1)~(4)のすべて


●問題 34 肥満患者で摂食障害の合併を疑ったとき,望ましい対応の組み合わせはどれか。

(1) 原因にかかわらず肥満は問題であると指摘し,食事制限や減量を指示する。
(2) 家族などから普段の食行動について聴取する。
(3) 精神症状の有無や,普段の生活でのストレスの有無について聴取する。
(4) 身体的には緊急性はないので,経過観察する。

A:(1),(2)
B:(2),(3)
C:(3),(4)
D:(4),(5)
E:(1),(5)


(解答は本誌掲載)