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日進月歩の医学の進歩を逃さず,かつ日常臨床に役立つ洗練した情報を提供する内科医必読の座右の書
内科臨床誌 medicina

45巻5号(2008年5月号)
今月の主題 炎症性腸疾患と機能性腸疾患-病態の理解と求められる対応
(目次詳細・ご注文はこちら!)

松本誉之(兵庫医科大学内科学下部消化管科)

近年,生活習慣や食事習慣の欧米化に伴い,炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)ならびに機能性腸疾患が増加している.狭義の炎症性腸疾患である,潰瘍性大腸炎は9万人を超える登録患者数があり,特定疾患の要件である5万人以下の希少難病という規定を超えつつあり,一般病院で診断や治療をすることが普通になってきている.一方Crohn病は約2万5000人程度とまだ多くはないが,こちらも一般病院で診療することは稀とは言えなくなってきている.他方,現代のストレス社会を反映して,腹痛や下痢便秘などを主訴とする過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)に代表される機能性腸疾患は増加が著しく,最近の調査では,一般病院の内科外来を受診する人の20~30%にIBSを疑わせる症状があると報告されている.IBDとIBSは典型例では鑑別や診断はそれほど困難ではないが,軽症例などでは必ずしも容易ではない場合もある.本特集ではその両疾患について,背景となる疫学や病態などを理解していただき,それに基づいた診断と治療に役立つような構成を目指した.

内科認定医・専門医試験対策に!!
今月の主題
「理解のための29題」
(力だめしにいかがでしょう.解答は本誌掲載.解説が大幅に充実)
今月の主題 座談会
炎症性腸疾患治療の標準化と患者QOL向上を目指して
炎症性腸疾患は増加の一途をたどり,なかでも潰瘍性大腸炎患者数は10万人に迫る勢いである.従来は稀な疾患として専門医により管理治療されていたが,今後は一般内科医のもとを訪れる患者は増える一方であろう.原因不明の難治性炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎とCrohn病診療のポイントとして,病態に基づく標準的な診断・治療とフォロー中の留意点,標準治療に抵抗する難治例への対処法や,専門医および外科医へのコンサルトの時期について,率直にお話しいただいた.
連載
研修おたく海を渡る
アメリカでの研修も3年が過ぎ,今回,光栄にも散文を連載させてだくことになりました.内科研修3年間の振り返りと,はじまったばかりの腫瘍内科研修での日常を織り交ぜながら,小話に使ってもらえるような話題を提供できればと考えています.毎回おちがつくといいのですが.どうかよろしくお願いします.

第29回 グループ診療

白井敬祐
聖路加Common Diseaseカンファレンス
聖路加Common Diseaseカンファレンスとは,聖路加国際病院内科で2006年11月から始まった新カンファレンスである.
稀な疾患や複雑な疾患の検討ではなく,比較的ありふれた疾患(common disease)を複数例で検討しようというカンファレンスである.ありふれた疾患に迅速に的確なアプローチができる“反射神経”を養うことを意図している.11の専門分野(循環器,消化器,呼吸器,内分泌,神経,腎臓,感染症,膠原病,血液,一般,心療)の専門医が毎月の持ち回りで,指導医が研修医と質疑応答を繰り返す.それを誌上で再現したのが,今回の連載である.

第14回 循環器内科編-心房細動の管理のしかた

神野 泰・西原 崇創(聖路加国際病院)
見て聴いて考える 道具いらずの神経診療
「神経内科の診察、特に神経所見の取り方は難しく、時間もかかる」と、研修医や他科の先生方は考えている.実際、神経内科専門医でも神経所見の取り方は難しいが、全例で詳細に所見を取るわけではない.
そこで本連載では、日常診療でできる神経診療について概説したい.患者さんの訴えや動作に現れるサインを見逃さないよう、専門医には当たり前だが非専門医は意外と知らないこと、わずかな質問で診断がつくコツなど、実例を挙げ紹介したい.

第5回 患者が診察室に入ってきた,その瞬間を捉える(4) 話し方からわかること

岩崎 靖(小山田記念温泉病院 神経内科)
患者が当院(ウチ)を選ぶ理由 内科診察室の患者-医師関係
最前線にいる内科臨床医にとっては、医科学的な問題の解決法ばかりではなく、むしろ個別の患者への具体的なアプローチの方法こそが知りたい、という場合も少なくない.患者は千差万別であり、患者-医師関係も千差万別である.毎月の2000人もの患者数が受診する人気開業医は、診察室の中でどう患者に向き合っているのか、その診療スタイルと技術をわかりやすく紹介する.

第5回 私の内科医論―3つの基本ソフト

灰本 元(灰本クリニック)
研修医のためのリスクマネジメント鉄則集
医療は危険性と不確実性を伴うハイリスク産業である.それゆえに、診療現場で働く医師には、常に適切なリスクマネジメントが求められる.臨床現場で医療者が行うべきリスクマネジメントとは何か、医師として肝に銘じたい「鉄則集」として示す.

第5回 リスクマネジメントのABCD-その3 訴訟防止と「予見性」

田中まゆみ(聖路加国際病院・一般内科)
市中感染症診療の思考プロセス IDATEN感染症セミナーより
日本感染症教育研究会(通称IDATEN)による本格的な情報発信の第一弾.臨床感染症に関する良質の邦文教材が乏しい現状を踏まえ、感染症診療のエキスパートたちが、標準的な市中感染症診療の考え方・進め方をわかりやすく解説する.

第2回 初期治療に反応しない場合の評価と治療のストラテジー

大野博司(洛和会音羽病院ICU/CCU,腎臓内科総合診療科,感染症科)
目でみるトレーニング
1994年から続いている雑誌「medicina」の名物連載.写真・画像を中心とした「症例提示」と症例に関する「問題」、「解答と解説」からなり、クイズを通して症例疾患への理解を深める.