日進月歩の医学の進歩を逃さず,かつ日常臨床に役立つ洗練した情報を提供する内科医必読の座右の書
内科臨床誌 medicina

43巻4号(2006年4月号)
今月の主題  抗菌薬を使いこなそう!
-実地臨床での正しい選択と投与法

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藤本卓司(市立堺病院総合内科)

 現在,感染症の分野でも多くのガイドラインが発表されている。医師は我流ではなく標準化された医療内容を実践するよう心がけるべきであるが,既存のガイドラインの多くは患者背景,一部のバイタルサイン,検査結果などによって患者をカテゴリー分けし,抗菌薬の選択・投与法をあまりにも単純に図式化しすぎてはいないだろうか。医師は患者をどの枠に当てはめるかという発想になりがちで,起炎微生物をつきとめる努力が不十分のまま抗菌薬を選択する傾向が見受けられる。いつもエンピリックに抗菌薬を決定するのでは,結果として不必要に広域スペクトラムの薬剤が用いられることが多く,やはりよい感染症診療とは言えない。
 本特集では,臨床医が「一つひとつの症例ごとに,臨床的な論拠をもって抗菌薬を使いこなすことができる」ことをテーマとした。ガイドラインやSanfordのガイドなどの内容は理解しつつも,あくまでも目の前にいる患者ごとに臨床的に有用な情報を入手しながら感染症診療を進めるべきである。まず問診と身体診察による感染症の正しい診断が基本であり,グラム染色や培養検査など起炎微生物の診断に直結する検査の理解も不可欠である。抗菌薬や感染症の各論は,重要なポイントを整理して頭のファイルに入れておき,実際に使いこなせることが大切である。この特集では網羅的な記載ではなく,日常臨床に必須の知識を抽出し,印象深く記載されるようにお願いした。

内科認定医・専門医試験対策に!!
今月の主題
「理解のための34題」
(力だめしにいかがでしょう。解答は本誌掲載)
新連載
できる医師のプレゼンテーション-臨床能力を倍増するために
プレゼンテーションは診療現場において,きわめて重要な臨床能力の1つである。「質の高い研修」,「質の高い患者ケア」,プレゼンテーションの良し悪しは実はこれらを大きく左右する。本連載では,臨床医にとって必要な「プレゼン技術」の基本をわかりやすく示す。

第1回 なぜ,プレゼンテーションが必要か?

川島篤志(市立堺病院・総合内科)
医療事故を防ぐ! 対策を絵に描いた餅としないために
忙しい日常臨床の現場では,医療事故対策を立てても,しばしば「絵に描いた餅」となってしまい,実際に防止効果をあげていない場合が少なくない。対策は現場での「実践」の観点から講じる必要がある。本連載では,沖縄県立中部病院の臨床研修・医療事故に関する取り組みを交えながら,主に研修医がかかわる医療事故対策について考える。

第4回  マニュアルは絵に書いた餅?

本村和久(王子生協病院・内科)
研修おたく海を渡る
アメリカでの研修も3年が過ぎ,今回,光栄にも散文を連載させてだくことになりました。内科研修3年間の振り返りと,はじまったばかりの腫瘍内科研修での日常を織り交ぜながら,小話に使ってもらえるような話題を提供できればと考えています。毎回おちがつくといいのですが。どうかよろしくお願いします。

第4回  週80時間ルール-俺の若い頃は

白井敬祐
病理との付き合い方 明日から使える病理の基本【実践編】
病理診断が病名の決定,治療方針の決定,治療効果および予後判定に重要な役割を果たす,ということはすでに総論を読んだ読者には十分理解していただいたと思う。本号からの実践編(各論)では,臓器別に具体的な病理との付き合い方を学ぼう。

第3回  呼吸器

清水健・河村 憲一・是松 元子
東大病院内科研修医セミナー
本連載では,東大病院で内科研修医を対象に月2~3回,昼の1時間を使って行われている内科グランドカンファレンスを紹介します。各診療科での実際の症例を通して,疾患の診断・治療に関する生きた知識を吸収していただければ幸いです。

第10回  トロンボポエチンが診断に有用であった 特発性血小板減少性紫斑病の1例

大池裕美子・松川倫子・江頭正人(東京大学医学部附属病院老年病科)
演習・小児外来
研修医・一般内科医向けに,小児外来患者にどう対応し,どうコンサルトすべきか,「演習」形式でわかりやすく示す。
目でみるトレーニング
1994年から続いている雑誌「medicina」の名物連載。写真・画像を中心とした「症例提示」と症例に関する「問題」,「解答と解説」からなり,クイズを通して症例疾患への理解を深める。