medicina Vol.57 No.13
2020年 12月号

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「神経診察は難しい」と苦手意識をもっている方は多いのではないだろうか。本特集では,頻度の高い神経症候や緊急を要する神経症候に対して,プライマリ・ケアにおいてどのように対応すべきか、病歴聴取のポイントやプライマリ・ケアでも必要な神経診察手技などについて実践的に解説する。
企画:黒川 勝己(川崎医科大学総合医療センター脳神経内科)

ISSN 0025-7699
定価 2,860円 (本体2,600円+税)

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プライマリ・ケアにおける神経症候へのアプローチ
黒川 勝己(川崎医科大学総合医療センター脳神経内科)

 本特集は,プライマリ・ケアを担当する,非神経専門医の先生(勤務医・開業医・研修医)を対象に企画しました.プライマリ・ケアにおいて神経症候を認める患者に遭遇した際,非専門医の先生がどのように診療すれば良いかがわかるように,実践的な内容になっています.

 まず,総論として,非専門医は何をすべきか,どのように専門医と連携をとるべきかについて述べています.非専門医の先生は,危険な疾患を見逃さないための病歴聴取をとること,神経症候毎の必要最低限の神経学的所見をとることをしていただければと思います.病歴聴取を疎かにしての網羅的な神経診察や検査は,誤診の危険性があることを知っていただきたいと思います.

 各論は,それぞれの分野のエキスパートの先生にご依頼しました.もちろん,内容は決して専門医を対象としたものでないようにしていただいています.

 症状編として,頭痛,めまい,運動障害,感覚障害,意識消失や意識障害など,頻度の高い神経症候,あるいは緊急を要する神経症候に対して,プライマリ・ケアでどのように対応すべきかが具体的に提示されています.病歴聴取は重要なポイントであり,一方,熟練を要する神経診察は記載するとしても参考程度とし,プライマリ・ケアでも必要な神経診察手技の記載をお願いしています.

 疾患編では,脳卒中,てんかん,髄膜脳炎,Guillain-Barré症候群など,頻度の高い神経疾患,あるいは緊急を要する神経疾患について,プライマリ・ケアで知っておくべき内容が記載されています.どのような症候の時にそれらの疾患を疑うのか,プライマリ・ケアにおける対応,どのタイミングで専門医に紹介するのかなどが記述されています.

 私の周りには,非専門医でも神経症候を診ることが好きな先生が多いのですが,一般的には,非専門医は神経症状を訴える患者を診ることに苦手意識を持たれている場合が多いのでないかと思います.実際,臨床神経学は本当に難しいと思います.病歴聴取についても,膨大な知識があるからこそ的確に行えるのですし,神経診察も熟練を要するものが多くあります.そこに神経専門医の専門性があると思っています.非専門医の先生が臨床神経学を難しいと思われるのは,至極当然なことです.それにもかかわらず,神経症候を日々診ておられる非専門医の先生に,ぜひ本特集で得た知識を活かしていただければと思います.

 本特集にて,プライマリ・ケアにおいて,非専門医の先生が,これなら診ることができそうだと思っていただければ幸いです.また,脳神経内科に対する理解が深まる一助になれば幸いです.

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

■特集 プライマリ・ケアにおける神経症候へのアプローチ
黒川 勝己

■座談会
プライマリ・ケアにおけるより良い神経診察とは
園生 雅弘・田妻 進・黒川 勝己

■総論
プライマリ・ケアにおける神経症候の診かたのポイント
黒川 勝己

■各論(症状編)
頭痛の診かた――くも膜下出血などの危険な頭痛,片頭痛などの頻度の高い頭痛の鑑別ポイント
菊井 祥二・竹島 多賀夫

めまいの診かた―― 危険なめまい,頻度の高いめまいの鑑別ポイント
城倉 健

運動障害の診かた
園生 雅弘

感覚障害の診かた――脳梗塞などの危険なしびれ,手根管症候群などの頻度の高いしびれの鑑別ポイント
大石 真莉子・神田 隆

一過性意識消失の診かた――特に失神,てんかんとその鑑別診断
福武 敏夫

意識障害の診かた――脳ヘルニアなど緊急を要する病態の診断ポイント
藤井 修一

痙攣・不随意運動の診かた――てんかん発作などの危険な痙攣・不随意運動,筋クランプなどの頻度の高い痙攣・不随意運動の鑑別ポイント
吉村 元・幸原 伸夫

もの忘れの診かた――治療可能な認知症,Alzheimer型認知症などの変性疾患による認知症の鑑別ポイント
玉岡 晃

歩行障害の診かた――頻度の高い歩行障害の種類と鑑別ポイント
赫 寛雄・相澤 仁志

複視の診かた――脳血管障害などの危険な複視,糖尿病性末梢神経障害などの頻度の高い複視の鑑別ポイント
山原 直紀・吉倉 延亮・下畑 享良

嚥下障害の診かた――脳血管障害などの緊急を要する嚥下障害,Parkinson病などの頻度の高い嚥下障害の鑑別ポイント
谷口 洋・宮川 晋治・向井 泰司

呼吸困難の診かた――呼吸困難をきたす神経疾患の鑑別ポイント
清水 俊夫

■各論(疾患編)
脳卒中を疑う神経症候とその対処法――突然の片麻痺,顔面麻痺,失語,構音障害
若林 眞子・鈴木 健太郎・木村 和美

てんかんを疑う神経症候とその対処法――痙攣以外にもある発作症状
岡山 公宣・松本 理器

髄膜炎・脳炎を疑う神経症候とその対処法――どの髄膜刺激徴候を確認すべきか
亀井 聡

Guillain-Barré症候群を疑う神経症候とその対処法――急性発症の四肢麻痺やしびれ
国分 則人

慢性頭痛――片頭痛を緊張型頭痛と誤診しない
清水 利彦

認知症――Lewy小体型認知症をAlzheimer型認知症と誤診しない
和田 健二

Parkinson病とその関連疾患を疑う神経症候および対処法――振戦,運動緩慢
柏原 健一

末梢神経障害を疑う神経症候とその対処法――手足のしびれ,筋力低下
三隅 洋平・植田 光晴

脊椎疾患を疑う神経症候とその対処法――手足のしびれ,筋力低下
伊藤 翔太・安藤 哲朗・川上 治

筋疾患を疑う神経徴候とその対処法――筋力低下,こわばり
砂田 芳秀

神経筋接合部疾患を疑う神経症候とその対処法――筋力低下,疲れやすさ
畑中 裕己

筋萎縮性側索硬化症(ALS)を疑う神経症候とその特徴――筋力低下,体のぴくつき
和泉 唯信・福島 功二・沖 良祐

多発性硬化症関連疾患を疑う神経症候とその対処法――突然の歩行障害,視覚障害
越智 一秀

■特集の理解を深めるための26題
問題
解答


●見て,読んで,実践! 神経ビジュアル診察(32)
歩き方がヘン!?――失調性歩行
難波 雄亮

●ケースレポートを書こう! acceptされるために必要なこと(9)
ケースレポート作成の障壁とは?
見坂 恒明・合田 建・鎌田 百香

●フレーズにピンときたら,このパターン! 鑑別診断に使えるカード(12)
「慢性下痢」「持続性/難治性吃逆」「片側性眼瞼下垂」
長野 広之

●目でみるトレーニング
岩崎 靖/久田 敦史/多賀谷 知輝

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