医学書院

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こころの病を診るということ

私の伝えたい精神科診療の基本


著:青木 省三
  • 判型 A5
  • 頁 296
  • 発行 2017年04月
  • 定価 3,240円 (本体3,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03020-5
臨床家は何を見て、どう考えているか
臨床家として名高い著者が、自身の臨床哲学および具体的な診療の仕方についてまとめた実践書。待合室での様子や問診票から読み取れること、問診の進め方、生活史のとらえ方、診断、そして治療と、実際の診療の流れをひと通り網羅。約40年にわたる臨床経験で蓄積された理論と技術を、次世代の精神医療関係者に余すところなく伝授する。
目 次
1 診察前に考える
 受診時の様子はどうか
 緊急性をアセスメントする
 住んでいるところから見えてくるもの
 問診表から何が読みとれるか
 紹介状を意識しすぎない

2 診察を始める
 患者さんは治療者を映す鏡である
 「挨拶」の基本
 出会いは柔らかく、穏やかに
 「一人の人間」として出会う
 表情から読みとれること
 受診の経緯をどうたずねるか
 誰が、何を問題視し、どんな目的で受診したのか
 単身での受診の場合は家族の来院を求める
 家族や付き添いの人の話をどう聞くか
 患者さんのつらさを代弁する
 器質的なものが背景にないか

3 主訴をたずねる
 「開かれた質問」から「閉じられた質問」へ
 話せることだけを話してもらう
 「こころを読みとられる不安」を和らげる
 本人と家族の主訴は区別して聞く
 主訴を明確にする-異物化、対象化、外在化
 話されない主訴に気づく
 異物化させるのが難しい症状もある
 サラッとたずねたほうがよい主訴もある
 きちんとたずねたほうがよい主訴もある
 わかろうとし、わかってもらおうとする
 閉じられた質問を効果的に用いる

4 生活歴、既往歴、家族歴をたずねる
 生活歴をたずねる
 既往歴をたずねる
 家族歴をたずねる
 家族について考える

5 主観的な体験を理解し、客観的に観察する
 主観的な体験を理解する
 客観的に観察する
 理解と観察のバランスをどうとるか
 主観的な体験が現実から乖離している場合もある
 病歴・生活歴は主観に修飾されている
 主観的体験と客観的表出のズレ

6 診察の途中で考える
 性格と発達特性をどうたずねるか
 病気か、それとも性格か
 スムーズに問診を進められない場合
 楽なとき、ほっとするときをたずねる
 好きなこと、得意なこと、趣味をたずねる
 心理検査をより有用なものにするために
 1~2度の受診で来なくなる患者さん
 質問によって理解を深め、気持ちを汲む

7 言葉のやりとりを確かなものとする
 患者さんにとってのコミュニケーション-筆者の体験から
 うなずく、相槌を打つ、語尾を継ぐ、まとめて返す
 言葉のキャッチボールの流れ
 言葉でのコミュニケーションと共有する文化
 精神科臨床におけるコミュニケーションの難しさ

8 複数の情報を総合する
 診察室の外の患者さんを知る
 場面によって異なった姿が現れる
 回復の兆候はどこで現れるか
 よい情報を共有する

9 生活を理解する
 日常生活で、何にどのように困っているか
 エピソードから生活を想像する

10 生活史を理解する
 人生の大きな流れを知り、仮説を立てて考える
 人生の負荷の増加と精神症状の出現
 ケース(1):経済的困窮から抑うつ状態となった例
 ケース(2):介護負担の増加でうつ病が遷延した例
 ケース(3):人付き合いの減少で精神症状が出現した例
 ケース(4):友人が少なく不登校となった例
 ケース(5):脳梗塞後に妄想が出現した例
 ケース(6):転地・転職を繰り返す例
 ケース(7):生活への不安の軽減により症状が軽快した例
 ケース(8):外傷体験の影響か判断に迷う例

11 診断する
 診断・評価するというプロセス
 外来受診の流れのなかで診断する
 入院生活の広がりのなかで評価する
 診断基準で見えるもの・見えないもの
 非定型・非典型な病像や経過から考える
 すべての人は非定型・非典型である
 グレーゾーン診断の意義
 診断を保留することもある
 状態像診断からスタートする
 了解可能と了解不能-内的体験を理解する
 反応性と考えてみる

12 病気の経過(形)を知る
 病気はどこへ向かっているか
 統合失調症の発病過程と回復過程
 うつ病の発病過程と回復過程
 発達障害の反応性精神症状の増悪と回復

13 発達を視野に入れる
 なぜ発達を視野に入れる必要があるのか?
 発達障害を考えるときの前提
 成人の発達障害の診断
 社会性やコミュニケーションの障害
 こだわり
 ADHDについても考える
 統合失調症との鑑別
 保護を失うと破綻しやすい
 苦手なことを任されると破綻しやすい
 何が高度で、何が軽度か
 その人なりの生き方を模索する

14 トラウマの影響を視野に入れる
 体験の強度や内容に関係なくトラウマ反応は起こる
 精神症状の基盤にあるトラウマ反応は気づきにくい
 トラウマ反応は危機や負荷が強まったときに顕著となる
 人に対する信頼の乏しさに目を向ける
 現在のトラウマ反応に気づいていない場合もある

15 治療と支援の基本
 精神科治療の目指すもの-人生と生活
 個々の治療アプローチの総和として力を発揮する
 人のこころを治せるのは“人”である
 「保存的」「支持的」治療アプローチを基本とする
 治療による外傷を最小限にする
 生物学的な要因と心理学的な要因に対する働きかけ
 本人が合わせるか、本人に合わせるか
 生活へのアプローチ

16 薬物療法
 薬物療法の位置づけ
 治療全体のなかでの薬物療法の役割を考える
 薬物療法からスタートする場合
 処方を迷う場合は2~3回の診察を経て考える
 どのように処方するかによって薬の効果は大きく異なる
 「薬が効く感じがする」ときほど注意を要する
 処方の変更や中止の際は時間をかけて説明する
 症状に対して薬を処方していると多剤併用となりやすい
 服薬感を伝えて不安や恐怖を和らげる
 「こころの痛み止め」として服薬する
 よい人生を生きるために服薬する
 服薬をお願いするときもある

17 精神療法
 限られた時間を精神療法的にする
 人柄精神療法-理論や技法以前に大切なもの
 身体治療の小切開や外傷処置のイメージで行う
 支持する
 「これでよい」と肯定する
 リフレーミング
 小さなよい変化に気づき、大切にする
 疲労に気づく
 出会いと別れ
 現実的な助言と配慮をていねいに
 助言のバリエーションを増やす
 「頑張りましょう」と助言する
 日常生活に焦点を当てる-根源的な問題を日常生活の問題におきかえる
 よい瞬間はないか
 雑談をする
 患者さんの治療意欲と希望を引き出す
 穏やかで平和な雰囲気を提供する

18 治療者の姿勢・態度
 「人のこころはわからない」というスタンス
 医師という存在のもつ力
 病気・障害の同質性と異質性
 “中立的な態度”とはどういうものか
 患者さんとの距離のとり方-近くか、遠くか
 患者さんとの距離の調整の仕方-近くから、遠くへ
 治療者は「冷静で親身な第三者」であるべき
 治療者が自身のコンディションを自覚する
 治療者に必要なのは仲間である-孤立を防ぐ

おわりに
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