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大人の発達障害ってそういうことだったのか




著:宮岡 等/内山 登紀夫
  • 判型 A5
  • 頁 272
  • 発行 2013年06月
  • 定価 3,080円 (本体2,800円+税10%)
  • ISBN978-4-260-01810-4
2人の精神科医が「大人の発達障害」について、とことん語った至極の対談録
近年の精神医学における最大の関心事である「大人の発達障害とは何なのか?」をテーマとした一般精神科医と児童精神科医の対談録。自閉症スペクトラムの特性から診断、統合失調症やうつ病など他の精神疾患との鑑別・合併、薬物療法の注意点、そして告知まで、臨床現場で一般精神科医が困っていること、疑問に思うことについて徹底討論。立場の違う2人の臨床家が交わったからこそ見出せた臨床知が存分に盛り込まれた至極の1冊。
目 次
第1章 なぜ大人の発達障害なのか
 [はじめに]
  私が発達障害に関心をもった理由(宮岡 等)
 [大人の発達障害が急激に増えた理由(1)]
  概念が広がって注目度アップ 暮らしにくくなって症状が顕在化した
 [大人の発達障害が急激に増えた理由(2)]
  マスコミをにぎわす事件が契機に 犯行動機が世間の注目を集めやすい
 [疫学、病因]
  発達障害は決して稀な障害ではない 主な原因は遺伝的要因と環境要因

第2章 知っておきたい発達障害の基礎知識
 [定義と分類]
  「生来性」「発達期での特性の出現」「症状の安定」の三点で定義
 [歴史]
  「アヴェロンの野生児」から自閉症スペクトラムまで
 [概念の整理]
  コアとして押さえておきたいのは自閉症スペクトラム障害
 [ASDの典型症例]
  IQは120以上、進学校の出身 不自然な言動などのアスペルガー感が顕著
 [これだけは知っておきたい知識]
  多くは抑うつなど他疾患を合併
  一般の精神科外来に一割程度はいるかもしれない
 [症状(概論)]
  統合失調症的にみられやすい 一対一の診察場面では普通に振る舞える
 [疾患と捉える範囲]
  小学校教諭にASD者は少ないかもしれないが
  大学教員にはたくさんいるかもしれない

第3章 診断の話
 [基本となる症状]
  主な症状は、社会性、コミュニケーション、
  イマジネーションの「三つ組の障害」と感覚過敏
 [年齢による変遷]
  認知発達は伸びるが、その伸びに
  社会性やコミュニケーション能力がついていかない
 [とりあえずこれだけは聞いておこう]
  相手の立場に立ち、想像して行動できるかがポイント
  社会性の問題は聞き取りも対応も難しい
 [主な症状-感覚過敏(1)]
  コンビニのおにぎりは食べるけど、お母さんの手作りおにぎりは食べられない
 [主な症状-感覚過敏(2)]
  幻聴ではなく聴覚過敏 典型的な症状との違いを区別することが大切
 [主な症状-社会機能、社会性の欠如]
  タオルや下着と一緒に歯ブラシを置く
  「これぐらいわかるだろう」は通用しない
 [合併と鑑別-統合失調症]
  スキゾタイパル、ジンプレックス、ヘボイドフレニーと
  診断したくなる人がいたら、発達障害・ASDを疑え
 [合併と鑑別-緊張型統合失調症]
  緊張型統合失調症とは違う症状としてのカタトニーに注目する
 [合併と鑑別-妄想型統合失調症]
  「自分はバットマンになった」「聖徳太子である」は
  妄想なのか、ファンタジーなのか
 [合併と鑑別-統合失調症と自傷他害]
  ASDの他害には納得できる理由がある
  イマジネーションが障害し、手加減ができない
 [合併と鑑別-統合失調症か発達障害かの診断]
  症状をよく聞かずに「まあいいや診断」は危険
 [合併と鑑別-うつ病(1)]
  「気分が沈む」の意味が伝わりにくい
  話したことがあまり伝わっていない前提で対応を
 [合併と鑑別-うつ病(2)]
  「ツレうつ」はアスペうつなのか?
 [合併と鑑別-うつ病(3)]
  うつ病の症候学や治療学のなかに「発達障害関連うつ病」の分類が必要
 [合併と鑑別-双極性障害]
  時間単位でバイポーラーなんておかしい 自閉症でも躁に見える人がいる
 [合併と鑑別-境界性パーソナリティ障害]
  相手を困らせる行動をとるボーダー
  困らせるとわからずにやってしまうアスペルガー
 [合併と鑑別-強迫性障害]
  自閉症スペクトラム寄りの強迫と強迫性障害寄りの強迫とでは治療法が違う
 [合併と鑑別-拒食症]
  ASDの合併は昔のシゾイド的な人に多い
 [合併と鑑別-身体表現性障害]
  身体表現性障害の心気的な症状は非常に多いが、
  身体に関するこだわり方が違う
 [合併と鑑別-知的障害と認知症]
  知的障害があっても高齢者でも原則は同じ
  治すのではなく、困らないよう支援する
 [診断-問診のしかた(1)]
  まず四つの特徴のうちのいくつかを聞く
  どれか引っかかったら発達障害や合併を疑う
 [診断-診断基準(1)]
  「物を並べる」などの操作的な診断基準をつくるより
  「こだわり」でくくったほうが本質をつかみやすい
 [診断-診断基準(2)]
  「ちょっと変だな」と感じて
  現在の問題が過去とつながっていたら発達歴を聞く
 [診断-問診のしかた(2)]
  初診の四十分のうち二~三分でもよい 発達障害に関連した問診をしよう
 [診断-テストや評価尺度]
  評価尺度は本来、臨床経験がある人が使うべきもの
  「診断基準にこれだけ当てはまったから」は間違いのもと
 [診断-診断のテクニック]
  自閉症は刺激してその反応をみることが大切
  普通の人と目のつけどころが違うこともある
 [男女差をどう考えるか]
  女性はノーマルに振る舞うのが上手
  潜在例は多いが、症状をなかなか訴えない
 [プライマリケア医、産業医の対応]
  仕事そのものはできる人が多い 適材適所で能力を発揮できる環境整備を
 [学校の先生やカウンセラーの対応]
  精神分析ばかりではかえって症状を悪化させる 教育現場と医療の連携も必要
 [明確な診断はつけられるのか]
  典型例については診断できるが、正常との境界は誰にもわからない

第4章 治療とケア-どう捉え、どうするべきか
 [大人の発達障害は誰が診るべきか]
  ASDは大人になって悩み始めるケースが多い
  大人の発達障害は大人の精神科医が診るべき
 [治療上の注意&アドバイス(1)]
  指示は口頭ではなく、文字情報で伝える
  曖昧な表現ではなく、説明は具体的に
 [治療上の注意&アドバイス(2)]
  罪悪感は感じているが反省の表現が苦手 損得勘定での説明が効果的
 [強迫性障害を合併したASDの治療]
  周囲の環境調整を最優先に 視覚的スケジュールの作成も必要
 [入退院にまつわる問題]
  状況依存的で暴れたりよくなったりの繰り返し
  発達障害を考慮したシステム構築が必要
 [うつの治療に関する注意点]
  「頑張って」「休憩しましょう」は×
  生活の枠組みに関する提案を具体的に行う
 [抗うつ薬処方上の注意]
  量や種類を増やしても効果はない
  薬に敏感で、副作用が出やすいケースも多い
 [発達障害の治療の基本]
  本人にとってより快適な環境を用意する
  患者がいかにできないかを周囲にわからせることも重要
 [告知]
  告知によって自分を知るのも治療の一環 病気の説明というスタンスで対応を
 [大人の発達障害の理想と現実]
  社会全体のサポートがもっと必要 排除と配慮という本音と建前
 [臨床現場でできること]
  発達障害を診ない精神科医は、喘息を診ない小児科医と同じ

第5章 ADHDと学習障害
 [ADHDの概念・歴史]
  国によって概念の広さに差 正常との線引きが難しい
 [ADHDの診断]
  不注意・多動性・衝動性は非特異的
  ADHDであれば学童期から症状があったはず
 [ADHDの治療]
  薬物治療が第一選択ではない 生活指導だけでもかなり改善できる
 [学習障害の概念]
  読み・書き・計算の障害があるか 計算機やワープロで代替が可能
 [ADHD・学習障害のまとめ]
  成人のADHDにも薬が使えるようになったため
  ASDもADHDと診断されやすくなる?

おわりに-一般の精神科医の先生方に望むこと

対談を終えて-内山登紀夫
対談を終えて-宮岡 等
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