医学書院

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≪シリーズ ケアをひらく≫

どもる体




著:伊藤 亜紗
  • 判型 A5
  • 頁 264
  • 発行 2018年06月
  • 定価 2,160円 (本体2,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03636-8
しゃべれるほうが、変。
何かしゃべろうとすると最初の言葉を繰り返してしまう(=「連発」という名のバグ)。それを避けようとすると言葉自体が出なくなる(=「難発」という名のフリーズ)。吃音とは、言葉が肉体に拒否されている状態です。しかし、なぜ歌っているときにはどもらないのか? なぜ独り言だとどもらないのか? 従来の医学的・心理的アプローチとはまったく違う視点から、徹底した観察とインタビューで吃音という「謎」に迫った画期的身体論!
*「ケアをひらく」は株式会社医学書院の登録商標です。
●著者からのメッセージです。
《ある現象が対処法にもなり、かつ症状にもなる。しゃべることにまつわるこの二面性をより深く論じるために、本書が注目したのは、「ノる」と「乗っ取られる」という二つのキーワードでした。》
《自分のようでいて自分ではない存在がいつもそこにいて、常に一緒に生きている。思い通りにならないという意味では煩わしくもあるけれど、自分をこえた「あいつ」が、自分一人では到達できないどこかに連れていってくれる。言葉と体の深い世界を冒険できるのは、この吃音という「スタンド」がいるからなのかもしれません。》
「現代ビジネス」講談社、2018年7月14日より)

●新聞で紹介されました!
《このひと月ほど手元に置き続けて、あまり意識してこなかった吃音がある自分の体を、本書を手がかりとして素直に探ってみながら読み進めた。……著者の体験を語ったあとがきも必読。長く付き合っていきたい本が座右に加わった。》――佐伯一麦(作家)
(『朝日新聞』2018年8月4日 書評欄・BOOK.asahi.comより)

《劇作家のわたしは俳優にテキストを渡す。この「拘束性」はどんな場所にもあるのではないか。本書をもう一度、読もうと思った。この不自由さから、吃音の当事者も、わたしも、そして俳優たちも、解放され自由になる手だてが見つかるかもしれない。》――宮沢章夫(劇作家)
(共同通信配信、『南日本新聞』2018年7月1日 書評欄ほか)

《本書を通じて、誰しも意思と一致しない「思いどおりにならない体」を抱えていることを知ることができる。》――内田麻理香(サイエンスライター)
(『毎日新聞』2018年7月22日 今週の本棚より)

《吃音は、「言葉が体に拒否された状態」だ。だが、歌っている時には起きない。独り言の時も。ならばその時、当事者の思考や衝動や発音の間で一体何がおこっているのか。》
(『読売新聞』2018年6月1日夕刊より)

●雑誌で紹介されました!
《自分に引き寄せて読むことも許してくれる余地が本著にあるのは、「しゃべれるほうが変」という思いがページをめくるにしたがって湧き上がってくるからだろう。》――尹雄大(ライター)
(『新潮』2018年9月号「本」より)

《どもることをなんらかの機能不全や困り事ととらえるのではなく、「どもる人の体と心に湧き上がっているなにか」をさぐる。吃音ワールドの大冒険である。》――渡邊十絲子(詩人)
『週刊新潮』2018年7月19日より)

《そもそもこの「思い通りにならなさ」を当事者に押し付けて、笑い飛ばしてはいけない。誰もが抱えているものではないか、と気付かされる。》――武田砂鉄(ライター)
(『週刊金曜日』2018年7月13日より)

《本意から肉体がズレていく違和感をどうにかするための工夫は、誰もが必要としているものなのかも。吃音当事者とは、心と体の結ばれ方に対する感度が、人一倍鋭敏な人達なのだ。》――酒井順子(エッセイスト)
(『週刊文春』2018年6月28日 私の読書日記より)

●webで紹介されました!
《本書の底にあるのは、「しゃべる」ことについて、知らず知らずのうちに積み上がってきた自分の中の感覚が自然と総動員されて、かつ更新されていく面白さだ。》――峰尾健一
『HONZ』おすすめ本レビュー2018年6月21日 『どもる体』読む人の「しゃべる」を引き出す、触媒のような本より)

《今回紹介するのは『どもる体』。吃音をテーマにした一冊なのだが、「わたしは吃音ではないし、興味、湧かないな」と思ったなら、少し待ってほしい。》――堀由紀子(編集者)
『三省堂書店×WEBRONZA 神保町の匠』2018年7月12日より)

*本書で言及されている動画のいくつかをご紹介します。
■18頁
《彼にとっては、スキャットは自由にどもる方法だったと言います。吃音の「バグ」が、いわば自動生成的に発展したものが、あの高速スキャットなのです。》
⇒スキャットマン・ジョンの高速スキャット
 Scatman (ski-ba-bop-ba-dop-bop) Official Video HD -Scatman John

 【https://www.youtube.com/watch?v=Hy8kmNEo1i8

■67頁
《『The Way We Talk』の予告編をネットで見たのですが、そのナレーションでも頻繁にどもりが生じていました。たとえばその冒頭、ナレーションは約8秒間にわたるtの連発から始まります。》
⇒マイケル・ターナーの「t」の連発
 『The Way We Talk』予告編ナレーション

 【http://www.thewaywetalk.org/
目 次
序章 身体論としての「どもる」
 コントロールを外れた体
 モンローもキャロルも角栄も
 「どもる言葉」でなく「どもる体」
 治るのか治らないのか
 「うまくいかない」は二元論、他

第1章 あなたはなぜしゃべれるのか
 「しんぶん」ってどう読む?
 「ん」は準備している
 マニュアル制御からオートマ制御に
 発声器官のモーフィング
 「かんだ(神田)さん」と「かただ(堅田)さん」
 なぜ一語だとどもらないか
 初音ミクはこうして吃音を克服した! 他

第2章 連発――タガが外れた体
 tの三〇連打!
 言葉の代わりに体が伝わってしまう
 どもる自分に笑ってしまう
 一か八かの「挑戦」
 他人事感覚
 「次、言えるかな」の手さぐり感、他

第3章 難発――緊張する体
 連発から難発へのメカニズム
 対処法としての症状
 バグを避けようとしてフリーズする
 連発は乖離、難発は拒絶
 扉の鍵がない!
 吃音スイッチ
 逃れようのない期待の前で
 なぜ独り言だとどもらないのか、他

第4章 言い換え――体を裏切る工夫
 三単語先にあいつが来る
 なかば自動の言い換え
 類語辞典系と国語辞典系の言い換え
 自分の名前でモジモジ
 音読は奴隷の仕事!
 ドッグトレーナーと犬
 言い換え自体に意味がある、他

第5章 ノる――なぜ歌うときはどもらないのか
 衝撃のバリバラ、ラストシーン
 「刻む」には「待ち」が必要
 リズムとは「新しくなく」すること
 不確実性減少装置としてのリズム
 運動の部分的アウトソーシング
 韻を踏むたび外に連れ出される
 「波づくり」の作業
 別人のような音読
 パターンの使用としての演技
 「ノる」とは「降りる」こと
 自己から「匿名態」への移行、他

第6章 乗っ取られる――工夫の逆襲
 なぜ実生活では使えないのか
 いつの間にか自分が犬になっている
 「うまくいく方法」が「私」を乗っ取る
 二重スパイ
 乗っ取りからの決別
 どもれるようになるまで、他

第7章 ゆらぎのある私
 「生理的エラー」と「工夫の誤作動」
 工夫→乗っ取り→自動化
 言い換え警戒派と言い換え共存派
 思考はしゃべると同時にわくものだ
 運動が運動を生み出す次元
 体との関係が変質するプロセス
 吃音という謎とともに生きる、他

注釈・文献
あとがき
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