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看護を教える人のための

経験型実習教育ワークブック


編集:安酸 史子/北川 明

  • 判型 B5
  • 頁 192
  • 発行 2018年04月
  • 定価 2,916円 (本体2,700円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03591-0
臨地実習ケーススタディの決定版! 看護教師ができる学習者中心の支援をワークしよう
看護基礎教育の山場である臨地実習。初めてづくしの体験に緊張し、不安を抱える学生を支援するために、看護教師はどのように関わることが効果的か。本書は、看護を教える人がその教師力を高めるための理論である経験型実習教育に基づいて研修(ワーク)することができる、教育現場でコモンな28の事例を収載した。様々な経験を土台に羽ばたいていく学習者たちとともに、教師自身が成長するための支えとなるワークブックである。
序 文
まえがき

 臨地実習という学習の場は、学生にとってはストレスフルな現場だと思う。学生は初めて訪れる病院、初めて関わる患者や看護師たちとの出会いに緊張し、自らが関わることで患者に迷惑をかけないか、患者は自分を受け入れてくれるか、臨地実習指導者や学校教員から叱られないようにちゃんと記...
まえがき

 臨地実習という学習の場は、学生にとってはストレスフルな現場だと思う。学生は初めて訪れる病院、初めて関わる患者や看護師たちとの出会いに緊張し、自らが関わることで患者に迷惑をかけないか、患者は自分を受け入れてくれるか、臨地実習指導者や学校教員から叱られないようにちゃんと記録が書けるか等々、多くのことに不安を感じる。どれほど事前学習を積み重ねてきた学生であっても、臨地実習に行くことの大きな緊張と不安から、自信のない脆弱な精神状態になってしまうことが多い。
 このような精神状態のもと、現場で学生はさまざまな体験に困ったり、悩んだり、楽しんだり、喜んだりする。そうしたプロセスのなかで学生は学び、成長していく。この学生の学びや成長を大きくするために、看護教師としてどのような教育的支援を行なえばよいかを突き詰めてきたものが、「経験型実習教育」である。

 本書は、看護を教える人がその教師力を高めるため、経験型実習教育の事例とワークを収載した。学生の強みや主体性を大切にし、ケアリングの醸成を目指す看護教育のあり方について、具体的なシナリオの展開を中心に、編者の考えを言語化してお伝えすることに取り組んできた成果としてお届けするものである。先行書『経験型実習教育 看護師をはぐくむ理論と実践』の内容、事例構成から進んだものに変化していることをあらかじめ付記したい。また実際の実習教育の場では、その場の状況と対話しながら教育していくため、文字に表していない学生の状況や患者さんの状況によっては、全く別のアプローチのほうがより適切である可能性もある。可能な限りのリアリティを追求した具体的な事例展開では、看護教師の思考過程についての提示を試みている。学内外の研修でさまざまな活用をしていただければ幸いである。このワークブックを手に取られて、より深く知りたいと思われた読者は、先行書『経験型実習教育』をひもといていただければと思う。
 なお本書では、「看護を教える人」として、学校機関に所属する看護教員、そして臨床で学生の実習指導を担当する臨床実習指導者を含めて、(看護)教師と定義し、記載している。教諭とは、「教育職員免許法による普通免許状を有する、小・中・高等学校、幼稚園、養護・聾(ろう)・盲学校の正教員」をいい、教員は、「学校で児童・生徒・学生を教育する職務についている人」を指す。一方、教師は、学校などで、学業・技芸を教える人を指し、より幅が広い概念である。すなわち、看護大学や看護学校で教育する職務についている人は教員であり、教師である。臨床実習指導者は教員ではないが、やはり教師であるというのが、編者の考えの根底にある。

 最後に、本書で登場する事例については個人が特定されないように種々の処理を施していること、またその集約・整理にあたっては多くの関係者のお力添えをいただいたことを付記し、感謝申し上げる。なかでも、沖縄県専任教員再教育研修でのワークの機会から多くのヒントをいただいた。多様な事例をアレンジして使用することに快諾いただいた前沖縄県看護教育協議会会長の垣花美智江先生と研修生たちに深謝する。

 このワークブックが臨床実習指導で悩む看護教師にとって少しでも役に立てば、このうえない幸せである。

 2018年3月
 安酸史子・北川 明
目 次
第1章 経験型実習教育の学びを深める
 1 あたらしい時代の教師に求められる能力の向上
  A 時代・地域の要請に見合う看護学教育へ
  B 本ワークブックの意義と構成
 2 「よく見て、よく聴く」経験型実習教育
  A 経験型実習教育で「おとなの学び」をはぐくむ
  B 教材化のために教師ができること
 3 経験型実習教育を行なううえで必要な能力
  A 教材化に必要な教師の能力と授業過程
  B 教師自身が反省的実践家であること
 4 経験型実習教育の流れと実習指導で追求すること
  A 学生の直接的経験の把握
  B 直接的経験の明確化
  C 学習可能内容を考える
  D 関わりの方向性を考える
  E 経験の意味づけの援助
 5 経験型実習教育の展開に不可欠な質問と発問
  A 正解を強くもちすぎないこと
  B オープンリードで学生を誘う
  C 行為のなかのリフレクションを導く教師の関わり
  D ‘I’メッセージは最後に語る
  E 教師が学生を理解するということ

第2章 経験型実習教育の導入ワーク
 1 ワークの進め方と用語解説
  A 各章でのワーク構成と流れ
  B 項目の説明
 2 学生の強みと課題を見つけよう
  A 成人看護学慢性期実習での事例(1)からワークする
  B 成人看護学慢性期実習での事例(2)からワークする
 3 学生の直接的経験を推測してみよう
  A 成人看護学急性期実習での事例からワークする
  B 統合実習での事例からワークする
 4 学生の学習可能内容を考えよう
  A 基礎看護学実習IIでの事例からワークする
  B 統合実習での事例からワークする

第3章 読んで学ぶ解説事例10
 解説事例1:「態度の悪い」学生―やる気がないように見える
 解説事例2:看護計画が実施できない学生―積極的な姿勢が見えない
 解説事例3:患者に拒否された学生―ショックで落ち込んでいる
 解説事例4:患者に自らの価値観を押し付ける学生―積極性が空回り
 解説事例5:患者の状態をアセスメントできない学生―情報収集がわからない
 解説事例6:自己評価が高すぎる学生―客観視ができない
 解説事例7:患者のアクシデントや急変を自分のせいにする学生―消極的で受け身
 解説事例8:ケア後にクレームの対象となった学生―誰のための看護かがズレている
 解説事例9:ヒヤリハットに動転した学生―自身の長所・短所が整理できていない
 解説事例10:ADHD(注意欠如・多動症)の学生―答えのない現実に直面している

第4章 シナリオをつくろう研修事例18
 研修事例1:やる気がない学生―記録・課題に時間がかかる
 研修事例2:失敗の報告をしない学生―想像力が乏しい
 研修事例3:教師の指示を守らない学生―根拠のない自信がある
 研修事例4:相談せずにケアを実施しようとする学生―考えが浅い
 研修事例5:実習指導者に不満がある学生―現場判断がわからない
 研修事例6:褥婦のケアができずに後悔した学生―自責傾向が強い
 研修事例7:患者に予定変更を言い出せなかった学生―気が弱い
 研修事例8:多重課題で優先順位がわからなくなった学生―まじめでおっとり
 研修事例9:集中するとほかが見えなくなる学生―緊張しやすい
 研修事例10:患者との距離感がわからない学生―言われるがままになる
 研修事例11:患者にケアを強要する学生―思い込み・正義感が強い
 研修事例12:患者の状態をアセスメントできない学生(1)―視野が狭い
 研修事例13:患者の状態をアセスメントできない学生(2)―察することが苦手
 研修事例14:患者に合わせた看護計画が立てられない学生(1)―せっかちで先走る
 研修事例15:患者に合わせた看護計画が立てられない学生(2)―時間がかかる
 研修事例16:末期がん患者へのケアに戸惑う学生―コミュニケーションが不安
 研修事例17:グループメンバーに強く干渉する学生―連携ができない
 研修事例18:インシデントレポートを提出した学生―実習がこわい

索引