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ゾリンジャー外科手術アトラス


(第2版)

原著:E. Christopher Ellison /Robert M. Zollinger, Jr. 
訳:安達 洋祐

  • 判型 A4
  • 頁 576
  • 発行 2018年09月
  • 定価 16,200円 (本体15,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03228-5
外科手術書のロングセラー待望の改訂版
一般外科手術書のロングセラー、待望の改訂版。編集委員の一新に伴い目次構成も見直された。新たに食道切除、スリーブ胃切除、腎移植、腋窩郭清などが加わり、全146の手術術式・手技を収載。定評あるイラストを多数用い手技を丁寧に解説する。日本の読者のために訳注が随所に挿入され、手術適応、術前準備から術後管理まで外科医が知っておきたい情報を過不足なく記載。長年にわたり磨き上げられた魅力溢れる手術アトラス。
序 文
(E. Christopher Ellison, MD,Robert M. Zollinger, Jr., MD)/訳者 序(安達洋祐)




 この手術アトラスは約75年前に作成され,一般外科医が日常的に行っていた実績のある安全な手術手技を...
(E. Christopher Ellison, MD,Robert M. Zollinger, Jr., MD)/訳者 序(安達洋祐)




 この手術アトラスは約75年前に作成され,一般外科医が日常的に行っていた実績のある安全な手術手技を記述してきました.これまでの改訂では,消化管の器械吻合や低侵襲手術などを含め,多くの改善や修正を行ってきました.第9版では,器械吻合と低侵襲手術が結びついて満開の状態であり,1990年代には先端技術と思われていた腹腔鏡手術が現在は日常的に施行され,外科修練プログラムでは必須事項として指導されています.
 新しい第10版には,重要な改善点がいくつかあります.編集委員は手術手技の専門家として改訂に従事し,掲載すべき新しい手術手技の決定を援助し,記載内容の有意義な改善を行い,19の新しい手術手技を追加しました.一般外科の実践に重要と考えられる手術は8つあり,腋窩リンパ節郭清,腹膜透析カテーテル挿入,筋膜切開,焼痂切開,下大静脈フィルター挿入,腹壁ヘルニア修復(腹壁分離法),尿管修復,胸腔鏡です.複雑な胃腸手術は4つあり,食道筋層切開(腹腔鏡),病的肥満に対するスリーブ胃切除,経腹的食道切除,経胸的食道切除です.新しい血管手術は4つあり,大腿動脈血栓除去,大腿-大腿動脈バイパス,下肢静脈瘤レーザー焼灼(ELA),上腸間膜動脈血栓除去です.残り3つは腎摘出(HALS),腎移植,腹腔鏡診断です.
 編集委員の大がかりな再編も行われ,18人の専門家が編集委員に加わり,臓器系統別の手術手技に各々の専門的知識を伝授し,ローマ数字による分類をやめて手術手技のタイトルを見つけやすくするとともに,執筆者と編集委員が批判的に吟味し,今回は第10版全体を最新のものに更新しました.約50章の本文とイラストについては,手術適応から術後管理まで,すべての手術手技に関する科学的内容に有意義な改善を行って現行のものにしました.
 第10版の準備中に,オハイオ州立大学(OSU)外科のBrian Belval医師から貴重な助言をいただきました.前回の第9版では,カラー製版と印刷技術の進歩を導入し,メディカル・イラストレーターが新旧の図版に着色し,生き生きとした現実感をもたせ,解剖学的に明瞭なイラストになるように改良してくれましたが,今回の第10版では,スクラッチボードにペンとインクで描いていた原画を,メディカル・イラストレーターのMarita Bitansさんが新しく描き換え,コンピューター・グラフィックスによる高解像度カラーで芸術的な作品を提供してくれました.
 また,「歴史的補遺」をオンライン上に作成し,過去70年間のアトラスの改訂中に削除した多くの歴史的な手術にアクセスできるようにしました.歴史的手術の中には,縫合器・腹腔鏡・画像ガイド下低侵襲手術などの近代技術を駆使した新しい手技に代わった手術もあれば,まれにしか行われない手術もあり,いくつかの手術は適応が変わって消滅しました.
 以前は二つ折り用紙による機械的作図と製本技術が原因で,イラストレーターと執筆者にはページ制限があり,裏面の印刷物が透けて見える「裏抜け」を回避し高品質のイラストを再現するには,分厚いコート紙の在庫が必要でした.結果的に1980年代半ばに到達した500ページ程度に制限され,器械や腹腔鏡を使った新たな手術手技を追加しようとすると,まれにしか行われない手術(たとえば門脈下大静脈シャント)や専門医が行うようになった手術(たとえば開胸手術や肺手術)は,削除せざるをえませんでした.
 かつて日常的に行われていた多くの手術は失われてはならず,ページ制限がない電子媒体で「歴史的補遺」に保管しなければならないと,本書の著者と出版社は感じています.日常診療の性質上,教科書に掲載されていないような状況に一般外科医が遭遇することはまれではなく,特殊な状況や複雑な状況においては,今でも多くの歴史的手術が施行されています.特別な状況において外科医は,即座に外科的な解決を行わなければならず,そのようなときは一般原則や経験に頼ることが多く,とくに器械吻合や腹腔鏡手術などの高価な使い捨て手術器具を利用できない状況では,「古い手術」に助けられることになるでしょう.
 今では多くの医学図書館が,出版された教科書や医学雑誌をすべて購入・保存することはなく,ほとんどすべての医療施設や医師が,インターネットで世界中にアクセスできます.私たちは,電子版「歴史的補遺」が歴史的な手術手技を参照するときの隙間を埋めてくれるものと信じています.
 Cutler医師が共同執筆者を継承させたように,父は私を後継に指名しましたが,今回は私の番です.またE. Christopher Ellisonが本書を継続する新しい編集責任者になりました.彼は「Zollinger-Ellison症候群」のもう1人の息子であり,OSU医療センターの外科教授です.本書の主要な責務を担い,私の父が40年以上にわたって本書を育てたコロンバスのOSU外科部門に制作拠点を移すことを承諾してくれました.
 最後に,歴史的に重要な点として,父の論文と書物および本書の初期の版のイラストがOSU健康科学図書館医学遺産センターに保管されており,これらの資料が目録にまとめられオンラインで利用できることを追記しておきます.

 E. Christopher Ellison, MD
 Robert M. Zollinger, Jr., MD


訳者 序

 「ゾリンジャー」は世界中の外科医が読んでいる手術書です.見開きの左が解説,右が線画というスタイルは定評があり,正確で美しい高品質のイラストが魅力です.1937年の初版から信頼と実績を誇り,2011年に原書第9版,2016年に原書第10版が出版されました.
 第9版はイラストがすべてカラーになり「Zollinger-Ellison症候群(1955年)」の息子同士が共著者になりましたが,第10版は編集委員が入れ替わって内容が大きく改訂され,150章のうち50章を大幅修正,3つの古い手術を削除,19の新しい手術が追加され,各章の見出しは手術名になり,イラストは全部で1,710図になりました.

 アメリカ外科医の元祖ハルステッドは「丁寧な手術」を提唱し,(1)丁寧な操作(gentle handling of tissue),(2)確実な止血(accurate hemostasis),(3)鋭的剥離(sharp anatomical dissection),(4)無血術野(clean & dry field),(5)集束結紮の回避(avoidance of mass ligation),(6)細い縫合糸(fine suture material)を実践・指導しました.

 「ゾリンジャー」の根底には安全性を最優先したハルステッドの「丁寧な手術」があり,例えば「丁寧に/やさしく gently」という言葉は114か所,「注意して carefully」は374か所,「同定する」は201か所,「確認する」は438か所に使われています.

 「ゾリンジャー」は日本でも長く親しまれてきた手術書です.手術を学び始めた研修医や専門医を目指す専攻医から指導医・上級医まで広く利用されており,手術室や医局にも備えておきたい1冊です.今回も翻訳にあたっては「正確で読みやすい文章」を心がけ,随所に「訳注」を添えて説明を加えました[合計305か所].
 第9版の翻訳出版から5年,外科の現場を離れて教育職に移ったあとも再び世界的名著の出版をお手伝いすることができ,医学書院には心からお礼申し上げますとともに,私が外科医として仕事を共にしたすべての先輩・同僚・後輩に感謝します.

 2018年7月
 安達洋祐
目 次
第I部 基本―SECTION I BASICS
 [CHAPTER]
  1 手術手技
  2 麻酔
  3 術前準備と術後管理
  4 外来手術

第II部 外科解剖―SECTION II SURGICAL ANATOMY
 [CHAPTER]
  5 上腹部臓器の動脈
  6 上腹部臓器の静脈とリンパ管
  7 大腸の解剖
  8 腹部大動脈と下大静脈の解剖
  9 胸部と肺の解剖

第III部 開腹と開胸―SECTION III GENERAL ABDOMEN AND THORAX
 [CHAPTER]
  10 開腹と閉腹
  11 気腹(Hasson)
  12 気腹(Veress針)
  13 腹腔鏡診断
  14 腹膜透析カテーテル挿入
  15 開胸と閉胸
  16 胸腔鏡

第IV部 胃と食道の手術―SECTION IV ESOPHAGUS AND STOMACH
 [CHAPTER]
  17 胃瘻造設
  18 胃瘻造設(内視鏡)
  19 潰瘍穿孔閉鎖,横隔膜下膿瘍
  20 胃空腸吻合
  21 幽門形成,胃十二指腸吻合
  22 迷走神経切離
  23 迷走神経切離(横隔膜下法)
  24 胃半切除(Billroth I,手縫い)
  25 胃半切除(Billroth I,器械)
  26 胃切除(亜全摘)
  27 胃切除(亜全摘),大網切除
  28 胃切除(Polya)
  29 胃切除(Hofmeister)
  30 胃半切除(Billroth II,器械)
  31 胃全摘(手縫い)
  32 胃全摘(器械)
  33 胃空腸吻合(Roux-en-Y)
  34 噴門形成
  35 噴門形成(腹腔鏡)
  36 食道筋層切開(腹腔鏡)
  37 Roux-en-Y胃バイパス(腹腔鏡)
  38 スリーブ胃切除(腹腔鏡)
  39 調節性胃バンディング(腹腔鏡)
  40 食道切除(経腹)
  41 食道切除(経胸)
  42 幽門筋切開

第V部 小腸と大腸の手術
 ―SECTION V SMALL INTESTINE, COLON, AND RECTUM
 [CHAPTER]
  43 腸重積修復,Meckel憩室切除
  44 小腸切除
  45 小腸切除(器械)
  46 小腸吻合(器械)
  47 腸瘻造設
  48 虫垂切除
  49 虫垂切除(腹腔鏡)
  50 大腸の外科解剖
  51 回腸ストーマ
  52 結腸ストーマ
  53 ストーマ閉鎖
  54 結腸吻合(器械)
  55 右側結腸切除
  56 右側結腸切除(腹腔鏡)
  57 左側結腸切除
  58 左側結腸切除(腹腔鏡)
  59 腹会陰式直腸切除
  60 結腸全摘,大腸全摘
  61 直腸前方切除(端端吻合)
  62 直腸前方切除(器械)
  63 直腸前方切除(Baker)
  64 回腸肛門吻合
  65 直腸脱修復(会陰法)
  66 ゴム輪結紮と痔核切除
  67 膿瘍・痔瘻・裂肛の治療
  68 毛巣洞切除

第VI部 胆嚢と肝臓の手術
 ―SECTION VI GALLBLADDER, BILE DUCTS, AND LIVER
 [CHAPTER]
  69 胆嚢摘出(腹腔鏡)
  70 胆嚢摘出(開腹)
  71 総胆管切開(開腹)
  72 総胆管切開(経十二指腸)
  73 胆管十二指腸吻合
  74 胆嚢摘出(下行性),胆嚢部分切除
  75 胆嚢外瘻
  76 胆管空腸吻合
  77 肝門部腫瘍切除(Klatskin)
  78 肝生検
  79 肝臓の解剖と切除
  80 肝部分切除(非解剖学的)
  81 肝右葉切除(区域V~VIII±I)
  82 肝左葉切除(区域II~IV±I)
  83 拡大肝右葉切除(区域IV~VIII±I)

第VII部 膵臓と脾臓の手術―SECTION VII PANCREAS AND SPLEEN
 [CHAPTER]
  84 膵嚢胞ドレナージ
  85 膵空腸吻合(Puestow-Gillesby)
  86 膵体尾部切除
  87 膵体尾部切除(脾温存,腹腔鏡)
  88 膵頭十二指腸切除(Whipple)
  89 膵全摘
  90 脾摘
  91 脾摘(腹腔鏡)
  92 脾温存

第VIII部 生殖器と泌尿器の手術―SECTION VIII GENITOURINARY
 [CHAPTER]
  93 婦人科手術の概要
  94 経腟手術
  95 腹式子宮全摘
  96 卵管切除,卵巣摘出
  97 子宮頸部の診断手技(円錐切除,拡張掻爬)
  98 尿管損傷修復
  99 腎摘出(HALS)
  100 腎移植

第IX部 腹壁と鼠径の手術―SECTION IX HERNIA
 [CHAPTER]
  101 腹壁ヘルニア修復(腹腔鏡)
  102 腹壁ヘルニア修復(腹壁分離法)
  103 臍ヘルニア修復
  104 外鼠径ヘルニア修復
  105 外鼠径ヘルニア修復(Shouldice)
  106 内鼠径ヘルニア修復(McVay)
  107 鼠径ヘルニア修復(メッシュ,Lichtenstein)
  108 鼠径ヘルニア修復(メッシュ,Rutkow & Robbins)
  109 大腿ヘルニア修復
  110 大腿ヘルニア修復(メッシュ)
  111 鼠径部の腹腔鏡的解剖
  112 鼠径ヘルニア修復〔腹腔鏡,経腹的腹膜前法(TAPP)〕
  113 鼠径ヘルニア修復〔腹腔鏡,完全腹膜外法(TEP)〕
  114 陰嚢水腫修復

第X部 内分泌臓器の手術―SECTION X ENDOCRINE
 [CHAPTER]
  115 甲状腺亜全摘
  116 副甲状腺摘出
  117 両副腎摘出
  118 左副腎摘出(腹腔鏡)
  119 右副腎摘出(腹腔鏡)

第XI部 頭頸部の手術―SECTION XI HEAD AND NECK
 [CHAPTER]
  120 気管切開
  121 気管切開(経皮拡張法)
  122 根治的頸部郭清
  123 Zenker憩室切除
  124 耳下腺切除

第XII部 皮膚と乳房の手術―SECTION XII SKIN, SOFT TISSUE, AND BREAST
 [CHAPTER]
  125 センチネルリンパ節生検(黒色腫)
  126 乳房の解剖と切開
  127 乳房切除
  128 センチネルリンパ節生検(乳がん)
  129 腋窩郭清
  130 皮膚移植

第XIII部 血管の手術―SECTION XIII VASCULAR
 [CHAPTER]
  131 頸動脈内膜剥離
  132 血管アクセス(動静脈シャント)
  133 ポート留置(内頸静脈穿刺)
  134 中心静脈カテーテル挿入(鎖骨下静脈)
  135 腹部大動脈瘤修復
  136 大動脈大腿動脈バイパス
  137 上腸間膜動脈血栓除去
  138 大腿大腿動脈バイパス
  139 大腿膝窩動脈バイパス
  140 伏在静脈動脈バイパス
  141 大腿動脈血栓除去
  142 下大静脈フィルター挿入
  143 下肢静脈瘤レーザー焼灼
  144 門脈静脈シャント

第XIV部 四肢の手術―SECTION XIV EXTREMITIES
 [CHAPTER]
  145 筋膜切開
  146 焼痂切開
  147 切断の原則
  148 膝上切断
  149 手感染巣の切開ドレナージ
  150 腱縫合

索引