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今日の耳鼻咽喉科・頭頸部外科治療指針 第4版

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客観的で標準的な治療法を示す総合診療事典が全面改訂され、ついに刊行! 「総論」では臨床現場で直面する問題から出発し、どう診療を進めるかを解説しており、著者自身の考える診断に至るまでの過程を示す。「疾患篇」「全般篇」では、治療の考え方・進め方の要点、陥りやすい盲点を示し、患者説明に必要なポイント、薬の使い方なども具体的に解説。日常臨床に役立つのみならず、耳鼻咽喉科専門医を目指す医師にとっても必携の書。
シリーズ 今日の治療指針
監修 森山 寛
編集 大森 孝一 / 藤枝 重治 / 小島 博己 / 猪原 秀典
発行 2018年06月判型:A5頁:736
ISBN 978-4-260-03452-4
定価 17,600円 (本体16,000円+税)

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第4版序

 耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学の領域は確固たる専門性を有し,関連領域との連携を保ちつつ,高いレベルの診療を維持し,医療を取り巻く環境の厳しい時代においても信頼を保持できる専門領域といえます.
 1992年に刊行された初版はこの領域の初めての治療指針であり,当時の最先端の医療を紹介し非常な好評を得ました.医学の進歩と医療技術の向上は目覚ましく,2003年には第2版を刊行し,読みやすく信頼のおける治療指針として多くのご支持・ご好評をいただきました.その後,最新の医療を紹介すべく2008年に第3版を刊行し,多くのトピックス,進歩を盛り込みました.
 さらに10年が経過し,検査や治療などに関する医療革新は驚異的なものがあり,また医療に対する社会のニーズや要求も高まっています.また難治疾患,希少疾患も増え,日常診療においてはさまざまな課題も山積しており,これらの状況に対応するためにこのたび第4版を刊行することとなりました.
 本書に掲載されている内容は,本邦における経験豊かな筆者らの経験と考え方に基づいた治療指針です.治療の考え方と進め方について,必要な要点や陥りやすい盲点,患者説明に必要なポイント,薬の使い方などがわかりやすく解説されています.
 また,本書は今日的診療レベルの王道を示す羅針盤として「第一線の診療にすぐに役立つ総合診療事典」であると確信しています.毎日の診療に役立つ必携書としての役割はもとより,ご好評をいただいた第3版の方針を踏まえ,診療現場での参照に応える,充実・洗練した内容の治療指針となっています.
 最後に,本書を編集するにあたり,多忙な時間を割いてご寄稿くださった先生方に深く感謝申し上げるとともに,本書が今後の耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学の医学・医療の向上に少しでも役に立つことを念願する次第です.

 2018年5月
 監修者・編集者一同

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総論
 1 患者の診かた
 2 基本となる検査

疾患篇
 3 耳疾患
 4 鼻・副鼻腔疾患
 5 口腔・咽頭疾患
 6 喉頭・気管・食道・頸部疾患
 7 頭頸部疾患
 8 免疫・アレルギー疾患,特殊感染症

全般篇
 9 機能を代償する医療機器
 10 リハビリテーション

付録
 A 耳鼻咽喉科研修カリキュラム
 B 用語・手引き・診断基準など
 C 予防接種
 D 公的文書

和文索引
欧文索引

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忙しい臨床医が診療の場ですぐに参照できる座右の書
書評者: 山中 昇 (藤沢御所見病院院長/和歌山医大名誉教授)
 このたび『今日の耳鼻咽喉科・頭頸部外科治療指針 第4版』が刊行された。本書は初版が26年前(1992年)に刊行され,その後も第2版,第3版と各時代の耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の治療学の粋を網羅するバイブル的テキストの役割を果たしてきている。

 第3版から第4版に至る10年間は耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の疾患概念の整理が進み,エビデンスに基づいた医療(EBM)が急速に普及し定着してきた。その結果,多くの診断基準や診療ガイドラインが提唱されている。さらに2017年に新専門医制度が開始され,耳鼻咽喉科専門医のための研修カリキュラムも発表された。このような10年を反映した第4版の特徴は,(1)最新最良の診療“事典”であること,(2)研修カリキュラムを遂行する上で必要十分な知識を習得することができること,(3)付録として巻末に研修カリキュラムの内容,診断基準,診療ガイドライン,身体障害者診断書・意見書の書き方などを掲載し,実地臨床において不可欠な情報を提供していること,以上3点にまとめられると考える。

 診療“事典”であるために必要な条件は何であろうか。本編で収載された322項目は,評者が全項目を渉猟して取り上げられなかった項目を見い出すことは不可能であり,耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域で考え得るほぼすべての疾患を網羅しており,十分に“事典”と言える。これらの項目を選択し,それぞれに対して本邦におけるエキスパートを執筆者として選任された日本耳鼻咽喉科学会理事長・森山寛慈恵医大名誉教授をはじめとする5名の編集者のご苦労は並大抵ではなかったであろう。各疾患の解説は研修医だけでなく,専門医・実地臨床医に対しても十分に有益で満足するものである。「治療方針」の項では,診療ガイドラインに基づいて解説されている疾患も多く,実地臨床ですぐに使えるように具体的な治療内容が記載されており非常に役立つ。さらに「患者説明のポイント」ではエキスパートがその疾患をどのように捉え,患者へどのように伝えるのかが書かれており,いくつかの疾患におけるポイントを比較して読んでみると大変興味深く一読をお勧めする。第9章の「機能を代償する医療機器」では,近年著しい進歩を遂げている補聴器,人工内耳,人工中耳,CPAP(経鼻的持続陽圧加圧装置)などについての仕組み,適応,手術法,管理法などがわかりやすく解説されている。さらに第10章では「リハビリテーション」が独立して取り上げられ,日常臨床において知識が希薄になりやすい,難聴,めまい,耳鳴,言語障害,構音障害,嚥下障害などに対するリハビリテーションが過不足なく解説されており,大変有用である。

 本書は大変コンパクトであり,その内容は全ての疾患が統一された形式で書かれ,カラー写真や図表もふんだんに挿入されているため,大変わかりやすく仕上がっている。忙しい臨床医が診療の場ですぐに参照できる座右の書として一冊置かれることを強くお勧めする。
今日からの臨床に自信を与えてくれる一冊
書評者: 甲能 直幸 (佼成病院院長/杏林大特任教授・耳鼻咽喉科・頭頸科)
 第一線の診療にすぐに役立つ,最新の総合診療事典として出版された本書は約700ページの中に322項目を収載し抜群の網羅性を誇り,実に読みやすく理解しやすい構成となっている。事典の本来の目的である調べたい項目をチェックするだけでなく,現在のこの領域での医療の状況を確認する目的で通読しても良い。まさに耳鼻咽喉科・頭頸部外科の最良の治療指針である。

 総論として,患者の診かた(1章)や基本となる検査(2章)が記述されている。診療科の特殊性,専門性が再確認され,症状に合わせてどのように診断を進めるかをよく理解することができる。この領域の専門医のみならず,他科の医師にも非常に参考になると思われる。続いて3~8章では,本書の大部分を占める疾患の解説,治療方法,薬の使い方の具体例,予後,患者説明のポイントが領域別に,詳細かつ簡潔に記述されている。限られた紙面に,よくこれだけの情報をまとめたものだと感嘆する。著者たちの英知の結集である。要所に挿入された写真や図表も疾患の特徴,診断の要点などをまとめており,理解に役立つ。次の9章では,本領域で扱う疾患の大部分が感覚器であるがゆえの機能低下・損失に対する医療機器による機能の代償が記述されている。この分野の進歩は近年目覚ましいものがあるが,現状での最先端の機種が紹介されている。そして10章で述べられているリハビリテーションも,機能回復には重要な医療であり,超高齢化社会がもたらす問題点でもある加齢による嚥下機能低下への対策も記述されている。すなわち疾患の治療のみならず,治療後の各種機能の保持に対する対応策の現状が解説されている。最後に付録として,研修カリキュラム,用語・手引き・診断基準,公的文書作成の補助が書かれている。至れり尽くせりである。

 本書では項目の配置に工夫がなされており,症状に対する診断の進め方,疾患の治療法,続発する機能低下への対応,リハビリテーションと進んでいく。流れるように読み進むことができ,理解することができる。これが本事典の特徴であり,見事なアイデアである。この一冊で本領域で研修する医師に必要とされる知識の全てが網羅されているし,耳鼻咽喉科専門医をめざす医師に必要な標準的な治療法も示されている。加えて,各項目では丁寧にしかも要領よくポイントを押さえた解説がなされており,耳鼻咽喉科・頭頸部外科医となって45年が経過した評者にとっても非常に参考になり,ためになる一冊である。ハンディタイプで持ち運びに便利であり,診察スペースにチョコンと置いても邪魔にならない。今日からの臨床に自信を与えてくれる一冊であると思う。

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