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老人のリハビリテーション


(第8版)

原著:福井 圀彦
著:前田 眞治

  • 判型 B5
  • 頁 416
  • 発行 2016年01月
  • 定価 6,480円 (本体6,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-02428-0
高齢者に対するリハビリテーションを深く理解するための必携書
高齢者に生じる疾患とその障害のリハビリテーションについて学べる定番書の第8版。今版では、新たにがんや腎臓・肝臓疾患の章が加わり、高齢者にかかわる主要な疾患の解説が網羅された。さらにフルカラー化に伴い、豊富なイラストや図表も一新され、まさに「今の時代をとらえたテキスト」として生まれ変わった。
序 文
第8版の序

 わが国は他に類をみない速さで超高齢社会に突入し,その比率も年々増加の一途をたどっている。第二次世界大戦直後のベビーブームで生まれた団塊の世代も高齢者となる年代になっている。さらに近年の医療の進歩と国民の健康への意識の向上から,65歳以上の高齢者は全人口の25%以上に...
第8版の序

 わが国は他に類をみない速さで超高齢社会に突入し,その比率も年々増加の一途をたどっている。第二次世界大戦直後のベビーブームで生まれた団塊の世代も高齢者となる年代になっている。さらに近年の医療の進歩と国民の健康への意識の向上から,65歳以上の高齢者は全人口の25%以上に達し4人に1人への時代に入っている。若年層の都市集中などで地域では高齢世帯,特に一人暮らしの高齢者の増加が深刻化している。
 高齢者の罹患する疾患も徐々に変化し,高血圧や脂質異常症など生活習慣病の健康診断での発見,その後の管理などが国民に浸透し,脳血管障害で死亡する人が減った半面,がんなどの悪性新生物や心臓疾患に罹患する割合が増えてきている。リハビリテーションにおいても,その内容が変化し心臓疾患,肺疾患,腎臓疾患,消化器系の悪性新生物など,内部臓器疾患がリハビリテーションの対象疾患になり,大きなウエイトを占めるようになってきている。また医学の発展とともに治療内容も変化し,例えば関節リウマチでは,薬物療法により新しく発症する患者の障害を抑えることができるようになり,リハビリテーションの様相が激変している。さらに切断者も以前は若年者の事故によるものが多かったが,最近は閉塞性動脈硬化症などの循環障害に伴う切断でその対象者のほとんどを占めるようになり,高齢者の障害として様変わりしている。これら時代の変遷とともに,ますます高齢者に対するリハビリテーションの必要性が増大している。
 本書の表題にもある「老人」という言葉は,一般には「老いる」といったようにとらえがちである。しかし,江戸時代の「老中」などという言葉にみられるように「老」という文字には崇高で気高い地位の人を示す意味もあり,尊敬の念をもって本書の中ではときに「老人」と表現させていただいていることをご理解いただきたい。
 なお今版より,本書を初版から第4版にわたって執筆され,第5版から第7版まで監修を務められた福井圀彦先生のお名前は原著者として載せさせていただいている。
 第7版からしばらくぶりの改訂であるが,医学の進歩に伴う急激な変遷を反映した内容としており,皆様のリハビリテーションの学問と臨床に貢献できる書物となることを願うものである。

 2015年12月
 前田眞治
目 次
I.加齢と疾患
  A.老化の特徴
  B.加齢に伴う変化
  C.老人疾患の特徴
  D.高齢者に比較的特徴的な疾患
  E.高齢者の機能低下の特徴

II.老人の尊厳とその接し方
  A.老人の尊厳について
  B.接し方
  C.老人の訴えの特徴

III.主な老人性疾患のリハビリテーション
 1 神経疾患とそのリハビリテーション
  A.脳血管障害のリハビリテーション
  B.血管内手術
  C.脳卒中発症直後の血圧管理とリハビリテーション
  D.脳卒中治療の未来と展望
  E.脳血管障害リハビリテーションの骨組み
  F.医学的リハビリテーションの実際
  G.脳卒中リハビリテーションの流れ
  H.日常生活活動訓練
  I.高齢片麻痺患者のリハビリテーションにおけるリスク管理と事故
 2 脳血管障害の画像診断
  A.脳血管障害早期の画像診断
  B.脳卒中の頭部X線CT所見
  C.脳卒中の頭部MRI-CT画像
  D.頭部CT画像の各レベルのみかた
  E.脳回の同定法
 3 脳損傷と高次脳機能障害
  A.前頭葉
  B.頭頂葉
  C.後頭葉
  D.側頭葉
  E.島回
  F.辺縁系
  G.脳梁
  H.視床
 4 失語,失行,失認と記憶・回復
  A.失語症
  B.失認,失行
  C.リハビリテーションで問題となる失認
  D.リハビリテーションで問題となる失行
  E.失認・失行のリハビリテーション
  F.記憶
  G.回復の機構
 5 パーキンソン病のリハビリテーション
  A.臨床症状
  B.診断,評価
  C.治療
  D.リハビリテーション
  E.食事動作に対する対応
  F.排泄に対する対応
 6 心臓疾患のリハビリテーション
  A.高齢者の心臓の生理,病理
  B.高齢者の心臓疾患
 7 呼吸器疾患のリハビリテーション
  A.高齢者に多い慢性呼吸器疾患
  B.高齢者の慢性呼吸器疾患の治療とリハビリテーション
  C.呼吸障害患者に対する訓練法
 8 腎臓・肝臓リハビリテーション
  A.腎臓リハビリテーション
  B.肝臓リハビリテーション
 9 生活習慣病のリハビリテーション
  A.生活習慣病
  B.メタボリックシンドローム
  C.糖尿病のリハビリテーション
  D.高血圧患者のリハビリテーション
  E.脂質異常症のリハビリテーション
  F.肥満・肥満症の運動療法
  G.高尿酸血症・痛風の運動療法
 10 尿路疾患のリハビリテーション
  A.高齢者の尿路疾患の種類
  B.排尿機構とその神経系
  C.神経因性膀胱
  D.認知症に伴う尿失禁
  E.尿閉,排尿困難
  F.尿失禁,特に真性腹圧性尿失禁について
  G.薬剤の副作用による排尿障害
  H.尿失禁に対するリハビリテーション
 11 認知症のリハビリテーション
  A.高齢者の心理的・精神的変化
  B.認知症
  C.主な認知症性疾患の病態と症状
  D.認知症高齢者のケア
  E.その他の精神障害とリハビリテーション
  F.認知症対策と生活管理
 12 運動器疾患のリハビリテーション
  A.高齢者の骨折
  B.高齢者の転倒予防
  C.骨粗鬆症
  D.腰痛のリハビリテーション
  E.変形性膝関節症
  F.肩甲関節周囲炎(四十肩,五十肩)
  G.ロコモティブシンドローム,サルコペニア,フレイルなど高齢者に伴う症候群
 13 脊髄損傷のリハビリテーション
  A.脊髄の解剖と脊髄損傷
  B.高齢者の脊髄損傷の特徴
  C.急性期の合併症と呼吸理学療法
  D.慢性期の呼吸理学療法
  E.麻痺の評価
  F.身体的リハビリテーション
  G.脊損高位と到達レベル
  H.理学療法
  I.作業療法
  J.自律神経機能障害
  K.排尿・排便管理
 14 切断者のリハビリテーション
  A.切断部位と義肢の名称
  B.下肢切断
  C.上肢切断
  D.切断を生じる主な末梢血管性疾患
  E.末梢血管性疾患の予後,治療,リハビリテーション
 15 関節リウマチのリハビリテーション
  A.年齢分布
  B.症状
  C.診断基準
  D.治療
 16 悪性腫瘍(がん)患者のリハビリテーション
  A.がん患者のリハビリテーション
  B.がん患者と廃用症候群
  C.緩和ケアにおけるリハビリテーション

IV.知っておくべき多様な問題点
 1 障害者の心理
  A.障害者の人権
  B.ノーマライゼーションについて
  C.人間のもつ防衛機制
  D.リハビリテーションと心理
 2 廃用症候群,誤用症候群,過用症候群
  A.廃用症候群,誤用症候群,過用症候群とは
 3 嚥下障害
  A.嚥下障害とは
  B.病態生理
  C.嚥下障害の原因疾患
  D.嚥下障害の診断
  E.嚥下障害の検査
  F.嚥下訓練
  G.嚥下障害の治療法
  H.実際の嚥下障害食
  I.嚥下訓練

文献
索引