公衆衛生看護技術 第3版

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本巻は、保健師国家試験出題基準(平成26年版)の次の内容に対応しています。 ・公衆衛生看護学概論(2.公衆衛生看護学の対象と方法) ・公衆衛生看護方法論 I (1.公衆衛生看護の対象となる人々 2.保健行動と保健指導 3.健康相談 4.家庭訪問 5.ケアマネジメント 6.健康診査、健診 7.健康教育 8.グループ支援) ・公衆衛生看護方法論 II (5.地域組織活動 6.地域ケアシステムづくり) 保健指導、家庭訪問、健康教育、地域組織活動、地域ケアシステムづくりなど、保健師として地域看護を実践する上で必要とされる技術について解説します。その活動実践のベースとして必要な各理論についても、学生の理解が深まるように具体的に解説します。
*「標準保健師講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準保健師講座 2
執筆 中村 裕美子 / 中谷 久恵 / 松下 拡 / 山崎 喜比古 / 渡部 月子 / 標 美奈子 / 真嶋 由貴惠 / 村岡 恵子 / 石川 由美子 / 鈴木 浩子 / 金子 絵里乃 / 中山 貴美子 / 鳩野 洋子
発行 2016年01月判型:B5頁:280
ISBN 978-4-260-02193-7
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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はしがき

 少子高齢社会のなか,保健師活動では予防の重要性が強くうたわれ,健康な地域づくりが重要な課題となっています。さらに,在宅看護の需要の拡大から療養支援には生活の視点が重要になっています。公衆衛生看護学は,保健師だけでなく看護師にとっても必要不可欠なものです。多くの看護職が公衆衛生看護の志向を持つことが求められています。
 いま保健師教育の場は,これまでの3年制の看護学教育に1年制の保健師教育を付加する養成所や短期大学専攻科における養成に加え,看護学に統合された4年制大学および大学院修士課程など多様化しつつあります。なかでも多くの4年制大学では,公衆衛生看護学について限られた時間内で講義や臨地実習をしており,教員が信頼して学生に読ませることのできるテキストが必要とされています。また,大学生には看護師と保健師の2つの国家試験を受験するため,保健師国家試験にむけて短時間で効率よく,自己学習できるテキストが求められています。
 本講座は,教員や学生のニーズに応え,標準的な保健師教育のための教科書として,保健師に求められる基本的な知識と技術を習得することを目ざし企画されました。
 本講座の特色は,改定された保健師国家試験出題基準の項目をすべて網羅したかたちで,保健師として押さえておくべき内容をコンパクトにまとめたことです。
 本来,保健師の仕事は,応用が必要で創造的なものですが,基本がおろそかでは,応用的な課題に対応できないといえます。「理念や理論を押さえたうえでの基本の理解と,実践能力豊かな専門職の教育」を本講座のねらいとしました。

 本講座 の構成は,『公衆衛生看護学概論』『公衆衛生看護技術』『対象別公衆衛生看護活動』の3巻と『保健医療福祉行政論』『疫学・保健統計学』の別巻2巻による全5巻構成です。
 本巻3冊は,保健師の基本として理念や考え方を述べた1巻『公衆衛生看護学概論』,保健師にとって公衆衛生看護を実践するうえで必要とされる技術をまとめた2巻『公衆衛生看護技術』,対象別・課題別の活動を展開する3巻『対象別公衆衛生看護活動』です。
 さらに,保健師の習得しておくべき基本的知識として,主たる活動の場の理解を深める『保健医療福祉行政論』,保健活動をデータで方向づける『疫学・保健統計学』を,別巻の2冊としてコンパクトにまとめました。
 執筆者は保健師として現場経験豊富な看護大学教員や,地域保健に詳しい公衆衛生医師らで構成しました。

 本書は,保健師国家試験出題基準(平成26年版)の次の内容に対応しています。
・公衆衛生看護学概論(1.公衆衛生看護学の成立基盤 2.公衆衛生看護学の対象と方法)
・公衆衛生看護方法論I(1.公衆衛生看護の対象となる人々 2.保健行動と保健指導 3.健康相談 4.家庭訪問 6.健康診査,検診 7.健康教育 8.グループ支援)
・公衆衛生看護方法論II(5.地域組織活動 6.地域ケアシステムづくり)
 本書では,公衆衛生看護学の基本的な技術として,保健指導,家庭訪問,健康教育,グループ支援と組織化,地域ケアシステムの構築について解説しています。それぞれのテーマごとに,基本的な理念,理論,方法や技術を示し,その後に具体的な事例を配置して,実践的な学習が展開できるように配慮してあります。

 本書を活用されたみなさんが,公衆衛生看護を担う保健師として活躍されることを願っています。

 2015年11月
 著者ら

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1章 公衆衛生看護における機能と技術
 A 公衆衛生看護における機能と技術とはなにか (中村裕美子)
  1.公衆衛生看護に求められる機能と技術の背景
  2.公衆衛生看護に求められる機能と技術
  3.公衆衛生看護の技術を発展させる能力
  4.公衆衛生看護における保健指導
2章 公衆衛生看護における対象の理解
 A 公衆衛生看護の対象と支援方法 (中村裕美子・中谷久恵)
  1.生活者としての個人の理解と支援技法
  2.家族を単位とした対象理解と支援技法
  3.グループ・組織の理解と支援技法
 B 地域の健康問題の構造 (松下拡)
  1.自立支援について
  2.健康問題の構造
  3.生活習慣に関する問題をさぐる
  4.社会的背景と健康問題
  5.子育てにおける問題の構造を考える
3章 公衆衛生看護の基盤となる理論
 A 保健行動理論と保健指導で活用できる理論 (神馬征峰・中村裕美子)
  1.行動をとりまくさまざまな要因
  2.保健行動とはなにか
  3.用語の定義
  4.健康教育の基盤となる理論
  5.健康教育理論・モデル
  6.コーチング
  7.セルフケア不足理論
 B 「健康への力」に関する理論 (山崎喜比古)
  1.「健康への力」への着眼
  2.ヘルスリテラシー
  3.「ライフスキル」と「生きる力」
  4.エンパワメントの過程と指標
  5.ヘルスコンピテンス
  6.ストレス対処力
 C 地域組織活動で活用できる理論・方法論 (神馬征峰)
  1.コミュニティ-アズ-パートナーモデル
  2.コミュニティエンパワメント
  3.コミュニティオーガニゼーションとコミュニティビルディング
  4.コミュニティ開発
  5.プリシード-プロシードモデル
  6.参加の技術
4章 保健指導の展開
 A 保健指導のおもな技術 (渡部月子)
  1.カウンセリングを用いた保健指導
  2.ケースワークを用いた保健指導
  3.グループワークを用いた保健指導
 B 健康相談 (標美奈子)
  1.健康相談の目的
  2.健康相談の対象
  3.健康相談の方法とその特徴
  4.健康相談の種類
  5.健康相談の契機
  6.健康相談の展開方法
  7.支援者の基本姿勢
  8.健康相談から地域の活動への展開
  9.事例:若年性認知症患者を介護する妻からの健康相談
 C 健康診査 (標美奈子)
  1.健康診査の目的
  2.健康診査の対象
  3.健康診査の方法
  4.周知方法と健康診査受診の動機づけ
  5.健康診査における保健指導
  6.健康診査の実際
 D ICTを用いた保健指導 (真嶋由貴惠)
  1.保健医療分野における情報化
  2.公衆衛生看護における情報通信技術(ICT)の活用
  3.ICT利用の注意
  4.公衆衛生看護におけるICT活用事例
5章 家庭訪問による支援の展開
 A 家庭訪問における保健指導 (標美奈子)
  1.家庭訪問の目的
  2.家庭訪問の特徴
  3.家庭訪問の機能
  4.家庭訪問のプロセス
  5.家庭訪問の具体的手順
  6.受け入れ困難事例への対応
  7.プライバシーなどへの配慮
 B 家庭訪問による支援の実際 (標美奈子・村岡恵子・石川由美子・鈴木浩子)
  1.事例1:低出生体重児の母子への支援
  2.事例2:子どもの発達に不安をいだく母親への支援
  3.事例3:障害を受容する過程への支援
  4.事例4:筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者・家族への支援
6章 健康教育の展開
 A 地域における健康教育の位置づけ (中村裕美子)
  1.公衆衛生看護における健康教育のパラダイムの変化
  2.健康教育の定義
  3.健康教育の目的と目標
  4.健康教育の対象と場
 B 健康教育の技術 (中村裕美子)
  1.学習と教育
  2.学習方法のタイプ
  3.健康教育の方法と特徴
  4.健康教育における教育技術
  5.話し合いによる学習方法
 C 教育媒体(教材) (渡部月子)
  1.教育媒体(教材)とは
  2.健康教育における教材
  3.教材の選定
 D 健康教育の展開過程 (渡部月子)
  1.健康教育の準備:企画書と指導案の作成
  2.健康教育の実施
  3.健康教育の評価
  4.健康教室終了後の参加者のフォロー
  5.自立支援・組織化への支援
 E 健康教育の実際 (中村裕美子)
  1.保健師のジレンマ
  2.参加者と担当スタッフ
  3.教室の企画立案
  4.教室の具体的な展開
  5.教室での学習の発展と運営
  6.教室後の参加者の学習活動の継続
  7.教室の展開における保健師の役割
  8.糖尿病教室の評価
7章 地域組織活動の展開
 A 地域組織活動の歴史 (中村裕美子)
  1.明治期の衛生行政と住民の地域組織活動
  2.大正~昭和初期の地域組織活動
  3.1950年代~1960年代前半の地域組織活動
  4.1960年代後半~1970年代の地域組織活動
  5.1980年代~1990年代の健康学習と自主的な地域組織活動
 B 地域組織活動にかかわる概念 (中村裕美子)
  1.公衆衛生看護における地域組織活動
  2.地域組織活動の展開
  3.地域組織活動における保健師の役割
  4.地域組織活動で用いられるおもな概念
 C 当事者組織とその支援 (金子絵里乃)
  1.当事者組織とは
  2.当事者組織の歴史
  3.当事者組織の機能と種類
  4.当事者組織への保健師の支援
 D 住民の自立支援と地域組織活動の実際 (中山貴美子・鳩野洋子)
  1.事例:和泉市における住民ボランティア組織の育成と地域づくり
  2.解説
8章 地域ケアシステムの構築とネットワーク化
 A 地域ケアシステムの構築 (中村裕美子)
  1.地域ケアシステムの概念
  2.地域ケアシステム構築に必要な基本概念
  3.地域ケアシステムの構築
  4.日本における地域ケアシステムの構造的転換
 B ネットワーク化と調整活動 (中村裕美子)
  1.ネットワークの形成
  2.地域保健法における地域ケアの調整活動
  3.関係機関・関係職種・住民とのチームワークおよび協働活動
  4.連携会議の企画運営
  5.地域ケアシステムの展開

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