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≪助産学講座 3≫

基礎助産学[3]

母子の健康科学


(第5版)

編集:我部山 キヨ子/武谷 雄二
執筆:欅田 尚樹/堤 ちはる/森田 展彰/浅井 光興/眞鍋 えみ子/宮崎 秀夫/矢野 忠/永井 千穂/井村 真澄/平山 博章/池上 清子

  • 判型 B5
  • 頁 264
  • 発行 2016年01月
  • 定価 4,104円 (本体3,800円+税8%)
  • ISBN978-4-260-02173-9
本書の特長
多角的な視点で母子の健康問題にアプローチできます
母子の健康に影響を及ぼす因子として、栄養、物理・化学的環境、嗜好・薬物はもとより、運動、歯科保健、補完代替医療についても最新の知見を取り入れて章立てしました。
豊富な図表やNOTEを通して理解がより一層深まります
よりイメージがわきやすいように数多くの図表を配し、本文に出てくる難しい用語の補足や発展的な内容をNOTEとして欄外に載せました。
*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文


助産師をめぐる動向
 近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。ま...


助産師をめぐる動向
 近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化・少子化が進行し高度生殖補助医療は日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。育児不安・子どもの虐待など育児をめぐる問題も多様化・深刻化し,児童虐待相談件数の高どまり,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害,在日外国人の母子保健,女性へのドメスティック・バイオレンスやリプロダクティブ・ヘルス/ライツ,受精卵のES細胞や胎児組織の再生・移植医療への応用など,母子や性と生殖に関する多くの課題が山積している。
 このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とした。
 わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省報告書),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
 助産師教育の充実をはかるために,保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。さらに,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正により,助産師教育の単位数総計は23単位から28単位に増加した(2011年4月)。指定規則の改正に伴い,助産師に要求される実践能力として,(1)助産師における倫理的課題に対応する能力,(2)マタニティケア能力,(3)性と生殖のケア能力,(4)専門的自律能力が示され,今後より強化されるべき助産師の役割と機能も具体的に挙げられている。

改訂の趣旨
 改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第5版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師をめぐる動向で記述したような状況にも対応できる助産師を養成することを目ざすことにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
 2013年5月,「保健師助産師看護師国家試験出題基準平成26年版」が公表された。本巻(基礎助産学[3]母子の健康科学)と密接に関連するのが「基礎助産学 I」の大項目「7.母子の健康に影響を及ぼす因子」であり,その中項目として「栄養」「物理・化学的環境」「嗜好・薬物」が取り上げられた。本巻の改訂にあたっては,これらの中項目に対して1章ずつ割りあて,最新の知見に基づいて記述を充実させた。また,そのほかにも母子の健康に影響を及ぼす因子として重要と思われる「運動」「歯科保健」「補完代替医療」「家族計画」について章だてし,さまざまな視点から母子の健康を考えられる構成とした。
 執筆者は各領域の最前線で先進的教育や活動を行っている専門家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと,せつに願っている。
 なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第5版を重ねるにいたった。ここに改めて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。

 2015年11月
 編者ら
目 次
第1章 母子と生活環境
 A 物理的要因
  1 放射線
  2 非電離放射線
  3 騒音
 B 化学的要因
  1 国内外の環境問題の歴史
  2 大気汚染
  3 食品保健
  4 微量化学物質と子どもの健康
  5 水道
第2章 母子と栄養
 A 母子の健康と食生活
  1 妊娠期・授乳期の栄養と食生活
  2 栄養に関する基礎知識
  3 「日本人の食事摂取基準」の基礎知識
  4 栄養状態の評価
 B 妊婦の栄養
  1 妊婦の栄養と食生活
  2 母体の栄養と胎児の発育
  3 妊産婦のための食生活指針
 C 授乳婦の栄養
  1 授乳期の食事と母乳分泌
  2 妊娠糖尿病既往女性の出産後の留意点
 D 乳幼児の栄養
  1 乳幼児の発育・発達と食生活の意義
  2 乳児期の特徴
  3 乳汁栄養
  4 離乳期の栄養
  5 幼児期の食と栄養
  6 乳幼児期の病態栄養
 E 学童・思春期の子どもの栄養
  1 栄養の観点からみた学童期・思春期の特徴
  2 身体発育の特徴
  3 精神機能の発達と食行動の問題
  4 学童期・思春期の食生活の問題と健康への配慮
第3章 母子と嗜好品・薬物
 A タバコ
  1 喫煙率の推移
  2 タバコ対策の現状
  3 喫煙による健康影響
 B アルコール
  1 胎児性アルコール症候群,胎児性アルコール・スペクトラム障害
  2 流産・死産
  3 アルコール使用障害と子どもに与える影響
  4 援助
 C 依存性薬物
  1 日本における依存性薬物の使用
  2 薬物が胎児に与える影響
  3 薬物使用障害と養育
  4 援助
第4章 母子と運動
 A 妊産婦の運動生理学
  1 妊婦スポーツの目的
  2 妊婦スポーツの問題点
  3 運動に対する母体の反応
  4 運動による胎児の反応
  5 妊婦スポーツのガイドライン
 B 妊産婦の運動の実際
  1 運動の考え方
  2 身体活動とメッツ
  3 エクササイズの種類
  4 エクササイズ時の基本姿勢
  5 ストレッチングとエクササイズの実際
  6 集団実技指導の実際
  7 妊婦スポーツの種類
第5章 母子の歯科保健
 A 歯,口腔の発育・発達と母子の歯科保健
  1 歯,口腔の発生・発育とその異常
  2 摂食と口腔機能の発達
  3 乳幼児の齲蝕
  4 妊婦・産後の歯科保健
第6章 母子と補完代替医療
 A 東洋医学
  1 東洋医学と鍼灸医学
  2 鍼灸医学の特色
  3 鍼灸医学における治療手段と治療方針
  4 東洋医学における女性のからだ
  5 東洋医学の病因論
  6 鍼灸医学における治療原則
  7 助産技術に応用する鍼灸(ツボ)療法
 B アロマセラピー
  1 アロマセラピーの概要
  2 産科領域での取り組み
  3 まとめ
 C タッチケア
  1 タッチケアの概要
  2 タッチケアの効果
  3 タッチケアの実際
  4 NICUタッチケア:実施上の注意点
  5 タッチケアの具体的展開方法
  6 まとめ
 D リフレクソロジー
  1 リフレクソロジーとは
  2 リフレクソロジーの起源と歴史
  3 基本手技および効用
  4 医療における応用
  5 リフレクソロジーの現状と問題点
第7章 家族計画
 A 世界の家族計画
  1 妊産婦死亡と家族計画
  2 世界的な開発枠組みと家族計画
  3 思春期保健における家族計画と継続ケア
  4 家族計画が内包する政治・文化的な課題
  5 家族計画推進のために残された課題
 B 各国の家族計画
  1 インドネシア
  2 イラン
  3 オランダ

索引