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助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)にもとづいた

助産実践能力育成のための教育プログラム


編集:日本助産実践能力推進協議会 

  • 判型 B5
  • 頁 212
  • 発行 2015年04月
  • 定価 2,916円 (本体2,700円+税8%)
  • ISBN978-4-260-02089-3
新人助産師が一人前に成長するまでの育成過程がわかる書
本書は、「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)」にもとづいて、新人助産師が助産師外来や院内助産を自立して実施できるレベル(ラダーレベルⅢ)に成長するまでを、必要な教育(OJT、研修など)や評価のポイントを具体的に示しながら解説する。助産師が自信をもって分娩介助や妊婦・褥婦のケアができるための望ましい教育や環境も紹介。管理者や臨床指導者のみならず、キャリア形成を考えている助産師にも参考となる。
序 文
発刊にあたって

 2013(平成25)年8月に,日本看護協会から『助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)活用ガイド』(以下,「活用ガイド」)が発行されてから1年半が経過しました。この間,現場のニーズに対応し「活用ガイド」が広く活用されるよう,「活用ガイド」の解説編も発行されまし...
発刊にあたって

 2013(平成25)年8月に,日本看護協会から『助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)活用ガイド』(以下,「活用ガイド」)が発行されてから1年半が経過しました。この間,現場のニーズに対応し「活用ガイド」が広く活用されるよう,「活用ガイド」の解説編も発行されました。そして,インターネット研修を含む,さまざまな研修会や全国の助産師職能委員会,助産師職能集会などで,解説編を用いた「活用ガイド」の普及啓発を行ってきました。
 「活用ガイド」の解説編による普及が広まり,助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)レベルⅢ認証の申請時期が明確になると,申請に向けた臨床助産師の反応が活発になってきました。特に教育を提供する組織側や職能団体などからのご意見を多数いただきました。どのような目的で,どのような研修内容を準備すればよいのか,すべてのステップアップに対応する研修計画だと膨大な研修の数になるが,何を指標とすればよいのか,という相談が相次ぐようになりました。
 そのような相談に対する返答では,施設での勉強会をステップアップ研修として位置づけてもよいとしていましたが,これまで系統立てられた研修や学習会が行われてこなかったという臨床の状況から,どのような目的でどのような内容を計画すればよいのかという相談や質問に変わってきました。
 「活用ガイド」では,クリニカルラダーに活かす研修の考え方と,活用できる研修の一覧を記してあります。研修計画の例も示してありますが,助産実践能力の枠組みを示す「コア・コンピテンシー」のカテゴリごとに研修計画を提示するには至りませんでした。このことから,研修を企画する教育担当者や看護管理職らからカテゴリごとの研修計画についての質問や,疑問,要望などが多数寄せられたと考えています。このような現場のニーズに応えようと,本書が完成しました。

 本書では,社会の変化と助産師への期待が熱く述べられ,助産師のクリニカルラダーの根幹をなす,助産師のコア・コンピテンシーについて解説し,助産師の助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)がどのようにして開発されたかを記しています。そして,本書のメインとなる第Ⅳ章には,クリニカルラダーのカテゴリごとに,A:倫理的感応力(ケアリング),B:マタニティケア能力,C:専門的自律能力を育成するための教育プログラムとして,参考となる教育計画を掲載しています。ここでは,教育担当者や管理職が現場で助産師をどのように育てていくのか,その参考になるだけでなく,個々の助産師がクリニカルラダーをステップアップしていくうえで,自分には何が必要なのかがわかるようになっています。
 また,クリニカルラダーレベルの評価と,助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)レベルⅢ認証制度について解説しています。
 2015(平成27)年8月,助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)認証の申請受付が開始されます。申請にあたっては,助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)ステップアップ研修と必須研修をクリアし,必要な要件を満たしたのち,看護管理者らの承認を得て申請していただくことになります。
 本書がステップアップ研修,必須研修計画を立案する際に,そして,認証申請までの道標となることを願っております。

 2015年3月
 日本助産実践能力推進協議会
 編者を代表して 福井トシ子
書 評
  • 助産実践能力の評価と標準化された教育プログラムを医療機関で活用していくための書
    書評者:柳橋 礼子(聖路加国際病院副院長/看護部長)

     超高齢社会に向けた重い課題に取り組む医療機関が多い一方で,少子化も深刻な社会問題として認識されている。出生数の減少が続き,産科および小児科医師の不足などにより,医療機関の多くが産科医療の充実には苦慮している。周産期領域の体制が充実している病院での分娩数は多いが,中小病院では分娩数を増やしていくのは...
    助産実践能力の評価と標準化された教育プログラムを医療機関で活用していくための書
    書評者:柳橋 礼子(聖路加国際病院副院長/看護部長)

     超高齢社会に向けた重い課題に取り組む医療機関が多い一方で,少子化も深刻な社会問題として認識されている。出生数の減少が続き,産科および小児科医師の不足などにより,医療機関の多くが産科医療の充実には苦慮している。周産期領域の体制が充実している病院での分娩数は多いが,中小病院では分娩数を増やしていくのは簡単ではない。出産年齢が遅延化・高齢化していること,また「お産に対しての希望」が多様化しているということも影響していると思われる。

     新卒の助産師にとって,自分のキャリアを考え,自律した助産師として実績を積める医療機関に就職するのは簡単ではない時代が来ている。どこの医療機関でも一定の教育プログラムで教育を受けられ,将来の目標に合った自律した実践能力を認証により保証されることは大変な進展と考える。本書は,助産師育成のための教育プログラムが詳細に説明されており,それぞれの医療機関で活用できる。

     また,本書では,標準化の核となる「助産師のコア・コンピテンシー」について第II章で述べられている。国際助産師連盟(ICM)では,1993年に「国際助産師倫理綱領」,2002年に「基本的助産業務に必要な能力」,2005年に「助産師の定義」を明らかにしているが,日本助産師会ではわが国独自に助産師に求められる能力を明確化するため,2006年に助産師の役割など明文化した「助産師声明」を公表した。これを基盤として(1)倫理的感応力,(2)マタニティケア能力,(3)ウィメンズヘルスケア能力,(4)専門的自律的能力の4要素で構成される「助産師のコア・コンピテンシー」を明確にし,そのうちの3要素を基に助産師実践能力習熟段階(クリニカルラダー)が作成され,第IV章ではそれぞれのコンピテンシーを育成するための教育プログラムが具体的に記述されている。

     多くの施設で助産師の教育プログラムをある程度は整えていると思われるが,多様な教育機関を卒業して免許を取得している現状があり,正直なところ教育内容と評価は助産師長に任せられていると思う。このような背景の中,わが国で標準化されたクリニカルラダーと教育プログラムが作成されたことは大変有意義であり,本書が日本中の医療機関で活用されていくことを期待したい。
  • 新人助産師が一人前に成長するまでの育成過程がわかる (雑誌『助産雑誌』より)
    書評者:遠藤 俊子(京都橘大学看護学部看護学科教授)

     2015年8月,日本助産評価機構による助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)レベルIII認証の申請受付が開始されます。この制度が誕生した背景には,2005年以降,助産師が主体的にお産を支える院内助産システムが提起され,推進されていくプロセスのなかで,助産師のケアの質の担保が重要になったことがあり...
    新人助産師が一人前に成長するまでの育成過程がわかる (雑誌『助産雑誌』より)
    書評者:遠藤 俊子(京都橘大学看護学部看護学科教授)

     2015年8月,日本助産評価機構による助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)レベルIII認証の申請受付が開始されます。この制度が誕生した背景には,2005年以降,助産師が主体的にお産を支える院内助産システムが提起され,推進されていくプロセスのなかで,助産師のケアの質の担保が重要になったことがあります。

     質が保証されていることを認証する意義は,利用者である妊産婦とその家族,協働する産科医師をはじめとする関係者への助産ケア能力の保証・説明責任を果たすこと,そして助産師自身の助産実践能力の獲得とその成果の自覚や自信につなげることにあります。今回,レベルIIIに認証された助産師(アドバンス助産師)は「自律して助産ケアを提供できる助産師」として公表できることになります。また,この認証は5年ごとの更新制であるため,助産師は実践や研修・研究活動を通じて自己の知識や技術の維持・向上を図り,その成果が妊産婦や子どもとその家族の健康に寄与することになります。

     本書は,そのための道標を創る参考書となるでしょう。助産師免許を取ったその日から,経験を積むにしたがって,新人,I,II,IIIと期待される助産実践能力のレベルがあります。レベルIIまでは,勤務する病医院の実践現場で確認,評価されます。レベルIIIになると,今回創設された全国共通の認証制度を活用し,個人認証を受ける仕組みです。このレベルIII認証までの実践能力獲得には,病医院における継続的な教育支援こそが重要であることを本書は示し,具体的な教育プログラムを提示しています。

     助産師は社会から何を期待されているのか,国内外の状況を踏まえた助産師の必須能力(コア・コンピテンシー)を明示し,レベル新人に行なう教育,ローリスク妊産婦・ハイリスク妊産婦のケア能力を高める教育の計画とともに,専門的自律能力育成のための教育プログラムの方法と内容,評価までもが示されています。

     各施設における助産師の教育計画は,看護部で看護職員として共通に企画されるものと,助産師の専門的知識・技術など病棟に任されているものがあるでしょう。それゆえに,本書は病医院の教育企画者,つまり看護部・病棟には最低1冊は必要です。加えてレベルIIIの個人認証に向けての申請条件や前提の研修などが記載されているため,助産師個々人がもっていてもよいほどであり,活用が大いに期待できます。

     就業している助産師のほとんどが加入している専門職能団体の総意で行なわれる,この新しい認証制度が,助産師のケアの質保証に貢献することを願うとともに,助産師の今後への意気込みに誇りをもてる1冊でもあります。

    (『助産雑誌』2015年8月号掲載)
目 次
第Ⅰ章 社会の変化と助産師への期待
 A 助産師を取り巻く現状と課題
  1 社会の現状と課題
  2 産科領域の現状と課題
  3 助産師教育の現状と課題
 B 社会からの助産師への期待と求められる役割
  1 産科医師不足が助産師の働き方に及ぼした影響と助産師への期待
  2 就業助産師の偏在が生み出す助産ケア提供の格差
  3 ハイリスク妊産婦の増加と医療チームメンバーとしての助産師
  4 助産師養成数の増加と診療所への期待
  5 これからの助産師の役割

第Ⅱ章 助産師のコア・コンピテンシー
  1 「助産師の声明」作成の経緯と主な内容
  2 「助産師のコア・コンピテンシー」作成の経緯
  3 「助産師のコア・コンピテンシー」の内容
  4 助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)における
     ウィメンズヘルスケア能力の考え方
  5 「助産師のコア・コンピテンシー」を活用した助産実践能力認証制度への期待

第Ⅲ章 助産師の助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)
 A 新人助産師がレベルⅢに至るまでの過程
  1 助産師に求められる能力
  2 助産師の成長過程
 B 教育技法
  1 OJT(On the Job Training)とOff-JT(Off the Job Training)
  2 研修
  3 レポート

第Ⅳ章 助産実践能力育成のための教育プログラム
 A 倫理的感応力(ケアリング)育成のための教育プログラム
  1 ケアリングとは
  2 助産実践能力習熟段階におけるケアリング
 B マタニティケア能力育成のための教育プログラム
  (1)ローリスク妊婦に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (2)ローリスク産婦に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (3)ローリスク褥婦に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (4)ローリスク新生児に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (5)妊娠高血圧症候群に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (6)妊娠糖尿病に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (7)HELLP症候群に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (8)薬物投与中の授乳婦に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (9)心理的問題をもつ妊産褥婦に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (10)妊産婦への生活の調整支援
 C 専門的自律能力育成のための教育プログラム
  (1)教育・指導に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (2)自己開発に関する助産実践能力向上のための教育計画
  (3)コミュニケーションに関する助産実践能力向上のための教育計画

第Ⅴ章 助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)ステップアップ研修と総合評価
 A レベルⅢ申請のための研修時間の考え方と研修プログラム例
  1 研修時間の換算のしかた
  2 参考となる研修プログラム例
 B 総合評価
  1 評価の目的
  2 クリニカルラダーの総合評価
  3 被評価者と評価者
  4 評価の時期
  5 評価のためのツール
  6 総合評価に関する用語の説明
  7 評価の実際
  8 ポートフォリオの作成と活用

第Ⅵ章 助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)レベルⅢ認証制度
  1 認証機関について
  2 認証制度導入の目的
  3 認証制度の仕組み
  4 認証申請要件
  5 認証の方法・試験

索引