• HOME
  • 書籍
  • 看護診断ハンドブック 第10版


看護診断ハンドブック 第10版

もっと見る

NANDA-Iが採択している看護診断および原著者が臨床で使えると考えている看護診断の基本情報(定義・診断指標・関連因子)と、NOC(看護成果)、NIC(看護介入)、さらに実際の看護介入を示した書。似たような看護診断の使い分けや臨床での使用の仕方などを原著者が解説している点が特徴。看護診断名と定義を知るだけでなく、臨床でいかに活用し、看護介入につなげるのかまでがわかる。
リンダ J. カルペニート
監訳 新道 幸恵
竹花 富子
発行 2014年01月判型:A5変頁:980
ISBN 978-4-260-01877-7
定価 4,180円 (本体3,800円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 正誤表

開く

監訳者まえがき(新道 幸恵)/まえがき(Lynda Juall Carpenito)

監訳者まえがき
 近年のわが国においては,少子高齢社会の急速な発展,医療経済の逼迫,疾病構造の変化などを背景として保健医療制度はめざましく変革をしています。なかでも医療の場における変革は著しく,さまざまな影響をもたらしています。たとえば,在院日数の短縮化,長時間の医療処置を必要とする外来患者の増加,高く設定され続ける稼働率などにみられます。このような変化は医療現場で働く人々を多忙にしてきました。そのことはさらに,医療の現場で最優先されなければならない安全安心な医療の提供のために,多様な医療職が配置されるようにとの変化をもたらし,チーム医療の推進が不可欠なものになってきました。チーム医療のもとで,安全安心な医療を提供するためには,チームを組む多様な職種間での協働,協調が不可欠です。それには,チームを組んでいるそれぞれの職種が自己の責任範囲を明確に認識し,厳守する一方で他職種の責任範囲を理解していることが重要です。医療チームの構成メンバーとして,最も多くの人数を占める看護職は,その要の存在であるともいえます。看護職が安全安心なチーム医療に貢献するには,看護師の臨床能力の高さが求められます。その能力のうち,看護師の臨床判断力とコミュニケーション力は重要です。高いレベルが求められます。
 「看護診断」を臨床で使いこなすことは臨床判断力なくしてはできません。患者の心理的,身体的,社会的状態をアセスメントし,その結果,どのような看護が必要かを判断したうえで,看護判断としての看護診断を明らかにします。このアセスメントのプロセスには,患者の状態に関する知識,看護ケアに関する知識,治療や検査などの知識を含めた幅広い知識が不可欠です。それらの知識をベースにして,看護診断を明確にし,それに基づいてケアプランを作成するというプロセスを日々の看護活動で習慣化することは,臨床判断力の高度化をもたらし,ケアの質の向上につながるでしょう。また,「看護診断」に基づいた看護をチームで実践することは,看護診断名を共通言語としてコミュニケーションを円滑にし,チームワークを促進する効果をもたらします。さらにチーム医療においても,共通言語として位置づけられる可能性へと広がり,安全安心な医療を保証することへと寄与することになるでしょう。平成22年度から新卒看護師の臨床研修義務化が制度化されましたが,新卒看護師の職場適応には,臨床判断力を培うことが優先されます。それには,「看護診断」を活用する職場環境が有益であると思われます。
 本書の原書である Lynda Juall Carpenitoの“Handbook of Nursing Diag-nosis 14th ed”では,掲載されているNANDA-Iの看護診断名についてはすべてNANDA-Iの定義が採用され,それが明記されました。そのため,本書では,『NANDA-I看護診断—定義と分類 2012-2014』の訳を引用することに致しました。また,前書(翻訳書の第9版)に第3部として掲載されていた共同問題が削除され,第4部の診断クラスターが第III部として掲載されています。さらに,看護診断名ごとの看護介入が詳細になっています。

 本書の発行に際しては,医学書院看護出版部の藤居尚子氏に多大なるご尽力を頂きました。ご協力に心から御礼を申し上げます。

 2013年12月
 新道 幸恵


まえがき
 多くの看護師だけでなく学部の教授の中にも,看護診断の実用性を疑問視する人たちがいる。残念なことに,看護診断と従来のケアプランは,依然として切っても切れそうもない関係のままである。今こそこのようなしがらみを断ち切って,独自に機能するときである。看護診断によって,看護のサイエンスとアートの定義が可能になる。臨床医にとって医学診断が欠かせないように,看護師と看護専門職にとって看護診断は欠かせないものである。看護診断は,文献や研究で得た知識と臨床看護師の頭の中にある知識を系統立てるのに役立つ。看護診断分類の重要性を過小評価してはならない。看護診断の経験が豊富な臨床看護師は,クライアント(患者)の怒りの理由について恐怖や不安,悲嘆,無力状態,スピリチュアルペインのような,複数の仮説を設定することができる。診断の知識がなければ,クライアントの怒りしか目に入らない。
 看護学部で教えられるケアプランは,アカデミックな演習である。これは決して間違いではないが,高学年になるにつれて,臨床で役立つ内容に転換されなければならない。学生が学習を進めるのは標準ケアプランを活用できるようになるためであり,創作できるようになるためではない。そのために必要な看護診断と批判的分析の知識は,教科書からコピーするだけでは向上しない。学生は,最初に標準化されている記録(電子文書や出版物)を学習し,次に受け持ち患者のケアをする過程で入手した具体的なデータに応じて,標準記録を修正することになる。たとえば,学生はそれぞれが,腹部手術を受けるクライアントの標準ケアプランを入手する場合を想定してみよう。受け持ち患者が糖尿病にかかっている場合は,標準ケアプランに共同問題〈低/高血糖の合併症リスク状態〉とその介入としてモニタリング(監視)が加えられる。また,自動車事故による外傷で緊急腹部手術を受けたクライアントが,この事故で妻を亡くしている場合は,〈悲嘆〉が追加される。
 学部の教授陣,看護師長,看護管理者,臨床看護師は,各自がそれぞれの役割を果たす必要がある。変化が急務である。看護分野でも,医学分野で以前から保持しているような,看護独自の記録要件の決定権を守らなければならない。看護が従来通りのマンネリ化した業務を続けているようなら,私たちが望んでいる看護——クライアントが必要としている看護は,将来存在し続けることすら危ぶまれる。これからの看護は,私たちが知っている事柄ではなく,私たちが実施して記録する事柄によって定義され続けることになる。
 本書は,具体的な介入の目的に基づく看護を焦点にしている。臨床看護実践の概要を凝縮して体系化することで,建設的な臨床実践を分かち合えるような内容にしようとした。その意図は,看護学のテキストに取り替えられることではなく,むしろ参考書として,さまざまな環境で活動する看護師が必要な情報を,文献調査で時間を浪費せずに入手できるようにすることである。学生には,理論的知識を臨床実践に応用するのに役立つはずである。また,経験豊富な看護師が使用すると,過去に学習していながら意識や認識の範疇に入っていなかったことを想起できるので,日常的な臨床場面で看護介入に役立てることができる。
 本書は3部構成で,「第I部 看護診断」は,看護診断をアルファベット順に提示*1して看護ケアに対する著者の注釈(「著者注」)と看護介入を含めた内容になっている。「第II部」は,「ヘルスプロモーション(健康増進)/ウェルネス型看護診断」を焦点にしている。「第III部 診断クラスター」は,医学的状態(疾患,症状)とともに関連する共同問題と看護診断を提示して,臨床環境で参考にしやすいようにした。このほかに,精選共同問題と見本になる一般的ケアプランの内容も,原書の扉に掲載されているアクセスコードを使用すると,オンライン(http://thePoint.lww.com/CarpenitoHB14e)で利用できる*2

 Lynda Juall Carpenito, RN, MSN, CRNP

[訳者注]
*1:原書ではアルファベット順で看護診断を提示しているが,日本語版ではゴードンによる「機能的健康パターン」に分類し,本書16頁からの表3にそって提示している。
*2:原書のアクセスコード(シリアルナンバー)がないとアクセスできない。

開く

 はじめに

第I部 看護診断
 1.健康知覚-健康管理パターン
 2.栄養-代謝パターン
 3.排泄パターン
 4.活動-運動パターン
 5.睡眠-休息パターン
 6.認知-知覚パターン
 7.自己知覚パターン
 8.役割-関係パターン
 9.セクシュアリティ-生殖パターン
 10.コーピング-ストレス耐性パターン
 11.価値-信念パターン

第II部 ヘルスプロモーション/ウェルネス型看護診断

第III部 診断クラスター 看護診断と共同問題を伴う医学的問題
 1.医学的問題
  循環器/血液・造血器/末梢血管疾患
  呼吸器疾患
  代謝/内分泌疾患
  消化器疾患
  腎/泌尿器疾患
  神経疾患
  感覚器の疾患
  皮膚外皮系の疾患
  筋骨格/結合組織疾患
  感染症/免疫疾患
  腫瘍性疾患
 2.手術
 3.産科婦人科的問題
  妊娠期(一般)
  分娩期(一般)
  産褥期
  ハイリスク妊娠〔循環器疾患(妊娠期,産褥期),糖尿病(妊娠期,産褥期)〕
  婦人科的問題
 4.新生児の問題
 5.小児期/思春期の問題
 6.精神科的問題
 7.検査と治療

 文献
 索引

開く

本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

正誤表はこちら

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。