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≪助産学講座 2≫

基礎助産学[2]

母子の基礎科学


(第5版)

編集:我部山 キヨ子/武谷 雄二
執筆:堤 治/武谷 雄二/石原 理/平原 史樹/小笹 由香/末岡 浩/亀井 良政/川名 敬/水沼 英樹/佐世 正勝

  • 判型 B5
  • 頁 304
  • 発行 2014年01月
  • 定価 4,644円 (本体4,300円+税8%)
  • ISBN978-4-260-01837-1
本書の特長
リプロダクションに関する基本的な医学的知識を網羅
解剖生理学のほか、女性のライフサイクル各期におこる特徴的な疾患、リプロダクションに関する検査など、助産師に必要とされる基本的な医学的知識を網羅しました。本文の理解を助ける図表を多数掲載してありますので、学習の効果が高まります。
遺伝の基礎知識から出生前診断、遺伝カウンセリングまでを丁寧に解説
遺伝のしくみから遺伝性疾患のメカニズム、各種出生前診断、生殖補助医療などについて、医学的な知識を丁寧に解説してあります。遺伝カウンセリングについては、具体的な事例をもとに、アセスメントの視点を明確にし、より実践に役だつ内容となっています。
母子の免疫の基本的特徴から母子感染・性感染症まで、網羅的に解説
母体、胎児、新生児の免疫の特徴を理解したうえで、母子感染と性感染症について網羅的に学ぶことができます。
*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
序 文


助産師をめぐる動向
 近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。ま...


助産師をめぐる動向
 近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化・少子化が進行し高度生殖補助医療は日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。育児不安・子どもの虐待など育児をめぐる問題も多様化・深刻化し,児童虐待相談件数の高どまり,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害,在日外国人の母子保健,女性へのドメスティック・バイオレンスやリプロダクティブ・ヘルス/ライツ,受精卵のES細胞や胎児組織の再生・移植医療への応用など,母子や性と生殖に関する多くの課題が山積している。
 このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とした。
 わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省報告書),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
 助産師教育の充実をはかるために,保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。さらに,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正により,助産師教育の単位数総計は23単位から28単位に増加した(2011年4月)。指定規則の改正に伴い,助産師に要求される実践能力として,(1)助産師における倫理的課題に対応する能力,(2)マタニティケア能力,(3)性と生殖のケア能力,(4)専門的自律能力が示され,今後より強化されるべき助産師の役割と機能も具体的に挙げられている。

改訂の趣旨
 改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第5版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師をめぐる動向で記述したような状況にも対応できる助産師を養成することを目ざすことにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
 折しも,2013年5月,「保健師助産師看護師国家試験出題基準平成26年版」が公表された。基礎助産学においては,実践能力強化の観点から,「骨盤底の構造と機能」の中項目が新たに設けられ,骨盤底および外陰の血管・神経・筋肉・靱帯の小項目が設けられた。また,女性や母子の健康問題となっている感染症および疾患が小項目に追加され,学会において表現が改定された用語が修正された。
 これを受けて,本巻(基礎助産学[2]母子の基礎科学)では,リプロダクションに関する解剖・生理学の記述と図表をより丁寧に改良するとともに,不妊症,多様な性,卵子の老化,出生前診断,生殖補助医療,母子感染症,更年期・老年期の疾患,超音波診断など,近年,生殖医療だけではなく社会的にも課題となっている事項について加筆を行い,記述を充実させた。
 執筆者は各領域の最前線で先進的教育や活動を行っている専門家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと,せつに願っている。
 なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第5版を重ねるにいたった。ここに改めて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。

 2013年11月
 編者ら
目 次
第1章 リプロダクションに関する解剖・生理
 A 母性の身体的特徴
 B 生殖生理に関する視床下部-下垂体系機能
 C 卵巣機能
 D 妊娠成立の機序
 E 胎児胎盤機能
 F 乳汁分泌の生理
第2章 性の行動と機能
 A 性の分化と発達
 B 性交と性反応
 C 性障害と性同一性障害
第3章 遺伝と遺伝性疾患
 A 遺伝医学の重要性
 B 染色体
 C 遺伝子
 D 遺伝性疾患の分類
 E 出生前診断
 F 助産師と遺伝カウンセリング
第4章 生殖補助医療
 A 生殖補助医療の実際
 B 生殖補助医療の問題点
第5章 母子と免疫
 A 免疫学概論
 B 母体の免疫学的特性
 C 胎児の免疫学的特性
 D 新生児の免疫学的特性
第6章 母子と感染
 A 母子感染の重要性
 B 母子感染の機序
 C 母子感染総論
 D 母子感染各論
第7章 性感染症
 A 性感染症総論
 B ウイルス感染症
 C クラミジア感染症
 D 淋菌感染症・梅毒
 E 真菌症・原虫症・寄生虫症
第8章 女性のライフサイクル各期におこるおもな疾患
 A 小児期の疾患
 B 思春期の疾患
 C 成熟期の疾患
 D 更年期の疾患
 E 老年期の疾患
第9章 リプロダクションに関する検査
 A 臨床検査
 B ME機器と超音波診断

索引