精神看護学[1]
精神看護の基礎 第4版
本書の特長
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●本巻は精神看護学の基礎編ないし理論編にあたるものです。初学者が混乱なく全体像が見渡せるよう、明瞭簡潔にまとめました。
●第1章では、健常といわれる人々と精神障害者といわれる人々の「連続性」に着目し、精神の健康と障害についての基本的な考え方を学びます。
●第2章では、「心」とはなにか、「人格」とはなにかを示すとともに、心の危機の内実について解説します。
●第3章は、精神医療に欠かせない「グループ」の理論と実際について、具体的な例とともにイメージ豊かに紹介します。
●第4章は疾患論です。精神疾患をもつと具体的にどのような症状に苦しめられるのか(症状別解説)、統合失調症など各疾患はどのような特徴を持つのか(疾患別解説)などを、詳細かつ科学的に解説します。
●第5章は治療論です。看護師は精神科の治療をどのようにとらえたらよいかという総論から、具体的な薬物療法、精神療法、社会療法などの各論まで、精神科治療の全体を概括します。
●第6章では、歴史という縦軸、社会学という横軸から精神障害について学ぶとともに、実践に必要な法制度についても解説します。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 系統看護学講座 |
---|---|
著 | 武井 麻子 / 江口 重幸 / 末安 民生 / 小宮 敬子 / 式守 晴子 / 相田 信男 / 濱田 秀伯 / 橘田 昌也 / 長嶺 敬彦 |
発行 | 2013年01月判型:B5頁:392 |
ISBN | 978-4-260-01588-2 |
定価 | 2,420円 (本体2,200円+税) |
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- 目次
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序文
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はしがき
第4版への序
「系統看護学講座」(1968年刊行)に,精神看護学の先達である外口玉子先生が『成人看護学:精神疾患患者の看護』を書かれてから半世紀近くが経過した。本書の執筆者の何人かはそのテキストで学び,精神看護を志した者たちである。そこで2009年に第3版を刊行するにあたって,理論だけではない看護の現場のリアリティを豊富な事例を通して伝えるという最初の意図をしっかり受け継いでいくことにした。
第3版では,心と身体は密接に関連しているという立場から,心のケアのみならず身体のケアにもかなりの紙数を割くことにした。
また,「関係のなかの人間」に注目した点も特記すべきことである。すなわち,個人対個人のレベルにとどまらず,家族や組織,チームといった集団のなかでの人間の営みをとらえる視点を学び,そこでの言語的・非言語的なコミュニケーションのあり方や関係のダイナミクスについて理解することは,精神障害というものの理解にとどまらず,看護師として働いていくうえでも重要なことと考えたのである。
さらに,病〈やま〉いや障害はすぐれて個人的な体験でありながら,社会の歴史・文化・経済などの影響を強く受ける。とりわけ地域においては,医療・看護・保健・福祉の領域の垣根をこえた協力が重要となり,そのための知識が必要不可欠となった。そこで,それぞれの領域を代表する書き手によって,さまざまな活動が事例とともに紹介されている。
それから4年が経ち,第4版を発行することになった。この間,社会は変化のスピードを増し,精神看護の場も対象となる人々も,大きく変わってきた。高齢社会の到来に伴う疾病構造の変化と長引く経済不況のなかで,一般診療科にもさまざまな精神健康上の問題をかかえケアを必要とする多くの人々が訪れるようになり,そのニーズも多様化してきている。2011年7月,厚生労働省は精神疾患を政策上重要な5大疾病の1つと位置づけ,診療報酬においても精神科リエゾンチーム加算が設けられた。
一方,さまざまな対策にもかかわらず,日本の自殺者の数は依然として多いままである。それに加えて,2011年3月の東日本大震災は,人々の身体・財産に大きな痛手を与えたばかりでなく,心の面でも計り知れない傷を残した。心のケアの必要性が今まで以上に認識されるようになったのである。
そこで,改版にあたって,法制度に関する最新の情報を盛り込み,最近注目されている発達障害などについての記述も追加した。
また,従来から,豊富な事例を通して,できるだけリアルな精神看護の世界を伝えることを心がけてきたが,本書では患者・当事者の視点を強化し,病理や問題よりも患者・当事者の力あるいは回復といった視点から考えていけるようにした。そのために,新たな事例も付け加えられている。さらに,読者が理解しやすく読みやすいように,図表やイラスト・写真などを多くとり入れ,難しい漢字にはルビを振った。
現場はさまざまな矛盾に満ち,ケアを提供する者自身,悩みながらケアしていかなければならないことも多い。読者は,このテキストを通して患者・当事者の思いにふれ,真のパートナーシップをどうしたら築いていけるかをともに考えていってほしい。
最後に,ケアする者もケアされる者も,希望を見失うことなく,互いに手を携えながら未来を切りひらいていくことのお手伝いができれば,著者としてはこのうえない喜びである。
2012年12月
著者を代表して
武井麻子
第4版への序
「系統看護学講座」(1968年刊行)に,精神看護学の先達である外口玉子先生が『成人看護学:精神疾患患者の看護』を書かれてから半世紀近くが経過した。本書の執筆者の何人かはそのテキストで学び,精神看護を志した者たちである。そこで2009年に第3版を刊行するにあたって,理論だけではない看護の現場のリアリティを豊富な事例を通して伝えるという最初の意図をしっかり受け継いでいくことにした。
第3版では,心と身体は密接に関連しているという立場から,心のケアのみならず身体のケアにもかなりの紙数を割くことにした。
また,「関係のなかの人間」に注目した点も特記すべきことである。すなわち,個人対個人のレベルにとどまらず,家族や組織,チームといった集団のなかでの人間の営みをとらえる視点を学び,そこでの言語的・非言語的なコミュニケーションのあり方や関係のダイナミクスについて理解することは,精神障害というものの理解にとどまらず,看護師として働いていくうえでも重要なことと考えたのである。
さらに,病〈やま〉いや障害はすぐれて個人的な体験でありながら,社会の歴史・文化・経済などの影響を強く受ける。とりわけ地域においては,医療・看護・保健・福祉の領域の垣根をこえた協力が重要となり,そのための知識が必要不可欠となった。そこで,それぞれの領域を代表する書き手によって,さまざまな活動が事例とともに紹介されている。
それから4年が経ち,第4版を発行することになった。この間,社会は変化のスピードを増し,精神看護の場も対象となる人々も,大きく変わってきた。高齢社会の到来に伴う疾病構造の変化と長引く経済不況のなかで,一般診療科にもさまざまな精神健康上の問題をかかえケアを必要とする多くの人々が訪れるようになり,そのニーズも多様化してきている。2011年7月,厚生労働省は精神疾患を政策上重要な5大疾病の1つと位置づけ,診療報酬においても精神科リエゾンチーム加算が設けられた。
一方,さまざまな対策にもかかわらず,日本の自殺者の数は依然として多いままである。それに加えて,2011年3月の東日本大震災は,人々の身体・財産に大きな痛手を与えたばかりでなく,心の面でも計り知れない傷を残した。心のケアの必要性が今まで以上に認識されるようになったのである。
そこで,改版にあたって,法制度に関する最新の情報を盛り込み,最近注目されている発達障害などについての記述も追加した。
また,従来から,豊富な事例を通して,できるだけリアルな精神看護の世界を伝えることを心がけてきたが,本書では患者・当事者の視点を強化し,病理や問題よりも患者・当事者の力あるいは回復といった視点から考えていけるようにした。そのために,新たな事例も付け加えられている。さらに,読者が理解しやすく読みやすいように,図表やイラスト・写真などを多くとり入れ,難しい漢字にはルビを振った。
現場はさまざまな矛盾に満ち,ケアを提供する者自身,悩みながらケアしていかなければならないことも多い。読者は,このテキストを通して患者・当事者の思いにふれ,真のパートナーシップをどうしたら築いていけるかをともに考えていってほしい。
最後に,ケアする者もケアされる者も,希望を見失うことなく,互いに手を携えながら未来を切りひらいていくことのお手伝いができれば,著者としてはこのうえない喜びである。
2012年12月
著者を代表して
武井麻子
目次
開く
序章 この本で伝えたいこと (武井麻子)
第1章 精神の健康と障害 (武井麻子)
A 精神の健康とは
B 精神障害の体験
C 精神障害のとらえ方
第2章 人間の心のはたらき (式守晴子・武井麻子)
A 人間の心の諸活動
B 心のしくみと人格の発達
C 心の危機とストレス
第3章 関係のなかの人間 (武井麻子)
A 全体としての家族
B 人間と集団
第4章 精神科で出会う人々 (江口重幸)
A 精神を病むことと生きること
B 精神症状論と状態像
C 精神障害の診断と分類
第5章 精神科での治療 (濱田秀伯・橘田昌也・相田信男・長嶺敬彦・江口重幸)
A 精神科における治療
B 薬物療法・電気けいれん療法
C 精神療法
D 環境療法・社会療法
第6章 社会のなかの精神障害 (江口重幸・末安民生・小宮敬子)
A 精神障害と治療の歴史
B 日本における精神医学・精神医療の流れ
C 精神障害と文化
D 精神障害と社会学
E 精神障害と法制度
付章 資料編
1.精神保健ケアに関する法:基本10原則
2.精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(抄)
3.障害者自立支援法(抄)
4.平均在院日数の数え方
5.精神医療史年表
索引
第1章 精神の健康と障害 (武井麻子)
A 精神の健康とは
B 精神障害の体験
C 精神障害のとらえ方
第2章 人間の心のはたらき (式守晴子・武井麻子)
A 人間の心の諸活動
B 心のしくみと人格の発達
C 心の危機とストレス
第3章 関係のなかの人間 (武井麻子)
A 全体としての家族
B 人間と集団
第4章 精神科で出会う人々 (江口重幸)
A 精神を病むことと生きること
B 精神症状論と状態像
C 精神障害の診断と分類
第5章 精神科での治療 (濱田秀伯・橘田昌也・相田信男・長嶺敬彦・江口重幸)
A 精神科における治療
B 薬物療法・電気けいれん療法
C 精神療法
D 環境療法・社会療法
第6章 社会のなかの精神障害 (江口重幸・末安民生・小宮敬子)
A 精神障害と治療の歴史
B 日本における精神医学・精神医療の流れ
C 精神障害と文化
D 精神障害と社会学
E 精神障害と法制度
付章 資料編
1.精神保健ケアに関する法:基本10原則
2.精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(抄)
3.障害者自立支援法(抄)
4.平均在院日数の数え方
5.精神医療史年表
索引
正誤表
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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
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