助産診断・技術学Ⅱ 第5版
[2]分娩期・産褥期

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分娩期・産褥期の助産を効率よく学べる 分娩期・産褥期の解剖・生理から疾患、助産診断、介助法まで一連の流れにそって体系的に効率よく学べます。 分娩期における手技や介助法を図や写真を用いて詳しく解説 正常妊婦およびハイリスク妊婦のアセスメントから支援までを、豊富な図や写真でわかりやすく解説しています。 最新のデータや知識、発展的な内容も収載 つねに新しくなるデータや知識、発展的な内容は欄外の「NOTE」に収載されています。毎年、見直しを行うことで変化の速い助産の分野にも対応できます。
*「助産学講座」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 助産学講座 7
編集 我部山 キヨ子 / 武谷 雄二
執筆 中林 正雄 / 正岡 経子 / 我部山 キヨ子 / 石村 由利子 / 佐藤 喜根子 / 村山 陵子 / 松崎 政代 / 是澤 光彦 / 中嶋 文子 / 箕浦 茂樹 / 照井 克生 / 丸山 知子 / 河野 洋子 / 江守 陽子 / 岡島 文惠 / 佐世 正勝
発行 2013年02月判型:B5頁:452
ISBN 978-4-260-01572-1
定価 5,280円 (本体4,800円+税)
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助産師をめぐる動向
 近年,わが国においては産科医不足や出産取り扱い施設の閉鎖など,母子を取り巻く厳しい状況が報告されている。家族規模の縮小化と養育機能の低下,離婚の増加など,母子・親子関係の根幹が揺らぎ,妊娠・育児を支える家族機能も急速に弱体化しつつある。また,晩婚化・晩産化・少子化が進行し高度生殖補助医療は日常の医療として定着する一方で,ハイリスク妊娠や妊産褥婦の重症ケースが増え,医療の高度化・複雑化が進行している。育児不安・子どもの虐待など育児をめぐる問題も多様化・深刻化し,児童虐待相談件数の高どまり,若者の性・生活・社会環境の変化から派生する性感染症・薬物依存・栄養障害,在日外国人の母子保健,女性へのドメスティック・バイオレンスやリプロダクティブ・ヘルス/ライツ,受精卵のES細胞や胎児組織の再生・移植医療への応用など,母子や性と生殖に関する多くの課題が山積している。
 このような多種多様なニーズおよび急速な変化に対応するべく,助産師業務も変革をしてきた。国際助産師連盟(ICM)は具体的なケアとして正常出産をより生理的な状態として推進すること,母子の合併症の発見,医療あるいはその他の適切な支援の利用,救急処置の実施から,女性の健康,性と生殖に関する健康,育児まで,女性とその家族・地域をも含めた生涯にわたるリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの支援を明瞭に打ち出した(ブリスベン大会,2005年)。また,ICMは助産師教育の世界基準(2010年)で,ダイレクトエントリーの助産師教育課程の最低期間を3年間,看護の基礎教育修了者/医療従事者に関する教育課程の最短期間を18か月間とした。
 わが国においては,2007年には看護職の権限拡大(助産師の場合,会陰切開など)が政府の規制改革会議第2次答申案で出された。2008年には助産師の教育の充実や助産師の資質の向上をはかること(厚生労働省報告書),2010年には助産師教育の内容や質の保証のあり方(文部科学省)が検討された。臨床現場においても,助産師の権限拡大を受けて,産科医不足や妊産褥婦のニーズの多様化・複雑化に対応するために,助産外来や院内助産などが全国に広がってきた。
 助産師教育の充実をはかるために,保健師助産師看護師法の一部改正(2010年4月施行)が行われ,保健師・助産師の教育年限が6か月から1年以上となった。さらに,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正により,助産師教育の単位数総計は23単位から28単位に増加した(2011年4月)。指定規則の改正に伴い,助産師に要求される実践能力として,(1)助産師における倫理的課題に対応する能力,(2)マタニティケア能力,(3)性と生殖のケア能力,(4)専門的自律能力が示され,今後より強化されるべき助産師の役割と機能も具体的に挙げられている。

改訂の趣旨
 改正された保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基本的枠組みを踏襲しつつ,EBMをふまえた基礎的内容と発展的内容を押さえるように,この度,改訂第5版を企画した。そのねらいは,助産学教育の水準を向上させ,助産学の発展・確立に寄与することである。具体的には助産師をめぐる動向で記述したような状況にも対応できる助産師を養成することを目ざすことにある。なお,本講座は第一義には助産師学生の基礎教育テキストであり,助産師国家試験出題基準の内容についても網羅したものとなっている。
 今回改訂する助産診断・技術学は,妊娠・分娩・産褥各期における女性と新生児・乳幼児の身体的・心理的・社会的状態について,助産師として正常・異常を判断できるよう,対象によりよい援助を提供するための基礎的実践能力が身につくようにまとめた。とくに基礎的助産診断・技術法から高次の助産診断・技術法(今後より強化されるべき助産師の役割と機能で例示された超音波装置を用いた妊婦健康診査,ハイリスク妊婦のケア,会陰切開及び裂傷に伴う縫合,止血等の薬物投与,新生児蘇生術,緊急時の母子への対応,育児ノイローゼや虐待の予防など)までをEBMをふまえて詳細に記述した。
 執筆者は各領域の最前線で先進的教育や活動を行っている専門家に依頼した。記載形式は読者が理解しやすいように図表を多く取り入れ,見やすさ・使いやすさを工夫している。助産師学生の教科書としてのみならず,臨床や地域で活躍する助産師の皆様の指導書として,本書を広く活用していただければと,せつに願っている。
 なお,本講座は,我妻堯・前原澄子編集による初版を1991年に発行して以来,今回の改訂で第5版を重ねるにいたった。ここに改めて本講座にかかわってこられた編著者各位に深謝したい。

 2012年11月
 編者ら

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分娩編
第1章 分娩の生理
 A 分娩の定義と種類
 B 分娩の3要素
 C 分娩が母体および胎児に及ぼす影響
第2章 分娩期の心理社会的変化
 A 産婦の心理と家族関係の特徴
 B 産婦の健康生活
第3章 分娩期の助産診断
 A 分娩期の助産診断の特徴と診断類型
 B 分娩期のフィジカルアセスメント
第4章 分娩介助法
 A 分娩介助の意義・原理
 B 正常分娩介助法の原理
 C 分娩介助時の技術
 D 付属物の検査と計測
 E 出生直後の新生児のケア
第5章 産婦の支援
 A 産婦の支援の基本
 B 分娩経過にそったケア
第6章 分娩期の異常・偶発疾患
 A 分娩の3要素の異常
 B 分娩に伴う損傷・偶発疾患・合併症
第7章 ハイリスク・異常分娩時のアセスメントと支援
 A ハイリスク・異常分娩時のアセスメント
 B ハイリスク・異常産婦への支援
第8章 産科手術および産科的医療処置
 A 産科手術の準備
 B 産科手術の各論
 C 産科麻酔
 D 救急処置

産褥編
第9章 産褥期の生理
 A 産褥期の身体的変化
第10章 産褥期の心理社会的変化
 A 褥婦の心理社会的変化とその特徴
 B 褥婦の健康生活
第11章 産褥期の助産診断
 A 産褥期の助産診断の特徴と診断類型
 B 産褥期のフィジカルアセスメント
第12章 褥婦の支援
 A 退行性変化促進の支援
 B 日常生活適応の支援
 C 心理社会的側面の支援
 D 産後の家族計画の支援
 E 家庭・社会生活復帰への支援
 F 育児行動取得への支援
 G 家族への支援
第13章 産褥期の異常・偶発疾患
 A 産褥期におこる身体的な問題
 B 産褥期におこる精神的な問題
第14章 ハイリスク・異常褥婦のアセスメントと支援
 A ハイリスク・異常因子のアセスメント
 B ハイリスク・異常褥婦の支援
第15章 乳房管理
 A 産褥期の乳房管理のための診断
 B 正常経過にある褥婦の乳房管理のためのアセスメントとケア
 C 健康逸脱・異常状態およびハイリスク状態にある褥婦の
   乳房管理のためのアセスメントとケア

検査・薬物編
第16章 分娩期・産褥期の検査
 A 尿・血液検査
 B 超音波検査
第17章 分娩期・産褥期に使用する薬物
 A 分娩期・産褥期に使用する薬物とその影響

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