神経疾患診療ガイドライン[CD-ROM付]
Guidelines for Neurological Disorders 2009-2011

『神経疾患診療ガイドライン－Guidelines for Neurological Disorders 2009-2011』の発行にあたって
日本神経学会
　代表理事　水澤　英洋
　ガイドライン統括委員長　清水　輝夫

　日本神経学会では，2001年5月と7月の理事会で，当時の柳澤信夫理事長の提唱に基づき，主要な神経疾患について治療ガイドラインを作成することを決定し，2002年に「慢性頭痛」，「パーキンソン病」，「てんかん」，「筋萎縮性側索硬化症（ALS）」，「痴呆性疾患」，「脳血管障害」の6疾患についての「治療ガイドライン2002」を発行しました．その後，葛原茂樹前代表理事のもとで2008年5月と7月の理事会において治療ガイドラインの改訂を行うことを決定，疾患別治療ガイドライン（改訂）委員会と「遺伝子診断のガイドライン」作成委員会を設置し，2009年に「脳血管障害」（『脳卒中治療ガイドライン2009』協和企画刊），「神経疾患の遺伝子診断」，2010年に，「てんかん」，「認知症」，「多発性硬化症」，2011年に「パーキンソン病」を順次出版しました．それぞれの疾患別委員会は，本学会のみならず関連学会や日本医学図書館協会から参加していただいた委員のほかにも，研究協力者や評価・調整委員からなり，全体を統括する統括委員会も含め利益相反については倫理・審査委員会で承認されています．
　これらのガイドラインは非常に好評で，各ガイドラインを合冊して一冊としてほしいとの要望も寄せられるようになりました．このようなことから，他の学会との関係ですでに先行していた脳血管障害を除く，『パーキンソン病治療ガイドライン2011』，『認知症疾患治療ガイドライン2010』，『てんかん治療ガイドライン2010』，『多発性硬化症治療ガイドライン2010』，『神経疾患の遺伝子診断ガイドライン2009』の5つを合冊して出版することといたしました．
　今回の（改訂）治療ガイドラインは，前回と同じくevidence-based medicine（EBM）の考え方に基づいて作成されていますが，基本的にQ&A（クリニカル・クエスチョン）方式で記述されており読みやすい構成を目指しております．本ガイドラインは，決して画一的な治療法を示したものではなく，あくまで，医師が主体的に治療法を決定する局面において，よりよい治療法を選択するうえでの参考としていただけるように，個々の治療薬や非薬物的治療の現状における一定の方式に基づく評価について，根拠のレベルを示して提示したものです．したがいまして，症例の具体的な局面においては種々の要因を勘案して主治医が当指針とは別の選択肢を用いることを排除するものではないことを申し添えます．近年，医療裁判においてこのような指針が判断の根拠にされることがあるように見聞しますが，必ずしもガイドライン統括委員会および日本神経学会の期待するところではありません．
　関係者一同，本ガイドラインが会員の皆様の診療活動に有用なものとなることを願うとともに，今後の改訂に向けて皆様のご意見をお寄せいただければ幸甚です．

2011年3月

パーキンソン病治療ガイドライン2011
　監修　日本神経学会
　編集　「パーキンソン病治療ガイドライン」作成委員会

認知症疾患治療ガイドライン2010
　監修　日本神経学会
　編集　「認知症疾患治療ガイドライン」作成合同委員会

てんかん治療ガイドライン2010
　監修　日本神経学会
　編集　「てんかん治療ガイドライン」作成委員会

多発性硬化症治療ガイドライン2010
　監修　日本神経学会　日本神経免疫学会　日本神経治療学会
　編集　「多発性硬化症治療ガイドライン」作成委員会

神経疾患の遺伝子診断ガイドライン2009
　監修　日本神経学会
　編集　「神経疾患の遺伝子診断ガイドライン」作成委員会

総索引
付録CD-ROMの使い方