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フットケア

基礎的知識から専門的技術まで
(第2版) (在庫なし)

編集:日本フットケア学会 

  • 判型 B5
  • 頁 264
  • 発行 2012年03月
  • 定価 3,520円 (本体3,200円+税10%)
  • ISBN978-4-260-01480-9
「足の大切さ」を知る医療者のニーズに応えます
足にトラブルを抱えフットケアを必要とする人は高齢者、糖尿病患者にとどまらない。「足の大切さ」を知る医療者へ、多職種からなる日本フットケア学会が総力をあげて編む第2版。基礎知識から評価法、検査法、専門的ケア・治療技術、チームのススメ、社会的サポート活用法まで詳細解説する体系的テキストかつ実践書。入門者はもちろんレベルアップを目指す読者のニーズに対応。フットケア指導士認定セミナー指定テキスト。
序 文
第2版の序

 2006年の初版から5年が過ぎてフットケアをめぐる社会情勢も変化し,また,医学の進歩に伴い新しい知見が加わってきた.東日本大震災で人々が助け合うことの素晴らしさが再認識され,自然の脅威に立ち向かうには英知と勇気が必要なことを知った.自然と仲良く共生していくことは地球...
第2版の序

 2006年の初版から5年が過ぎてフットケアをめぐる社会情勢も変化し,また,医学の進歩に伴い新しい知見が加わってきた.東日本大震災で人々が助け合うことの素晴らしさが再認識され,自然の脅威に立ち向かうには英知と勇気が必要なことを知った.自然と仲良く共生していくことは地球全体で考えなければならないことであるとも教えられた.未来から振り返って日本はよく頑張ったと認められるためにも,ここで後戻りすることは避けなければならない.
 幸福を定義することは難しく,脳内での快感や物の豊かさ,人や自然とのつながりだけでは説明しきれない.しかし,健康であることを1つの要素とすることに反対する人はいない.フットケアの活動を通じて多くの足を助けて,多くの人に元気を与えてきた.それでもまだ,足が悪くて寝たきりになる人,下肢切断に至る人,足の潰瘍が治らない人がいる.新しい知見を加えて,フットケアの知識と技術を普及することは依然として重要である.
 本書ではフットケアの基本的知識から専門的技術まで網羅した.解剖や生理学的知識もわかりやすく書いてある.評価や診断の方法では用いる器具や機械のことまで詳しく書かれている.疾患の項でも内科(糖尿病,透析など),整形外科,形成外科(足の変形,難治性潰瘍など),皮膚科(白癬,感染など),血管外科(動脈閉塞,静脈疾患など),脳神経内科(脳卒中や神経難病など)に,新しい項目としてリウマチ・膠原病が加わった.むろん,フットケアの実践ではアセスメントと病態別のケアが詳述されている.患者教育,心理・社会的サポート,診療報酬・介護報酬なども述べられている.フットケアを始める人にも,フットケアのさらなる充実を期する人にも役立つ内容である.
 ある母親が子どもを励ますために,「下をみないで前に進みなさい」と言ったとのことである.悪いことや小さなことを気にしないで,明るいことや大事なことをみて将来の自分を築き上げなさいとの意味である.頭や心臓は重要だが,足も重要である.その健康はこころ,循環,運動機能と深く結びついている.われわれは,足をみて前に進みましょう.

 2012年2月
 黒部市民病院・呼吸器血管外科 浦山 博(日本フットケア学会・常任理事)
書 評
  • フットケアに必要な情報を網羅
    書評者:佐藤 エキ子(聖路加国際病院 副院長・看護部長)

     2006年の初版から満を持して,『フットケア 第2版』が出版されました。本書はまさにフットケアに必要な情報(製品)のすべてが網羅(品揃え)されている“フットケアの総合商社”と言ってもよいでしょう。それだけ内容が充実しているのです。例えば,フットケアの基礎知識・診断をはじめ,検査・評価法,専門的ケア...
    フットケアに必要な情報を網羅
    書評者:佐藤 エキ子(聖路加国際病院 副院長・看護部長)

     2006年の初版から満を持して,『フットケア 第2版』が出版されました。本書はまさにフットケアに必要な情報(製品)のすべてが網羅(品揃え)されている“フットケアの総合商社”と言ってもよいでしょう。それだけ内容が充実しているのです。例えば,フットケアの基礎知識・診断をはじめ,検査・評価法,専門的ケア,治療技術,ライフステージに合わせたケアや靴の選び方,そして社会的支援の活用方法まで,それぞれの専門家によってわかりやすく解説されています。本書一冊でフットケア初心者の読者も,明日からのフットケアが楽しく実践できること間違いなしです。

     さて,私事で恐縮ですが,私がフットケアの重要性を認識したのは今から28年前の1984年でした。当時,私は米国のETスクールでETナース(現在の皮膚・排泄ケア認定看護師の前身)の研修をしていました。そこで初めて“フットケア”の概念とハウツーを学びました。それまではフットケアと言えば,まずは足浴と爪切りを思い浮かべたものですが,フットケアは局所管理だけではなく,慢性疾患の管理を含む全身管理が必要であるということに気付かされました。

     近年,日本でも医療関係者のフットケアに対する関心が加速度的に深まってきました。フットケアの研究会が誕生し,やがて研究会から学会へと学術的にも急速な発展を遂げ,医療関係者にフットケアの広い概念が浸透してきました。そして,このようにフットケアが発展してきた背景には,医療関係者のフットケアに対する情熱的な取り組みは言うまでもなく,厚生労働省が推奨している「チーム医療」の理念がしっかりと根付き,各医療機関においてそのチーム医療の実践が結実したことが挙げられます。加えて日本人の疾病構造の変化も大きな要因になっています。生活習慣の欧米化とともに,いわゆる生活習慣病と言われている糖尿病,高血圧症,メタボリック症候群,閉塞性動脈硬化症などの患者が増加したこと,また高齢人口や喫煙者の割合が高いことなど,多岐にわたる要因によって足病変を来す患者が増加しています。足の潰瘍や壊疽などの「足病変」が重篤化し,やがて下肢切断をせざるを得なかった例を当院でも経験しています。

     そこでフットケアでは足病変の重篤化をいかに予防するかが最も重要になります。よく,褥瘡ケアの最大の治療は「予防」にあると言われますが,まさしくフットケアも予防に始まり,予防に終わると言っても過言ではありません。予防には,足病変の早期発見に向けた確実なアセスメントと評価,再発防止に向けた足・筋肉のリハビリテーション,日常の爪の観察とケアなどをこまめに実施することが求められます。人間の「足」を車の車輪にたとえるならば,車の心臓部であるエンジンの性能がどんなに良くても車輪がなければ車は動きません。それと同じく,人間にとって「足」は生活していく上で不可欠な体の一部であり,QOLの維持・向上においても重要な役割と機能を担っています。

     本書は,これらのすべてが体系的にまとめられていますので,さらに洗練したフットケアを提供するためにも,ぜひお薦めしたい一冊です。
  • 執筆陣の教育にかける熱い心がひしひしと感じられる本
    書評者:館 正弘(東北大大学院教授・形成外科学)

     フットケアはスキンケアやネイルケアのみに限定するのではなく,生活習慣病の増加に伴って発生するさまざまな足病変の予防から治療までを網羅する,広範囲かつ多彩な取り組みを包含する。足・下腿に難治性の潰瘍や壊疽を持つために,健康な社会生活を送ることができない患者は増加の一途をたどっているものの,専門施設の...
    執筆陣の教育にかける熱い心がひしひしと感じられる本
    書評者:館 正弘(東北大大学院教授・形成外科学)

     フットケアはスキンケアやネイルケアのみに限定するのではなく,生活習慣病の増加に伴って発生するさまざまな足病変の予防から治療までを網羅する,広範囲かつ多彩な取り組みを包含する。足・下腿に難治性の潰瘍や壊疽を持つために,健康な社会生活を送ることができない患者は増加の一途をたどっているものの,専門施設の数が足りないことも問題点として表面化してきている。早期診断と適切な加療によって大切断を回避できる道筋はできつつあるものの,実態は手遅れの足が医療の谷間でさまよっているのが実情に近い。筆者の科(形成外科)でも,入院患者数の30-40%に上ることがある。

     国内外の学会でLimb salvage(患肢温存)のためのセッションは多く行われているが,課題として浮かび上がってきている事項は,専門施設と地域の医療機関との連携の重要性,および患者教育を含めた医療従事者への教育の必要性である。今現在,日本において医学部の学生・看護学生に救肢についてのテーマで多職種による講義を実施している教育機関はまずないであろう。そうした中,教育に着目して精力的に啓蒙活動を行ってきたのが日本フットケア学会であり,学会が総力を挙げて編集した『フットケア(第2版)』がこのたび上梓された。

     初版が2006年7月であるから,5年あまりで改訂第2版を出版されたことは,この分野の急激な進歩と患者層の多様化を裏付けるものである。第2版では,リハビリテーションの基礎知識,理学療法士によるサポート,義肢・装具についての項目,さらに特殊な病態としてのリウマチ・膠原病患者のフットケアが追加された。

     本書は5つのパートに分かれており,総論に続いて,第2章では検査やスクリーニングの方法,チームの構成・体制作り,第3章ではさまざまな基礎疾患を持つ患者別のフットケア,第4章ではライフステージとフットケア,第5章では患者教育から切断後のサポート,診療報酬上のこと,社会資源の有効活用など,すべてが網羅されている。また各章とも最新の文献を取り入れてリニューアルされている。さらに各節の最後にQ&Aが書かれており,ここだけ読んでも楽しめるようにできている。全体を通して執筆陣の教育にかける熱い心がひしひしと感じられる本となっている。イラストもよくできており,カラー写真が多く,おのおのの章が読み物として面白くできているので,足に関する診療経験のあるスタッフにもお勧めできる。

     フットケア・Limb salvageは医学教育,卒後教育で抜け落ちているが,実際の臨床・看護・介護にとって必須の情報である。ぜひすべての医療従事者に手に取っていただきたい本である。
目 次
第1章 フットケアとは?
 1 医療者・介護者が行うフットケアとは
  A 足の大切さ
  B フットケアはいつ行うか
  C フットケアは誰が行うか
  D 医療者が行うフットケア
  E 介護者が行うフットケア
 2 フットケアがなぜ必要か
  A 足病変の予防は足をみることから始まる
  B 足病変に対してなぜ専門的に介入する必要があるのか?
  C 足病変発生のリスクとなるもの
  D フットケアの意義
 3 知っておきたい足のつくりと動き
  A 皮膚
  B 骨
  C 筋腱
  D 神経
  E 動脈
  F 静脈・リンパ管
  G 足の動き
第2章 始めようフットケア
 1 始めよう! フットケア
  A なぜフットケアが重要か?
  B フットケアを始める前にやるべきこと
 2 チームで行うフットケア
  A フットケアとチーム医療
  B フットケア体制作りの過程
  C フットケア外来の構成
  D 対象患者の背景
  E フットケア外来の実際
  F 在宅との連携
  G 今後の展望
 3 アセスメントの方法と技法
  A アセスメントの重要性
  B 神経感覚
  C 運動機能
  D 循環状態
  E 下肢切断の評価
  F 特にフットケアが必要な患者とは?
 4 フットケアの方法と技法
  A 足・足趾に対するケア
  B 爪に対するケア
  C 下肢に対するケア
 5 フットケアに役立つリハビリテーションの知識
  A 立つこと・歩くこと・走ることにおける足の機能
  B リハビリテーションの実際
第3章 多く見かける足の疾患とケア
 1 糖尿病・内科患者のフットケア
  A 糖尿病足病変の疫学
  B 糖尿病足病変の病態生理
  C 糖尿病足病変の症状
  D 治療法
  E フットケア
  F 予防法
 2 皮膚科患者のフットケア
  A 足白癬
  B 胼胝腫・鶏眼
  C 疣贅
  D 腫瘍
  E 蜂窩織炎
  F 乾皮症
  G 接触皮膚炎
  H 掌蹠膿疱症
  I 肥厚爪
  J 巻き爪
  K 陥入爪
 3 整形外科患者のフットケア
  A 変形性足関節症・関節リウマチ
  B 捻挫・骨折
  C 坐骨神経痛
  D アーチ障害
  E 爪の障害
  F 足底腱膜炎
  G スポーツ選手のフットケア
 4 血管外科患者のフットケア
  A 動脈疾患
  B 静脈疾患
 5 透析患者のフットケア
  A 慢性腎臓病・透析患者とPAD
  B ケアシステムの構築
  C 非潰瘍性病変の実際のケア
 6 足の難治性潰瘍患者のフットケア
  A 動脈不全による下腿潰瘍について
  B 糖尿病性壊疽
  C 静脈うっ滞による潰瘍
  D 特殊な難治性潰瘍
  E まとめ
 7 褥瘡患者のフットケア
  A 褥瘡とは何か?
  B 足の褥瘡の予防ケア
 8 脳神経内科患者のフットケア
  A 脳卒中
  B 神経難病
 9 リウマチ・膠原病患者のフットケア
  A 関節リウマチ
  B その他の膠原病
第4章 ライフステージとフットケア
 1 高齢者のフットケア
  A 高齢者が抱えている足のトラブルとフットケア
  B 患者および家族教育
 2 小児のフットケア
  A 扁平足
  B 足趾変形
  C 骨端症
  D 骨折・捻挫
 3 在宅療養者のフットケア
  A 在宅療養者の現状とフットケアの目的
  B 対象者
  C 方法
  D 効果
  E 関係者との連携方法・役割分担
  F コスト
  G その他
第5章 サポートいろいろ
 1 患者教育
  A 足に関する自己管理能力を高めるための患者指導
  B 生活指導と方法論およびその評価
  C 足に関するセルフケア
  D すぐに使用できるパンフレット
 2 切断患者へのサポート
  A 切断者の心理・社会的サポート
  B 理学療法士からのサポート
  C 義肢・装具について
 3 靴・インソール
 4 診療報酬・介護報酬
  A フットケアと診療報酬
  B 足のトラブルと診療科
  C 介護報酬
 5 これからのフットケア
  A フットケアの現況
  B フットケアの将来

おわりに
索引
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