• HOME
  • 書籍
  • プロメテウス解剖学アトラス 頭頸部/神経解剖 第2版


プロメテウス解剖学アトラス 頭頸部/神経解剖 第2版

もっと見る

美しい図が評判の解剖学アトラス・プロメテウスシリーズの第3巻。初版の「頭部/神経解剖」の巻が、この改訂第2版では頸部を取り込んだ「頭頸部/神経解剖」としてより系統的に再編された。臨床に結びつく解説も増え、120ページ増となった。なかでも、巻末の新しい章「中枢神経系:要約、回路図、まとめの表」はおおいに学習の助けとなるだろう。
*「プロメテウス/PROMETHEUS/プロメテウス解剖学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ プロメテウス解剖学
監訳 坂井 建雄 / 河田 光博
発行 2014年01月判型:A4変頁:552
ISBN 978-4-260-01441-0
定価 12,100円 (本体11,000円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 書評
  • 正誤表

開く

第2版 訳者序第2版 序

第2版 訳者序
 本書は『プロメテウス解剖学アトラス』第2版の第3巻にあたる.原書の初版は,ドイツ語原書として2004年から2006年にかけて全3巻として出版され,圧倒的な実在感と清潔感を合わせ持つ解剖図によって,世界中に大きな衝撃を与えた.日本語版は2007年から2009年にかけて出版され,わが国の読者にも広く迎えられた.

 すぐれた解剖図は解剖学書の生命線であり,まさに解剖図の革新が新しい解剖学書を作り出してきたと言える.近代解剖学の出発点と目されるヴェサリウスの『ファブリカ』は,精緻で芸術的な木版画により生命を与えられ,17世紀から18世紀にかけての銅版画による精細な表現は,ビドローやアルビヌスによる傑出した解剖図譜を生み出してきた.19世紀の木口木版画によりもたらされた解剖図と本文を一体化した編集は,解剖学書に新たな生命を吹き込み,20世紀の写真製版の技術は,解剖図の新たな表現に無限ともいえる可能性を生み出してきた.『プロメテウス解剖学アトラス』の解剖図は,人間の手で描かれたものでありながら,人工のわざとらしさを感じさせない.まさに人智を尽くして自然を再現した21世紀という時代が生み出した解剖図の最高傑作である.

 原書の第2版は2007年から2009年にかけて出版されたが,大幅な改訂増補がなされている.第1巻の「解剖学総論/運動器系」については,臨床に関連する項目や画像診断を加えて大幅な改訂増補が行われた.第2巻と第3巻については,全体としての増頁だけでなく,大幅な内容の組み替えが行われている.頸部の解剖が,初版で第2巻に含まれていたものが,第2版では第3巻に移され,それに伴い本書のサブタイトルも「頭頸部/神経解剖」となった.頭部と頸部の構造には,機能的にも臨床的にも密接な関係があり,この改訂は学習者の利便性を考慮したものである.本書第3巻では,頸部の内容が追加されたことに加えて,臨床的な項目も新規に加えられている.さらに巻末に「中枢神経系:要約,回路図,まとめの表」が加えられている.これは理解の難しい中枢神経系の構造と機能を学習するのに大いに役立つだろう.これらの改訂により,医学生に必要な事項をわかりやすい形で提供するという『プロメテウス解剖学アトラス』のコンセプトはさらに強化された.見開き構成の中で視認性にすぐれた解剖図と文字情報を伝えるテキストをバランスよく有機的に配置すること,系統解剖学や臨床解剖学といった伝統的な枠組みに依拠せずに学習内容の重要度に応じて内容を選択したことなど,初版で実現された解剖学学習書の新しいスタイルを,よりよく生かすための改訂がなされている.

 本書「頭頸部/神経解剖」の翻訳にあたっては,初版ではドイツ語版の他に英語版を参照することができた.これは翻訳を効率的に行うにあたって有利な事情であった.ドイツ語版と英語版の食い違いも少なからずあり,ドイツ系の解剖学と英語系の解剖学が異なる伝統を有することも,改めて知らされることとなった.この第2版では英語版が刊行されていないために,もっぱらドイツ語版に依拠することとなった.翻訳にあたっては,初版と共通する頁についての変更の有無の点検ならびに増頁部分の翻訳をして各訳者が原稿に仕上げるという段取りをとり,最終的な調整を監訳者が行った.訳語については,原則として日本解剖学会監修『解剖学用語 改訂13版』に準じるとともに,初版との整合性を可能な限り重視した.日本語訳にあたっては瑕疵のないように最善の努力をしたつもりであるが,至らぬところは監訳者の責である.

 訳者を代表して 坂井建雄,河田光博
 2013年11月1日


第2版 序
 頭部と頸部は,狭い空間に多くの構造が詰まった部位であり,医学の基礎として難易度の高いテーマの1つである.本改訂版ではこれまで2つの巻に分けて扱われていたテーマを1つの巻にまとめ,統合的に解説する.これは2つの領域の解剖学的にも臨床的にも密接で入り組んだ関係を考慮したものだが,それだけでなくこの複雑なテーマをより明確に分かりやすく伝えることができるという教育的な長所もある.
 神経解剖学は特に難易度が高い.解剖学的構造とその機能との間にあまりはっきりとした関係がないからである.神経解剖学を親しみやすく,効率的に少ない時間で学習できるようにするために,本巻で重点としたのは,試験に出題される重要な項目をまとめの形で記すことである.本改訂版で新たに加えた「要約」と「回路図」では,伝導路と中枢神経系の接続関係を具体的に示した.ここでは数多くの伝導路の接続関係の体系と機能系を,図および密度の高い解説文によって示した.要約と回路図は,複雑なテーマを詳しく学ぶのに役立つが,さらに試験のための集中的な復習にも役立つ.
 プロメテウスはこれによって教科書の代わりになろうとするものではないし,またできることでもない.しかし,局所解剖学的な事実を機能の理解と結び付けることができるのである.この意味で要約と回路図は,神経生理学ならびに臨床との関連を理解するために,欠かすことのできない助けとなる.

 Michael Schünke, Erik Schulte, Udo Schumacher, Markus Voll, Karl Wesker
 Kiel, Mainz, Hamburg, München, Berlinにて
 2009年9月

開く

頭頸部
 1 概観
 2 骨,靱帯と関節
 3 筋系
 4 血管,リンパ管と神経
 5 器管とそれらの血管,リンパ管と神経
 6 局所解剖
 7 断面図
神経解剖
 1 序論
 2 脳と脊髄の髄膜
 3 脳室系と脳脊髄液
 4 終脳
 5 間脳
 6 脳幹
 7 小脳
 8 脳の血管
 9 脊髄
 10 脳の断面解剖
 11 自律神経系
 12 機能系
中枢神経系:要約,回路図,まとめの表
 1 用語集
 2 脊髄伝導路
 3 中枢伝導路
 4 まとめの表
付録
 文献
 索引

開く

洗練された美しい図を読ませる内容
書評者: 杉本 哲夫 (関西医大大学院教授・脳構築学)
 『プロメテウス解剖学アトラス 頭頸部/神経解剖 第2版』が出版された。本書は洗練された美しい解剖図と読ませる内容を特色としている。初版にはすでに高い評価が与えられており,第2版はその伝統を見事に引き継いだ第一級のアトラスといえる。

 本書は初版に比べると内容がさらに充実し,頭頸部と脳の解剖実習にも,知識の整理にも,これ1冊で充分賄えるアトラスになった。訳者序に紹介された通り,旧版の頸部の内容が頭部と合体し,頭頸部として新しく編成された。頭頸部のセクションに新しく組み込まれた内容をみると,そのすべてが医学教育のグローバルスタンダード基準をクリアしており,これからの医学教育に必須の項目といっても過言ではない。

 まず触診可能な骨指標(体表解剖)が加わった。頭部と頸部の診察に役立つ部位が手際よく一覧にまとめられており,臨床的に重要な構造と体表にある三角との対応関係が示されている。新たに整理された図表は頭頸部の診察に役立つ。そして,顔の発生と口蓋裂の図解が新しく加えられた。ここでも読ませる部分とのバランスが絶妙である。甲状腺の解説ページにも臨床画像検査の図解が加わった。

 頸椎の各部分骨と靭帯もここに詳しく掲載された。それに加えて環椎後頭関節と環軸関節,さらには鈎椎関節に関するページも整備された。頭蓋底に開口している孔は骨学や解剖実習の初心者にとって手ごわい学習対象である。学習の際,頭蓋底を通るもの(神経,脈管など)をリアルに描画した何枚かの図は格段の理解を促すよう配慮されているので,彼らにとって最高の援軍になるに違いない。

 咽頭周囲の間隙は病変の進展を理解する上でも大変重要な構造であり,解剖実習などで必ず確認すべき箇所の一つである。本書では数ページを割いてユニークな図を巧みにレイアウトすることにより,丁寧な解説を提供している。

 神経解剖のまとめとして,本書に新しく「中枢神経系:要約,回路図,まとめの表」が追加された。このセクションは神経解剖の講義・実習を一通り仕上げた学生諸氏や若い医師にとって,壮大な体系を短時間で復習するのに極めて役立つものである。ボリュームあるその中身を飾る回路図や表はもちろんプロメテウス伝統の美しさをもって完成されており,見開きページで読み切りのスタイルを保っている。

 本書は本格的に勉強するという目的に確実に応じてくれる良書である。医学生,医師をはじめ医療系学部学生や医療に従事される各位に幅広く行き渡り,長く愛されることを期待し首途を祝福したい。
高い支持率を維持する理由は……
書評者: 千田 隆夫 (岐阜大大学院教授・解剖学)
 昨今次々と出版されている解剖学アトラスには,百花繚乱の感がある。学生諸君には幸福なことであるが,決して安価とはいえない解剖学アトラスの選択に際して,どれか一冊となると随分迷うのではなかろうか。その中にあって,初版刊行以来,高い支持率を維持しているのが“プロメテウス”シリーズである。本書は,全3巻組の『プロメテウス解剖学アトラス』の第3巻に当たるものであり,初版刊行後わずか5年足らずで改訂第2版が出版された。

 初版との相違点を挙げてみよう。第3巻のサブタイトルは初版では「頭部/神経解剖」であったが,第2版では「頭頸部/神経解剖」となった。頭部と頸部が隣接・接続していて,多くの骨,筋,臓器(消化器,呼吸器),血管,神経が頭部と頸部を続けて貫通している事実を考えれば,頭頸部としてまとめることは理にかなっている。これによって第2版には,頭頸部を一緒に描いた新しい図や,臨床的な解説が数多く追加された。次に,第2版の最後に「中枢神経系:要約,回路図,まとめの表」が加わった。この新しいセクションには細密画は全くなく,もっぱら模式図,フローチャート,表によって,複雑な事項を要約・整理し,理解を助けることを目的としている。原著者による第2版の序文には,「試験に出題される重要な項目をまとめの形で記す」「試験のための集中的な復習にも役立つ」とあり,洋の東西を問わず,試験に追いまくられる医療系学生の現実のニーズに答えた新機軸であることがよくわかる。これらの増補改訂によって,総ページ数は初版より120ページほど増えたが,定価が初版と同じに設定されていることは,うれしい驚きである。

 プロメテウスの支持者に聞くと,一様に「絵が精密で美しい」との評価が返ってくる。プロメテウスの図は美しいだけでなく,技法も革新的だ。第2版の表紙を見て驚いた。頭蓋骨に直接,動脈・静脈がまとわりつく図がある。こんな状態に解剖することは不可能なので,これが合成画であることはわかる。しかし,その頭蓋骨の絵は写実的な肉筆画である。博物画家の小村一也氏(NPO法人 nature works 理事長)によれば,プロメテウスの図版は,「筆致がまったく見受けられないほど細密な肉筆画を基本として,そこに別に描いた血管,神経,筋をレイヤーとして重ねるコンピューター・グラフィックス(CG)技法によると推察できる」そうだ。CG技法によってバリエーションとなる図版を自在に作り出せるため,挿入される解説図が非常に豊富になるわけだ。

 単なるアトラスでもなく,記述中心の教科書でもない統合型の解剖学書としての“プロメテウス第2版”を,読者の利便性をさらに高めた発展型として,衷心よりお薦めしたい。
臨床に直結した解剖書
書評者: 近藤 信太郎 (日大松戸歯学部教授・解剖学)
 『プロメテウス解剖学アトラス』の第3巻「頭頸部/神経解剖」の第2版が刊行された。初版は「頭部/神経解剖」となっていたが,改訂に伴って頸部が第3巻に含まれることとなった。頭部と頸部が同じ巻となったことは歯科関係者からも歓迎されるところである。顎運動に関する筋を学ぶ場合は咀嚼筋群と舌骨上・下筋群が同じ巻に記載されているほうが便利であるし,歯科領域の動脈系は頸部からたどったほうが理解しやすい。初版よりも格段と使いやすくなったと感じる。

 本書の特徴はアトラスと教科書の利点を兼ね備えたところといえよう。書名は解剖学アトラスとなっているが,通常のアトラスよりも記載に力を入れている。精緻な図と明解な文章は相補的に機能しており,人体構造を深く理解することができるように工夫されている。SobottaやPernkopfのような精密な解剖図を世に送り出してきたのはドイツの伝統であろう。その伝統にコンピュータ技術を融合させて完成された本書の図は精細で美しい。図の脇にある説明文は短い中にも関連する図を示し,その図を順に追うことにより理解が一層深まるように構成されている。頭頸部に関しては,骨,筋,脈管,内臓といった系統解剖の後に,局所解剖と断面図が掲載されている。各器官系の系統的な理解と局所の器官系の関係を同時に記載している点は本書の魅力といえよう。

 本書は医療系学部や専門学校で解剖学を学ぶ学生のみならず臨床家の参考書に適している。特に局所解剖と断面図は有用な記載である。顔面は言うに及ばず,側頭下窩,翼口蓋窩,頸部の三角や咽頭周囲隙の局所解剖は歯科にとっては非常に重要である。これらの部分は詳細に記載されており,歯科医師が臨床解剖を学ぶのに有用である。見開きページにより浅層と深層が一度に理解できる点もよくできている。歯科用CTの開発により歯科臨床でもcross sectional anatomyの知識が必須となってきた。断面図の章では,画像診断の参考になる冠状断面(前額断面),水平断面(軸位断面),矢状断面の図が多く掲載されている。これらの図に付けられた名称は画像診断の専門書に比べれば多くはないが,必要なものはすべて網羅されており,かえって見やすい。本書は頭頸部の器官系の系統的な解剖と局所の解剖を精緻な図とともに記載しており,臨床に直結した知識を得るのに適した解剖学アトラスといえよう。

開く

本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

正誤表はこちら

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。