社会学 第6版

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  • 第6版では、新たな著者陣による20年ぶりの全面改訂を行いました。現代の社会と保健医療の世界におけるあらたな問題や動向、最新の研究成果をふまえたテキストとなっています。
  • 健康・病気と社会、そして看護と社会とのかかわりを知ることは、看護の学びをより深めます。本書は、社会学のテキストとして、また健康社会学のテキストとして、看護学生に最適な内容・構成となっています。
  • 第1部で社会学の基礎的な考え方と社会調査の技法を、第2部と第3部では健康・病気の社会学的見方を示したうえで、家族、コミュニティ、仕事、社会格差、性・ジェンダー、コミュニケーションなどの社会学の基礎概念を保健医療の切り口から解説しています。さらに第4部では保健医療の現代的な課題やケア論を取り上げました。
  • ​​​​​​​概念図やコラムを多用し、より多角的な理解ができるよう工夫しました。
  • 「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座-基礎分野
石川 ひろの / 進藤 雄三 / 山崎 喜比古
発行 2012年03月判型:B5頁:272
ISBN 978-4-260-01372-7
定価 1,980円 (本体1,800円+税)

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    2023.07.05

  • 序文
  • 目次
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はしがき

 社会とは,人と人とのさまざまな関係や結合からなるものである。たとえば友だちとの関係もひとつの社会であるといえるし,学校や地域,さらには国家も社会である。およそ人は,社会とかかわることなしには生きていけない。
 社会学は,そうした社会と社会の中でおこるさまざまな事象のなりたちやあり方に関する学問である。社会学を学ぶということは,ものごとを社会の中で多角的に,ときに批判的に見る社会学的な見方・とらえ方,先人たちによって得られた社会に関する知識・見識,いまだ明らかにされていない事象のなりたちやあり方を知るための社会調査・社会研究の技法,これらを身につけることにほかならない。よりよい社会をつくるためにも,また社会とよりよくかかわっていくためにも,社会学は,社会人・職業人として生きていこうとしている人たちにとって基礎的な教養であり,社会人・職業人としての素養であるともいえる。
 看護学を学び看護に従事しようとしている人たちにとって,社会学を学ぶことは,より一層重要な意味を持つ。看護とは,社会の中で生活し,社会を構成しているすべての人々を対象に,その健康の保持増進,また健康の回復と幸福な人生を支援する,専門的な営みである。
 そうした人々の健康の保持増進や回復,病ある人生の再構築には,人々がおかれ,またかかわってもいる社会が,密接なかかわりと大きな影響力を持っている。このことに対する知識や理解があるのとないのとでは,看護の質は大きく異なってくるだろう。また,看護とは社会の中で行われる営みであり,看護という営み自体が社会の一部をなしている。看護や看護職が社会とどのようにかかわり,社会の中でどのように位置づけられるのかということについての理解力や洞察力もまた重要である。
 健康や看護と社会とのかかわりについての,豊かで確かな見方・捉え方は,豊かで確かな看護を生んでくれるだろう。本書は,こうした願いのもとにつくられた。

改訂の主旨
 社会学は,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の基礎分野「人間と生活,社会の理解」に対応する科目と位置づけられる。本書の初版は1968年に刊行され,以来4度にわたる改訂を重ねてきた。
 5度目となる今回の改訂では,社会学一般の基礎的な理論・方法,および社会学と保健医療・看護との接点領域で拓〈ひら〉かれてきた「健康・病気と保健医療の社会学」(その最も短い略称が「健康の社会学」)の理論・方法の両方を学ぶというこれまでの方針を継承しながら,現代の社会と保健医療の世界におけるあらたな問題や動向,人々の関心の一層の強まり・広がりと最近・最新の研究成果をふまえて,内容を一新した。また,「第1部 社会学とは」「第2部 健康・病気と社会」「第3部 保健医療における行為・関係・組織・制度」「第4部 保健医療の現代的課題」の4部構成をとることで,健康と社会とのかかわりを考えるという視点を明確にし,より効果的な学習ができるようにしている。
 「第1部 社会学とは」は社会学の総論にあたる。ここでは,社会学の基礎概念,社会学的視点とモデル,保健医療と社会学,社会調査の基本と技法について学ぶ。
 「第2部 健康・病気と社会」では,健康・病気と社会とがどのようにかかわっているかを学ぶ。具体的には,健康・病気・ストレスの社会学的モデル,健康格差,仕事と健康の関係について取り上げる。
 「第3部 保健医療における行為・関係・組織・制度」では,保健医療の利用者と提供者の双方を対象とした。利用者の行為,利用者と提供者の関係,提供者である保健医療の専門職,利用者と提供者を取り巻く社会環境をなすジェンダー・家族・地域社会,そして保健医療制度について学ぶ。
 「第4部 保健医療の現代的課題」では,保健医療の現代的変化の位相,ケアと医療を取り上げる。現代社会における保健医療の主要な課題と,その課題を解決するための糸口を示した。
 社会は刻々とその姿をかえており,本書で学んだ事象やデータは,読者が看護の現場に出るときにはすでに過去のものとなるかもしれない。しかし,本書で学ぶことがらは,将来未知の問題に出会ったときに,それを理解・解決してゆくための基礎力となり,手がかりとなるだろう。
 本書を通して,読者が健康と社会についての理解を深め,それが豊かな看護の実践につながれば幸いである。
 2012年1月
 著者ら

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序章 社会学:健康,病気,医療への視座 (進藤雄三)
  A 社会学の誕生
  B 現代の社会学
  C 保健医療社会学の誕生と発展
  D 保健医療社会学の対象

第1部 社会学とは
 第1章 社会学の基礎概念 (進藤雄三)
  A 行為,社会的行為
  B 相互行為,社会関係,地位-役割
  C 集団,組織,ネットワーク
  D 制度,全体社会,グローバル-システム
  E 社会変動とグローバリゼーション
 第2章 社会学的視点とモデル (進藤雄三)
  A 合意とコンフリクト
  B 構造と解釈
  C 構造と過程
  D 意図せざる結果
  E モデルの応用に向けて
 第3章 保健医療と社会学 (進藤雄三)
  A 社会関係資本
  B 公衆衛生と社会医学-医療と社会学の接点
  C 病者の視点と社会的視点
  D 社会システムとしての医療
  E 保健医療と社会学
 第4章 社会調査の理論と技法 (石川ひろの)
  A 社会調査
  B 量的調査と質的調査
  C 量的調査の企画と実施
  D 質的調査の方法
  E 社会調査の倫理

第2部 健康・病気と社会
 第5章 健康・病気・ストレスの新しい見方ととらえ方 (山崎喜比古)
  A 健康・病気の見方・とらえ方のうつりかわり
  B 健康・病気の新しい見方ととらえ方
  C ストレッサーとストレス,対処,そして健康・病気
 第6章 健康・病気の社会格差 (石川ひろの)
  A 社会格差と平等
  B 健康・病気の社会格差の諸相
  C 社会格差による健康格差発生のメカニズム
  D 社会格差是正の取り組みと可能性
 第7章 「働き方」「働かせ方」と健康・病気 (石川ひろの)
  A 「働き方」と「働かせ方」
  B 「働き方」「働かせ方」による健康への影響
  C 健康に影響を与える職場の要因
  D 仕事と生活の調和

第3部 保健医療における行為・関係・組織・制度
 第8章 健康・病気行動と病経験 (石川ひろの)
  A 健康行動と病気行動
  B 病経験
  C 病の語り
  D ヘルスリテラシー
 第9章 患者-医療者関係とコミュニケーション (石川ひろの)
  A コミュニケーション
  B 患者-医療者関係とコミュニケーション
  C わが国の患者-医療者関係とコミュニケーション
  D 患者アドボカシー
  E 患者と医療者の協働に向けて
 第10章 保健医療の専門職 (進藤雄三)
  A 保健医療職種
  B 専門職論
  C 専門職論の変容
  D 看護職論の現在
  E 保健医療職種間の協働に向けて
 第11章 性・ジェンダー・家族と保健医療 (石川ひろの)
  A 性別・性差とは
  B ジェンダーとケア役割
  C ジェンダーと健康
  D 結婚と家族
  E 保健医療からみた結婚と家族
  F 男女共同参画社会の形成に向けた取り組み
 第12章 地域社会と保健医療 (石川ひろの)
  A コミュニティと地域
  B ソーシャルサポートと社会関係資本
  C ヘルスプロモーションにおける地域
  D 地域の保健力
  E ノーマライゼーションと地域
 第13章 保健医療制度 (進藤雄三)
  A 福祉国家と社会保障制度
  B 保健医療システムと保健医療制度
  C わが国の保健医療制度
  D わが国の保健医療制度の変容
  E わが国の保健医療制度をめぐる課題
 
第4部 保健医療の現代的課題
 第14章 保健医療の現代的変化の位相 (進藤雄三)
  A 保健医療システムの現代的変化
  B 保健医療システムの変容:近代医療と現代医療
  C わが国の医療システムの特徴
  D わが国の医療システムの課題
 第15章 ケアと医療:新しい地平を求めて (進藤雄三)
  A ケアと医療
  B ケア論
  C ケア論の歴史的意味
  D ケア論の社会的意味
  E ケアと医療との新たな関係性に向けて

索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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