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基礎看護技術


(第7版)

著:阿曽 洋子/井上 智子/氏家 幸子

  • 判型 A4
  • 頁 500
  • 発行 2011年02月
  • 定価 5,184円 (本体4,800円+税8%)
  • ISBN978-4-260-01099-3
「基礎看護技術」学習者の古くて新しい必読の1冊
初版の発行から約30年を経た「基礎看護技術」が第7版として、装いもあらたにリニューアル。紙面は見やすいオールカラー、判型はA4判となり1冊本となった。また現代の学生気質を考慮した内容の見直し、さらに「基礎」とはなにかという看護技術本来のあり方をもとに知識が精選され、記述も大幅に変更された。基礎看護技術の学習者にとって、古くて新しい必読の1冊。
序 文
第7版 まえがき(阿曽洋子)/第7版によせて(氏家幸子)

第7版 まえがき
 2005(平成17)年に第6版に改訂してから6年が経過し,今回,大幅な改訂を行って第7版を出版することになった。
 この6年の間の医療状況を概観すると,病院での在院日数の...
第7版 まえがき(阿曽洋子)/第7版によせて(氏家幸子)

第7版 まえがき
 2005(平成17)年に第6版に改訂してから6年が経過し,今回,大幅な改訂を行って第7版を出版することになった。
 この6年の間の医療状況を概観すると,病院での在院日数の短縮化,看護体制の改定,臓器移植法の改正,感染や災害から守るための医療安全対策の強化,医療倫理の強化等々,我が国の医療体制は大きく変革している。全国の一般病床での平均在院日数は,6年前の2005年は19.8日であったのが,2010(平成22)年4月現在では18.0日となった。患者は急性期には病院で治療を受け,急性期を過ぎると在宅で療養するという方向に進んでいることをこの数値が示している。病院での看護は,急性期看護が中心となり,臓器移植等も含めて医療は高度化し,それに伴う医療事故の増加や抗生物質の多用による感染性疾患の耐性菌の発生が頻発し,その防止も含めた診療への援助が中心となっている。
 これらの現状から,本改訂では診療への援助に関する項目の見直しを行い,臨床現場での使用頻度が少なく,基礎看護技術の範疇に当てはまらない項目は削除した。一方,日常生活の援助については,療養病床や今後さらに増加が予想される在宅療養での看護を従来のように想定し,介護者への日常生活への援助の指導ができるように,準実験レベルでの研究について一般化できるものをエビデンスとして収集し,掲載した。
 また第7版は,これまで2分冊になっていたものを1冊本とし,判型をA4判とした。これは2分冊では,授業に必要な分冊のみ持参すればよいので軽いという利点はあるが,以前に学習したところを参考にしたいと思ったときには手元に本がなく復習ができないという話を学生から聞いたことなどにもよる。
 現代の学生気質として,対人関係の構築が苦手であったり,結論を是か非かで決める傾向が強く,思考する習慣がついていない状況を多くみかける。また,理科などの自然科学的知識が十分ではない傾向もみられる。このような学生に対し,看護学教育の第一歩として学習する「基礎看護技術」の教科目を,どのような構成にすれば理解してもらえるのか検討を重ねた。そしてどのような内容にすれば学生の看護志向を高めて看護観が養えるのか,興味を持って看護援助に向かえるのか,学生の成長発達に添っていけるのか,エビデンスが理解してもらえるのか,さらに,基礎看護技術の上に積みあげて行く,成人看護学や老年看護学,小児看護学などの看護学教育の礎となるのか等々を検討し反映することに苦慮した。
 章の構成は第6版と同様に,「看護行為に共通する技術」,「日常生活に対する援助技術」,「診療に伴う技術」,「基礎看護技術を総合して行う看護行為」の4章立てとし,各章ごとに援助項目を配し,各援助項目は看護の意義,基礎知識,援助の形式で記述していった。また,それぞれの援助項目に対し,留意点とエビデンスになるものを本文の左欄に引き出し,わかりやすく工夫した。なお第7版も引き続き,「看護職者(保健師・助産師・看護師・准看護師)」を「ナース」と呼称し,看護の対象者すべてを「患者」と呼称した。
 今回の第7版から,本書を阿曽洋子が筆頭となり,井上智子,氏家幸子が共著者となって改訂・編集を行った。今回の改訂の詳細は編纂過程の第7版の項に記したが,現在の医療状況や学生気質を考慮したものの,まだまだ十分であるとは言えない。今後もさらに基礎看護技術の考え方を追求し,エビデンスについて情報収集するとともに自ら研鑽し,次の改訂に備えたいと考えている。読者の方々から忌憚のないご意見やご助言をいただければ大変ありがたいと思っている。
 最後に,今後本書を引き継いでゆくことに重責を感じつつ,30年もの長きにわたって本書を育て上げてこられた恩師氏家幸子先生に敬意を表するとともに,指導・ご鞭撻いただいたことに心から感謝申し上げる。そして,このような機会を与えていただいた医学書院の方々に心よりお礼を申し上げたい。とくに,初版から本書を担当いただいた看護出版部の中村猛夫氏と,中村氏から本書を引き継ぎ丁寧な改訂準備をしてくださった佐野博一氏に深謝の意を表する。
 2011年1月
 阿曽洋子


第7版によせて
 本書「基礎看護技術」第7版は,初版の出発から33年,発刊(1982年1月)から29年を経て,氏家から阿曽洋子に企画・構成を完全にバトンタッチすることができた。この30年間,本書をご利用頂いた読者の方々や,資料や写真撮影等でご協力を頂いた方々,医学書院の関係者の方々に,改めて感謝の意を表したい。そこで,本書の誕生とバトンタッチの経緯について,原著者として書きおくことにした。

 まず,本書の誕生は1978年始めに看護書籍編集部長武田清氏から,『系統看護学講座』の1冊として看護技術の手順書の執筆を依頼されたことから始まった。当時の看護教育の授業内容は,1967年のカリキュラム改定によるもので,教科書は『系統看護学講座』と『最新看護学全書(メヂカルフレンド社)』の2系統であった。そして,看護技術は看護総論の1学科目であったが,一部の項目を除いて,当時の医療機関での看護行為の総論基礎的な内容であった。この学科目「看護技術」の内容や,他社を含めての教科書執筆者との人間関係,それまでの他社での著作の編集者との関係等,諸事情を考えて悩み,(看護教育47(11):1056~1060,2006年を参照頂きたい)辞退した。
 しかし,その後も武田氏の熱意溢れる交渉を受け,カリキュラムの学科目「看護技術」の内容は含むが,講座の一冊でなく単行本として,氏家の看護技術の考え方で執筆することを受け入れて頂き,全面的なご協力を得た。本書の生みの親である。
 私の看護技術の考え方については,既に拙書や諸雑誌等で述べているが,その基盤は看護学生として基礎教育を受けた先生方からの学びであり,日常生活の中での健康問題や看護職としての体験であった。そして,看護教育に携わってから,教育や研究,看護職・医療関係職との協働,他分野の研究者や職種の方々との交流を通して,改めて看護の専門性や論理性,用語の名称等々について,考えさせられる課題が多々あった。
 そこで,本書の名称は,内容を配慮して「看護技術」でなく,看護職(看護師・保健師・助産師)が行う看護技術の共通的な基礎となるものを表す言葉として『基礎看護技術』という熟語を造語して,内容の企画・構成への努力を重ねた。この基礎看護技術という用語がカリキュラムをはじめ広く使われていることは嬉しいことである。なお,これまでの本書の基礎看護技術の考え方と編纂過程については,VIIIページ以降に纏めているので,ご参照頂きたい。

 さて,最初に完全にバトンタッチと述べたが,これは第3版改訂(1989年)時に武田氏と当時の看護出版部長から,アメリカにはハーマーBartha Harmerの「Textbook of the principles and practice of nursing」の1939年改訂に,ヘンダーソンVirginia Hendersonが共著者となり,更にSafierへと,看護の考え方と実践方法が発展しながら受け継がれた本があるが,日本にはこのような本はないので,是非努力して欲しいとの話しを頂いたことが念頭にある。自分の身体状態や能力の限界もあり,第4版から阿曽に共著者になって貰い,第6版改訂で編纂の中心をバトンタッチし,井上智子が執筆者に加わった。そして今回の第7版改訂で企画・構成等総てをバトンタッチした。阿曽は,私が看護教官になって最初の学生(大阪大学医療技術短期大学部1回生)であり,卒業後も保健師として活動する一方で,地域看護や看護技術の研究に参加し,基礎看護技術のVTR作成に協力して貰っていた。また基礎看護学関係の教官として協働,そして他学でも教員として基礎看護技術と臨地実習の教育の中心となり,再び大阪大学に戻り短大から大学への移行,大学院教育での活躍等,本書を次なるステップへと改革し創る人として信頼している。

 基礎看護技術は,社会の動向や諸科学の発展,医療・医療技術の急速な進歩や変化,人々の生活状態の変化の中で,広い視野で常に検討して,残すものは残し,改善と創造をしながら実践に結びつけたい。看護専門職の看護技術は,「人間愛に基づいて,科学的な思考により熟練した技で行う行為であり,その行為は常に創造性を発揮するものである」との思いを新たにしている。

 稿を終わるにあたり,本書の初版から30余年,引き続いて諸事に亘り絶大なご協力とご援助を頂き,第7版への申し送りを頂いた編集者の中村猛夫氏に篤くお礼を申し上げる。

 氏家幸子
目 次
第1章 看護行為に共通する技術
 A コミュニケーション
  1 コミュニケーションに関する看護の意義
  2 コミュニケーションに関する基礎知識
  3 コミュニケーションの実際
 B 情報収集と観察,記録・報告
  1 情報収集と観察,記録・報告に関する看護の意義
  2 情報収集と観察,記録・報告に関する基礎知識
  3 情報収集と観察,記録・報告の実際
 C バイタルサイン
  1 バイタルサインに関する看護の意義
  2 バイタルサインに関する基礎知識
  3 バイタルサインの観察の実際
 D 身体各部の測定
  1 身体各部の測定に関する看護の意義
  2 身体各部の測定に関する基礎知識
  3 身体各部の測定の実際
 E 姿勢・動作
  1 姿勢・動作に関する看護の意義
  2 姿勢・動作に関する基礎知識
  3 姿勢・動作への援助
 F 安全・安楽
  1 安全・安楽に関する看護の意義
  2 安全・安楽に関する基礎知識
  3 安全・安楽の援助
第2章 日常生活に対する援助技術
 A 日常生活リズム
  1 日常生活リズムに関する看護の意義
  2 日常生活リズムに関する基礎知識
  3 日常生活リズムの援助
 B 生活環境
  1 生活環境に関する看護の意義
  2 生活環境に関する基礎知識
  3 生活環境の援助
 C 衣生活
  1 衣生活に関する看護の意義
  2 衣生活に関する基礎知識
  3 衣生活への援助─病衣の交換
 D 身体の清潔
  1 身体の清潔に関する看護の意義
  2 身体の清潔に関する基礎知識
  3 身体の清潔の援助
 E 栄養と食事
  1 栄養と食事に関する看護の意義
  2 栄養と食事に関する基礎知識
  3 栄養と食事に関する援助
 F 排泄
  1 排泄に関する看護の意義
  2 排泄に関する基礎知識
  3 排泄の援助
第3章 診療に伴う技術
 A 医療に関する共通基礎技術
  1 感染予防
  2 滅菌と消毒
  3 医療機器
  4 診察
  5 包帯とその装着
  6 罨法
 B 薬物療法
  1 薬物療法に関する看護の意義
  2 薬物療法に関する基礎知識
  3 薬物療法の援助
 C 酸素療法
  1 酸素療法に関する看護の意義
  2 酸素療法に関する基礎知識
  3 酸素療法(酸素吸入)の援助
 D 栄養療法
  1 栄養療法に関する看護の意義
  2 栄養療法に関する基礎知識
  3 栄養療法に関する援助
 E 導尿
  1 導尿に関する看護の意義
  2 導尿に関する基礎知識
  3 導尿の援助
 F 浣腸
  1 浣腸に関する看護の意義
  2 浣腸に関する基礎知識
  3 浣腸への援助
 G 吸引
  1 吸引に関する看護の意義
  2 吸引に関する基礎知識
  3 一時的吸引による呼吸の援助
第4章 基礎看護技術を総合して行う看護行為
 A 看護過程(ナーシングプロセス)
  1 看護過程に関する看護の意義
  2 看護過程に関する基礎知識
  3 看護過程の実際(計画の立案まで)
 B 相談・指導的機能
  1 相談・指導的機能に関する看護の意義
  2 相談・指導的機能に関する基礎知識
  3 相談・指導的機能の実際
 C 褥瘡予防
  1 褥瘡に関する看護の意義
  2 褥瘡に関する基礎知識
  3 褥瘡予防の援助
  4 治療時の援助
 D 危篤・終末時の看護
  1 危篤・終末時の看護の意義
  2 危篤・終末時の基礎知識
  3 危篤・終末時の援助

索引
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