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がん化学療法・バイオセラピー看護実践ガイドライン


監訳:佐藤 禮子
訳:日本がん看護学会翻訳ワーキンググループ 

  • 判型 B5
  • 頁 344
  • 発行 2009年02月
  • 定価 5,400円 (本体5,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-00813-6
がん薬物療法の看護に重要なエビデンスと実践のポイント集、
日本がん看護学会が翻訳

米国がん看護学会(ONS)発行の、がん化学療法、免疫療法や分子標的治療等のバイオセラピーにおける看護実践のガイドラインを日本がん看護学会の力を集め翻訳。がん薬物療法の原則から各薬剤の看護にとって重要な特徴、安全な薬剤の取り扱い方とトラブル時の対応、副作用の機序と対応を網羅。がん薬物療法の考え方を概念的に理解し、さらにエビデンスに基づいた実践をめざす看護師には必携のポイント集。
序 文
監訳者の序

監訳者の序
 『がん化学療法・バイオセラピー看護実践ガイドライン』は,日本がん看護学会会員の総意による平成20年度事業として全訳されたものです.また,本書は,日本がん看護学会20周年記念事業として,会員の手により全訳した『がん看護コア...
監訳者の序

監訳者の序
 『がん化学療法・バイオセラピー看護実践ガイドライン』は,日本がん看護学会会員の総意による平成20年度事業として全訳されたものです.また,本書は,日本がん看護学会20周年記念事業として,会員の手により全訳した『がん看護コアカリキュラム』(医学書院,2007年)に引き続く翻訳であり,会員の願いと熱い思いによって発刊にいたったものです.そして,今回の翻訳書の特徴は,前書同様,多くの会員による努力の結晶であるという点にあります.
 がんの薬物療法は,がん医療の一翼を担うものとして日常的に実施されており,がん看護実践における重要な一面を占めるものとなっています.抗がん剤による恩恵は多大である反面,生体が受ける有害事象や副作用も非情であり,苦痛を伴うものとなっています.がん看護実践では,治療による最大効果を引き出すための援助と,同時に,苦痛の除去・軽減のための援助を実践することが重要であり,看護師の責務となっております.そして,わが国の看護実践の現場では,先輩諸氏の経験に学びつつ,日進月歩の知識を求めて医学専門書を片手に看護師が良質な看護を提供しようと悪戦苦闘しているといっても過言ではないでしょう.がん看護の均てん化が叫ばれる今日,がんの薬物療法に対する看護実践を確かなものとすることは,がん患者への看護の担い手となるすべての看護師にとって重要な責務であり,最優先課題となっています.
 米国がん看護学会(Oncology Nursing Society; ONS)発行の『Chemotherapy and Biotherapy Guidelines and Recommendation for Practice』(本書『がん化学療法・バイオセラピー看護実践ガイドライン』の原書にあたります)は,1984年発刊の『Cancer Chemotherapy Guidelines』に始まり,これまでに培ってきたがん薬物療法に対する看護実践現場からの声を十分に汲み取って作成した内容であることが原書序に記されています.日本がん看護学会が急務としたがん薬物療法の実践書・教育書は,このONS発行の原書をおいてほかにはないと結論づけた理由の中には,現場の看護師たちが使いやすいと述べた,要点をまとめた形式で提示されていること,可能な限りのエビデンスが網羅されていることがあげられます.米国の実践現場と日本の実践現場では異なる側面が多くありますが,同じがん看護実践者として,先人からの学びは,自分たちのやり方を生み出す知恵として役立てられると考えております.

 本翻訳書は,がん薬物療法の看護に重要なエビデンスと実践のポイントが集められています.第I章は,がんの定義にはじまり,治療法,薬剤開発過程,倫理的・法的問題とがんについての総論,第II章は,がん治療の目標や効果をどう考えるかについての概念的理解を導く内容となっています.第III章は化学療法の基本的となる理論的考え方に基づき,看護上の考慮すべき事項を含めた各抗がん剤の特徴について薬剤分類別に網羅し,第IV章では,バイオセラピーの枠組みと原理,生物製剤の特徴について,同じく看護において考慮すべき点を含んで分類別に整理されています.第V章は,看護師ならびに在宅患者・家族の安全を確保する抗がん剤の取り扱い方と困難時の対応,がん薬物治療前と治療時の看護の原則,第VI章は,がん薬物療法中・直後に看護師が注意すべき血管外漏出や過敏症等に関する重要知見,第VII章は,看護師が実践する患者教育のポイントがまとめられています.第VIII章は,がん治療に伴う副作用について,症状および抗がん剤により影響を受ける部位別に15項目で整理,「病態生理」や「アセスメント」「患者および家族への教育」など7つの枠組みで最新知見を紹介し,第IX章ではがんサバイバーを支えるための治療後のケア原則を各論的に,第X章では抗がん剤投与にかかわる看護師に求められる能力と能力獲得のためのステップについて記されています.
 なお本翻訳書では,日本で承認されている薬剤はカタカナで,それ以外は原語表記を原則としています.ただ,薬剤の特徴をまとめた表では,日本の読者が読みやすいように「薬剤名」の欄は原語表記をしたもののその他の欄ではカタカナ表記としています.また,本書の現場活用にあたっては,日本国内の最新のデータにあたることや日本と米国の違いに留意した実践とすることが必要です.
 日本の看護現場で,より確かな理論やエビデンスに基づいた実践をしたい看護師には必携の書となると確信します.がん薬物療法を受ける患者の看護の質向上を目指すすべてのがん医療現場において,活用されることを期待し念願しております.

 さて,本原書の翻訳が理事会,評議員会,総会で学会事業として承認され,完成に到るまでの一年間の経過は,前回同様,真に日本がん看護学会会員の熱意と責任感と努力の結集によるパワーが全開されたものでした.まことに頼もしく,心から敬意を表します.本書の刊行は,日本がん看護学会の将来を明るく照らすと同時に,これからのがん看護の盤石な基盤になることと確信します.
 本書刊行にあたっては,最新の知見が幅広く盛り込まれた翻訳原稿のチェックを武蔵野赤十字病院血液腫瘍内科医の中根 実先生にお願いし,短期間の中で,大変丁寧かつ誠実に,質の高い作業をしていただきました.心から感謝申し上げます.また,『がん看護コアカリキュラム』に引き続き無理難題を寛大に受け止め,絶大なる御協力を下さいました医学書院常務取締役の七尾 清様と短期間に繁雑で膨大な作業に追われたにもかかわらず,いつも穏やかに忍耐強く誠実に対応して下さいました看護出版部3課の北原拓也様に深甚なる謝意を表します.

 2009年1月
 日本がん看護学会理事長 佐藤禮子



 米国がん看護学会(Oncology Nursing Society; ONS)によって今回発行する本書『Chemotherapy and Biotherapy Guidelines and Recommendations for Practice』の第2版(2005年)(訳注:本書『がん化学療法・バイオセラピー看護実践ガイドライン』の原書にあたる)は,これまでの『Cancer Chemotherapy Guidelines and Recommendations for Practice』(1984年,1988年,1992年,1996年,1999年に発行),『Biotherapy: Recommendations for Nursing Course Content and Clinical Practicum』(1995年),そして『Chemotherapy and Biotherapy Guidelines and Recommendations for Practice』(2001年)の長所を活かして作られている.加えて,編者らならびに著者たちは,米国がん看護学会の「化学療法・バイオセラピーコース」に参画し,そのコースの教育的な状況と化学療法・バイオセラピーにおける投与と患者ケアの状況に精通している.
 今回の新しい版の編者らは,これまでの版の読者や「化学療法・バイオセラピーコース」参加者による指摘に対応をしている.そうした指摘に基づいて,今回の版の内容はより理解しやすいように再編され,実践の声明(statements)を支援するためにエビデンスが引用され,頭文字による略号(acronyms)と後発品の商品名のリストを簡単に参照できるように本書の冒頭に収録している(訳注:後発品の一覧は米国でのものであるため本翻訳では割愛した.代わりに,日本での「主な抗悪性腫瘍薬と関連薬剤一覧」を附表1として巻末に収録した.略号一覧は英語での原書利用に供するものであるが,附表2として収録した).本書はまた,特定の内容の場所が容易に探せる総合索引も特徴としている.
 本ガイドラインは,看護師たちが使いやすいと思ったと述べている,要点をまとめた形式で提示されている.新たな図表が加えられ,前版の表は本文を補足するキーとなる情報を提供するために更新されている.薬物療法における最新の開発を看護師たちに知らせるために(発行の時点で入手できた)最近承認された薬剤の情報も含まれている.本書では可能な限りのエビデンスを用いた.米国がん看護学会の他の出版物と同様に,本書『Chemotherapy and Biotherapy Guidelines and Recommendations for Practice』は最も強いものから最も弱いものまでのエビデンスレベルを用いている(すなわち,研究に基づいたものから研究に基づかないものまでである).
 米国がん看護学会は,今回の版に提供された素材の編者ら・著者たちと同様に,これまでの版に参画してきた編者ら・著者たちに深く感謝している.本書の内容は,外部の査読者や「化学療法・バイオセラピーコース」の内容を更新している化学療法の指導者による,広範囲に及ぶ査読(peer review)を受けてきたものである.本書の出版の発展に参画してきたすべての人に感謝したい.
目 次
第I章 序章
 A がんの定義
 B 治療法
 C 薬剤開発過程
 D がん治療に関連する倫理的問題
 E がん治療に関連する法的問題
第II章 がん治療の目標と効果
 A がん治療の目標
 B 治療効果に影響を与えるファクター
 C 治療効果の判定
第III章 化学療法の原則
 A 細胞周期
 B 抗がん剤
第IV章 バイオセラピーの原則
 A 免疫監視の理論
 B バイオセラピー製剤の作用機序
 C バイオセラピーのカテゴリー
 D バイオセラピーによる治療
 E 支持的に用いるバイオセラピー
 F バイオセラピー製剤の研究的使用
 G バイオセラピー製剤による戦略
 H 免疫系の作用
 I 免疫反応の種類
 J 免疫系の細胞
 K 腫瘍の逃避機序
 L 血管新生と血管新生阻害薬
 M 放射免疫療法の原理
 N トキシン結合分子
第V章 抗がん剤投与の原則
 A 安全な取り扱い方
 B 治療スケジュール
 C 治療前の看護
 D 治療時の看護
第VI章 抗がん剤治療に伴う即時型の合併症
 A 血管外漏出
 B フレア反応
 C 過敏症とアナフィラキシー
 D 患者および家族への教育
第VII章 がん治療を受ける患者のケア
 A 患者教育
 B 毒性のマネジメント
第VIII章 がん治療に伴う副作用
 A 骨髄抑制
 B 消化管と粘膜の副作用
 C 脱毛
 D 疲労(Fatigue)
 E 心毒性
 F 肺毒性
 G 出血性膀胱炎
 H 肝毒性
 I 腎毒性
 J 神経毒性
 K 膵炎(膵臓の炎症)
 L セクシュアリティと生殖機能の障害
 M 皮膚毒性
 N 眼毒性
 O 二次性悪性腫瘍
第IX章 治療後のケア
 A 一般的原則
 B 障害の分類
 C 看護アセスメント
 D 共同マネジメント
第X章 臨床実習
 A コース概要
 B コース目標
 C 臨床活動
 D 評価

 付録1 看護フローシート
 付録2 化学療法フローシート
 付録3 在宅における化学療法の安全マネジメント
 付録4 血管外漏出の進行過程
 付録5 臨床実習評価表:パートI
 付録6 臨床実習評価表:パートII

 日本語版附表1 主な抗悪性腫瘍薬と関連薬剤一覧
 日本語版附表2 英字略称一覧

索引