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専門医のための腎臓病学


(第2版)

監修:下条 文武
編集:内山 聖/富野 康日己/今井 裕一

  • 判型 B5
  • 頁 640
  • 発行 2009年12月
  • 定価 16,500円 (本体15,000円+税10%)
  • ISBN978-4-260-00861-7
腎臓病学の実践書、最新の知見を盛り込み全面改訂
腎臓病専門医や腎臓病専門医を目指す医師を対象とした実践書。改訂では情報をアップデートし最新の知見を盛り込んだ。〔症候編〕、〔新しい疾患概念〕、〔疾患編〕で構成。症候編では腎の構造と機能をベースにおいた診断の進め方を、新しい疾患概念では最近の疾患概念であるCKDやメタボリックシンドロームについて、疾患編では疾患の病態生理・診断・治療をまとめた。あえて〔基礎編〕は作らず、項目ごとに必要事項を織り込んで解説した臨床志向の1冊。
序 文
第2版 序

 近年,臨床医学における腎臓病学の重要性は一層増している.特に,慢性腎臓病chronic kidney disease(CKD)の新しい概念の導入により,単にCKDが末期腎不全(透析)の予備群のみならず,心血管系疾患への強い危険因子となることが明確にされたことは臨床医...
第2版 序

 近年,臨床医学における腎臓病学の重要性は一層増している.特に,慢性腎臓病chronic kidney disease(CKD)の新しい概念の導入により,単にCKDが末期腎不全(透析)の予備群のみならず,心血管系疾患への強い危険因子となることが明確にされたことは臨床医学に大きなインパクトを与えた.一般に腎臓の病気は,臨床症状に特徴的なものが少なく「沈黙する病気」ともいわれるが,一方で,腎臓は「全身の鏡」といわれるほど全身の病態を反映する重要な臓器であり,診療にあたっては,最新の知識を常に患者の診療に生かすということが課せられている.また,腎臓病学は病理形態学や水電解代謝を含む病態生理をはじめ,糖尿病性腎症,遺伝性腎疾患,腎移植などを含めたきわめて広い分野を包含する臨床分野である.すなわち腎臓専門医には,蛋白尿と血尿などの尿異常の病態解析から,腎生理学と水・電解質代謝の理解,腎生検などによる一次性・二次性腎疾患の診断と治療管理,末期腎不全に対する透析治療と移植医療までのきわめて広範囲にわたり,かつ高度の知識と技術が要求されるのである.
 2002年,腎臓病の基本事項と最新の知見を披瀝することを目的として本書が出版された.以来,多くの読者からのご支持をいただいて8年が経過した.この間,社会の高齢化と生活習慣などの変化は一層進み,糖尿病性腎症などに起因する腎疾患が一段と増加した.また,最近の医学・医療の著しい進歩のなかで,腎臓病に関しての新たな知見やトピックスも数多く出現している.このような背景から改訂の必要性を強く認識し,このたびここに改訂2版を上梓する運びとなったものである.
 本書は,第一線での腎臓病診療に役立つ実践書を目指すという初版の趣旨に沿って,腎の構造や生理学的な基礎事項は各症候や疾患の項で解説し,あくまで臨床に密着した立場からその内容の充実を図った.そのため,初版では「I.症候編」,「II.疾患各論」の2編構成であったものに,本改訂版では「新しい疾患概念」の項目を新たに加えた3編構成とした.すなわち,「I.症候編」では腎疾患にみられる主要な症候を取り上げ,各症候を通じて腎の構造と機能を学ぶとともに,診断の進め方を習得してもらい,「II.新しい疾患概念」では「慢性腎臓病」,「メタボリックシンドロームと腎」を取り上げ,「III.疾患各論」では臨床で高頻度に経験する腎疾患を中心に最新の知見を加筆した.小児ならびに成人にみられる疾患については,初版と同様に「小児科の視点」を適時加え,総合的に腎臓病学を学ぶことができるように編集した.
 今回の改訂にあたっては,執筆をお願いした方々のご理解とご協力のおかげにより,初版から一層充実した内容にしていただいた.装いを新たにした本書が,21世紀のわが国の腎臓専門医とそれを目指す先生方の座右の書として,広くご活用いただければ幸いである.

 2009年11月
 監修・編集者一同
書 評
  • 腎臓専門医とそれをめざす医師のための書
    書評者:黒川 清(政策研究大学院大教授・内科学/日本医療政策機構代表理事)

     2002年の初版以来の改訂版が出版された。600頁を少し超える,腎臓専門医とそれをめざす医師を対象にした書籍である。日常の臨床の場で,家での自習,検索に適している。1.4kgとやや重いので,持ち歩くにはつらい。

     本書の初版は腎臓専門医の中でも評価が高かったと思うが,この改訂第2版では最近の...
    腎臓専門医とそれをめざす医師のための書
    書評者:黒川 清(政策研究大学院大教授・内科学/日本医療政策機構代表理事)

     2002年の初版以来の改訂版が出版された。600頁を少し超える,腎臓専門医とそれをめざす医師を対象にした書籍である。日常の臨床の場で,家での自習,検索に適している。1.4kgとやや重いので,持ち歩くにはつらい。

     本書の初版は腎臓専門医の中でも評価が高かったと思うが,この改訂第2版では最近の知見を加えつつ内容のアップデートを図り,全面的に改訂したという。

     〔I.症候編〕では腎臓,体液調節系の臨床的によく遭遇する症候の生理学,病態生理学について丁寧に,わかりやすく解説してある。次いで〔II.新しい疾患概念〕として「慢性腎臓病」と「メタボリックシンドロームと腎」を取り上げ,さらに症候・疾患概念とは別に各疾患論が整理されている。このうちいくつかの疾患に「小児科の視点から」のコメントが掲載されているのはうれしい。

     全体として,編集諸氏の考え方が伝わってくるまとめ方であり,スマートな本になっている。患者に接したときの疑問,問題点の整理などにも役に立つが,全体像をまず把握するのに役立つだろうと感じる。特に,腎臓を専門としない方々や,医学部学生や研修医,また腎臓専門医をめざそうという方たちにもお勧めである。

     腎臓の専門医,あるいはさらに高度な知識を求められる方には,日常の診療の伴侶としてばかりでなく,この書籍を手元に置きつつハリソンの内科学,英語での成書にもちょっと目を通して,さらなる確認,自分の理解を深めておくことも必要であろう。また,最近ではインターネット上にもいろいろな興味のある教材ができている。視野を広め,最近の世界の動向にも留意しておくことが専門家としては必要なことである。何しろ情報は国境を越えて瞬時に広がっており,そこには世界の患者も,その家族もアクセスしているのだから。

     各項目とも読み応えもあり,よく整理されていて,明解である。著者諸氏のご努力に負うところが大きい。日常的に手元の使いやすいところ置いておきたい1冊であろう。
目 次
I.症候編
 1.蛋白尿
 2.血尿
 3.膿尿
 4.糖尿
 5.乏尿,無尿,多尿
 6.浮腫
 7.頻尿
 8.排尿痛
 9.夜間尿と尿濃縮
 10.高血圧
 11.電解質異常
 12.酸・塩基平衡異常
II.新しい疾患概念
 1.慢性腎臓病
 2.メタボリックシンドロームと腎
III.疾患各論
 1.急性腎不全
 2.慢性腎不全
 3.急性糸球体腎炎
 4.急速進行性糸球体腎炎
 5.ネフローゼ症候群
 6.メサンギウム増殖性糸球体腎炎-IgA腎症
 7.膜性腎症
 8.膜性増殖性糸球体腎炎
 9.家族性・遺伝性疾患
 10.膠原病と類縁疾患による腎障害
 11.紫斑病性腎炎
 12.肝疾患と腎糸球体病変
 13.クリオグロブリン血症に伴う腎病変
 14.アミロイド腎症
 15.多発性骨髄腫における腎障害
 16.Immunotactoid glomerulopathy/Fibrillary glomerulonephritis
 17.リポ蛋白糸球体症
 18.腎硬化症
 19.腎血管性高血圧,虚血腎
 20.糖尿病性腎症
 21.妊娠時の腎機能,妊娠高血圧症候群
 22.痛風腎
 23.溶血性尿毒症症候群
 24.尿細管間質性腎炎(急性・慢性)
 25.尿細管機能異常
 26.中毒性腎症(薬物,重金属)
 27.尿路感染症
 28.尿路結石症

 索引