臨床脳波学 第6版

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逝去された大熊輝雄氏にかわり、今版では東北大学精神科教授陣が中心となって内容の全面的な見直しを行った。章の編成は、これまでの「臨床編・基礎編」の2編/25章から「総論・疾患編・応用編・基礎編」の4編/24章に分かりやすく再編。歴史的に評価の高い文献のレビューを残しつつも、デジタル脳波計、リモンタージュ、進歩の著しいMRI、PET、SPECT、NIRSなどの脳画像について、新しい知見を加えた。
大熊 輝雄 / 松岡 洋夫 / 上埜 高志 / 齋藤 秀光
発行 2016年11月判型:B5頁:724
ISBN 978-4-260-01449-6
定価 19,800円 (本体18,000円+税)

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第6版の序

 本書の第5版が出版されたのが1999年(平成11年)11月ですから,17年という長い期間が経過しようとしています.20世紀から21世紀へと新しい世紀になっただけでなく,2000年(平成12年)1月には日本脳波・筋電図学会が日本臨床神経生理学会へ名称変更されるなど,臨床脳波学を取り巻く環境も大きく変わってきました.

 本書の編成については,わかりやすくするため,臨床編・基礎編の2編25章を,総論・疾患編・応用編・基礎編の4編24章に再編しました.できるだけ,古い内容のものは削除し,新しい知見を加えました.
 デジタル脳波計が普及しつつあるので,リモンタージュなど,その特徴などについて,加筆しました.近年,進歩の著しいMRI,PET,SPECT,NIRSなどの脳画像についても,若干の解説を加えました.
 脳波に関する用語については,「日本臨床神経生理学会用語集2005」(日本臨床神経生理学会),「用語集」(国際臨床神経生理学会連合IFCN,1999)にできるかぎり準拠しました.
 統合失調症,認知症,知的障害など,名称変更された疾患名については,原則として新しいものに統一するようにしました.付録の資料は,ウェブ上で容易に閲覧できるものはその検索先を明示し,できるかぎり簡略化しました.

 本書の改訂については,2005年秋ころ,恩師である原著者の大熊輝雄先生から依頼されて,松岡,上埜,齋藤の3名が分担して改訂をすることとし,それぞれ作業を開始しました.なにぶんも700ページを超える大著であり,臨床脳波学および関連領域の進歩も速いため,時間を要してしまいました.2010年(平成22年)9月15日,大熊先生が逝去され,翌年2011年(平成23年)3月11日,東日本大震災に見舞われ,さらに滞ることとなってしまいました.
 ここに改訂の完成をみることのなかった大熊先生のご霊前に本書第6版を捧げ,生前のご指導に感謝するとともに,ご冥福をお祈りいたします.

 医学書院医学書籍編集部の大野智志氏には,遅れがちな作業について辛抱強く待たれるなど,ご配慮をいただくことがなければ,この改訂が完成することはありませんでした.ここに感謝いたします.
 本書が従来の版と同様,読者諸賢のお役に立つことを願うとともに,ご批判ご教示いただければ幸いです.

 2016年(平成28年)9月15日,大熊輝雄先生の7回忌
 東北大学にて
 松岡洋夫,上埜高志,齋藤秀光

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第Ⅰ編 総論
 第1章 脳波研究の歴史
 第2章 脳波検査法
  1 脳波記録の技術面
  2 脳波記録法の原理
  3 電極配置法と脳波導出のモンタージュ
  4 脳波の賦活法
  5 アーチファクトについて
  6 脳波記録の実際
  7 テレメータによる脳波記録
  8 脳波トポグラフィ,二次元脳電図
  9 日本臨床神経生理学会改訂臨床脳波検査基準2002
 第3章 脳波の分類と記載
 第4章 正常脳波
  1 健常者脳波に生理的範囲の変動を生じる諸要因
  2 健常成人の脳波
  3 小児の脳波
  4 高齢者の脳波
  5 正常睡眠脳波
  6 正常脳波の判定基準
 第5章 異常脳波
  1 脳波異常の概観
  2 異常脳波の分類
  3 異常脳波の局在
  4 異常脳波出現の周期性
  5 脳波異常判定の基準
 第6章 脳波所見
  1 脳波検査の依頼
  2 脳波検査技術者の報告書
  3 脳波の判読と所見の記載
 第7章 臨床脳波検査室

第Ⅱ編 疾患編
 第8章 てんかんの脳波
  1 てんかん および てんかん発作の分類
  2 てんかん発作と脳波
  3 年齢(小児期)と突発波-棘波出現率と年齢(小児期)の関係
  4 てんかんの経過,予後と脳波
  5 てんかんの素因規定性,外因規定性と脳波-てんかん近親者・双生児の脳波
  6 てんかんに伴う精神障害と脳波
  7 反射てんかん
  8 徐波睡眠期に持続性棘・徐波を示すてんかん
  9 熱性けいれん
  10 てんかん脳波の新しい解析
 第9章 小児疾患の脳波
  1 小児の異常脳波の特異性
  2 正期産新生児および早期産児の異常脳波
  3 脳性麻痺
  4 脳奇形
  5 急性小児片麻痺症候群
  6 小児期の頭部外傷後脳波の特徴
  7 小児期の脳腫瘍時の脳波の特徴
  8 知的障害(精神遅滞)の脳波
  9 神経発達障害の脳波
 第10章 頭痛の脳波
  1 頭痛について
  2 頭痛患者における脳波異常
 第11章 睡眠障害の脳波
  1 睡眠障害の分類
  2 睡眠関連呼吸障害
  3 眠気の計測-反復睡眠潜時検査(MSLT)
  4 中枢性過眠症
  5 パラソムニア
 第12章 脳腫瘍の脳波
  1 脳腫瘍における脳波の診断的価値
  2 脳腫瘍における脳波異常の発生機序
  3 脳腫瘍にみられる脳波異常とその局在
  4 脳腫瘍の種類による脳波異常の差異
  5 脳腫瘍におけるCT像と脳波所見
  6 脳腫瘍の経過と脳波
  7 脳膿瘍
 第13章 脳血管障害・循環障害の脳波
  1 脳血管障害-脳出血,脳梗塞
  2 高血圧症
  3 急性脳血行障害
  4 慢性低酸素血症
 第14章 脳炎症性疾患の脳波
  1 急性脳炎
  2 亜急性硬化性全脳脳炎
  3 髄膜炎
  4 神経梅毒とくに進行麻痺
 第15章 頭部外傷の脳波
  1 頭部外傷概説
  2 頭部外傷の類型と脳波
  3 外傷てんかん
  4 頭部外傷例に対する賦活法の効果
  5 ボクサーの脳波
 第16章 脳器質性疾患の脳波
  1 初老期および老年期の認知症の脳波
  2 パーキンソン症候群
  3 クロイツフェルト-ヤコブ病
  4 ハンチントン舞踏病
  5 脊髄小脳変性症
  6 筋萎縮性側索硬化症
  7 神経・筋疾患-進行性ジストロフィーと筋緊張性ジストロフィー
  8 ミトコンドリア脳筋症
  9 脱髄疾患
  10 先天代謝異常
  11 スタージ-ウェーバー病
  12 失外套症候群,慢性植物状態
  13 無動無言症
  14 脳死と脳波
 第17章 内分泌障害・代謝障害の脳波
  1 低血糖
  2 糖尿病
  3 甲状腺機能障害
  4 副甲状腺疾患
  5 副腎皮質機能障害
  6 視床下部下垂体性内分泌障害
  7 性周期
  8 肝性脳症
  9 尿毒症および人工透析
  10 肺性脳症
  11 その他の疾患
 第18章 精神疾患の脳波
  1 人格と脳波
  2 神経症性障害(精神神経症)
  3 パーソナリティ障害
  4 統合失調症,気分障害
  5 司法精神医学と脳波
  6 電気けいれん療法のさいの脳波
  7 禅,ヨーガ,催眠と脳波
  8 意識障害時の脳波

第Ⅲ編 応用編
 第19章 直接導出脳波
  1 皮質電図
  2 深部電図(深部脳波)あるいは皮質下脳波
 第20章 脳波分析,脳磁図,脳画像
  1 脳波分析
  2 脳磁図
  3 脳画像
 第21章 誘発電位,事象関連電位
  1 定義
  2 体性感覚誘発電位
  3 聴覚誘発電位
  4 視覚誘発電位
  5 事象関連電位(狭義)
  6 脊髄誘発電位
  7 薬物による誘発電位の変化
  8 大脳誘発電位と心理的要因
  9 神経振動,事象関連脱同期,事象関連同期

第Ⅳ編 基礎編
 第22章 脳波の神経生理学的基礎
  1 脳電気活動のとらえ方
  2 体積導体中で記録される電位
  3 脳波の発現機序
  4 脳波と脳の活動水準-覚醒系,視床広汎投射系,睡眠
  5 脳波と辺縁系
  6 発作発射
 第23章 生理学的変化と脳波
  1 酸塩基平衡と脳波
  2 無酸素症あるいは低酸素症
  3 低体温と脳波
  4 発熱時の脳波
  5 水分平衡と脳波
 第24章 薬物と脳波
  1 麻酔と脳波
  2 バルビツール酸系薬物と脳波
  3 モルヒネ,アルコールと脳波
  4 自律神経親和性薬物と脳波
  5 向精神薬と脳波
  6 幻覚薬(hallucinogenic drugs)と脳波
  7 薬物の脳波に及ぼす影響の分析-定量薬物脳波学
  8 抗認知症薬と脳波
  9 その他の医薬品と脳波
  10 その他の中毒と脳波

参考図書
付録1 参考資料(URL)一覧
付録2 用語集〔国際臨床神経生理学会連合(IFCN)1999年〕
索引

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大熊臨床脳波学の信頼と価値を示す改訂第6版
書評者: 丹羽 真一 (福島県立医大名誉教授・神経精神医学)
 大熊輝雄先生の『臨床脳波学』の第6版が2016年11月に出版された。同書の第1版が出版されたのは1963年11月であるから初版以来53年が経過し,その間に5回の改訂がなされたわけである。1999年の第5版出版までは大熊先生が単独で改訂作業をされたが,第6版は松岡,上埜,齋藤の3氏が改訂作業に加わられた。3氏とも大熊先生が東北大学教授在任中の臨床脳波学の弟子であり,その薫陶を受けられ脳波学に造詣が深く改訂作業を担当されるにふさわしい方々である。

 第6版への改訂作業は,大熊先生が3氏へ改訂を依頼された2005年秋に始まった,と「序」に述べられている。途中,2010年9月に大熊先生が亡くなられるという不幸があり,また2011年3月には東日本大震災が起きて3氏は宮城県などの被災者救援,被災地域医療の再生に奔走され,改訂作業は一時中断せざるを得ないこととなるなど困難な道程をたどった。それだけに改訂第6版が出版されたことを,本書の利用者・愛読者の一人として大いに喜びたいと思う。

 今回の改訂の要点は,(1)第5版までに大熊先生が到達された脳波学の高みを十分に保持すること,(2)「臨床編」「基礎編」と大きく二分されていた構成を,「総論」「疾患編」「応用編」「基礎編」の4部構成へと改めること,(3)21世紀に入り進歩が著しい脳波と関連領域につき新たに項目を設けること,(4)第5版に含まれる項目についても引用文献で古くなったものを新たな重要文献に置き換えること,(5)巻末に一括して記載されていた引用文献を各章末に移すこと,(6)日本臨床神経生理学会が作成した新しいガイドライン・用語集を紹介すること,(7)国際臨床神経生理学会連合作成の用語集を新しい1999年版に置き換えること,(8)目次に用いる数字を算用数字に統一して見やすくすること,にあると思われる。

 個々の改訂点をいくつかピックアップして紹介する。第1章「脳波研究の歴史」が大幅に改訂され最新の動向まで記載された。第2章「脳波検査法」で日本臨床神経生理学会の「検査基準2002」が紹介された。また,第5版までは途中に配置されていた「脳波所見の判読」「脳波検査室」が総論に移された。第9章「小児疾患の脳波」に神経発達障害の脳波の項目が追加された。第10章「頭痛の脳波」からめまい,メニエール症候群と脳波が削除された。第11章「睡眠障害の脳波」が大幅に拡充された。第16章「脳器質性疾患の脳波」にレビー小体型認知症が追加された。第20章「脳波分析,脳磁図,脳画像」に新しい脳波解析法が,脳磁図の項目に磁気刺激法が追加され,まったく新しく脳画像の項目が設けられた。第21章「誘発電位,事象関連電位」に「神経振動,事象関連脱同期,事象関連同期」が追加された。

 これらの改訂により,第6版への改訂目標は首尾よく達成されていると思う。

 現在,わが国では臨床脳波の教科書というべき単行本が少なくなり,包括的な記載のある単行本としては日本臨床神経生理学会認定委員会編『臨床脳波を基礎から学ぶ人のために:モノグラム』(日本臨床神経生理学会,2008年),末永和榮・松浦雅人著『デジタル臨床脳波学』(医歯薬出版,2011年)があるものの,大部な教科書はおおかた改訂されないで絶版となっている。その中にあって大部ではあるが第6版まで改訂を重ね出版され続けていること自体が大熊臨床脳波学への信頼とその価値を示していると言える。精神神経領域の医学・医療,脳科学研究に従事する人々が本書を教科書として座右に置かれ活用されることをお薦めする次第である。
進歩に即した記述を補充した脳波学教科書の金字塔
書評者: 飛松 省三 (九大教授・臨床神経生理学)
 待ちに待った『臨床脳波学』の第6版が出版された。第5版出版後,17年という歳月が流れたのは,大熊輝雄先生のご逝去(2010年9月15日)や東日本大震災(2011年3月11日)の影響もあるが,大熊先生の弟子にあたる3人の著者が,「大熊先生が長年積み重ねてきた臨床脳波学の膨大な知見を基に,大熊先生ならこう改訂するであろう」という理念の下に編集作業を進められたためであると考えられる。初版から数えると53年にもなる脳波学教科書の金字塔である。

 この間,本書は本邦における最も標準的な脳波学の教科書として広く読まれ,一応臨床脳波を勉強した医師で本書を繙かなかったものはいないと言ってよいと思われる。このような体系的な脳波学書は本邦には類がなく世界的にみても多くはない。“Niedermeyer's Electroencephalography:Basic principles, Clinical Applications and Related Fields”(6th ed, LWW,2010)があるが,これは多数の著者による分担執筆であり,トピック的に臨床脳波を取り上げ,やや統一感に欠けるきらいがある。一方,大熊先生が編纂された第5版では,臨床編(18章)と基礎編(7章)から成り,各章の配分はオーソドックスで,臨床脳波の全領域を広くカバーしていることが特徴であった。

 今回の第6版では,その構成が変わり,総論(7章),疾患編(11章),応用編(3章),基礎編(3章)となった。ただ,これは読者が脳波に親近感を持つように配慮されたためであり,内容は第5版との大きな相違はなく,考えられる全ての領域が取り上げられている。精査の上,古い内容は削除され,新しい知見が加えられたため,本文のページ数は697ページとなり,第5版の710ページより減頁されている。気が遠くなりそうな編集作業の膨大さを考えると,著者の3人の先生の根気強さには頭が下がる思いである。

 記述は要領よく,簡潔,しかも正確であり,広汎な記述の隅々に至るまで臨床との関連が重視されており,脳波の専門家でなくとも,脳の機能あるいは病態に関心を持つ医師にとっては極めて有用な教科書である。また,厳選された文献も参考になるし,参考図書も充実している。国際臨床神経生理学連合(IFCN)の脳波用語集(1999年)も付録として収録されている。最近,デジタル脳波計の進歩が著しいが,それに関する記述に加えて,脳機能画像(MRI,PET,SPECT,NIRS)などの知見も新しく加わった。

 以上,最近の臨床脳波学の進歩に即応した記述をふんだんに補充した本書は脳波学を専攻する研究者にはもちろんのこと,脳と神経系に関心を持つ臨床家,脳波検査技師の方々,さらに脳波所見を診療に生かそうと考える一般の医師の方々にとっても有用な参考書と考え,広く推薦したい。
新たな知見を追加してよみがえった名著
書評者: 松浦 雅人 (田崎病院副院長/東京医科歯科大名誉教授)
 今般,松岡洋夫教授,上埜高志教授,齋藤秀光教授のご努力により『臨床脳波学』が17年ぶりに改訂・出版された。故・大熊輝雄先生が原著者の本書は,日本の脳波診断学を高い水準に引き上げた名著である。20世紀の終わりに出版された第5版が最終版と思っていたので,今回の出版は大いに感激するとともに驚きもあった。「まえがき」を読むと,大熊先生は2005年に東北大学の後輩3教授に本書の改訂を依頼され,2010年に逝去されたとのことである。1963年に出版された本書の初版には,秋元波留夫先生が序文を寄せて,「脳波の歴史はまだ大変に浅いが当時の知見を集大成した力作である」と書かれた。その後,大熊先生はお一人で臨床脳波学に関する国内外の膨大な知見を網羅し,およそ10年単位で4度にわたって改訂し,36年間にわたるご努力で重厚な教科書を作られた。その大熊先生に後事を託された3名の精鋭教授が21世紀に『臨床脳波学』をよみがえらせたわけである。

 『臨床脳波学 第6版』では,これまで「臨床編」と「応用編」の2編(25章)であったものを,「総論」「疾患編」「応用編」「基礎編」の4編(24章)にわかりやすく改編した。また,統合失調症,認知症,知的障害などと名称変更された疾患も少なくなく,学会名も「臨床神経生理学会」となったため,これらを更新・統一している。そして新しい知見を追加するとともに,古い内容を削除して全体のページ数を変えない工夫がなされている。引用文献を残すものと削除するものに仕分け,新たな文献を追加する作業だけでも大変な努力であったと推察される。削除された章はMEや電気の基礎知識に関するもので,臨床工学技士や臨床検査技師が専門とする領域である。医師はこれらの専門家と協力・分担して神経生理学の臨床を行う時代になったといえよう。

 今回の改訂では,臨床脳波学の最近の動向として,デジタル脳波計と電子ファイリングの一般化,画像診断と統計解析法の発展,学会認定医・認定技術師制度の発足などが総論に追記されている。「疾患編」では,脳腫瘍,脳梗塞,硬膜下血腫,認知症などの脳波図が更新され,画像所見も追加されたために理解が容易となった。睡眠障害の章(第11章)では,眠気の計測法やナルコレプシーの診断に関する最近の知見などが追加された。神経発達障害や精神疾患の脳波の章では,新たな精神疾患分類名に基づいて知見が整理されている。「応用編」では新しい脳波分析法,高密度脳波,高周波振動,BMI/BCI,脳機能画像などが解説されている。

 近頃は臨床脳波を正確に判読できる医師が減っていると聞く。大熊先生は本書の初版で,「脳波を知る最も良い方法は,自分で電極を付けて脳波をとってみることである」と述べておられる。この原則は今も変わらず,全ての医師は医学生時代に脳波実習を経験したはずである。医師になってからは本書を手にして臨床脳波学の豊富な知見に接して,脳波を正確に判読できる医師になってもらいたいと願ってやまない。

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