図解 腰痛学級 第4版
日常生活における自己管理のすすめ

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腰痛患者の自己管理のための書。最新の知見を盛り込んで,痛みの原因(病気)から腰痛体操まで,きわめて具体的にわかりやすく解説。写真や図を入れ替え,腰のメカニズムを新たな視点から解説するなど,より整理された“腰痛とつき合うための本”。判型も大きく,2色刷となって一層見やすくなった。
川上 俊文
発行 2004年05月判型:B5頁:296
ISBN 978-4-260-24429-9
定価 3,960円 (本体3,600円+税)
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  • 目次
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第1課 なぜ自己管理が必要か
第2課 腰痛を知るために
第3課 急性腰痛の対策
第4課 慢性腰痛(ときに下肢痛)の原因となる病気
第5課 下肢症状を伴う腰痛
第6課 重篤な脊椎病変に発展する可能性のある腰痛
第7課 腰のしくみ
第8課 病院で行う治療
第9課 腰痛の自己管理 その1
第10課 腰痛の自己管理 その2
第11課 腰痛の自己管理 その3
第12課 痛みという感覚について
第13課 こんな時はどうする?
付録 腰痛自己管理テスト
索引

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腰痛に関する事項についてきわめて論理的な記述で貫かれた名著
書評者: 豊島 良太 (鳥取大教授・整形外科)
◆腰痛患者に語りかけるような文章

 本書は,腰痛を患う人に一言ずつ語りかけるように書かれている。どの頁もこのまま読み上げれば,患者への十分な説明になるほど易しく,わかりやすい。見開きの左頁は図とイラストで,そのすべてが的を射たもので余分な説明はなく,右頁の解説と見事な調和が図られている。この見開きの2頁は独立した1つの項目となっているため,必要に応じて拾い読みにも便利である。その上に,全体の構成もよく考えられており,章(本書では課と称してある)の流れも緩急巧みである。

 第1課「なぜ自己管理が必要か」で腰痛に対して自己管理の必要性に触れ,まず本書を読破する意欲を高めたあとで,第2課「腰痛を知るために」と第7課「腰のしくみ」では腰痛をきたす疾患を理解するために必須の解剖,バイオメカニクスや診断方法についてわかりやすい言葉で説明している。第4課「慢性腰痛の原因となる病気」,第5課「下肢症状を伴う腰痛」と第6課「重篤な脊椎病変に発展する可能性のある腰痛」では,さまざまな疾患について噛んで含めるように解説し,第8課「病院で行う治療」では文字通り医療機関の実際の治療方法について触れたのち,第9課から第11課の「腰痛の自己管理その1~3」で,この書のメイントピックスである腰痛体操について生活指導とともに詳述している。特に生活指導では,さりげなくその理論に触れてあり,理解を助けている。さらに終章の第13課「こんな時はどうする?」では,症状から考えられる診断と治療の指針を詳述している。

◆保存的治療と医療における愛情を大切にしてきた著者の診療の集大成

 著者,川上俊文先生は敬愛する先輩のお一人である。本書の初版を発刊された昭和60年頃,精力的に脊椎手術をしておられたことを記憶している。同時に,保存療法にも目を向け,自ら腰痛学級を開いておられた。自序に「手術を必要とするような腰痛でさえ,患者自身が自己管理を正しく行えば克服できると思うようになりました」そして,「医学は科学であると同時に,経験であり倫理であるように思われてきました」とあるように,保存的治療と医療における愛情の重要性を最も強く感じておられる先生のお一人ではないかと思う。本書第4版は先生のこれまでの診療の集大成というべき内容である。

 本書は,表向きは患者向けの家庭書とあるが,その内容は腰痛に関する事項についてきわめて論理的な記述で貫かれた医学書である。整形外科医のみならず広く一般医家向けにきわめて有用な書であると確信して,お勧めしたい。

自己管理の必要な腰痛患者には一読を薦めたい
書評者: 河合 伸也 (山口大副学長/日本脊椎脊髄病学会理事長)
◆“腰痛は生活習慣病の1つ”

 腰痛の原因はきわめてさまざまです。なかには早急に厳密な治療を必要とする深刻な病気もありますが,多くの腰痛は長期にわたってしつこく痛みが持続し,あるいは何かするたびに痛みがでてきます。休んでいると少し楽にはなるものの,日常生活に支障が及ぶので,いろいろな治療を行ってみます。それでもすっきりとはしないタイプです。それは人体の構造が2本足で起立して活発に活躍するほどには進化しておらず,殊に人の腰や骨盤の部分は力学的な弱点であることに起因しており,腰の周辺の筋肉や靭帯に大きい負担がかかっているからです。

 そのために,腰痛は治りにくい病気と思われがちですが,腰や骨盤の構造を知ったうえで心身の自己管理をきちんと行えば,思っているよりも治りやすい面があります。また,日常生活における無意識な習慣的動作が,腰痛を悪くしていることもあります。これが,“腰痛は生活習慣病の1つ”と考えられている所以です。

◆患者が腰痛を正確に理解するために

 このような複雑な腰痛とその管理について,かなり詳しく,かつわかりやすく記載されているのが本書です。著者の川上俊文先生は長年にわたる友人であり,私が敬愛している整形外科専門医のおひとりです。誠実で,実直で,心から信頼できる脊椎脊髄外科指導医です。本書には,その川上先生らしさが如実に表現されています。腰痛について理解してもらいやすくするために,各頁に図表やシェーマを取り入れて,眺めているだけでも理解できるような工夫になっています。ただ,腰痛の原因はあまりにも多様ですので,一般の方には少し詳しすぎる部分もありますが,内科医やプライマリケア医にとって非常に参考になる事項がまとめられています。

 近年は,いろいろな媒体を通して腰痛に関する情報は氾濫しています。しかし,なかには疑わしい情報もたくさん含まれていますので注意を要します。本書は少し難しい部分が含まれているとはいえ,長く腰痛に悩んでおられる患者さんやご家族の方々にとって,腰痛を正確に理解してもらうには,本書に記載されていることがらは必読であり,省くことはできません。

 前半は腰痛を来たす主な病気に関する内容ですので,多くの方々にはむしろ後半の「腰のしくみ」,「腰痛の自己管理」などから読んでいただくことをお薦めします。そして,病名が確定していれば,前半の必要な部分を詳しく読むという方法もよいであろうと思います。

 多くの整形外科医はこのなかに記載されていることは理解していますので,自分の腰痛についてさらに知りたい場合には,本書を持参して担当の整形外科医と直接に相談すると,自分の腰痛がよく理解できて,その対応も容易になるものと思います。ともかく腰痛には自己管理が必要なことが多いですから,是非ご一読いただくことをお薦めいたします。

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