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AO法骨折治療

[英語版DVD-ROM付]
(第2版)

原書編集:Thomas P. Ruedi /Richard E. Buckley /Christopher G. Moran 
日本語版総編集:糸満 盛憲
日本語版編集代表:田中 正

  • 判型 A4
  • 頁 752
  • 発行 2010年05月
  • 定価 41,040円 (本体38,000円+税8%)
  • ISBN978-4-260-00762-7
大改訂により初版を超える圧倒的なスケール、待望の翻訳第2版!
AO財団が蓄積した症例とデータをもとに、骨折治療の原則と技術を正しく応用するために不可欠な情報がこの1冊に結集。第2版は初版から大幅な改訂がなされ、近年飛躍的に進歩を遂げた骨折治療の最前線がAOならではの鮮やかなシェーマや動画教材を用いて、わかりやすく解説されている。世界中で翻訳され、骨折治療のバイブルと言われる『AO法骨折治療』、待望の翻訳第2版。
序 文
日本語版第2版への序(糸満 盛憲)/第2版への序(James F Kellam, MD, FRCS, FACS)

日本語版第2版への序
 『AO Principles of Fracture Management』の初版の日本語訳『AO法骨折治療』を...
日本語版第2版への序(糸満 盛憲)/第2版への序(James F Kellam, MD, FRCS, FACS)

日本語版第2版への序
 『AO Principles of Fracture Management』の初版の日本語訳『AO法骨折治療』を出版したのが2003年4月でした.AOの骨折治療に関する基本的な考え方から新しい概念に基づいた治療の実際までを,シェーマや写真をふんだんに取り入れたきわめて理解しやすい教科書として,現場で骨折を治療する機会の多い若い整形外科医に絶大な支持を受けてきました.実際の手術手技をCD-ROMに収録されたビデオクリップで習得できることも,コンピュータ世代の若い整形外科医に広く受け入れられる原因になったものと思われます.
 初版から7年経過して,このたび第2版の日本語版が出版されることになりました.この間に多くの基礎的研究データが蓄積され,それに基づいた臨床面での知識も著しく増加したことから,第2版は量的にも内容的にも大きく膨れ上がり,各章の構成も変わってきました.初版ではGeneral topicsとして末尾に収録されていた開放骨折,多発外傷患者の管理,合併症などが総論に組み込まれ,その記載も詳細になり充実したものになっています.特に開放骨折の項は豊富な写真を使って詳細に記載されていますので,より理解しやすくなっています.また生体材料,再生などの項目が充実し,さらに骨粗鬆症についての記載が詳しくなりました.初版でも少し触れられており,最近広く用いられている内固定器(internal fixator),locking compression plateを用いた相対的安定性による固定法の理論と手技を詳細に記載しています.
 科学技術の発展は急速で,その成果が次々と診断や治療に取り入れられています.特に救急の外傷患者の治療に取り組んでいる私たち臨床医は,日常診療に忙殺されて基礎的な知識を自ら集積し整理することはきわめて困難な環境にあります.本書は各部位の骨折の治療に関する手術手技マニュアルとしての価値が高いものになっています.しかし,総論にまとめられたAOの原理と基礎的な考え方から,より詳細になったあるいは新たに加えられた生体材料や生物工学から,アプローチ,MIS,合併症に至るまでの記述は,運動器外傷の病態と治療に関する考え方をきわめて論理的に示しており,また臨床医にも理解しやすく工夫されています.一度じっくりと読んで理解することをお勧めします.
 多忙な外傷外科医にとって基本的な知識の整理と新しい手技の習得に必ず役立つことは間違いありません.またこれから外傷外科医を目指す整形外科研修医にとっても,日常診療に向上に寄与することを確信しています.日常診療での座右の書として,ぼろぼろになるまで使っていただけることを期待しています.

 2010年3月
 日本語版総編集
 糸満 盛憲


第2版への序
 AO財団の使命は,研究,開発,結果の評価,教育,品質管理を通して,筋骨格系の外傷や障害患者の治療の向上を図ることにある.出版は本財団の教育活動にとって欠くことのできない重要な事業である.その第一歩が結果的に3版まで再版を重ねた「AO Manual of Internal Fixation」であった.それらをもととし,それまでの概念を変えて著されたマニュアルが,2000年に刊行された『AO法骨折治療(AO Principle of Fracture Management)』の初版である.本書の初版は,AO法骨折治療の原理に加えて,治療計画という概念や,実際の手術手技にも触れている.過去5年の間に,この概念が非常に優れた成績を生むことが実証されてきた.
 知識が飛躍的に増大したため,『AO法骨折治療』の第2版の準備が始められ,本書はThomas P Rüedi,Richard E Buckley,そしてChristopher G Moranが率いる新しい編集者達の指導のもと,大幅な改訂,加筆を行ったものである.
 内固定器(Internal Fixator)の普及のため,その原理と手技について新たに1章を設けた.整復と進入法については手術進入法と軟部組織の治療の原則についての内容を充実させ,さらに特別に最小侵襲手術について取り上げた章を設けた.また重要なトピックとして,骨粗鬆症とバイオテクノロジーの章をそれぞれ加えた.そこでは,骨折治療の今後の課題と期待される機器の開発について述べられている.
 本書は骨折治療の原則と技術を正しく応用するために不可欠な最新情報を,研修医と指導医に再度提供するものとなった.執筆者全員が各国の著名な外傷整形外科医であり,本書は,他の全てのマニュアルの例に漏れず,AO設立者たちの知識と英知の上に築かれたものである.執筆者である外傷整形外科医は新しい技術や概念を骨折治療に導入するためには何が必要かをここに記述し,彼らの行った骨癒合の基礎的研究,軟部組織の研究,そしてデータ収集があったからこそ,今日患者は革新の成果を享受することができるのである.
 編集者と出版社の献身的な努力なくして本は生まれない.AO財団はThomas P Rüedi,Richard E Buckley,Christopher G Moran,Urs RüetschiとそのAO出版チーム,さらにThieme Verlagの方々に,心からの感謝を捧げる.この方々の多大な努力によってこの優れた教科書は,骨折治療に携わる我々全員のために,再び誕生した.本書はまさに,骨折治療にかかわる世界中のすべての者が待ち望んだものである.読者を代表して,そして本書が提供する知識から直接の恩恵を受ける患者に代わって,執筆者に心よりの感謝の意を捧げる.

 James F Kellam, MD, FRCS, FACS
 AO財団理事長(2004-2006)
書 評
  • 外傷学に携わる者必携の骨折治療マニュアル
    書評者:永田 見生(久留米大主任教授・整形外科学)

     医学書院発刊の『AO法骨折治療 第2版』の書評の依頼があり,運命的と感じ執筆を引き受けました。その理由は,私が1981年4月から,当時,Otto Russe教授が主宰されていたオーストリアのインスブルック大学病院災害外科に留学し,当時はわが国での普及がまだ不十分であったAO法を1年間研修したからで...
    外傷学に携わる者必携の骨折治療マニュアル
    書評者:永田 見生(久留米大主任教授・整形外科学)

     医学書院発刊の『AO法骨折治療 第2版』の書評の依頼があり,運命的と感じ執筆を引き受けました。その理由は,私が1981年4月から,当時,Otto Russe教授が主宰されていたオーストリアのインスブルック大学病院災害外科に留学し,当時はわが国での普及がまだ不十分であったAO法を1年間研修したからです。

     当時,久留米大学は九州大学出身の宮城成圭教授が主宰され,骨折治療は神中,天児式でした。骨接合術の固定器具には天児式プレートなどを使い,AOが提唱する解剖学的整復と頑丈な器具による強固な固定法には批判的でした。インスブルック大学病院着任時は手術助手を数例務め,早々に執刀医を命じられましたが,AO器具の使用経験がなく困りました。スクリュー刺入時にタップを切るなど初体験でしたので,学内の書店で『Manual der Osteosynthese, AO-Technik』を購入し,AOのコンセプトを必死に勉強したのが昨日のことのようです。

     この本は,日本で翻訳され『図説骨折の手術AO法』として1970年に医学書院から発刊されています。当地で200例を越す手術に携わる中で,AOの原点は,骨折のみを治すのではなく患者を適切に治すことにあるのだと学びました。これは,ヨーロッパの人達の運動器障害と生命とは同等,すなわち,命があっても行動ができなければ生きている意味がないとの考えが根底にあるからであると感じました。したがって,このような国民性に応えなければならない災害外科医の心構えがわが国とは異なることを実感しました。

     さて,『AO法骨折治療 第2版』はAOグループ骨折治療マニュアルとして世界に発信されたシリーズの第4弾で,世界展開中のAOコースの内容をさらに学術的に深く掘り下げたものです。本書の冒頭に,糸満北里大学名誉教授をはじめAO Alumni Association Chapter Japanの役員一同が,21世紀の外傷治療学のバイブルともいえる第4弾の翻訳を受け持ち,興奮を覚えながら完成させたと述べられています。

     AOのコンセプトも1981年当時と現在とでは決定的な違いがあります。1981年当時の治療目標は,①解剖学的整復,②安定した骨折固定(絶対的安定性),③血流の温存,④患肢と患者の早期運動で,絶対的安定性は,初期にはすべての骨折に適応され,術者はすべての骨折に対して,粉砕された茶碗を原型に復元するかのように必死に整復を試みていました。

     しかし,現在のコンセプトは,絶対的安定性は関節内骨折や特定の骨折にのみに要求され,血行や軟部組織を損傷せずに行える場合のみに限られています。そして,骨幹部骨折では,長さ,アラインメント,回旋は矯正するが,骨折部の解剖学的整復は必要がないという相対的安定性の確保という概念へと治療目標が変革されており,このことはわが国の先哲の見識に通じるものがあります。

     本書はAOグループが総力をあげて完成した骨折治療マニュアルであり,完成された日本語訳からは外傷治療に対する和訳担当者の気概が伝わってきます。本書には手術手技が習得できるCD-ROMも付いており,外傷学に携わる方々はぜひ詳読していただきたいものとなっています。
  • 一度,じっくり読んでみるべき書
    書評者:伊藤 博元(日医大教授・整形外科学)

     “AO Principle of Fracture Management”は,2000年12月に発行され7か国語に翻訳されて,2003年5月には糸満盛憲日本語版総編集による日本語訳『AO法骨折治療』が出版されたのはご承知のとおりである。

     AOグループは,1958年にスイスにおいて少人数で設...
    一度,じっくり読んでみるべき書
    書評者:伊藤 博元(日医大教授・整形外科学)

     “AO Principle of Fracture Management”は,2000年12月に発行され7か国語に翻訳されて,2003年5月には糸満盛憲日本語版総編集による日本語訳『AO法骨折治療』が出版されたのはご承知のとおりである。

     AOグループは,1958年にスイスにおいて少人数で設立され,現在では外科的,科学的財団として発展継承されている。骨折の分類法であるMüllerのAO/OTA分類法は,「分類は,骨傷の重症度を考慮し,治療のよりどころとなり,結果の評価に役立ってこそ有用である」との言葉どおり,現在の主要分類となっているのは周知のことである。

     AOの治療原則は(1)解剖学的修復,(2)安定した骨折固定,(3)血流の温存,(4)患者,患肢の早期運動により発想されたが,現在では,より相対的な概念も取り入れながら発展してきている。そして,AOグループの掲げた原則は教科書の基本を形成し,将来の骨折治療のkeyとして存在し続けるであろうと述べている。

     さて,『AO法骨折治療 第2版』では,初版と比して基礎的・臨床的なデータの蓄積によって,量的にも内容的にもより充実したものとなっている。臨床的な骨折内固定のための原理と手技についての新たな章がつくられ,整復と進入法については軟部組織の治療の原則についても内容がボリュームアップしている。開放骨折,多発外傷患者の管理,合併症が総論に組み込まれ,MIS, internal fixator, locking compression plateを用いた固定法の理論と手技が詳細に記述されている。

     特に骨折における諸問題の章の開放骨折では,実際の写真,シェーマ,X線像などが多く用いられて理解を深める一助となっており,実際の手術手技を付属のDVD-ROMによって習得できるのは初版と同様で,実用的な配慮には変わりはない。

     日本語版第2版の序として,糸満氏は,「私たち臨床医は,日常診療に忙殺されて基礎的な知識を自ら集積し整理することはきわめて困難な環境にあります。」「総論にまとめられた(中略)記述は,運動器外傷の病態と治療に関する考え方をきわめて論理的に示しており,また臨床医にも理解しやすく工夫されています。一度じっくりと読んで理解することをお勧めします」と述べている。

     是非一度,じっくり読んでみるべき書ではないかと,共感する次第である。
目 次
Principles
1 AOの哲学と基礎
 1.1 AOの哲学と変革
 1.2 骨折治癒過程の生物学と生体力学
 1.3 骨折治療用インプラントと材料
 1.4 バイオテクノロジー概論
 1.5 骨折の分類
 1.6 軟部組織損傷:病態生理,評価,分類
2 治療方針決定と計画
 2.1 患者と損傷:外傷外科における治療方針決定
 2.2 骨幹部骨折:原則
 2.3 関節内骨折:原則
 2.4 術前計画
3 整復・進入法・固定手技
 3.1 整復と進入法
 3.2 絶対的安定性の手技
 3.3 相対的安定性の手技
4 骨折治療における諸問題
 4.1 多発外傷:病態生理,優先順位および治療
 4.2 開放骨折
 4.3 軟部組織欠損:治療原則
 4.4 小児の骨折
 4.5 抗菌薬の予防的投与
 4.6 血栓塞栓症の予防
 4.7 術後管理:全般的事項
 4.8 骨粗鬆症
5 合併症
 5.1 変形癒合
 5.2 非感染性偽関節
 5.3 急性感染
 5.4 慢性感染と感染性偽関節

Specific fractures
 6.1 肩甲骨と鎖骨
 6.2 上腕骨
 6.3 前腕骨と手
 6.4 骨盤輪
 6.5 寛骨臼
 6.6 大腿骨
 6.7 膝蓋骨
 6.8 脛骨
 6.9 果部
 6.10 足部
 6.11 脊椎

Appendix
 G 用語集
 I 索引
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