シム・アネステシア
全身麻酔シミュレータ[CD-ROM for Windows]
全身麻酔の生体反応を忠実にシミュレート,臨床データを6秒単位でダイナミックに計算
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人体生理学・病理学・薬理学的見地から、病態とその代謝機能および薬理動態を理解し、臨床現場での判断力を育成する学習用CD-ROM。循環動態・薬物動態シミュレータを搭載し、全身麻酔の生体反応を忠実にシミュレートしている。臨床データを6秒単位でダイナミックに計算。麻酔チャートを自動作成、印刷することができる。
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書評
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身体反応を正確にシミュレートする麻酔学習用CD-ROM
書評者: 諏訪 邦夫 (帝京大教授・麻酔学)
日本語で使える医学教育用パソコンシミュレータがもう1つできた。救急医療用の『シム・クール』に続く『シム・アネステシア』で,麻酔を対象としている。
◆診断と治療を進める
内容は,患者に麻酔して手術と処置を進めるもので,正常健常人の他に薬理を検討するプログラムと症例が30例内蔵されている。
症例の内訳は,開腹術・大動脈瘤人工血管置換術・肺切除術・整形外科手術・脳神経外科手術・熱傷などである。
患者に対して「麻酔薬を選び」,「モニターを選び」,「必要な処置を進め」る。薬物の種類やモニターは,標準的である。
◆生理モデルを内蔵
『シム・クール』と同様,内蔵モデルはミシシッピィ大学のガイトン教授らの有名な人体生理モデルで,循環動態を中心に,肺・腎・内分泌・体液・自律神経系などを組み込んでいる。
したがって,治療に対する反応は単純な枝分かれではなく,パソコン内の「患者」に処置を加えるので,「身体の反応」を正確にシミュレートする。しかも,循環動態や血液ガスなどを随時観察できる点がパソコンモデルの利点である。
◆実体シミュレータとの比較は
麻酔の学習とトレーニングの場では,学生や研修医に各種シミュレータを使う。挿管人形や心マッサージ人形の他に,何千万円もする膨大な実体シミュレータも日本にいくつか輸入されている。手触りがあり,手技の実習ができる。
パソコンシミュレータは安くて(3万円未満),手軽で(CD-ROMで供給),保管やケアが簡単である。実体シミュレータではできない複雑な処置を行なって,患者の反応を詳しく把握できる。麻酔薬を投与して放置観察していると,循環動態や血液ガスが次第に悪化して心停止になる。あるいは麻酔薬を投与せずに筋弛緩薬だけで手術を試みることもできる。こんな風に実際の患者ではもちろん,動物でさえもできないことができるのがパソコンの利点である。
◆注文したいこと
改作のための注文を2,3。このソフトには,Windowsの画面設定で「小さいフォント」を指定する必要がある。「大きいフォント」を使っている場合,このソフトだけに指定変更してWindowsの終了/再起動を余儀なくされるのを何とかしてほしい。
もう1つ,シミュレーションを「自由に中断」できる構造にしてほしい。パソコンは他の目的にも使う。「1つのソフトに専念」していることは少ない。ソフトの使い勝手を決める決定要因である。
3つ目は,華やかな「ゲーム性」を持たせて,学生や研修医に「明確な目標」を与える道筋も作ってほしい。今のままではどの症例が「興味深い」「事件性がある」のか不明で,学習が身につく前に飽きてしまい,「パソコンソフトの多機能性」が生きない。
具体的には,「ゲームとしての勝敗」を決める。競技者のランクをつけ(「学生」「研修医」「専門医」「教授」など),そのランクを30例の患者に割り振るか,同じ患者がランクによって難しくなるのもよい。難しいランクでは,うかつに「麻酔」すれば患者が死んでしまうが,上手にケアすれば無事生還して手術室から退出できるようにする。最後に採点をつけ,高点なら誉め,悪点なら激励,罵倒,侮蔑する(もちろん,学生の悪点なら激励し,教授の悪点なら罵倒し侮蔑する)などの路を加えて,若者がどんどん挑戦して知らぬ間に麻酔のおもしろさを身につけてくれる可能性が増えるだろう。
監修者の落合亮一先生はこういうセンスが抜群に溢れているはずで,ぜひそうした方向をめざしてほしい。
書評者: 諏訪 邦夫 (帝京大教授・麻酔学)
日本語で使える医学教育用パソコンシミュレータがもう1つできた。救急医療用の『シム・クール』に続く『シム・アネステシア』で,麻酔を対象としている。
◆診断と治療を進める
内容は,患者に麻酔して手術と処置を進めるもので,正常健常人の他に薬理を検討するプログラムと症例が30例内蔵されている。
症例の内訳は,開腹術・大動脈瘤人工血管置換術・肺切除術・整形外科手術・脳神経外科手術・熱傷などである。
患者に対して「麻酔薬を選び」,「モニターを選び」,「必要な処置を進め」る。薬物の種類やモニターは,標準的である。
◆生理モデルを内蔵
『シム・クール』と同様,内蔵モデルはミシシッピィ大学のガイトン教授らの有名な人体生理モデルで,循環動態を中心に,肺・腎・内分泌・体液・自律神経系などを組み込んでいる。
したがって,治療に対する反応は単純な枝分かれではなく,パソコン内の「患者」に処置を加えるので,「身体の反応」を正確にシミュレートする。しかも,循環動態や血液ガスなどを随時観察できる点がパソコンモデルの利点である。
◆実体シミュレータとの比較は
麻酔の学習とトレーニングの場では,学生や研修医に各種シミュレータを使う。挿管人形や心マッサージ人形の他に,何千万円もする膨大な実体シミュレータも日本にいくつか輸入されている。手触りがあり,手技の実習ができる。
パソコンシミュレータは安くて(3万円未満),手軽で(CD-ROMで供給),保管やケアが簡単である。実体シミュレータではできない複雑な処置を行なって,患者の反応を詳しく把握できる。麻酔薬を投与して放置観察していると,循環動態や血液ガスが次第に悪化して心停止になる。あるいは麻酔薬を投与せずに筋弛緩薬だけで手術を試みることもできる。こんな風に実際の患者ではもちろん,動物でさえもできないことができるのがパソコンの利点である。
◆注文したいこと
改作のための注文を2,3。このソフトには,Windowsの画面設定で「小さいフォント」を指定する必要がある。「大きいフォント」を使っている場合,このソフトだけに指定変更してWindowsの終了/再起動を余儀なくされるのを何とかしてほしい。
もう1つ,シミュレーションを「自由に中断」できる構造にしてほしい。パソコンは他の目的にも使う。「1つのソフトに専念」していることは少ない。ソフトの使い勝手を決める決定要因である。
3つ目は,華やかな「ゲーム性」を持たせて,学生や研修医に「明確な目標」を与える道筋も作ってほしい。今のままではどの症例が「興味深い」「事件性がある」のか不明で,学習が身につく前に飽きてしまい,「パソコンソフトの多機能性」が生きない。
具体的には,「ゲームとしての勝敗」を決める。競技者のランクをつけ(「学生」「研修医」「専門医」「教授」など),そのランクを30例の患者に割り振るか,同じ患者がランクによって難しくなるのもよい。難しいランクでは,うかつに「麻酔」すれば患者が死んでしまうが,上手にケアすれば無事生還して手術室から退出できるようにする。最後に採点をつけ,高点なら誉め,悪点なら激励,罵倒,侮蔑する(もちろん,学生の悪点なら激励し,教授の悪点なら罵倒し侮蔑する)などの路を加えて,若者がどんどん挑戦して知らぬ間に麻酔のおもしろさを身につけてくれる可能性が増えるだろう。
監修者の落合亮一先生はこういうセンスが抜群に溢れているはずで,ぜひそうした方向をめざしてほしい。
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