病期・病態・重症度からみた
疾患別看護過程+病態関連図

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カルテが読める“イラストでみる病態生理、症状、診断、合併症、治療、薬剤一覧”。病期・病態・重症度からみたケアのポイントがみえる“看護過程フローチャート、情報収集、アセスメント、ケアプラン、評価”。患者の全体像がみえる“病態関連図”。ほしい情報がすべて揃ったオールインワン。
シリーズ からみた看護過程
編集 井上 智子 / 佐藤 千史
発行 2008年12月判型:A5頁:2008
ISBN 978-4-260-00625-5
定価 7,700円 (本体7,000円+税)
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はじめに

 “Nursing Process”の邦訳である「看護過程」という用語がわが国の看護界に根づいて久しい.疾患や治療法に基づく画一的な看護ではなく,患者が有する個別の問題に焦点を当て,問題解決技法に基づいたケア計画の立案と看護活動を展開する方式の導入は,ケア対象者一人ひとりの個別性に目を向けることが,質の高い看護ケアに繋がるということを改めて伝えてくれた.
 一方,従来からの病棟基準や看護マニュアル,新しいものではクリニカルパスやケアマップなどは,ある診断群に含まれる人々,同じ治療法(例えば術式,処方)を受ける人々の共通性や同一性に注目し,最大多数の合理性と最大公約数での妥当性からケア方法の道筋を示す方法である.
 本書は,いわばこの両者の考え方を合わせたものであり,疾患名はもとより,病期・病態・重症度などが,患者アセスメント,問題の明確化(看護診断),計画立案での大いなる手がかりとなるよう組み立てられている.
 正直なところ,当初は「疾患別看護過程」というとらえ方に,ぬぐいきれない抵抗感があった.すなわち看護過程は個別のケア展開のためのものであり,それらは疾患別というくくりには馴染まない,と考えてきたからである.また「(医学的)診断によって看護が決定されるのではない,そこに患者さんがいる限り看護は存在する」といわれるように,疾患名や治療法が看護に先行するとも考えてはいない.そのような思いを抱えていたなか,本書に先立つこと数年前に,姉妹編ともいうべき『症状からみた看護過程の展開』の編集に携わる機会を得た.その際に“症状”というサインを出発点として,考えられる原因疾患や発症機序,必要な検査や治療を視野に入れつつ看護過程を展開することが,アセスメント―看護診断―目標―看護活動―評価というサイクルを,どの地点からでも一層柔軟に大胆に動かせるのだ,ということを実感した.
 すなわち本書で示す疾患別看護過程とは,複数の看護過程を疾患別に統合したものではない.看護過程の展開にあたり,疾患名はもとより病期・病態・重症度を考慮することが個別性を充実させ,さらに疾患解説に含まれる病因,疫学,症状,合併症,そして治療法の知識がケアの根拠を強固にするのである.もとより看護過程は疾患・病態,治療と切り離しては存在しえないものであり,要は看護過程との融合・連携方法なのであろう.従来の前提としての疾患・治療の知識ではなく,それらを看護過程にいかに有機的に組み込めるかが問題なのであり,本書ではその方針を徹底して推し進めた.
 しかし,それもこれも経験豊かな執筆陣が得られてこその話であるが,その点ではわが国第一線の方々のご参加を得ることができた.編集者らの意図を上回る内容をご提供頂けたことは感謝に堪えない.加えて電子化時代を意識した構成,レイアウトに知恵を絞っていただいた医学書院編集室の皆様にも心よりのお礼を申し上げたい.
 本書が,看護を学ぶ,看護に携わる人々によって,十全に使いこなされ活用されることがあるなら,それは編纂にかかわった者すべての望外の喜びである.
 2008年11月
 編集者を代表して 井上智子

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はじめに
本書の使い方

第1章 呼吸器疾患
 1 気胸
 2 肺炎
 3 肺線維症(びまん性間質性肺炎)
 4 結核
 5 気管支拡張症
 6 気管支喘息
 7 慢性閉塞性肺疾患COPD (肺気腫,慢性気管支炎)
 8 肺血栓塞栓症
 9 肺癌,肺腫瘍
第2章 循環器疾患
 10 狭心症,心筋梗塞
 11 慢性心不全,うっ血性心不全
 12 不整脈
 13 先天性心疾患
 14 高血圧症,動脈硬化症
 15 解離性大動脈瘤,心タンポナーデ
第3章 消化器疾患
 16 逆流性食道炎(胃食道逆流症:GERD)
 17 食道癌
 18 胃癌
 19 胃・十二指腸潰瘍
 20 大腸癌
 21 イレウス(腸閉塞),腸重積
 22 潰瘍性大腸炎
 23 クローン病
 24 痔核
 25 ウイルス肝炎
 26 肝硬変,門脈圧亢進症(食道静脈瘤含む)
 27 肝臓癌
 28 胆嚢炎,胆石症
 29 膵炎
 30 膵臓癌
第4章 代謝疾患
 31 糖尿病
 32 脂質異常症(高脂血症)
 33 肥満
 34 高尿酸血症(痛風)
第5章 内分泌疾患
 35 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
 36 甲状腺機能低下症,甲状腺炎,クッシング病,アジソン病,副腎クリーゼ
第6章 血液・造血器疾患
 37 貧血
 38 白血病
 39 悪性リンパ腫
 40 多発性骨髄腫
 41 播種性血管内凝固DIC
第7章 腎疾患
 42 ネフローゼ症候群
 43 糸球体腎炎
 44 急性腎不全
 45 慢性腎不全
第8章 泌尿・生殖器疾患
 46 腎腫瘍(腎細胞癌)
 47 腎・尿路結石,腎・尿管結石
 48 膀胱癌
 49 前立腺肥大症
 50 前立腺癌
 51 尿路感染症(腎盂腎炎,膀胱炎)
第9章 免疫疾患・アレルギー・膠原病
 52 関節リウマチ
 53 全身性エリテマトーデスSLE
 54 多発性筋炎,皮膚筋炎
 55 全身性硬化症(強皮症)
 56 シェーグレン症候群
 57 ベーチェット病
第10章 神経・筋疾患
 58 脳出血,くも膜下出血
 59 脳梗塞
 60 脳腫瘍
 61 てんかん
 62 多発性硬化症
 63 パーキンソン病
 64 筋萎縮性側索硬化症
 65 重症筋無力症
第11章 精神疾患
 66 認知症(血管性認知症,アルツハイマー病)
 67 物質(アルコール,薬物)関連障害
 68 統合失調症
 69 抑うつ(うつ病)
 70 神経症,心因(ストレス)反応
 71 人格障害(パーソナリティ障害)
第12章 感染症
 72 多剤耐性菌感染症
 73 HIV感染症,AIDS
 74 伝染性単核球症
 75 性感染症
 76 麻疹
 77 風疹
第13章 運動器疾患
 78 骨折
 79 椎間板ヘルニア
 80 脊髄損傷
 81 変形性膝関節症,変形性股関節症
 82 大腿骨頸部/転子部骨折
 83 骨粗鬆症
第14章 皮膚疾患
 84 アトピー性皮膚炎
 85 蕁麻疹,接触皮膚炎
 86 熱傷
 87 天疱瘡
 88 乾癬
 89 帯状疱疹
 90 疥癬,白癬
 91 悪性黒色腫
第15章 女性生殖器疾患
 92 子宮筋腫
 93 子宮癌
 94 子宮内膜症
 95 卵巣嚢腫,卵巣癌
 96 乳癌
第16章 眼科疾患
 97 白内障
 98 緑内障
 99 流行性角結膜炎
 100 網膜剥離(飛蚊症含む)
第17章 耳鼻咽喉科疾患
 101 難聴
 102 中耳炎
 103 アレルギー性鼻炎
 104 聴神経腫瘍
 105 喉頭癌
 106 舌癌

 索引

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学生の不安を解消する,ありそうでなかったノウハウ満載のガイド (雑誌『看護教育』より)
書評者: 澁谷 貞子 (つくば国際大学医療保健学部看護学科教授・成人看護学)
 この本を手にした学生の反応は,「実習のとき役に立ちそう!いいなー」であった。実習ガイダンスの時点から学生の反応は,“眠れない・大変・緊張する~”となる。「何が大変?」と聞くと,患者さん,指導者さん,コミュニケーション……と大変の種は尽きない。実習に対して,座学とは違った楽しさを感じてはいるものの,先輩の情報から不安と睡眠不足の予測に恐々としている学生たちである。そんな学生が看護過程を学ぶとき,これまでの学びが,自分の判断を伴わない暗記で,テストをクリアしてきた連続であったということに気づく。患者の情報をどのようにアセスメントし,その根拠はということになると,はたと思考が停止してしまう。そして本に答えを求め,グループメンバーに意見を確認する。しかし最後は多くの情報を,自分の頭で分析しなくては答えが出ないということに気づき,愕然とする。

 受け持ち患者の情報を受け取ったときに学生の取る行動は,図書館で疾患の勉強から取り掛かる。しかし単独の疾患・障害で入院している患者はほとんどいない。膨大な疾患の勉強をしなくてはならない。そして解剖・生理から始まって,検査データ,薬理学,治療,食事療法,画像診断の本,etc……,かくして学生のズタブクロは,はちきれんばかりに膨らみ,看護の本にたどり着く頃は真夜中か,朝方か,最悪の場合は実習開始に突入してしまうという状況である。

 この本の何が良いか。厚いので持ち運びには決して便利とはいかないが,①必要な知識がまとまっている,②目で見る疾患─疾患の知識,③ステップを踏んで思考過程が明確になるように構成されている点─他書には見られない一番の特徴は,病期・病態・重症度ではないかと思い至った。

 これまで学生は,疾患の勉強をしても,自分の受け持ち患者の病期・病態・重症度が判断できないことが多かった。そのために,どのような看護介入が今後必要になるかという判断がずれることが多かったように思う。「この患者さんの健康段階はどうなの?」と質問すると口頭では,ほぼ的確な答えが返ってくる。その人の健康状態が,自分の目で見て確認できているからである。記録上表現できないのはなぜなのか疑問であったが,疾患の理解のみでは,重症度の判断に結びつけられないということがわかった。そうした点をおさえて指導することが大事と確認できた。さらに「具体的な処方例」も,これまでの参考書でありそうでなかった点である。受け持ち患者の処方内容をメモで書きとめていても,その意味を理解するまでの時間がかかりすぎていた現状がある。商品名から作用・副作用に行きつくまで時間が足りなかった。

 これでばっちり『看護過程』,楽しい実習となる。

(『看護教育』2009年7月号掲載)

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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