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整形外科 術前・術後のマネジメント 第2版

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手術療法が必須である整形外科において、術前のインフォームドコンセントから術前後の患者への対応、術後のリハビリテーションにいたるまでの各段階で、各疾患の手術法に応じたきめ細かい管理を行うことは非常に重要である。本書は若手整形外科医や研修医に求められている、手術前後の患者管理のknow-howを要点に沿ってまとめ好評を博した初版の内容を、各領域の第一人者の手によりさらに充実させた。
監修 松井 宣夫 / 平澤 泰介
編集 伊藤 達雄 / 大塚 隆信 / 久保 俊一
発行 2005年05月判型:B5頁:376
ISBN 978-4-260-12594-9
定価 6,600円 (本体6,000円+税)

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  • 目次
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【総論】

1. 術前・術後のインフォームドコンセント

2. 整形外科的侵襲検査

3. 脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔の術後管理と合併症

4. 手術における輸血の問題

5. 疼痛対策のポイント

6. 高齢者の術後管理の注意点

7. 小児の術後管理の注意点

8. 特殊疾患を合併した患者の術前・術後全身管理の注意点

9. 悪性骨・軟部腫瘍の問題点

10. 整形外科医の救急業務の要点

11. コンパートメント症候群

12. ギプス、装具、牽引の合併症

13. 整形外科とリハビリテーション業務の連携



【肩甲帯・上肢】

14. 腕神経叢損傷に対する手術的治療

15. 胸郭出口症候群に対する手術的治療

16. 肩関節の鏡視下手術、腱板損傷に対する手術的治療

17. 肩関節・肩鎖関節脱臼に対する手術的治療

18. 鎖骨骨折に対する手術的治療

19. 上肢の腫瘍に対する手術的治療

20. 上腕骨骨折に対する手術的治療

21. 肘部管症候群に対する手術的治療

22. 上腕骨(変形)に対する矯正骨切り術

23. 肘の関節リウマチにおける滑膜切除術・人工肘関節置換術

24. 橈骨および尺骨骨幹部骨折に対する手術的治療

25. 前腕の絞扼性神経障害に対する手術的治療

26. 前腕における仮骨延長術

27. 橈骨遠位端骨折および橈骨遠位端骨折変形癒合後の矯正骨切り術

28. 舟状骨骨折・偽関節およびキーンベック病に対する手術的治療

29. 手根管症候群に対する手術的治療

30. 手関節・手指の関節リウマチに対する手術的治療

31. 指骨骨折に対する手術的治療

32. 屈筋腱および伸筋腱損傷に対する手術的治療

33. ばね指とDupuytren拘縮に対する手術的治療

34. 切断指(肢)再接着術



【骨盤・下肢】

35. 骨盤骨折に対する手術

36. 寛骨臼回転骨切り術

37. キアリ骨盤骨切り術

38. 大腿骨骨切り術

39. 大腿骨頚部骨折に対する骨接合術

40. 大腿骨頭回転骨切り術

41. 人工骨頭置換術、人工股関節置換術

42. 先天性股関節脱臼に対する観血的整復術

43. ペルテス病、大腿骨頭すべり症に対する手術

44. 大腿骨骨折に対する骨接合術

45. 大腿部の腫瘍に対する人工大腿骨置換術

46. 関節リウマチ(RA)滑膜切除術

47. 人工膝関節全置換術

48. 膝関節半月板障害に対する手術

49. 前十字靱帯(ACL)再建術

50. 後十字靱帯(PCL)再建術

51. 膝蓋骨骨折・反復性膝蓋骨脱臼の手術

52. 下腿骨骨折に対する骨接合術

53. 高位脛骨骨切り術

54. 足関節周辺に対する手術

55. アキレス腱縫合術、足関節靱帯縫合術、靱帯再建術

56. 人工足関節置換術、足関節固定術

57. 外反母趾、関節リウマチ(RA)前足部変形に対する手術

58. 先天性内反足に対する手術

59. 小児の足関節、足部麻痺足に対する手術

60. 合趾症、多趾症、巨趾症に対する手術的治療

61. 下肢延長術



【脊椎・脊髄】

62. 上位頚椎部の後方手術

63. 上位頚椎部の前方手術

64. 中下位頚椎部の後方手術

65. 中下位頚椎部の前方除圧固定術

66. 透析脊椎症(頚椎)に対する手術

67. リウマチ頚椎症に対する手術

68. 脳性麻痺(CP)の頚椎症に対する手術

69. 内視鏡視下腰椎椎間板ヘルニア摘出術(MED法)

70. 内視鏡低侵襲脊椎手術

71. 脊髄腫瘍に対する手術

72. 中下位頚椎部の外傷に対する手術

73. 胸椎部の後方手術

74. 胸椎部の前方手術

75. 脊椎の腫瘍性疾患の手術

76. 脊柱変形矯正手術

77. 腰仙椎部の後方除圧術

78. 腰仙椎部の後方固定術

79. 腰仙椎部の前方手術

索引

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実践的な記載による術前・術後管理のテキスト
書評者: 岩本 幸英 (九大教授・整形外科学)
 従来から整形外科手術法に関する優れた成書はたくさんあったが,患者の術前・術後管理に関する親切な手引書はほとんどなかった。そこで1998年に,整形外科の個々の手術法に対応したきめ細かい術前・術後管理のテキストである『整形外科 術前・術後のマネジメント』の初版が刊行された。以来本書は,数多くの整形外科医,なかでも病棟で直接患者を担当する若い医師たちに愛読されてきた。これまで先輩医師のもとで経験を積むことにより試行錯誤的に身についていた各疾患の術前・術後管理のノウハウを,本書により体系的に習得できるようになったことが,好評を博した理由であろう。

 その後,整形外科医に要求される技術はさらに幅広くなり,リスクマネジメントに対する配慮という新たな問題も浮上してきた。このような時代的背景のもとに,このたび本書の第2版が刊行された。通読し,旧版と比較してまず感じたことは,1)2色刷りとなっているため,項目や図が見やすくなっていること,2)数多くの新しい手術の項目が加えられていること,3)リハビリテーションのポイントや,医師以外のスタッフへの指示がよりきめ細かくなっていること,の3点であった。また,手術法ごとに,「リスクへの対応」という項目が設けられている点が素晴らしいと思った。この項目を熟読することにより,経験が少ない若手の整形外科医であっても,堅実なリスクマネジメントとインフォームドコンセントの取得が可能になるであろう。

 本書はきわめて実践的な記載がなされているので,症例に遭遇するたびにベッドサイドで繰り返しひも解いて知識を自分のものにし,カルテの記載にも反映させることをお勧めしたい。現代の医療では,安全な医療が重視されている。本書をもとに,全国で間違いのない術前・術後管理が実践され,整形外科の医療が国民の大きな信頼を得ることができるように念願している。

高い評価を得て改訂された術前・術後管理の手引き書
書評者: 井上 一 (香川労災病院院長)
 整形外科は運動器疾患の治療に携わるが,依然として外科的手段が主流を占める。他方,整形外科領域の需要増大とともに,この分野は急速に進歩発展を遂げ,また大きく診療範囲も広げてきた。しかし,その反面,医療の効率化や医療過誤などの問題から,特に術前・術後,すなわち周術期における患者管理や医療の在り方が問われている。

 こうした観点からみても『整形外科術前・術後のマネジメント 第2版』が出版されたことは喜ばしい限りである。初版から7年かけて改版されたということは大変高い評価を得て普及したということであり,整形外科領域に類書がないだけにその教育的意義は大きい。「総論」にはじまり,「肩甲帯・上肢」,「骨盤・下肢」,「脊椎・脊髄」に分け,平易で分かりやすく書かれており,また今版から2色刷となり,読者にとっては大変使いやすい手引き書となっている。

 初版の序文では,どの手術においても術前のプランニングに始まり,インフォームドコンセント,術中ばかりでなく術後早期の管理,リハビリテーション計画とその実施は「一連の流れ」であると記されている。これらを齟齬のないよう進めて,はじめて手術結果が評価される。他方,最近はチーム医療の導入が強調されている。それには医師ばかりでなく,コメディカル,さらには患者とその家族も含めたトータルケアが重要になってくるが,それを完遂するうえでクリティカルパスがよく用いられている。これも疾患ごと,症例ごとに検討され,その中身も進化していくものであり,こうした問題も総論のところで取り上げていただけるとより充実するのではなかろうか。このパスの利用は医療の効率化ばかりでなく,医療過誤の予防や病院の管理運営にまで及ぶので,周術期には特に重要である。

 「総論」でコンパートメント症候群には触れられているが,近年,深部静脈血栓症の問題もクローズアップされている。この点も周術期においては重要な課題の1つであり,手術的侵襲にあたっては必ず留意すべき点といえる。

 「肩甲帯・上肢」ではほぼすべての疾患の手術的治療について詳述されているが,最近では上肢の人工関節手術がかなり普及してきている。ここでは肘人工関節については書かれているが,肩や手指についてはほとんど触れられていない。上肢機能再建術についても,もう少し踏み込んでもらいたかった。

 「骨盤・下肢」については,大方の手術は網羅されているが,この領域においても低侵襲手術が広く導入されてきている。次の版ではこのような点に留意して,最進の手技の導入と患者管理の在り方を記していただければ,読者の関心はさらに高まることであろう。一方,骨盤骨折の管理と手術適応は依然として難しい問題である。しかし,適切な手術療法によって救命し得ることも多く,また機能障害も軽減できる。このあたりももう少し詳述していただきたい点である。

 脊椎・脊髄の手術では内視鏡手術が相当広く用いられている。しかし,これには保険請求上の問題や重篤な合併症もあり,手技の修得がもっとも重要である。最近では,ナビゲーション外科も導入されつつあるが,どの分野の手術も手技の修得が必須である。このことを術者は銘記すべきである。

 ともあれ,本書のような手引き書の普及により,手術成果を上げ医療の向上に結びつけたいものである。

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