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What Do the Moon and Stars Look Like at Night?
The Mechanisms of vision and retinitis pigmentosa

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本書は,世界中で約200万人,わが国でも3万~4万人の患者がいるといわれる“網膜色素変性症”について,平易かつ具体的に,その原因,病態生理,基礎・臨床研究の最新の知見や動向などを,絵本形式・タッチプリント(点字)で解説。医師,患者・家族,学校の教員が同時に読め,理解できる画期的な書籍。インフォームドコンセント時代に必須のアイテム。 「星空が見たい!物を見る仕組みと網膜色素変性症がおきるメカニズム」の英語版。
Why and for whom this book is written(From the authors):
Many patients with retinitis pigmentosa(RP),a collection of inherited diseases affecting the retina of the eye,do not understand or have difficulty understanding why they have problems at night or in dim light.Also,many RP patients want to know the underlying reason or the mechanism causing their eye problems.So,we have written this book for both RP patients and doctors,both eye doctors and doctors of other specialities,to try to explain the mechanism of vision,and how and what changes occur that lead to the visual difficulties experienced by patients with RP.Hopefully,knowing these mechanisms will help RP patients understand what types of treatment are being considered and also the efforts being made to develop effective treatments for these diseases.This book is also written for the families and friends of RP patients who have good vision and might not understand,but want to understand,the overall visual condition of their child or friends.You will find that all of the pictures this book are contoured for touching.We hope that this will allow RP patients and others with poor vision to appreciate what we are trying to demonstrate by these illustrations.
Yuko Wada / Makoto Tamai
販売 医学書院
発行 2003年05月判型:A4変頁:48
ISBN 978-4-260-70041-2
定価 8,800円 (本体8,000円+税)

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網膜色素変性症の受容と理解のために
書評者: 田淵 昭雄 (川崎医大教授・眼科)
◆視覚障害者本人やその家族にもわかりやすく解説

 本書は著者らが永年にわたって行なっておられる網膜色素変性症の研究のなかで,患者さんからの切実な問いかけに対する回答の1つとして生み出されたものと推察される。医学論文的ではなく,実際の視覚障害者やその家族に対しても,網膜色素変性症を科学的にわかりやすく,しかも最近の研究の一端までも解説している点で非常に感銘を受けている。

 初めてこの書を手にしたとき,網膜の構造から,見える仕組み,網膜色素変性症の症状や病状の変化を視野と眼底像でも示し,遺伝の解説,治療と最近の研究など病気の概要について,大きなイラストと簡潔な説明,大きな文字で解説されているので,これはむしろ一般の晴眼者にとっても良いものだという印象をもったほどである。

 もちろん本書の目的である視覚障害者にとっては,視覚を利用できる方にはそのままで読みやすく,視覚の利用できない方には文字の部分に打たれた点字で読めるようにしてあり,図には全てに点字と同じような縁取りがされている。網膜色素変性症を理解するうえで非常に役立つと誰もが思うものである。

◆課題は多いが,病気を理解するよい指針になる

 そこで,本当に視覚障害者がどのような感想を述べられるかが気になり,視覚障害をもつ盲学校教員の方々にこの書を読んでいただいた。すると,結構,いろんな意見が返ってきた。

 1)視力が残っている患者さんには字も大きく有用で,医療機関に備えてインフォームド・コンセントへの姿勢を表すのに有効。
 2)視野狭窄の患者さんのなかには,文字や図が大きすぎてかえって見難い者もいる。
 3)疾患について幾らかでも知識のある方(盲学校教員など)には大変参考になるが,内容的には難しい。日常生活上の注意というような身近な事柄も入れたほうがよい。
 4)図や点字については,中途障害で墨字が見えなくなったような人には読みづらい。その理由は,図や点字の出方が薄い,図が複雑で理解しづらい,点字の行間が狭く読みにくいなどである。中途視覚障害の方が点字を読めるまでには相当の苦労が必要である。

 上記のように,すべての視覚障害者が利用できるようにするにはそれなりに改良の余地が残っているということであるが,そのことで本書の価値がなくなるわけではない。これをうまく利用できる方も多く,家族など晴眼者とともに病気を理解するうえで極めて有用であることに異存はない。

 なお,英語版も出版されており,私が国際ロービジョン学会学術会議Vision 2002(スウェーデン・エーテボリ)の会場でこれを展示したところ,当地の視覚障害向け出版業者から詳しい問い合わせを受けた。英語圏の患者さんからも日本語版と同様の利点,欠点を指摘されるだろう。

 網膜色素変性症には現在のところ治療法がないが,患者さん,およびそれに関与する医療者も含めた多くの人々がその障害を受容し,かつ理解しあって生活していくうえで,本書は良い指針となるはずである。また,医学書院が採算を度外視して高額になるはずの本書を廉価で出版されたことへの姿勢に敬服している。

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