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心電図を学ぶ人のために 第4版

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時を経て,今なお色褪せない名著「心電図を学ぶ人のために」の20年ぶりの改訂。心臓の働きと心電図の波形,そのつながりがわかるから,心電図がこんなにおもしろい。波形が読めるから,臨床に役立つ。心電図を学んできた医師,看護師のために,そして心電図を学ぶすべての人のために。
高階 經和
発行 2005年01月判型:B5変横頁:272
ISBN 978-4-260-33381-8
定価 3,520円 (本体3,200円+税)

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  • 目次
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1.心電図を学ぶための心臓の解剖と生理
 1.心電図とは
 2.心臓の解剖学的位置と血液の流れ
 3.心臓の大きさと重さ,全身の血液量
 4.総血液量のうち,大循環と小循環の割合
 5.血圧と左室圧・右室圧の割合
 6.左・右室壁の厚さ
 7.心臓は1日に何回動くか
 8.心臓が1日に送り出す血液量
 9.体内における三大重要臓器
 10.心臓の電気的活動
 11.心臓には自働性があるか
 12.心臓の自働性と刺激伝導系
 13.Q & Aコーナー
2.正常心電図と心電図の臨床的意義
 1.正常心電図はどうして描かれるか
 2.脱分極と再分極
 3.心音と心電図の関係
 4.心電図の標準12誘導
 5.心電図ですべての心疾患の診断がつくか
 6.心電図はどんな心疾患の診断に役立つか
 7.Q & Aコーナー
3.心電図をとる際の注意
 1.心電計の取り扱いについて
 2.心電図は屋内・屋外どこででもとれるか
 3.心電図をとる際の注意
 4.較正曲線とは何か
 5.心電図をとり終えたときの注意
 6.Q & Aコーナー
4.不整脈(異常調律)
 1.心拍数の素早い読み方
 2.不整脈とは
 3.P波の異常
 4.心房の拡大はどうして起こるのか
 5.PR間隔とヒス束心電図
 6.第 I 度房室ブロック
 7.第 II 度房室ブロック
 8.第 III 度房室ブロック(完全房室ブロック)
 9.洞頻脈と洞徐脈
 10.心房細動と心房粗動
 11.房室接合部リズム(結節リズム)
 12.脚ブロック
 13.期外収縮
 14.WPW症候群
 15.Q & Aコーナー
5.心室の肥大と電気軸
 1.左室・右室の肥大はどうして起こるのか
 2.心室肥大と心電図上の変化
 3.電気軸
 4.電気軸(平均QRSベクトル)の求め方
 5.左軸偏位・右軸偏位
 6.Q & Aコーナー
6.虚血性心疾患と心電図
 1.虚血性心疾患
 2.傷害電流と調整電流
 3.心筋梗塞の心電図の診かた
 4.狭心症・血管けいれん性狭心症の心電図
 5.Q & Aコーナー
7.リウマチ性心疾患と心電図
 1.リウマチ熱とリウマチ性心疾患
 2.リウマチ性心疾患と心電図
 3.日常よく見られるリウマチ性心弁膜症
 4.僧帽弁狭窄と僧帽弁閉鎖不全
 5.大動脈弁閉鎖不全と大動脈弁狭窄
 6.Q & Aコーナー
8.心筋障害,電解質障害と心電図
 1.臨床的によく見られる心筋障害
 2.電解質障害とは何か
 3.臨床的によく見られる電解質障害
 4.Q & Aコーナー
9.先天性心疾患と心電図
 1.先天性心疾患の発生原因と発生頻度
 2.心電図から先天性心疾患の診断は可能か
 3.代表的な先天性心疾患の心電図
 4.Q & Aコーナー
10.薬剤と心電図
 1.心臓に影響を及ぼす薬剤
 2.心拍数に影響を及ぼす薬剤
 3.冠動脈拡張剤の影響
 4.カリウムの影響
 5.Q & Aコーナー
11.不整脈の臨床
 1.不整脈の種類と生理学的意義
 2.不整脈の臨床診断
 3.各不整脈の原因疾患と薬物療法
12.心電図のセルフテスト
 1.問題
 2.解答

参考図書
索引

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さらに完成度を増した完璧な心電図の教科書
書評者: 山内 豊明 (名古屋大学医学部教授)
 このたび,高階經和先生の名著『心電図を学ぶ人のために』が約20年ぶりに改訂され,第4版となった。初版から数えること25年というロングセラーである本書は,第3版も第16刷を重ねており,すでにこれ以上改訂するところがないのではと思わせるほどの完成度の高い良著であった。しかし常に学問の進歩を見据え,ほんのわずかな妥協も許さぬ到達点を求め続けている高階先生は,今回の改訂を敢行された。そして,今回の改訂でも初版から貫かれている「わかりやすい解説」という基本姿勢が徹底されている。著者は謙遜して「この小書は,あくまでも心電図を学ぶ方々のための啓発書であり,専門書ではない」と記しているが,その実はこれ以上の追加文献を必要としない完璧な心電図の教科書である。

◆「動きをもって機能する臓器」を把握する

 身体の各臓器やシステムは様々な情報の提示をするが,得られた情報とそれが意味することについての対応関係が緊密な臓器の代表格が心臓であろう。著者が提唱している「臨床の言葉(clinical language)」には,(1)患者さんの言葉,すなわち主観的情報である「日常語(spoken language)」,(2)我々の五感を通じて得られる身体所見,すなわち客観的情報である「身体語(body language)」,そして(3)様々な補助ディバイスを駆使して得られる検査所見である「臓器語(organ language)」,の3つがある。心臓という臓器の機能状況については,このうち特に心音聴取と心電図所見の把握をもってすれば,リアルタイムにほとんどの情報は得られるものである。

 心音は心臓の動きそのものを直接的に反映し,音を聴くことで心臓がどのように動いているかを正しくイメージできる。その心臓の動きをコントロールしている本態は電気であるが,残念ながら人間の持つ感覚受容器ではこの電気はなかなか把握できないものである。この電気の働きを目に見える形に変換してくれたものが心電図である。であるから,心音所見と心電図所見を把握できたならば,「動きをもって機能する臓器」である心臓という臓器の「動き」とその「調整メカニズム」を把握できたことに他ならない。

◆「難解なものをやさしく書く」著者の力量が生んだ名著

 心電図というものは,何やら難解なものではないかとの先入観も多いと聞くが,実際は心電図の意味するところの本態をいったん理解し納得したら実は難しいものではない。しかし複雑で難解にみえる事柄をわかりやすく書くことほど難しいことはなく,難しく書くことのほうが遥かに容易である。わかりやすく書くためには,難しいままで伝えることの何倍もの教育的能力を必要とすることは言うまでもなかろう。

 その卓越した力量をお持ちである高階經和先生であるからこそ,本書が生まれ,四半世紀にもわたって世の中で貢献してきたと考える。ここに改めて本書への全幅の信頼を寄せるとともに,多くの方々に本書を心より推薦したい。

心臓病学の入門書としても最適
書評者: 木野 昌也 (北摂総合病院院長)
 本書は1979年の初版発行以来版を重ね,多くの読者から大変高い評価を受けている。初版以来,実に25年の歴史を重ねている,わが国の医学書の中でも希有な存在である。この本を入門書として愛読され,現在は内科医,循環器専門医,あるいは専門ナースとして臨床の第一線で活躍している方もたくさんおられることであろう。第4版では図版が全面改訂され,新知見が追加されている。

 なぜ,この書がこれほどまでに,多くの方に長く読み継がれているのであろうか。心電図の学習を困難にさせている理由は,人の目には見ることのできない極めて微量の電気現象を三次元的に理解しなければならないからである。心筋細胞の電気現象が,心臓の働きとどのように関係しているのか。病気の心臓では,電気現象はどのように変化するのか。あるいは人の体に異常が発生した時に,心電図にはどのような変化が起こるのか。心電図だけを勉強しても,これらの疑問には答えることができない。解剖学,生理学,生化学,病理学,ひいては臨床の豊富な知識があって,初めて理解できるのである。この本は初心者のために書かれた心電図の入門書ではあるが,心臓病学についての入門書としてもお勧めの書である。

 まず,この書は実に読みやすい。解剖学,生理学,生化学等の知識をもとに,心臓と心電図の関係をわかりやすく解説している。心電図の波形は大きく,極めて鮮明である。日常の診察にすぐに役立つ臨床のヒント,解剖図,心音図,脈派や圧波形,時には漫画を使用し,多くの日常的なたとえを引きながらの解説は,心電図アレルギーの人々にも大変な福音ではないか。心電図をそんなに難しく考えないで,皆で楽しく勉強しよう。

 さあ,長椅子やベッドに寝転びながら,心地よい音楽を聞きながら,気楽に心電図,心臓病の勉強をしようではないか。著者のそんな言葉かけが今にも聞こえてくる。日本と米国の医師や医学生,看護師,歯科医師,その他一般の人々に対する豊富な教育経験からであろう。著者の面目躍如たるものがある。James教授,White医師,Burch教授ら現在の循環器病学の基礎を作られた大家との交流のエピソードは,著者から受ける個人レッスンである。

 臨床に携わるすべての人が理解し,マスターし,日常的に使いこなさなければならない言葉に三種類ある。患者さんの病歴としての「日常語」(spoken language),バイタルサインや徴候としての「身体語」(body language),心音や心電図などの「臓器語」(organ language)である。改訂第4版に際して書かれた著者の序文の中のこれらの言葉からも,著者が世界的な第一級の臨床医であることが理解できるであろう。心電図学は学問としての歴史も長く,世界的な名著も多い。この書は,心電図として,心臓病学の入門書として名著と呼ぶにふさわしい。初心者だけでなく,心電図を勉強した人がもう一度知識を整理するための書としても広くお勧めしたい。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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