内科医の薬100 第3版
Minimum Requirement

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これだけ知っていればほとんどの内科診療をカバーできる100種類の「よい薬」を厳選し,作用機序,剤形,病態に応じた使い方,代謝・排泄,相互作用,副作用,同種薬剤について,著者らの豊富な臨床経験をもとに薬剤添付文書どおりではないプラクティカルな使い方を解説。第3版では薬剤の見直しはもちろん,P-drug(パーソナルドラッグ)の概念と選択にも触れている。
編集 北原 光夫 / 上野 文昭
発行 2005年04月判型:B6頁:304
ISBN 978-4-260-10669-6
定価 4,180円 (本体3,800円+税)

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A. 抗菌薬

 1. ベンジルペニシリンPCG(ペニシリンG)

 2. アンピシリン・スルバクタムABPC/SBT(ユナシンS)

 3. ピペラシリンPIPC(ペントシリン)

 4. セファレキシンCEX(ケフレックス)

 5. セファゾリンCEZ(セファメジンα)

 6. セフメタゾール(セフメタゾン)

 7. セフトリアキソンCTRX(ロセフィン)

 8. セフタジジムCAZ(モダシン)

 9. アズトレオナムAZT(アザクタム)

 10. メロペネムMEPM(メロペン)

 11. バンコマイシンVCM(バンコマイシン)

 12. ゲンタマイシンGM(ゲンタシン)

 13. ドキシサイクリンDOXY(ビブラマイシン)

 14. クラリスロマイシンCAM(クラリシッド)

 15. クリンダマイシンCLDM(ダラシンS)

 16. シプロフロキサシンCPFX(シプロキサン)

 17. レボフロキサシン(クラビット)

 18. スルファメトキサゾール・トリメトプリム(バクタ)

 19. メトロニダゾール(フラジール)

 20. アムホテリシンB AMPH(ファンギゾン)

 21. フルコナゾールFLCZ(ジフルカン)

 22. テルビナフィン(ラミシール)

 23. イソニアジドINH(イスコチン),リファンピシンRFP(リマクタン),

  ピラジナミドPZA(ピラマイド),エタンブトール(エブトール)

 24. アシクロビル(ゾビラックス),バラシクロビル(バルトレックス)

 25. オセルタミビル(タミフル)

B. 循環器疾患治療薬

 26. ジゴキシン(ジゴシン)

 27. ドパミン(イノバン)

 28. エピネフリン(ボスミン)

 29. ニトログリセリン(ニトロペン,ミリスロール)など

 30. イソソルビド(ニトロール,フランドル,アイトロール)

 31. ニフェジピン(アダラート錠)

 32. ベラパミル(ワソラン)

 33. プロプラノロール(インデラル)

 34. カルベジロール(アーチスト)

 35. リドカイン(キシロカイン)

 36. メキシレチン(メキシチール)

 37. ジソピラミド(リスモダン)

 38. トリクロルメチアジド(フルイトラン)

 39. フロセミド(ラシックス)

 40. スピロノラクトン(アルダクトンA)

 41. ドキサゾシン(カルデナリン)

 42. カプトプリル(カプトリル)

 43. ロサルタン(ニューロタン)

 44. アスピリン(バイアスピリン錠,バファリン81mg錠)

 45. ワルファリン(ワーファリン)

 46. ヘパリンナトリウム(ノボ・ヘパリン)

C. 呼吸器疾患治療

 47. サルブタモール(ベネトリン,サルタノールインヘラー)

 48. テオフィリン(テオドール)

 49. ベクロメタゾン(アルデシン,キュバール)

 50. イプラトロピウム(アトロベント)

 51. クロモグリク酸(インタール)

 52. プランルカスト(オノン)

 53. デキストロメトルファン(メジコン)

 54. カルボシステイン(ムコダイン)

D. 消化器疾患治療薬

 55. ファモチジン(ガスター)

 56. ランソプラゾール(タケプロン)

 57. スクラルファート(アルサルミン)

 58. 水酸化アルミニウムゲル・マグネシウム(マーロックス)

 59. ブチルスコポラミン(ブスコパン)

 60. ドンペリドン(ナウゼリン)

 61. モサプリド(ガスモチン)

 62. ロペラミド(ロペミン)

 63. カルボキシメチルセルロース(バルコーゼ)

 64. ピコスルファート(ラキソベロン)

 65. メサラジン(ペンタサ)

 66. ウルソデオキシコール酸UDCA(ウルソ)

 67. インターフェロンアルファ-2b(イントロンA)

E. 神経疾患治療薬

 68. グリセリン(グリセオール)

 69. オザグレル(キサンボン,カタクロット)

 70. アルガトロバン(スロンノン,ノバスタン)

 71. チクロピジン(パナルジン)

 72. スマトリプタン(イミグラン)

 73. フェニトインPHT(アレビアチン)

 74. バルプロ酸VPA(デパケン)

 75. カルバマゼピンCBZ(テグレトール)

 76. レボドパ・カルビドパ(ネオドパストン)

F. 血液疾患治療薬

 77. クエン酸第一鉄ナトリウム(フェロミア)

 78. コバマミド(カロマイドS)

 79. フィルグラスチム(グラン)

 80. 乾燥スルホ化人免疫グロブリン(献血ベニロンI)

G. 内分泌・代謝疾患治療薬

 81. チアマゾールMMI(メルカゾール)

 82. レボチロキシン(チラーヂンS)

 83. ヒトインスリン注射液(ヒューマリンR,ペンフィルR)

 84. イソフェンインスリン水性懸濁注射薬(ヒューマリンN,ペンフィルN)

 85. 二相性イソフェンインスリン水性懸濁注射液

 (ノボリン30R,ペンフィル30R)

 86. グリメピリド(アマリール)

 87. アトルバスタチンカルシウム水和物(リピトール)

 88. アロプリノール(ザイロリック)

 89. プロベネシド(ベネシッド)

 90. アルファカルシドール(アルファロール,ワンアルファ)

H. 抗炎症薬,鎮痛薬

 91. アセトアミノフェン(ピリナジン,カロナール,アンヒバ)

 92. ジクロフェナク(ボルタレン)

 93. プレドニゾロン(プレドニン)

 94. デキサメタゾン(デカドロン)

 95. ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ,サクシゾン)

 96. 塩酸モルヒネ(塩酸モルヒネ,オプソ,アンペック)

I. 向精神薬 

 97. ジアゼバム(セルシン,タイアップ)

 98. ブロチゾラム(レンドルミン)

 99. アミトリプチリン(トリプタノール)

 100. 塩酸ミアンセリン(テトラミド)

付録

索引

 薬剤索引

  欧文

  和文

 疾患・病態索引

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内科医をめざす人の道しるべとして
書評者: 須藤 博 (東海大学・総合内科学)
 北原光夫,上野文昭両先生の編集による「内科医の薬100」の改訂第3版が出版された。もし皆さんがまだ本書を手にしたことがなければ立ち読みでも結構,とりあえず第3版にも掲載されているので初版の序文だけでも一読されることをぜひお勧めする。

 かのシャーロック・ホームズの言葉が冒頭に引用され,次のような内容の一文が続く。

 「知識は多ければ多いほどよい。これは誤りである」「日常診療のために市販されている膨大な数の薬剤について十分な理解を持ち続けることは,ほとんど不可能である」「多忙な臨床医にとって限られた時間で個々の薬剤に精通するのにもっともよい方法は常用する薬剤の種類を制限することである」

 この序文に書かれているように「薬を100に絞り込む」ということは,内科診療はこれくらいがまずは十分であるということを示すことであり,同時に一般内科医としてこれくらいの薬剤に精通することが目標だということを示している。この基本コンセプトが本書のすべてと言ってよい。これは改訂を重ねても揺らぐことはない。

 本書の構成は単純明快である。各分野について代表的な薬剤が取り上げられ,冒頭にそれぞれの特徴が簡潔にまとめられている。次いで病態に応じた使い方,代謝・排泄,薬物相互作用,副作用と続き,同種薬剤についても触れられている。最後には標準的な一日量の薬価が記載されている。同種薬剤について言及はされているが,原則として同系統の薬剤のなかではどれか1種類に限定されている。なぜその薬剤を選択したのかについては,厳密な意味でのEvidence―basedではなく,エキスパート・オピニオンである。しかしそのほとんどは選択の根拠が明確に示されており十分にうなずけるものである。また巻末にはP―drug(パーソナルドラッグ)についての解説が加えられた。

 筆者もかつてそうであったが,研修をはじめて間もない若い医師は指導医から処方を指示される薬剤の多様さに,あるいは新しい薬剤の情報があふれていることに目もくらむ思いをしたことがあるはずである。そんな彼らに本書はよい道しるべになることであろう。本書は経験ある内科医から彼らへのメッセージであるとも言える。指導医として日々研修医達と接している筆者にとっても,知っておくべき薬剤のミニマムを示すにあたって本書はとても参考になる一冊である。

 私事ではあるが本書の編者のお二人の先生方には,かつて研修医時代に大変お世話になった。筆者にとっては内科医としての最初のロールモデルである。「内科の薬は100も知っていればほとんどの診療はやっていける」という言葉は当時回診の時などに伺ったことがあり大変印象に残ったのを覚えている。本書は研修医にも,経験を積んだ専門医にも,あるいは内科を専門としない医師にも広くお勧めできる。本書を参考にして自分自身のリストを完成されるのがよいだろう。本書から学ぶべきは単に個々の薬剤についての知識だけではなく,その根底に流れる考え方にある。

 医聖Sir William Oslerの言葉に次のようなものがある。

 The young physician starts life with twenty drugs for each disease, and the old physician ends life with one drug for twenty diseases.

 100年前に内科医の神様が言ったことと本書に貫かれた精神とは本質的に同じである。

エビデンスに基づいて厳選 合理的な薬物治療をめざして
書評者: 大橋 京一 (大分大教授・臨床薬理学)
 現在,わが国で市販されている医薬品品目数は15,000を越えている。しかし,一般の臨床医が日常診療で使用している医薬品の数は60前後であると言われている。また,医薬品の開発が進み,毎年新しい薬が臨床の現場に登場している。このような状況で,必要な薬の選択に苦労する。近年,EBMの概念が普及し,エビデンスに基づいた薬物治療が重要視されつつあり,1995年にはWHOが医薬品の適正処方のために『Guide to Good Prescribing』を出版した。この訳が『P―drugマニュアル―WHOのすすめる医薬品適正使用』として医学書院より出版されている。P―drugとはパーソナルドラッグの略であり,「自家薬籠中の薬」の意味である。クライテリア(有効性,安全性,適合性,費用)に沿って吟味を行い,自分の処方集に入れる行為を通して,医薬品の評価ができるし,患者への情報提供もスムーズに行えるようになる(わが国のP―drugの情報は「http//p―drug.umin.ac.jp」で得ることができる)。

 合理的な薬物治療は,的確な診断のもとに,必要な薬を必要な量,期間投与する計画を立て,実行し,評価することである。近年,医学部の卒前教育における薬物治療教育の重要性が指摘され,従来の診断学に偏重していた反省にたって,臨床薬理学教育が全国の医学部で行われるようになった。しかし,数年前よりコア・カリキュラムを中心としたカリキュラム編成が行われるようになってきた。コア・カリキュラムの概念は重要であるが,薬物治療に関する内容が乏しく,過去の診断学偏重に逆戻りした感があると思っている方は私一人ではないであろう。

 この乏しいカリキュラムで,薬物治療を教育するためには,ある程度医学教育における必須薬物,すなわちコア・ドラッグを設定する必要性が指摘されている。このコア・ドラッグ,あるいはP―drugリストにおける医薬品選定はなかなか大変な作業である。しかし,この度出版された北原光夫先生,上野文昭先生の編集による『内科医の薬100 第3版』は,数多くの医薬品の中から,エビデンスに基づく薬物治療を基本に100種類の医薬品を選択している。北原,上野両先生は米国で臨床研修を受け,よい臨床研究から得られたエビデンスを重視する診療姿勢を身につけられた方である。この本ではエビデンスのしっかりした薬を厳選し,内科診療の90%以上をカバーできるように配慮している。薬剤毎に,作用機序,使用法,薬物動態,薬物相互作用,副作用が記載されており,臨床薬理の専門家でない多忙な臨床医にとって,まさに待ち望んでいた本である。この第3版では第2版からいくつかの薬が入れ替わっているが,新薬は6種類にすぎない。そこには,あくまでよりよい薬物治療を追求するには,何もむやみに新薬を追い求めるのではなく,古い薬でもエビデンスのしっかりした薬を使おうとする両先生の姿勢がうかがえる。

 本書は臨床医,臨床研修医が数多くの医薬品から自家薬籠の中に入れるために役立つことはもちろんのことであるが,医学・薬学教育にも役立つものであり,高年次医学生・薬学生にも推薦できる。

臨床医の虎の巻
書評者: 木野 昌也 (認定内科専門医会会長/北摂総合病院院長)
 毎年,夥しい数の医学書が出版され,そして消えていく。そのような医学書が多い中で,この書は1993年の初版発行以来,12年間読み継がれ版を重ねている数少ない名著の1つである。今回第3版が出版されることになった。この書が何故にこれだけの評価を受けてきたのか。

 第一に,この書は大学の教授が書いた教科書ではない。多くの患者や医師から信頼を集める臨床医であれば,誰もが臨床経験とEvidenceに裏付けられた知識と技術を持っているものであるが,そのような臨床医が大切に温めてきた虎の巻という方がより適切であろう。編集者の北原光夫,上野文昭の両氏は米国での豊富な臨床経験をもとに,ベッドサイドにおける患者のための医療を実践しわが国をリードしてきた真の臨床医である。さらに臨床を知り尽くした人たちが各分野の執筆を担当しているが,選び抜かれ磨かれた100種の薬剤について,臨床医がマスターしておくべき知識が詰まっているのである。パーソナル・ドラッグ(P―drug)の項目を作り,読者が自らの手で「自家薬籠中の薬」を持つことを勧めているが,この書の中では,名医たちが自らの手のうちを明かしているのである。

 第二に,この書は実に読みやすい。どの内科医にとっても手放すことができない薬剤ばかりだからであろう。電車の中でまるで珠玉のエッセイを読むように,1ページから実に楽しく読み進めることができる。

 第三に,記載は簡潔明瞭である。薬理作用,病態生理,臨床使用の根拠となったEvidenceは贅肉をそぎ落とされ必要なものだけが選択されている。さらに一般名とともに代表的な商品名,常用量,薬価まで記載されている。研修医や若手の臨床医を対象にしているが,ベテランの医師にとっても知識が整理される貴重な書である。

 最後に,この書が版を重ねた名著と言われるだけに注文がある。臨床医学,特に薬剤の進歩には目覚ましいものがある。5年前の知識がすでに陳腐になる時代である。この書のめざすものは新薬を追いかけることではなく,そのような臨床医学の進歩の中で,ベッドサイドで揉まれ選び抜かれた真の薬剤について記載することであろう。その理念を十分に認識したうえでの注文であるが,毎年とは言わないが,できれば2―3年毎の改訂をお願いしたい。例えばACE阻害薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬については,同種同効薬が多く開発され,そのどれもがEvidenceを競っており甲乙つけがたい。勤務する病院によって,採用される薬剤も異なるであろう。使用される頻度が多いだけに,もう少し紹介があってもよかったのではないか。あるいは,インスリン製剤の進歩は目覚ましく,強化療法が一般的に行われるようになっている。インスリン・リスプロやインスリン・グラルギンについても,次回の改訂での紹介を期待している。しかし一方で,この種の選択自体,臨床医としての編者の良心を示すものであろう。本書のサブタイトルである内科医としてのminimum requirementとして,すべての臨床医に広くお勧めしたい。

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