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CPRインストラクターズガイド 第2版

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一般市民への心肺蘇生法(CPR)普及活動の担い手である普及指導者のための教科書第2版。今改訂により,2000年に発表された米国心臓協会(AHA)の「ガイドライン2000」準拠となった。初版から引き続き,病気の説明・解剖・生理・歴史・制度なども簡潔に説明され,手技の背景が十分に理解できるように工夫されている。全編2色刷り。
監修 小濱 啓次
編集 山本 保博
編集協力 吉田 竜介
発行 2003年11月判型:B5頁:136
ISBN 978-4-260-12256-6
定価 2,200円 (本体2,000円+税)
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1 救急蘇生法の必要性
2 観察の必要性と観察要領
3 心肺蘇生法 一次救命処置(基礎的救命処置)
4 止血法
5 その他の応急手当
6 傷病者の管理法と搬送法
7 解剖・生理の知識と病気の知識
8 感染防止
9 教育用資機材の取扱法と管理法
10 救急蘇生法の教育
11 資料
索引

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最新の指導書を待っていたCPRインストラクターたちに
書評者: 浅井 康文 (札幌医科大学医学部附属病院高度救命救急センター)
 今回,真新しい「CPRインストラクターズガイド・第2版」を手に取ることができた。監修は川崎医科大学の小濱啓次先生,編集は日本医科大学の山本保博先生で,ともに尊敬する救急医学の先輩である。この「CPRインストラクターズガイド」は,もともと一般市民に対する救急蘇生法普及を目的に,CPRインストラクター(蘇生法指導者)の育成を目的に作成されている。「CPRインストラクターズガイド・第2版」は,8年ぶりに改訂されたアメリカ心臓協会(AHA)の「ガイドライン2000」に基づくガイドで,最新のCPRの指導書を待ち望んでいたCPRインストラクターにとってまさに待望の書である。

◆救急救命士の役割は拡大するも,最重要なのはバイスタンダーCPR

 我が国が欧米と比較して立ち遅れている心肺停止患者蘇生率や社会復帰率の向上を目的として,1991年4月に救急救命士制度が創設された。しかし救急救命士が誕生しても,心肺停止患者蘇生率や社会復帰率の向上に直結しなかった。これは,医師の具体的な指示の下でしか,救急救命士の3行為といわれる,(1)心肺停止患者に対する半自動式除細動器による除細動,(2)乳酸加リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液,(3)食道閉鎖式エアウエイまたはラリンゲアルマスクによる気道確保が許可されなかったことによる。その後救急救命士の処置拡大の議論がなされ,2003年4月よりメディカルコントロールの確立した地域での指示なし除細動が認められた。2004年度には救急救命士の,病院実習後の気管挿管や現場でのエピネフリン投与などが可能となり,プレホスピタルの現場での情勢変化が見られ,さらに一歩踏み出したCPRがなされようとしている。しかし一番重要なことは,救命の連鎖の中でも,現場でのバイスタンダーCPRであることには異論はない。

◆心肺蘇生の社会復帰率向上を願って

 これまで1994年に出版された大塚敏文先生と小濱啓次先生監修の「初版・CPRインストラクターズガイド」で,多くのCPRインストラクターがその指導法を学んできた。表紙は初版と同じイラストであるが,CPRの上に書いてあった心肺蘇生法の文字が消えたのは,CPRと言う言葉が現在皆に受け入れられてきた証拠であろう。初版と比較して,2.観察の必要性と観察要領,4.止血法,5.その他の応急手当,6.傷病者の管理法と搬送法,7.解剖・生理の知識と病気の知識,8.感染防止,9.教育用式資機材の取扱法と管理法までは,最新の図や解説を加えているがほぼ同じである。第2版で大きく変わったのは1.救急蘇生法の必要性,3.心肺蘇生法(一次救命処置),10.救急蘇生法の教育(一般人の行なう電気的除細動を含むAHAにおける救急蘇生法教育,日赤方式に基づく救急蘇生法教育),11,資料(ガイドライン2000の経過と日本での取組み,用語解説,効果測定法を含む)であり,わかりやすく解説されている。最後の和文索引・欧文索引も再整理され,疑問点が出ても索引を引きやすくなっている。

 簡潔にまとめられた本書が,全国のCPRインストラクターの統一されたガイドとなり,我が国の心肺蘇生法の発展に寄与し,願わくは心肺蘇生の社会復帰率が欧米に肩を並べ,さらに追い越すことを期待したい。最後に第2版の改訂にあたり,隅々まで目を配り編集と編集協力をされた,山本保博先生と吉田竜介先生に拍手を送りたい。
肩の凝らない救急蘇生法の入門書
書評者: 小林 国男 (帝京大救命救急センター教授)
◆心肺停止患者の救命率向上には市民への心肺蘇生法教育が重要

 社会全般のシステムが今大きな変革期にあるが,救急医療においても変革が進んでいる。これまでの医療は,医療機関で医師が患者を診るときからはじまるのが通念であったが,搬送を含めた病院前の医療,いわゆるプレホスピタルケアも医療の重要な一環であるとの認識が受け入れられてきた感がある。このような社会の気運が,除細動や気管挿管などの救急救命士の行なう救急救命処置範囲拡大に繋がっているのであろう。しかし,都市部においても救急車が現場に着くには平均6分を要しており,心肺停止患者にはこの間に心肺蘇生法が行なわれないと,救急隊員や医師の努力は報われないことになる。したがって,心肺停止患者の救命率を上げるには,一般市民に対する心肺蘇生法教育がきわめて大切であるといえる。

◆好評を博した初版を,米国の最新ガイドラインに準拠して改変

 一般市民に対する心肺蘇生法教育を広めるには,共通の教材を利用するのが効率的であるが,かつては日本医師会,日本赤十字社,消防庁などがそれぞれ独自のカリキュラムとテキストで教育を行なっていた。日本医師会では,救急蘇生法教育検討委員会を組織し,日本救急医学会の協力を得てガイドラインの作成に取り組み,1993年に「救急蘇生法の指針―一般市民のために」を上梓した。日本赤十字社は,「蘇生法講習教本」を基に蘇生法教育を実施していた。その後,2000年に米国心臓協会から,いわゆる「ガイドライン2000」が出されたのをうけ,わが国でも関係団体が協力して心肺蘇生の統一した指針を作成することになり,日本救急医療財団に心肺蘇生法委員会が設置され,「救急蘇生法の指針」が改定された。

 本書の初版「CPRインストラクターズガイド」は,日本医師会,日本赤十字社,消防庁などの当時の教本を集大成して蘇生法指導者用のサブテキストとして1994年に出版されたものである。本書もこの度,「ガイドライン2000」に準拠して改版されたものであるが,基本的に評判の良かった初版の目次構成やイラストを継承している。しかし,心肺蘇生に関わる内容は「ガイドライン2000」に準拠して改変されているのはもちろんのこと,米国心臓協会(AHA)における心肺蘇生法教育の実際も紹介されている。本書は,表題がCPRとなっているが,心肺蘇生法以外にも止血法,各種外傷・熱傷・中毒等の応急手当,傷病者の管理法や搬送法,一般市民にもわかりやすい解剖・生理の知識など,一般市民が必要とする基本的な事項を網羅している。

 本書は,一般市民への心肺蘇生法教育を普及するために有用なテキストであるばかりでなく,医師,看護師,救急救命士など救急医療従事者のための簡便な副読本としても大いに役立つものと思われる。肩の凝らない救急蘇生法の入門書として,ぜひ関係者に一読を薦めたい。

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