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医療記録が変わる! 決定版クリニカルパス

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医療記録の一元化,効率的なバリアンス分析を可能にした済生会熊本病院のクリニカルパス。進化したクリニカルパスは,チーム医療の実現,医療の質向上を可能にする。本書では,クリニカルパスの作成・運用方法から,疾患別の実例までを解説。この1冊で新しいクリニカルパスのすべてがわかる!
監修 副島 秀久
編集 済生会熊本病院パスプロジェクト
発行 2004年04月判型:A4頁:144
ISBN 978-4-260-33334-4
定価 3,520円 (本体3,200円+税)
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  • 目次
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I 導入編
 1. なぜ新しいクリニカルパスが必要か
 2. クリニカルパスの変遷とこれから
 3. 新しいクリニカルパスの構造と特徴
 4. アウトカム設定と表現法
 5. 新しいクリニカルパス導入で看護記録がどう変わるか
 6. パス作成支援チーム・パス専任看護師の役割
 7. クリニカルパスとパラメディカルの役割
 8. 新クリニカルパス導入に向けた医療体制の構築
 9. 医療記録の電子化に向けた新たな展開
II 実践編
 1. 新クリニカルパスの作成と運用
 2. 疾病別クリニカルパス事例
 3. バリアンス分析の実際,クリティカルインディケーターの特定
 4. Q&A
 5. 今後の展開と課題
 用語解説
索引

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これからはじめる人から,運用で困っている人まで
書評者: 阿部 俊子 (東京医科歯科大学大学院助教授・保健衛生学)
◆記録の一元化によって得られるもの

 「チーム医療の実現,医療の質の向上は,記録の一元化からはじまる」。これが,本書の一貫したテーマである。記録は医療者のコミュニケーションツールである。医療の現場での医療事故ではコミュニケーションエラーが多い。それは記録を効率的で適切なものにしていくことでかなり予防できるものである。既存の職種ごとの膨大な記録を整理することが,コミュニケーションの取れたチーム医療を行うときに必須となる。それをクリニカルパスという標準医療計画書を使用しながら行うことができる。この点で記録の整理をチーム医療で行おうという医療者に本書は福音である。非常にわかりやすく解説してあり,具体的な方法論と実例が出されている。

◆作成と運用の方法,具体例が理解を助ける

 本書には,クリニカルパス(以下,パスとする)の必要性,現状の記録の問題点,パスに対しての医師の抵抗,パスの基本構造(アルゴリズム,オーバービュー式,日めくり式パス,ユニットパス,バリアンス集計表,バリアンス分析),POS記録の問題点,アウトカム志向の看護記録の実際,パス作成支援チーム,パス大会実行チーム,原価計算チーム,パスを使用したチーム医療の実際,医療記録の電子化に向けた医療記録の展開などが網羅されている。

 また,これからパスを使用したいが方法がわからないという医療者のために,パスの作成と運用の仕方がわかりやすく書かれている。パスの運営でどのように医師の協力を得ていくのか,パスの適応基準と除外基準の作成の仕方,ゴール設定の仕方などもわかりやすく解説されている。

 さらに,疾患別のパスの具体例として,糖尿病教育入院,肝細胞癌に対する経カテーテル動脈塞栓術,腰椎椎弓切除術,鏡視下腎臓摘出術などが記入例とともに掲載されている。

 パスを用いた記録の整理をすることで,チーム医療の促進ができるが,同時に,医療の質向上のデータ収集ができるツールともなる。基本的に記録を適切にしていない医療機関では質データ収集はできない。本書では,パスを用いたデータ収集をしやすくするためのクリティカルインディケーターの考え方,その使用方法,さらにはそれを用いたベンチマーキングなどもわかりやすく説明されている。

◆「決定版」にふさわしい1冊

 パスは標準医療計画であり,標準化ということから画一的になるのではないのか,個別性がなくなるのではないか,という懸念はまだ大きいだろう。パスには患者の個別性は入っていない。しかし「標準」があることで,患者の個別性はわかりやすくなる。

 確かに,標準化できないものもある。医療業務の中でルーチン業務と標準ケアはパスにすることができる。個別性,突発事項などは個別対応となる。標準化できるものを整理して標準化しておくと,この個別性・突発事項対応に時間と労力を十分にかけることができるようになる。

 本書はこれからパスを導入しようとしている,さらにはパスを導入しているが運用がうまくいかず困っている方の,ほとんどの問題に対して対応できるものであろう。「決定版クリニカルパス」という名前がふさわしい本である。

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